夢を見た。
叶わない夢だ。
でも、悲しくない。
“みんな”がいるから。
今いるこの場所に、みんながいるこの場所に、私は。
どこかで、見てくれていますか?
お母ちゃん。
『——さあ、最終コーナーを回る!最初に出てきたのはセイウンスカイだ!』
12月の曇天。冷たい空気を目いっぱい吸う。
『——外からエルコンドルパサーが来ている!外からエルコンドルパサーだ!グラスワンダーが後ろに着けている!最後の直線に入る!スペシャルウィークまだ出てこない!』
前を走るみんなを見る。
1番前で逃げていくスカイちゃん。やっぱり、レースの時の真剣な顔、かっこいいよ。
エルちゃん。やっぱり強いね。なかなか背中が大きくならないや。
グラスちゃん。いつもの努力、怖いくらいにレースで出てるね。前に出させてくれないや。
キングちゃん。いい位置をキープされちゃって苦しいや。レース運びじゃ勝てないなぁ···
やっぱり、みんな強いや。
でも、勝つよ。絶対に。
『——おおっと!ここでスペシャルウィーク上がってきた!スペシャルウィーク上がってきました!最後の直線!ラストスパートです!伸びる!伸びる!加速していく!残り200を通過!まだ伸びる!エルコンドルパサーとグラスワンダー追いすがる!スペシャルウィークまだ伸びる!』
お母ちゃん、見てますか。
日本一のウマ娘に、なるよ。
『スペシャルウィーク!スペシャルウィーク!1着はスペシャルウィーク!2着にエルコンドルパサー、3着グラスワンダー!スペシャルウィーク、最後の直線で驚異的な伸びを見せました!未だに観客席からの歓声止みません!いやぁ——』
——今、走ってる時、最後に何か背中を押されたような——
『よく、頑張ったね。』
声のするほうを向く。
『しっかり、見てたよ。』
そこには、2人のお母ちゃんがいた。
『おめでとう!』
2人分の“おめでとう”を貰う。涙が溢れる。
まわりにみんなが来てくれる。スズカさんも、スピカのみんなも、一緒に走ったみんなも、トレーナーさんも。
『お母ちゃん、ありがとう。私、勝ったよ!』
2人のお母ちゃんに、笑顔のピースを送る。私は、頑張れる。これからもずっと。
だから、お母ちゃん。一緒に歩けなくても大丈夫だよ。一緒にご飯を食べたり、喧嘩したり出来なくても大丈夫。スピカのみんなやトレセン学園のみんな、トレーナーさんもいるから、大丈夫だよ。
これからも、お母ちゃん“達”に勝った姿、見せるからね!
だから、トレーナーさん。
これからも、私をよろしくね!
日常感が急になくなって申し訳ない····
水着スペが当たったので勢いで····
運営さん、3000ジュエルありがとう!