今日も、また、消えていく。
以前まではまだ、良かった。十分に蓄えもあったため、余裕を持てていた。しかし、トレーナーの給料でもまかないきれないほどの出費が出た。その元凶が、目の前にいる。
「·····なぁ」
「どうした?トレーナー」
目の前で考えられないような量を食べ続ける、俺の財布を空にした元凶。その名も“オグリキャップ”という大食らい。
「まだ、食べるか?」
「いいのか?!」
キラキラとした瞳で見つめ返してくるオグリ。そんな顔で見られたら断れる訳が無い。ゆっくり、下手なマリオネットのようにぎこちなく頷く。するとオグリはさらに明るい顔をしてどんどんと目の前に運ばれてくる食べ物を消していく。同時に、俺の財布の中身も消えていく。
「···なぁ、オグリ。」
「どうした?トレーナー」
丁度、財布の中身ぴったりに食べ切ったところで話しかける。大きく膨れたお腹で、満足そうな顔を向けてくる。とても、人の財布を空にした顔とは思えない。かわいいから許すが。
「···もう、財布の中身がないんだ。」
「···足してくれ。」
「無茶言うな。」
まさかそんな無茶を言われるとは思ってなかった。確かに、オグリのご飯は全て俺が持つと決めた。しかし、さすがに出費が痛すぎる。なので、提案する。
「なぁ、今後のご飯なんだが···」
「っまさか、もう食べれないのか?!」
とても悲しそうな、絶望の目を向けられる。頼む、違うからそんな目で見るな。罪悪感で死ぬ。
「違う、違うから!」
「そ、そうか···?」
ほっとした顔でこちらを見つめるオグリ。お前は拾われた仔犬か。すげー可愛いぞコノヤロー。
「あのな、今後のお前の飯は俺が作ろうと思う。」
「いいのか?!」
え?そんなに嬉しいこと?オグリはすごいワクワクした顔で俺を見ている。しっぽもブンブンと振り、心無しか何故かオグリのミニキャラがオグリの肩でぴょんぴょん跳ねている気がする。
「ああ、今晩から作ろうと思ってな。」
そう、今は昼。ついさっき金は消し飛んだ。夕飯の材料は家に揃えてある。彼女を満足させる料理を作らねば。
「じゃあ、今日はトレーナーの家にお泊まりだな!」
············え?
今、なんて?
そして、夜。トレーナー宅。
食卓前では待ちきれないかのようにオグリがソワソワしている。涎を垂らしながら、こちらを見つめるオグリ。彼女のために今日作る料理は、鍋。その中でも俺が1番好きな寄せ鍋を作ることにした。自分の分は少なくても済む。だが、オグリには目いっぱい食べて欲しい。だから。
「できたぞ。オグリ。」
昨日投稿できず申し訳ない····っ