My Hero Battlefront ~血闘師緑谷出久~ 作:もっぴー☆
お待たせしました。日に日に更新頻度が下がってしまってますが頑張って更新です。
今回もかなり難産でした。主に戦闘以外の部分が。
ヒロアカ最新でついに内通者が発覚しましたね。好きなキャラなので割とショックです。
これがこの作品にどう影響を及ぼしていくのか…まあ現状全然影響なかったりしますが。
侵入してきたヒーローを確認した僕は奇襲を仕掛ける。余裕をもって回避されたが特に問題ない。こういう奇襲もあることを教えるための謂わば教材代わりの一撃だ。
その後ノリノリで
「ケッ、またなりきりか。やってもやらんでも変わらんだろうにご苦労なこったな」
「やっぱり
「いきなり素に戻んなや。わざわざ変なマスク被ってまでやるんならやり通せ。つかチンピラ王ってなんだ強ええか弱ええかわからんわ」
「あ、ごめん、やり直すね。んんっ!あーあーあー、えーっと、だが安心するのはまだはええぜ。今のはほんの小手調べ、このマスクド・ブラッド様の容赦ねえ攻めはここから始まる。覚悟しなヒーロー!」
「名前安直だしマスクと一致してねえ、もう少し設定詰めろや」
手厳しいよかっちゃん。
「うう……かっちゃん、せっかく真面目に
「精神攻撃は常套手段だろが」
そうだけどさ。それでも参考になるよう少しは合わせてよかっちゃん。切島君なんて頑張って取り繕ってる僕を見て申し訳なさそうにしてるし。ちゃんと警戒しなよ、ここに角取さんがいたら危ないよ?核の警護についてもらってるからいないけど。
「おいクソ髪、手筈通りこのアホは俺が抑えるからとっとと角ぶっ殺して核奪ってこい」
「あ、ああ。けど本当に一人で大丈夫なのか?」
「共倒れしてえなら混ざれ、嫌ならとっとと行け。てめえもヒーロー目指すんなら優先順位を間違えんな」
「……すまねえ、俺も出来るだけ急いで確保するからそれまで持ちこたえてくれ!」
かっちゃんの指示に従い切島君は急いで上へと向かう。かっちゃんも横から割り込み行く手を阻んでくるけど元々通す気でいたからかまわない。向こうは角取さんに任せよう。
……それよりも僕としては二人のやり取りに驚きを隠せないんだけど。
「テメエの相手は俺だデク……って、んだよその顔は」
「いや、貴様何様
「逆にてめえは口悪くなりすぎだボケッ!!んだその地下ドル時代から追ってるクソナードみてーな感想は!!」
口が悪くなったのは言い訳のしようがない事実なので素直に受け止める。あの街での出来事は心を荒ませるのに充分な経験だったのです。だいたい
というかかっちゃんの口から地下アイドルって言葉が出たことに違和感がすごい。
「だあーっ調子が狂う!いいからとっとと死んでろや!」
「これどっちが
締まらないながらもお互い交戦するべく構えるのだった。
◆◆◆◆◆
締まらない空気の中交戦に入るが、いざ戦いが始まれば両者の気は引き締まる。爆豪にとって緑谷はもはやわずかな油断で負ける強敵で、緑谷も爆豪が類い稀なる戦闘センスで食らいついて来ることを理解しているからだ。
「クソ
「残念だが這いつくばるのはかっちゃ……てめえらヒーローだ!斗流に敗北の二文字はねえ!」
「無理矢理下手くそな演技するくらいならとっととやめて集中しろや!」
「
下手な演技と挑発に爆豪は突撃する。とはいえ爆豪は冷静だ。言動が癪に触ったのは確かだろうがその程度で自分を見失うほど今の彼は単純じゃない。
緑谷へと接近すると爆豪は片手を緑谷に向け爆破する。しかしそれは攻撃のためではなく目眩ましのための爆破だ。
目眩ましと同時にもう片方の手で別方向へ爆破を放つ。これにより急激に緑谷の右手側面へと軌道を変える。本命はここからの奇襲攻撃だ。
(仮にこいつの戦い方が普段通りなら、こだわりか知らねえが絶対に右手で防御しねえ。まずは様子見を兼ねてそこを突く!)
緑谷の左腕は既に正面の爆風から身を守るように向けている。攻撃の右腕は空いているが空中機動を取っている爆豪を捉えるのは簡単でもなく、また爆破による面攻撃を防ぎきるのも難しい。
(さあどうくる、右で受けるか?相殺するか?それともゴミ解体に使ってた刀でも作るか?なんでもこいや、まとめてぶっ殺してやる!!)
BOOOOOM!!
手合わせで見せた事のない、個性による機動をもって緑谷を襲った。
―――ゴオォォォンンッ!
「!!」
だがその一撃は固く鈍いなにかにぶつかる衝撃と共に防がせた。
防がれたと察した爆豪はすぐさま距離を取る。
「さすがかっちゃん。判明している手の内から的確にやらしいところを突いてくる」
「チッ、それでも防がれちゃ意味ねえだろが」
仮にこれがいつもの手合わせだったなら、緑谷も綺麗な一発をもらっていただろう。しかしこれは個性ありの実践訓練だ。お互い
「
「
煙が晴れ視界に緑谷が現れる。その手には兄弟子がその身を、仲間を守る盾として使うこともある大剣が収められており、爆豪の放った一撃を防いでみせた。
「一撃で終わりにはならなくて残念無念また次回ってな!」
「ちっ、本当になんでも作りやがる。おまけに形成速度も速いときた。だがこの狭い通路じゃあそうそう使えるもんじゃねえぞ?」
「もちろん。こういう狭い道でこんなだんびらを使う気はねえ、よ!!」
会話の終わりと同時に大剣を投げ飛ばした。投擲された大剣はその首を刈り取ろうとするべく爆豪へと向かう。
普通に考えて訓練でこれはやりすぎだが、緑谷は爆豪なら避けるどころかその上を行くとある種の信頼をしている。そしてそれは的中した。
爆豪は飛んでくる大剣を避けるのでなくむしろ向かって走り出し、低姿勢からの爆破で地を這うように進んできたのだ。そしてすぐさま肉薄、緑谷に爆破をお見舞いする。
「やる気のねえ攻撃してんじゃねえぞッ!!」
掬い上げるような一撃が放たれる。しかし緑谷もただじっと受けるつもりはない。投擲のモーションからそのまま身体を捻り躱した。
後からくる爆破は躱すことは出来ず、爆破の衝撃で軽く吹っ飛ぶが大して効いてる様子はない。あちち、と爆破を受けた箇所を叩く程度で、むしろ爆風を利用して距離を取られたぶん面白くない。
爆豪はもう一度肉薄し容赦ない蹴りを放つが、ガキンと先ほどと似た衝撃に受け止められた。
「
「
見れば緑谷の手には深紅の三叉槍が握られていた。初めて見る武器を警戒し、再び距離を取る。
「今度は槍か。初めてみるが、通路じゃ長もんは振り回せねえぞ」
「槍は突くのが本業だぜヒーロー。こんなふうに!」
今度はこちらの番だと言わんばかりに緑谷が構えた槍で突きを放った。その突きは早いがさすがの爆豪というべきか紙一重で避ける。
しかし一撃で終わらない。槍を扱くように引いては押し出し無数の突きが襲い掛かる。爆豪はそれらを躱し捌いていくが、止まらぬ突きの連撃に徐々に軽口を叩く余裕がなくなりだした。
(リーチ差もそうだがこっちの動きを読んで攻めてきやがるから近づくことも出来ねえ、警戒して下がったのが裏目に出やがったか……!どうする、ここで手札を切るか?いや中途半端に使っても無駄になるだけか。クソ髪と角女がどうなってんかわからねえしまだ抑える?もしくはせめて近づくために手榴弾は使うか?……だぁーっ槍がうぜえ考えさせろやクソがッ!)
『わりい爆豪、いけるか!』
正解を掴むべく必死で思考を回転させているその時だった。先に向かわせた切島から通信が入ったのだ。
「んだコラこっちは手が離せねえんだとっとと言えクソ髪!!」
槍の射程外へと下がる。いつ動いてもいけるように警戒をするが、こちらが通信を始めると緑谷は手を止めた。何故だ?と考えるがそれよりも早く厄介な情報が耳に入る。
『核を見つけたんだが俺じゃ取れねえ作戦とってきやがった!このままじゃ負けちまう、お前の知恵を貸してくれねえか!』
「……んだとコラ。おい、今度はどんな手使ってきやがったデク」
奪取不可の報告に爆豪は顔をしかめる。それを見た緑谷が悪戯が成功したような笑みを浮かべるのだった。
◆◆◆◆◆
時間は少し前に遡る。緑谷と爆豪が戦闘に入った頃、切島はひたすらに核を探し続けていた。
(爆豪もすげえ強ええけど相手は同じ首席の緑谷。聞いた感じ簡単にはやられないにしても楽に勝てる相手じゃない。ならあいつに確保を託された以上一秒でも早く見つけねえと!)
人を悪し様に言う自己中心的で粗暴な男子。その印象を拭い去ることは出来ないが、それでも爆豪はヒーローとして切島を信じて送り出した。その信用に応えるためにもひたすら探し回る。
三階四階は見つからず、遂に五階にたどり着いた切島はその光景に驚いた。
「なんだこれ?」
五階へたどり着いた切島が見た光景。それは階層一帯が瓦礫の山になった光景だった。
周囲を見回して目につくのは外壁と倒壊しないように残している柱と補強らしい血糸くらいで内壁や天井が軒並み破壊されていた。これには切島も呆気に取られるしか出来なかった。
なんでここまでやってんだ?そう考えながらも核を探すべく足は止めない。瓦礫の山を踏み歩きあちらこちらと見て回る。少なくとも五階から下に核らしきものはなかった、ならばこの階にあるはずだ。
残り時間はまだまだあるが、だからといって爆豪に余裕があるわけではない。徐々に焦り始め、頭を捻るべく上を見上げた時だった。
「!あった!!」
上を見上げたら、なんと核を見つけた。ビル内でもっとも高い天井に
なるほど、だから吹き抜けのあるこのビルを選んだのかと納得する。確かにこれじゃああそこまで行くのが大変だ。柱や壁を硬化で固めた手で無理やりよじ登るかしないといけない。
そしてそちらに気をやったその時、ヒュンッと音がし何かがこちらに飛来してきた。
「うぉっと危ねえ!」
ガキンッと甲高い音が鳴り響く。切島に向かってきたそれは確かに命中したが、間一髪彼の個性が間に合い攻撃を防いだ。
「また奇襲かよ!宍田といい緑谷といいみんな好きすぎだろ!?男らしく正々堂々やれよ!」
「失礼ですヨ切島くん、私はレディです!そレに今は
ふとそんな声が響き渡る。そうだった、角取さんは女だ。勢いで言ったとはいえ忘れてしまっていたのは悪かったと思う。しかし謝るのは後だ、どこに隠れているんだと見回すが見当たらない。もしや上か?そう思い天井の方に目を向けると、影から一人の少女が角に乗りフヨフヨと浮きながら現れた。誰かと言えば勿論角取だ。緑谷が作っただろう即席の赤黒アイマスクを着けて頑張って
「ウェウカムですヒーロー!私の名はぁ……ブラッドホーン!この核に近ヅくことは許さないデスヨ!」
「角取さんもノリいいな!?もしかしてアメリカ人ってこんなんばっかなのか?」
切島がそうツッコむがそんなことはありません。この二人が楽しんでるだけです。
「どうやら爆豪クンは緑谷クンがしっかり抑えてくれてるようデスネ!これなら切島クンの相手はイージーデス!」
「おっと角取さん、悪いが「今はブラッドホーンデス」お、おう。悪いが俺を甘く見てもらっちゃあ困るぜ。さっきの個性の防御を見ただろ?あんな攻撃じゃ何本来ようが防ぎきってやるぜ!」
「いいでしょー!それならこの手で、えーと……そう、ギッタンギタンのケッチョンケチョン!にしてやりマス!」
悪そうな、でも妙に可愛らしい台詞を言い終わると角取は頭の角を射出、二本の角が正面切って切島へと向かっていく。
ちなみにこの台詞、緑谷に
「来るってわかってりゃ問題ねえ!」
飛んでくる二本の角。しかし正面戦闘は切島の得意分野だ。硬化した拳を振るい飛んできた角を割れ物のように砕いた。角取もあっさり砕かれたことに驚く。
しかしすぐさま角を再装填して発射、切島も負けじと拳を振り上げ振り抜き壊していき膠着状態になる。
そんなやり取りを何度かしたところだ。角取が再び二本の角を射出した。
「なかなかぁやりマス!でもこレならどうデスカ!」
「へっまた正面からか、なら俺のが強いぞ角取―――ってうおっ!?」
焼き回しのような攻撃に同様の攻撃を行い壊していく。しかしここで攻撃は終わらない。壊した角の後ろからもう一本角が現れたのだ。二本の角に隠れるように放たれたそれは、切島の視覚情報を誤認させ破壊から免れ、切島に命中する。
しかし咄嗟に硬化に成功し、なんとか防ぐのに間に合った。ギリギリだったため冷や汗ものである。
「あっぶねえー!まさか隠してきやがるなんてな。二本しか飛ばしてこねえから思い込まされてたぜ!やるな角取!」
「むむむ……あれのガード間に合うなんてとても悔しいデス。それとブラッドホーンって呼んでください。リピートアフタミー!」
「あ、すまねええーと、ブラッドホーン?だけどどうすんだ、そんなんじゃあ俺を倒すことなんて出来ねえぜ?降りてきて全力でやったほうがいいんじゃねえか?」
「残念ですがその手には乗りまセーン。今のままでノープロブレム、私の役割は切島クンの足止め。そう!正々堂々戦わずしてぇタイムアップ勝ちを狙わせてもらうのデスから!」
「うっ、ちくしょうやっぱ乗ってくれねえか……!」
切島は挑発を試みたが聞き入れられることはなかった。
そう、角取の攻撃が効かないため切島有利に思えるが状況は角取有利だ。なにせ遠距離攻撃手段のない切島は上で浮いている角取に攻撃を加えれず時間だけが過ぎていく。そして向こうにタイムアップ勝ちがある以上時間は
「よし、こうなりゃ無視だ無視!全力で登らせてもらうぞ角取!」
ブラッドホーンデス!と抗議する角取を無視し切島は身体を思いきり硬化させる。ほぼなにもない空間だがそれでも外壁は残っており、そこに硬化した指を無理矢理めり込ませ登り出す。もちろん角取も黙ってみている訳なく角を射出して攻撃する。攻撃を受けるたびガキン、ガキンと音を鳴らしダメージを与えていく。
「っ!へへっ問題ねえ、このままそっちまで取りに行かせてもらうぜ!」
しかしそれらを無視し切島は一気呵成に登る。多少の痛みやダメージはあるが十分耐えれる範囲だ、このくらいでへこたれるような切島ではない。
「私の攻撃ヲ無視してクライミング、なるほど緑谷クンのケンカイは正解デース。そしてそれガ当たったなら……こうデス!」
次の攻撃が来た。彼女の言葉はまるで見透かしていたような物言いだったが今は防御だと、すぐさま硬度をあげる。
「無駄だぜ!そんなんじゃ俺を止めうぉぶふっ!?」
しかしその攻撃は切島に有効打となった。理由は単純で、急所を狙ったのだ。
一本目の角は目を狙った。咄嗟に眼をつぶったが、驚き怯んだせいで硬化が和らぎ、そしてそこへ二本目の角が顎に直撃。平衡感覚を一時的に失い、そのまま壁から手を離してしまい地面まで落下した。瓦礫の山に背中から落ちてかなり痛そうだ。
「あっ!大丈夫デスか切島クン!」
「うぐっ……!あ、ああ、背中がちょっと痛えが大丈夫だ。でも頭がクラクラしやがるな。これも緑谷の作戦か?」
「イ、イエス!相手の急所をタクサン狙っテ動きを封じる作戦デス!顎を狙ったのでくらくらスルだけじゃなく足に力入らなくなってルと思いマスから、しばらくそこで大人しくシットしててクダさい!」
「げっ……マジだ足に踏ん張りがきかねえ……!」
さすがに落下したのが心配になり角取も素に戻った。幸い軽傷で頭を振りながらも身体を起こし無事を伝えてくれ安堵する。訓練とはいえ大きな怪我をさせるつもりはないためダメージが少ないに越したことはない。
しかし切島は立ち上がろうとしたがうまく立てずにいる。なにかしたのか問いただすとどうやらこれも作戦で、急所である顎を狙って打ち込んだことにより脳を揺さぶり一時的に平衡感覚を麻痺させたようだ。
切島は内心焦る。反撃しづらいところに急所を狙ってくるのも厄介だが、相手が正々堂々どころかまともに戦ってくれないとなると個性も活かしづらい。おまけに回復するのに時間を取られてしまっている。諦める気は毛頭にないがこのままじゃあ本当にタイムアップまで何もできず終わりだ。
どうすればいい?何か方法は?そう必死で考える。
「むー……もう切島クン、悩むノはいいですが一人で解決しようとしてはいけまセン!あなたのチームに爆豪くんガいるんデスからそっちを頼っテみてください!」
「はっ?いや、まあ確かに一理あるけどよ?でも俺は爆豪に託されてここに……」
「でもそれデ負けたら意味ないです!チームなんですから力も知識も頼りましょう!アレです、えーと……そう、三下寄ればモーセの知恵?とイうやつです!」
……もしかして三人寄らば文殊の知恵のことか?それにしても二人しかいねーが。
そんなツッコミをするが、だがまあ悪いことじゃないとも考える切島。このままじゃ詰みである以上仲間から知恵を借りるのもひとつの手だ。爆豪は開始前からアレコレ考えていた。少なくとも俺よりいい作戦が思い付くかもしれない。
「そうだな、爆豪の期待を裏切ることになっちまうが勝つためなら俺のプライドなんて安いもんか。ありがとよ角取!でもよ、
「緑谷クンが言ってまシタ。切島クンに狙い定メたタクティクスだけど、一方的になるぅなら、アドバイスとかしてもイイよって。オールマイトにもリョーショーを取ってるらしいデス!」
「訓練の外でやりたい放題だな緑谷の奴」
あいつ実はここの教師で生徒として紛れ込んでるんじゃないのか?ヒーロー活動経験者だし、エキシビションに消極的だったし。自由な校風のせいで否定しきれないのもまた拍車にかける。
そんな疑問が思考の片隅で浮かぶが今は訓練だ。切島は角取に警戒しつつ、爆豪に通信を繋ぐのだった。
◆◆◆◆◆
一方モニタールームでは、四人の戦いを生徒たちは熱心に見ていた。当初は緑谷と爆豪の戦いが始まるや高速戦闘に興奮し、揃って釘付けになっていたが、今は切島と角取の戦いを見て頭を悩ます者が出ている。
「うわー、
「似た個性の柳氏と、麗日氏の無重力は使い方次第でありますな。後は誰がおりますかな?」
「俺の
「私でしたら……一度後退してからジェットパックあたりを作りまして突入でしょうか。複雑なものを作るとなりますと少々時間がかかってしまいますので、間に合うかわかりませんが」
「ジェットパック作れるのか……」
生徒たちが上階組の戦いに俺なら私ならと打開手段を捻り出していく。首席組の戦いに目が行きがちになるかと思いきや、半々に分かれる形になりオールマイトとしても嬉しい誤算だ。
もちろん首席組の戦いを見ている生徒も盛り上がりを見せている。派手な爆発と瞬時に作られる血の武器による攻防は血気盛んな生徒達に好評だ。
しかしそれ以上に切島への核の奪取妨害作戦の厄介さが皆にとって危機感を抱かせる。勝利条件のひとつである
まず角取のいる場所は核の所在と同じ最上階の天井付近だ。角に乗って浮いてるだけじゃなく落ちないように緑谷の
おまけに地形も角取の味方だ。上の階の床を破壊しつくしたことにより瓦礫だらけの足元は不安定でしっかり踏ん張れるとは言い難く、時折足を取られてしまう。
こうしてまともに手も出せずいいようにあしらわれ続ければ、
なかなかにいやらしい作戦にオールマイトも感心する。作戦ポイントなんてあれば、いやエキシビションでさえなければ成績に色を入れるのも吝かではなかっただろう。
「ちょっとやりすぎなのは否めないけどね!」
まあ一層丸々壊すのはやはりやりすぎではある。一年の、それも初めての実践訓練でここまでやられたらカリキュラムが進むにつれ彼の手口はどんどん難易度が上がっていくだろう。相手する生徒は大変だ。だいたい爆豪もセットだろうけど。
だが緑谷の実体験を元にした
「みんな、ムッシュ爆豪が☆」
首席組の戦いを見ていた青山が生徒に注目を施す。彼の指すモニターを見るとそこには
兄弟子のルビを毎回変えて悪し様に扱うの楽しいけど、そろそろダブらないか心配になってきました。
【誤字報告】
zzzzさん。
誤字報告ありがとうございます。