ウマ娘短編集   作:固床式

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4話:君のために

「······はぁ」

 

モルモット君がため息をついている。日頃、私の実験に文句のひとつも言わず付き合ってくれている彼が、だ。

 

「···どうしたんだい?モルモット君。ため息なんて君らしくないじゃないか。」

 

一抹の不安を覚えながら彼に尋ねる。万が一、私がしたことだったのならば····

最悪の展開が頭によぎる。契約解消だけは避けたい。彼は大事なモルモットであり、トレーナーだ。

 

「いや、気にしなくてもいいよ。大丈夫だから。」

 

やはり。彼はそう言うと思っていた。モルモット君はあまり自分のことを語らない。と言うよりも語ろうとしない。お陰で以前過労から来る貧血で倒れられたことがあった。

 

「····それは本当かい?トレーナー君。」

 

「····大丈夫だよ。ほら、実験に戻らないと。」

 

確認を取るもやはり『大丈夫』だと言う。トレーナー君の顔を改めて見ると、少し赤くなっている。恐らく、今日は早朝からの実験ではなかったため、夜遅くまで練習プランを練っていたのだろう。私のためにやってくれるのは嬉しいが、もう少し自分の体を労わってほしい。

 

「····やめよう。」

 

気付いたら声に出していた。トレーナー君はこちらを見ている。まるで、こう、うん。

 

 

 

 

 

····なんだろうか、この胸の高鳴りは。トレーナー君の、赤く紅潮した顔を見ていると、こう、何故か護りたい。いや、世話したくなってしまった。これが庇護欲というものだろうか?

 

「トレーナー君、君は今日は休みなさい。」

 

「え·····」

 

「ほら、特別にこの私が君の看病をしてあげよう!」

 

「····え?!」

 

トレーナー君が驚いて少し大きな声を出す。こちらを見ているトレーナー君に向けて高らかに宣言する。

 

「喜びたまえよ?私が直接君をお世話してあげるのだから。」

 

私はトレーナー君を促し、トレーナー寮へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

寮の部屋に着くとトレーナー君は立つ気力も危うかったのか、すぐに倒れ込んでしまう。体からは熱が出ている。やはり風邪か。仕方ないので、靴をぬがせ、スーツから部屋着に着替えさせて布団まで運んだ。

日頃から整理してあるトレーナー君の部屋。そんな綺麗な部屋の一角には積み重なったトレーナーノートが見える。彼がいつも書いているものだ。ほんとに、彼は優秀なトレーナーだとつくづく思う。

 

「····まあ、働きすぎでこうなるのも君らしいか。」

 

既に眠りに落ちている彼の体に布団をかけ、濡れタオルを額に乗せて様子を見よう。彼の横でノートPCを起動する。実験データの打ち込みを済ませよう。でも、その前に。

 

 

パシャッ

 

 

寝顔を撮る。スヤスヤと眠っている彼はとても可愛く見える。スマホの待ち受けにしておこう。恐らく、トレーナー君も見ないだろう。

 

おやすみ、トレーナー君。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最推しタキオンSSやっと書けた·····!

ちなみにですが、写真を撮った時にはまだトレーナー君の意識はありました。寝てません。ベタですが。
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