My Hero Battlefront ~血闘師緑谷出久~ 作:もっぴー☆
投稿が遅れてるのはいつもの最終チェックで本文が気に入らなくて書き直しまくってるからです。決してひたすらディアブロ3をやってたわけじゃありません。ほんとです。
『どうしたお前らァッ!実戦じゃあカウントなんざねえんだ走れ走れぇー!既に賽は投げられてんぞー!』
後ろからプレゼントマイクの声が聞こえてくる。実技試験がスタートしたのだ。
合図もなにもない、いじわるな開始に受験生が驚き戸惑っているが納得できるやり口でもある。
突発的に起きる犯罪に合図なんてあるはずもない。仮にあるならそれは完全に後手に回る案件だ。あっちにいた頃、上がった合図がやられた瞬間万単位の死者を覚悟しなくてはいけない大儀式完了の合図だった、なんてこともあった。
だからライブラのみんなは普段から些細な変化に注視し、いち早く情報を集め危機に繋がる証拠を掴んでは先手を取る。全ては世界の均衡を守るために。
閑話休題。ともかく試験の開始は突然の対応力を問われる最初の関門でもあったが、僕はそのあたり慣れきってるから問題ない。だけど眼鏡の人は違い、他の受験生共々走り出している。出遅れの原因になったことに心のなかで謝罪するが、ここからはみんな競争相手だ。場合によっては協力も惜しまないけど合格は決して譲らない。足に力を込め加速した。
後続たちをさらに引き離し早速と言わんばかりに索敵を開始する。
CRAAASH!!!
しかしその必要はなかった。突然横の壁が破壊され、1Pの仮想
「標的補足、ブッ殺ス!!」
「口悪っ!?でも遅い!」
こちらへ向き両手を振り上げるが下ろされる前に急接近、頭部を蹴り抜き機能を停止させる。まずは1P、この調子で稼いでいこう。
最初の仮想
「ヒャッハー!新鮮ナ人間共ダー!」
「頭ネジ切ッテオモチャニシテヤル!」
「オレ様オ前マルカジリ!」
「ヤロオオオオブッ殺シテヤアアアア!!」
「あんたたちどこの蛮族だよ!?」
向こうでも通用する先進技術だというのに思考が蛮族とか遊びすぎじゃないかな雄英!?しかも3P
だけど動きは素直だ。試験用というのもあって威圧感があるだけで大したことはない。
「
「
両手から血糸を吐き出し、仮想
3P
ちょうどいいからさっきのお詫びにこいつを譲ろう。眼鏡の人にこれあげると3P
それからも索敵しながら走り続け、次々と仮想
たまに危ない学生を見かけては血糸を飛ばして
そうして現れる
THOOOOM!!!
今まで隠れていた0P
……現したのだけどデカいな!?情報がなかったから何がきてもいいように警戒はしてたけどさすがにこのサイズは驚く。パッと見10階建ての建物くらいか?
倒さなくていいお邪魔キャラか。確かにこんなのを相手に戦えって言われても普通なら無理だ。他の受験生も我先にと逃げ出している。そしてその判断は正しい。
三十六計逃げるに如かずとあるように、手に負えないと判断したならばとっとと逃げるのが最善であることも多い。立て直すなり他の
だけどそうはいかない。逃げている他の受験生に仮想
「みんな、逃げるなら何人かで固まって散らばって!一塊になっても危ないけど、バラバラに逃げると仮想
「いや、まずは君も逃げようよ!?」
「ちくしょう、こっちは瓦礫で塞がっちまった!」
「まずいよ!仮想
「あっぶね!瓦礫が飛んできたぞ!?」
声を上げて避難誘導をするが、あちこちで混乱が起きてしまって上手くいかない。しかも0P
「静まりたまえー!雄英を目指す者としてこの程度で慌てていいのか!彼の言うように数人で固まって避難するんだ!それなら他の
突然大きな声が隣から聞こえてきた。振り向くと眼鏡の人が機敏な動きで避難誘導していた。
「眼鏡の人!」
「飯田天哉だ!避難誘導なら心得ている、俺も手伝おう!さっきのポイントの礼だ!」
「あれお詫びのつもりだったんだけどな……まあいいや、ありがとう!僕は緑谷出久!」
ありがたいことに眼鏡の人―――飯田君が手を貸してくれた。的確に避難誘導を行う姿からして、そういう経験があるのだろうか?もしかしたら家族に警察かヒーローがいるのかも。
そうして呼び掛けをしていくうちに周囲も落ち着き仮想
「いったぁ……」
かすかに聞こえた声に反応する。今の声はどこから?急いで辺りを見る。
すると0P
苦しそうな顔を見て思考が加速する。何故あそこに?足に瓦礫が、動けない?怪我をした?いつからいた?暴れた時からか?ずっとあそこに取り残されている?
0P
このままじゃ彼女が危ない―――そう判断した瞬間、一も二もなく走り出した。
「待つんだ緑谷君!危ないぞ!?」
後ろで飯田君が声を張り上げるが気にせず走る。こんなこと茶飯事だし、それより目の前の彼女だ。
わかっている、これは試験だ。試験中に死者が出るなんてまずない。ましてやここは雄英だ。危機管理には細心の注意を払っているだろう。
それでも僕は助けるために走り出す。この世に絶対なんてないのだ。もしかしたら大怪我に発展するかもしれないし事故死する可能性も否定できない。なにより……あんな辛そうな、救けを求める顔を見て、救けない理由がない!
僕は走る。
少し説明になるがこちらに帰ってきてからというもの、あちらでの超常戦闘を僕は行っていない。
音速で攻撃を放つ、ナノ単位の反射神経で攻撃を捌くといった超々人の動きが多々行われ、僕も例に漏れず、あの世界で師匠のしごきや
その条件のひとつは「他者の生命に危機が迫ったとき」つまり今の麗日さんを助けるための状況だ。
頭の中でスイッチを切り替える。その瞬間僕の心持ちは、
「大丈夫麗日さん!?救けに来たよ!」
「えっ……緑谷君!?なんで来たん、あんなおっきいのがおるのに危ないよ!?」
「君の救けを求めている顔を見て動かないヒーローなんていないよ!瓦礫をどかすから待って!」
麗日さんを挟む瓦礫をどかし、かかえて離脱する。横抱きされたのに慌ててるが今は避難優先なんで我慢してください。
飯田君のところまで戻り麗日さんと一緒に出来るだけ離れるよう促すと、迫り来る0P
「
「
その身から血を繰り出し刀を形作りだす。出来上がった一本の血刀を構え0P
まずは動きを止めるべくその脚を切る。どんなに太かろうと関係ない、断つ!
一気に肉薄し一閃。斬ッ!と音が鳴った次の瞬間0P
斗流血法、大蛇薙。相手に瞬時に接近し居合いから斬撃を浴びせる必殺技だ。その威力は凄まじく、神性存在すらバラバラに切り裂くことも出来る。
脚を失い倒れだす0P
仕上げだ。身体をしならせ血刀を勢いよく投擲。小さく風を切り裂き、弾丸のように飛ぶ血刀は0P
ガシャンッ!と機械の身体にぶつかりなお中を突き進む、そうして半ばに埋まる形で刀はめり込んだ。しかしこれでいい。貫通しなかったことに意味がある。
0P
「
そして僕の手に持っているのはジッポライター。
それに火を付けると血糸に引火、導火線の役割を果たし0P
「―――カグツチ―――」
くらえお邪魔ロボット。これが師が、人類の頂点が研鑽の果てに編み出した極致の一つだ。
こっちではお前が初めてくらう相手だ。冥途の土産として持って逝け。
「
直後、ドッゴォオオオオオッ!!!と0P
最後に炎が集束し爆発、大きな爆音が会場内に鳴り響きその巨体を吹き飛ばした。
技を解かれ炎が霧散すると、空から何かが降ってくる。それはもはや原型を留めていないほどグズグズに溶解し黒ずんだ0P
……だったのだがちょっと、いやかなりまずい。吹き飛んだ軌道が悪かったのか戦場とは別方向に落下している。試験会場だから一般市民はいないがそれでも散らばった受験生がいる可能性を考慮すると大変危ない。第一街の破壊行為はヒーロー的に絶対にNGだ。マウント・レディ?彼女のあれは持ちネタだから……なんて余計なこと考えてる場合じゃない!
大急ぎで血糸を吐き出し、降ってくる0P
「あ、これ終わった……」
諦観しそんなことを呟いたその時、突然0P
朝のことを思い出す。麗日さんはモノを浮かせる個性持ちだ。きっとそれで重さを取り払ったのだろう。だけどどうやら許容量があるのか、どんどん顔色が悪くなっていく。
僕は急いで引っ張り、0P
ズウゥゥン……!ガシャン、ドシャッと残骸が重さを取り戻し降ってくるが軌道修正に成功したため無事元の位置に落下した。
だけどそれと同時に麗日さんも降ってくる。
「避難間に合ってない!?危ない!!」
急いで走りギリギリのところで飛び込み、抱きかかえて受け身を取る。な、なんとか救助に間に合った……!
救けて救けられて、かなりドタバタした試験だ……。まだ終わってないから油断も出来ないけど、今は麗日さんだ。顔色も悪いし、個性の副作用か?
「麗日さん大丈夫?顔色がかなり悪いよ?」
「ぅ……は……」
「は……?」
「はきぞ……うぉえぇぇぇ……」
エレレレレレレ―――――――
「」
その言葉と同時に彼女は吐き出した。僕の上で。
……ああそっかー、麗日さんの個性の副作用は吐き気かー。それも多分重度の車酔いのようなものかなー。副作用の重さは数に比例するのか物体に比例するのか、きっと後者だろうなー。許容量は対象によってやっぱり差があるのかな?その辺も気になるなー。
―――なんて死んだ魚の目で分析していく。
ベストとシャツが悲惨なことになったことを嘆くべきか、上着だけで済んだことにほっとするべきか、どちらにしても僕はそっと彼女を降ろし、背中をさする。死んだ魚の目で。
『終―了―――!!』
「…………Oh……」
そうこうしているうちに、試験終了の合図が響いたのだった。
0P
……今回の戦犯はあの0P
逆恨み?自業自得?……わかってます。でもこのやるせない気持ちどこかにぶつけさせてください……。
この小説吐く頻度高くない?
戦闘描写は書いてて楽しいけど動きの表現が難しいです。
【誤字報告】
クオーレっとさん。荒魂マサカドさん。
誤字報告ありがとうございました。