My Hero Battlefront ~血闘師緑谷出久~   作:もっぴー☆

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やってるFPSゲームがヒロアカとコラボしたので第三十九話です。

お待たせしましたトガちゃん回続きです。今回で終わらせる予定だったのに気付けば文字数が15000字以上になってるうえ終わる気配ががが。
見切り発車故着地点が安定しないのが厄介です。二人の口調も安定しなくて厄介です。前回に続き喋らせるの本当難しいですこの二人。


第39話:違わないけど違うんです

 「ようやく落ち着いてきたわね~。いけそ~?」

 

 「はい、多分大丈夫です……。ずっと抱きしめてくれてありがとうアリギュラちゃん」

 

 あれからしばらくの間泣いて、少し泣き疲れてきたのもあってようやく落ち着きを取り戻しました。ど~いたしまして~と言って離れたアリギュラちゃんの胸元は長い事泣いちゃったせいもあって私の涙でびしょびしょになってます。悪い事しちゃいました。

 

 「カァいい服を汚しちゃいました。ごめんなさい」

 

 「謝らなくていいわよ~、辛いのはヒミコちゃんの方なんだし~。それに無垢な処女の涙って~ちょっとした素材になるから~、後で繊維から抽出して~蒸留して~固形化しちゃえば逆に儲けよ~」

 

 「私の涙でなにをする気ですか」

 

 じゅつしき?というのがよくわかりませんが言葉の疚しさマックスです。ジト目を向けたらジョ~ダンよ~とどこ吹く風と流されました。

 ……真偽はともかく、今はこういうふざけた会話をしている方が気持ちが楽になるので助かります。

 

 「ん~~~……さ~て、ヒミコちゃんも落ち着いたことだし~、恋バナって雰囲気でも~遊ぶって気分でもないわね~。どうする~帰る~?」

 

 身体を起こして軽く伸ばしたアリギュラちゃんからこれからどうするか聞かれました。

 ……そうですね。斉藤君への告白も終わりました。アリギュラちゃんの言う通り恋バナなんてやったら死体蹴りだし、やる気が出ない以上今日のところはこれでお開きにしてお家に帰りましょ―――

 

 

 ―――ごめんなさい渡我さん!―――

 

 

 「……ッ」

 

 「?どしたのヒミコちゃん~?」

 

 「あ、ううん、なんでも……」

 

 ないですって返そうとアリギュラちゃんからまた本音を吐けって視線を感じました。お見通しのようです……。

 

 「……はい、なんでもあります。その、今はちょっと、帰りたくありません……」

 

 「はい、ちゃんと言えました~。それにしてもな~に、お家に帰るの嫌~?あ、わかったわ親ね~。わかるわ~こ~んな可愛い子に~、アホなことしてるんだもん~。

 アタシだったら~コネコネして~ビン詰めにして~……あ、いい事思いついちゃった~。あんたの親を拘束して~脳に針刺して~微弱な電流送りつつ~トガちゃん用洗脳教材を流して~ゴリッゴリに~洗脳しちゃえばいいんじゃ~「却下です」

 

 物騒すぎます。廃人まっしぐらなのでやめてください。パパとママとはちゃんと話し合いますから。

 ……それに、お家にじゃなくて……今はあの街に帰りたくないのです。

 斉藤くんは悪気があって振ったわけじゃないし、むしろ真剣に謝ってもくれました。ちゃんと納得はしてます。だけど心はまだショックを受けてて……今帰ったら……またどこかで泣きだしそうなんです。

 

 「あれだけ泣いて吐き出したのに~ま~だ引きずってるの~?」

 

 仕方ないと思います。初恋の人との失恋から簡単に立ち直れるほど私は強くありません。それだけ本気だったんです。アリギュラちゃんだってブローディーさんに嫌われたり失恋したらとっても引きずると思います。

 おまけに斉藤君とは住んでる地域が一緒です。避けるにしても限界があります。偶然出会った時彼女さんもいたら、きっと私はまた泣きそうになります……。ハッキリ言って今だけは逃げてしまいたいです。

 

 「あ~も~そんな捨てられた犬みたいな顔しないの~。

 …………はぁ~、仕方ないわね~。ヒミコちゃん~。提案なんだけど~、いっそのことうち来る~?」

 

 「うち、ですか?」

 

 「そ~。あの男子のことで引きずってて~それでどこかで会うのが~怖いんでしょ~?だったらいっそのこと~会うことのないところまで離れて~ゆっくりしたらど~?」

 

 「それは……あれですか?傷心旅行みたいなのでしょうか?」

 

 「さぁ~ね~。すぐ吹っ切れたら傷心旅行で~、引きずったら家出くらいの気持ちでいいでしょ~。なんにしても~、こっち来れば~知り合いと関わることなんてないし~な~んも考えずやってけるんじゃないの~?

 ち~な~み~に~~~……今アタシの住んでるところは~紐育(ニュ~ヨ~ク)だから~刺激には困らないわよ~?」

 

 「ニューヨークですか!?」

 

 アリリンの口からすごい言葉が出てきました。私の記憶が正しければニューヨークはアメリカ合衆国にあるアメリカ最大の都市です。ヒーローの本場です。私のいつか行ってみたいなと思ってた場所のひとつです。それが突然叶うことになりました。棚からぼた餅です!これはもう楽しみで仕方ありません!有無を言わさずレッツゴーです!

 

 「切り替え早ッ。……ま~ヒミコちゃんが楽しそうならいいけど~」

 

 ……ごめんなさい。勢いよく喜んでますがほとんど現実逃避です。だって斉藤君のことを考えると悲しくなってくるから。

 パパとママも私が突然いなくなったら卒倒するかもしれないのに、それでも私はアリギュラちゃんの提案に賛成しました。とっても申し訳なくなってくるから無理矢理テンションをあげて誤魔化してます。でもアリギュラちゃんにはバレてそうです。暖かい視線を感じるから。

 

 「で、でもどうやってニューヨークまで行くんです?私パスポートも持ってないし飛行機の便も取り方も知りません」

 

 「そのあたりはモ~マンタイ~。出入り口の扉の座標をちょちょいと弄れば~あ~っという間に紐育(ニュ~ヨ~ク)に到着よ~」

 

 「本当にどこ〇もドアみたいです」

 

 すごいですアリギュラちゃん。ここからニューヨークなんて飛行機で何時間も飛んでいくような場所なのに、コンビニに行く感覚で日本と行き来してます。どういう原理なのかわかりませんがすごい個性……個性なんだよね?現代技術でこんなすごいもの作れるなんて聞いたことないですし。拡張空間っていうのもその個性の応用だよね?考えれば考えるほどアリギュラちゃんの個性がなんなのか気になってきます。

 

 ……同時に素朴な疑問も湧き出ます。

 

 「アリギュラちゃん、聞きたいんですけど……どうしてアリギュラちゃんは私にここまでしてくれるんですか?今日会ったばかりの、それも数時間話しただけの私に」

 

 「はぁ?何言ってんのよヒミコちゃん~?凹んじゃってる友達に~少しくらい手貸してあげるのも吝かじゃないでしょ~?」

 

 「え?私……アリギュラちゃんと友達ですか?」

 

 「あ、もしかして知らない系~?い~いヒミコちゃん~。一緒に恋バナをキメた子ってのはね~、その時点でもはや友達も同然のよぉ~。フレンド、ダチ公、オ~ケ~?

 

 驚きの新事実です。まさか私の知らぬ間にアリギュラちゃんに友達認定されていたようです。これには目を見開いて疑ってしまいます。

 

 「う、嘘じゃないんですよね?」

 

 「ちょっと~?あ~んなバッチバチに意気投合したっていうのに~、なぁ~にふざけたこと言ってんのよ~。アタシなんて~マブダチぐらいの目で見てるのよ~?傷つくんだけど~~~。怒ってもいいかしら~?」

 

 疑っちゃったことにアリギュラちゃんが手を広げて威嚇してきます。レッサーパンダみたいで可愛いですが言ったら怒りそうなので黙っておきます。

 

 ……でもそっか、本当に私にマブダチが出来たんだ。仮面をかぶったカァいくない私じゃなくて、本当のカァいい私のマブダチが。

 理解した私は自然と笑みがこぼれました。仮面の笑顔でもなく、アリギュラちゃん好みの笑顔でもなく、本当に自然に出た、私のまた別の一面の笑顔です。

 

 「えへへ……なんだか夢のようです。今日だけで一生分の運を使いきったって言われても納得できるような贅沢な一日です」

 

 「い~じゃん贅沢。どんな存在でも生きてくなら~潤いがないと味気ないわ~。

 特に()()()()()はず~っと我慢してたんだし~も~っとワガママになりなさい~。なんだったら~今ここで一個くらいワガママ聞いてあげるわよ~?」

 

 「そうですね。アリギュラちゃんの言う通り、私ももっとワガママになって……ってえ?今ヒーちゃんって言いました?」

 

 「なぁに~?マブダチなんだし愛称で呼んでもおかしくないでしょ~?気に入らない~?」

 

 「え……う、ううん!そんなこと全然ないよ!とってもカァいくて素敵です()()()()()

 

 「おそろしく速い愛称返し……アタシじゃなきゃ見逃しちゃうわね~。アリリン、アリリン……ま~及第点ってところかしら~?ほらそれはともかくどうなの~、なにかワガママ考え付いた~?」

 

 (あ、照れてます)

 

 素っ気なそうに見えてちょっとニヤついてるのが見えます。カァいいですアリリン。

 でも気持ちはすごくわかります。私もヒーちゃんってニックネームを付けられました。とっても特別な感じがします。中学の友達から名前で呼ばれたことはあるけどニックネームはなかったから余計心がウキウキです。

 もう少し余韻に浸かりたいところですがアリリンからワガママはないか催促されました。ハリ~ハリ~とノリノリで手拍子までしてます。今ならなんでも聞いてくれそうな勢いですが、いきなり言われてパっと思いつくかと言われたらノーです。少し考えさせてください。うーんうーん、なにがあるかな……。

 

 プリクラ……は街まで行かないといけないので除外です。……あ、Li〇e交換がありました!…………と思ったら登録済みでした。ならこれも除外です。……あれ、私アリリンと交換したっけ?

 ……まあいいや、それよりもまだかまだかと待ってるアリリンのために今はワガママを考えましょう!今すぐ出来てアリリンに出来そうなワガママ……出来ればなかなかやれないのを―――

 

 「あっ」

 

 ありました。ずっと出来なかった、アリリンなら許してくれそうなワガママが。

 

 「あの、アリリン。ひとつ思いついたんだけどいいかな?」

 

 「や~っと浮かんだのね~。それじゃあ言ってみなさ~い。あ、言い忘れてたけど~彼氏頂戴は無理だからね~。もしそうだったら変更よろしく~。じゃないとヒ~ちゃんを~ミンチにしちゃうかも~」

 

 「大丈夫です、すっごい羨ましいけど取ろうなんて思ってません。

 えっと、あのねアリリン…………を、ちう………」

 

 「なんて~?聞こえないわよ~」

 

 「ア、アリリンの血をちうちうさせてほしいんです!」

 

 「おぉ、踏み込んできたわね~」

 

 今までずっと嫌われたくなくて出来なかった、私の好きの表し方。まだちょっとだけ不安はありますが、アリリンなら啜らせてくれるって、不思議な信頼感があります。だから勇気を出してお願いしてみます。

 

 「い、いいですか?」

 

 「ん~~~…………ま、いいわよ~。

 ただ~ヒ~ちゃんが大丈夫なのかが心配なのよね~。私ってば~、結構身体弄ってるから~血も変質してるだろうし~、自分で言うのもなんだけど~オススメしないわよ~?」

 

 少し悩んだと思えばあっさりOKをくれました。ただし警告付きです。聞けばアリリンは人体に精通していて、あちこち弄くってるとのことです。それってつまり、アリリンは改造人間だったってこと!?まだまだ"普通"じゃない素敵な新情報が出てきます!

 もう少し詳しく聞きたい……けれど今は置いておきます。それよりもアリリンの血です。嫌がりも怖がられもしないで血をちうちうさせてくれる事なんてもちろん初めてで喜びでいっぱいです。心配してくれてますが問題なしです。だってアリリンの血ですから!

 マブダチの……ちうちうする私に気遣いをしてくれる素敵な親友の血です。変質してても悪いことは絶対起きません。絶対です。

 

 「そういうもんなのかしらね~。でもま~嬉しいこと言ってくれるじゃない~。

 よ~っしゃ~、そこまで言ってくれるんだったら~出血サ~ビスよ~!ギリギリまで許可してあげるから~ガッツリ吸っちゃいなさい~!」

 

 「はい!ガッツリ吸います!」

 

 アリリンはどんとこいと言わんばかりに腕を突き出してきます。言ってることもやってることもカッコいいです。所謂イケ女ンです。まさに女は度胸を体現してます。ここまでしてくれたならこちらも吸わねば無作法というもの。いただきます!

 アーンと口を開け、カプリとアリリンの腕に牙を突き立てます。プツリと皮膚を突き破る感触が牙を通して伝わり、同時に血が私の口のなかに広がりだしました。

 

 「!!」

 

 アリリンの血は不思議な味がしました。鼻孔をくすぐる香りは嗅ぎなれないフワっとした、芳醇っていうのかな?そんな香りがしまして……、飲むとちょっと渋くって酸っぱくもあるんですけどなんだか味わい深く……、子供舌には飲み慣れない味ですが、それでもスルリと喉を通っていきます。

 そしてちうちうと吸えば吸うほど身体がポカポカしてきて、もう一口、もう一口とついつい飲んでしまいます。するとドンドン頭がボーッとしてきて、次第に視界が回りだしてきました。

 

 「おおう、ぐいぐいいくわね~。これあらかじめ輸血の準備しといたほうが~いいかも~。

 ……っていうかヒ~ちゃん、なんか目ぇ据わってない~?顔も赤いし、どしたの~?」

 

 「プハァッ。……ふへっ。えっとね、なんでしょう……。アリリンの血ってすっぱ苦いんですがとっても癖になる味で……飲んでいくと頭がポワポワして……おめめもぐるぐるしだして……身体がフワフワしちゃってます……♪」

 

 えへへ~と今度はだらしない笑みをアリリンに向けてフラフラしだします。世界も一緒に回るようなおかしな感覚に襲われて、足元がおぼつかなくなって、瞼もどんどん重くなって、目の前が暗くなっていき、

 

 「…………もしかしてヒ~ちゃんにとってアタシの血ってワインかなにか?ま~じで血界の眷属(ブラッド・ブリード)みたいな子ね~面白すぎでしょ~。……一瞬解剖(バラ)して調べてみたくなったわ~」

 

 物騒なアリリンの呟きを耳に私はひっくり返ってしまいました。ばたんきゅ。

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 「ん……知らない天井です」

 

 起きて最初に映ったのは知らない天井でした。豪華なシャンデリアが吊るされていて、さっきまでいた部屋を思い浮かべますが色合いが違います。

 身体を起こして辺りを見渡せば、アリリンと恋バナをした部屋とは違う、おっきな部屋が出迎えてくれました。天井は高く、壁の一面はガラス張りになっていて、寝かされていたソファも変わらずフカフカです。

 そして窓の向こうを見れば暗くなってます。私どれだけ寝てたんでしょうか?というよりなんで寝てたんだろ?

 

 「あ~、や~っと起きたわね~」

 

 寝起きの頭でうんうん考えていると、声をかけられました。身体を向けるとそこにはタブレットを弄りながらお部屋に入ってきたアリリンがいます。お風呂でも入ったのでしょうかバスローブ姿です。色っぽいカァいさがちょっぴりセクシーです。

 

 「おはようアリリン。えっと、私アリリンの血をちうちうしてたはずだよね。どうして寝てたんだろ?」

 

 「ヒ~ちゃんがアタシの血飲んだら~ひっくり返っちゃったのよ~。はた目から見たら~お酒に酔っぱらって倒れたようにしか見えなかったわよ~。一応身体は診たけど~異常は特にな~し。安心なさ~い」

 

 今日何度目かわからない驚きの新事実です。アリリンの血はお酒さんでした。まさかアリリンの血にそんな仕様があったなんて。たしかに飲むのはオススメしないです。なにせ私は未成年。お酒は二十歳になってからです!

 

 「いやアタシの血お酒じゃないからね~。……でもヒ~ちゃんはアタシの血の飲む量考えないとね~。だって日付変わるくらい寝たのよ~。アタシの血をお酒と同じ扱いするなら~ヒ~ちゃんお酒弱いかもよ~?」

 

 「え?日付が変わったのです?」

 

 「そうよ~。あれから揺すっても~叩いても~振り回しても~幸せそぉ~~に寝てるもんだから~、も~諦めてそのままこっちに連れ帰ってきたのよ~。まさか日を跨いで寝てるとは思わなかったわ~」

 

 「振り回すって何をしたんです?」

 

 「ジャイアントスイング」

 

 「意外とパワフルです」

 

 ちょっと見てみたい起こし方ですがひとまず置いておいて、アリリンの話だと私は夜中まで寝ていたようです。どうりで寝起きスッキリしてるわけです。それだけ寝ましたら外が真っ暗なのも納得出来ます。深夜なのですから。

 

 「……あれ?深夜にしてはお外結構明るくないですか?本当に深夜です?」

 

 「そりゃ~紐育(ニュ~ヨ~ク)も眠らない街のひとつよ~。深夜だろうと割と明るいに決まってるじゃな~い」

 

 「え?」

 

 アリリンの口から今私はニューヨークにいることを告げられました。そういえば連れ帰ったって言ってました。

 プリンの良し悪しは食べてから(論より証拠)~とお外に指を指すアリリンに促されて向かいます。そしたらびっくり、20人くらいでパーティーでも出来るようなおっきなテラスがお出迎えしてくれます。見ればここはあれです、所謂タワマンのペントハウスというヤツです。なんだか自分もすっごいお金持ちになった気分になります。ですがまずはお外の景色です。アリリンの言うことが本当ならと、手すりまで近付きます。

 

 「わぁ……!」

 

 テラスから一望した景色は圧巻の一言でした。

 星の光がひとつも見えないほど宝石のように煌めく街。右にも左にも並び立っている高層ビル。ぐるりと見渡せば私でも知っている、観光名所である展望台(エンパイアステートビル)、島を繋ぐ巨大な橋(ブルックリン橋)、街の真ん中に生い茂る緑豊かな公園(セントラルパーク)、そして世界の交差点と言われる世界一有名な繁華街(タイムズスクエア)などが目に映ります。

 間違いありません。雑誌やテレビに載っている、世界の中心地といえる大都市、ニューヨークが目の前にありました。

 

 「ほ~んとアタシの求める反応をしてくれるわね~。ど~、初めてのニュ~ヨ~クは~?」

 

 「すごいですアリリン!こんなすごい景色生まれて初めてです!」

 

 目をキラキラと光らせて見惚れてる私の反応にアリリンもご満悦の表情です。

 仕方ありません。私の住んでいたところは別に田舎じゃなかったです。なんでしたら電車で少し揺られれば都市部までいけました。だけどニューヨークはそれ以上に輝いています。この景色に心躍らない人はいません。

 

 さっきはグルリと見回しましたが今度はじっくり見ていきます。あちこち目につくおっきな看板を見て日本にはないアメリカらしいデザインに心が刺激されます。タイムズスクエアなんて看板だらけで建物があまり見えなかったりします!

 

 「……あれ?」

 

 同時に違和感を感じました。最初は気のせいかなと思いましたが目を凝らして街並みを見ているとどんどん違和感が強くなります。途中アリリンが気を利かせて双眼鏡を貸してくれたのでさらに細かく確認していきます。

 そうして気付きました。そう、本来いるべきヒーローのみなさんが見当たらないのです。いえ、ヒーローだけじゃありません。

 

 「あの、アリリン。気付いたんですけどヒーローもヒーローの看板……どころか(ヴィラン)っぽい人も異形個性の人も見かけません。え、ここって本当にニューヨークなんですか?……私の知ってるそれとなにかが違うような気がするんだけど……?」

 

 「そりゃあ当然でしょ~。だってここヒ~ちゃんの世界とは違う紐育(ニューヨーク)だし~」

 

 「え?」

 

 え?今とんでもないこと言いませんでした?世界が違うってどういうことです?

 

 「あれ?言ってなかったけ~?アタシが~そっちの世界と違う世界、所謂異世界の住人だって~?」

 

 

 ………………初耳だよアリリン!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「なんでそんな面白いのを秘密にしてたんですか!ずるいです!」

 

 「本当アタシ好みの性格してるわアンタ」

 

 えへへ、それほどでも。

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 こうして始まった異世界紐育(ニューヨーク)生活ですが色々ありました。

 最初の方はこれからどうするか悩みました。なにせ着の身着のまま紐育(ニューヨーク)にやってきたのです。衣食住がない以上最悪ホームレスさんでしたがそこでアリリンがストップ。提案したのは私だしちゃんと手貸すわと支援してくれました。マブダチなんだから少しは頼りなさいって言われた時はとても嬉しかったです。

 

 「住居はこの下の階の~……もう面倒だし一個下の階全部好きに使っちゃっていいわよ~。ここアタシの所有物だし~だ~れも文句は言わないわ~。生活費は~……まあこれだけあれば余裕でしょ~」アタッシュケースドーン

 

 「却下です」ヘンキャクー

 

 お金の詰まったアタッシュケースが二つ積まれましたが速攻で受け取り拒否です。アリリンは別に遠慮しなくていいのにって言ってますがやりすぎです。私お金使い荒いのでこんなのもらったら絶対堕落しちゃいます。マブダチとはいえ頼りすぎは駄目なんです。親しき仲にも礼儀あり、過ぎたるは猶なんとやらです。

 頑張って説得して、最終的にアリリンからは滞在許可証とビザの偽造と保証人になってもらい、ちょっとお金を借りる程度に留めることが出来ました。頑張りました私。ちなみに借りたお金は既に返済済みです。

 

 それとニューヨークの公用語といえば英語ですが、覚えるのも手伝ってくれました。私が英語を喋れないことに気付いたアリリンが色々協力してくれたのです。

 

 「なんだったら~ヒ~ちゃんの脳に~最適化とデフラグかけて~、空いたそこに~直接英語言語をインスト~ルしちゃう~?最長二日ほど~、らりるれらりらり~☆ってなっちゃうかもだけど~」」

 

 「方法がパソコンみたいです」

 

 まさかの改造によるごり押しでした。ちょっと頭を開いて脳みそに直接学習信号を送ったり色々するらしいです。詳しくはわかりませんでしたがアリリンが嬉々として薦めてきたのでお願いしました。

 結果だけ言っちゃいますと成功です。まるで元からその言葉を使ってたように英語が理解出来ますし口からペラペラと出てきます。おかげで会話に困りません。アリリンは本当すごいです。さすアリです!

 ただ本当にらりるれらりらり~☆ってなってしまうとは思いませんでした。でもらりるれってる時の私を見たアリリンが楽しそうだったのでよしとします。

 

 そうして準備が出来た私は適当なアパートを借りて紐育(ニューヨーク)暮らしを始めました。

 もちろん一人暮らしを始める以上バイトも行います。アリリンのおかげでそこはクリアしましたが、年齢が年齢なので最初は選べるバイトが少なく、なかには(ヴィラン)行為スレスレなのもあって苦労しました。が、そこはあれです、人生経験というやつです。

 ちなみにデク君の好きなダイアンズダイナーで短期バイトをしたことがあります。おかげでビビアンさん達ととても仲良しです。

 

 一方私のちうちうしたくなる衝動ですが、そこはアリリンから輸血パックをもらったりしながら折り合いをつけて頑張ってます。

 私の普通は異世界でもなかなか理解されないですが、それでも話せばわかってくれる人も少数ながらいたので以前と比べたら少し生きやすかったです。パパとママには悪いけどあの時アリリンの提案に乗って正解だとハッキリ言えます。私の世界がどれだけ狭かったか改めて思いしらされました。

 

 え、アリリンの血?啜りたいけどアリリンの血はお酒みたいなものです。だから成人するまで我慢します!ちゃんと法律は守らないとね!

 

 「アタシをお酒扱いするのは後にも先にもヒ~ちゃんだけでしょ~ね~……。その調子だと~アンタが成人した日に~アタシはミイラになりそうね~。な~んて~」

 

 「さすがにそこまで吸わないよアリリン!………………………多分!」

 

 「今のうちに預血しとこ」

 

 「解せないです」

 

 そうやってアリリンや誰かと笑い合ったり喧嘩したり、時にはちうちうしながら過ごす紐育(ニューヨーク)生活はとても楽しくて、あっという間に三年も経過しました。

 そして三年目のある日、世界を一変させるとんでもない大事件が起きたのです。

 

 

 ―――そう、大崩落です―――

 

 

 ニューヨークに突然霧の柱が立ち上がると周辺の建物や人が空へ昇り、その空白を埋めるように地の底から異形個性のような人達とおっきなタコ足がいくつも現れました。とんでもない事態です。地獄が溢れだすというのはこういう光景を言うのでしょうか。

 もちろん紐育(ニューヨーク)に住む人達はてんやわんやで、アリリンも「わ~お、これ何万人くらい~向こうと入れ替わったかな~?都市総人口の半分くらい~?」なんて言って楽しんでました。

 私はといいますと、寸前までアリリンと一緒にゲームに熱中してたので無事でした。けれど借りていたアパートが大崩落に巻き込まれてなくなっていたのはすごいショックでした。

 

 ……ただショックもありましたがそれよりも私の知る"普通"が根幹から崩れていく情景を特等席で眺めていてとっても不謹慎ですが心が躍りました。これからどうなってしまうのか、どんな不思議なことが起きるのか、目をキラキラとさせてはしゃいでいた自分がいます。

 

 そんな世界を震撼させた大崩落ですが、意外とあっけなく終わりました。世界中の術士さんが結界を張り巡らせてタコや霧の侵食を防いだのです。色んな国の多種多様な術式が雑多に張り巡らされていく姿は、イルミネーションにも見えてとっても綺麗でした。

 その後は霧の中で再構築が始まり、ふわふわと建物が飛んでいったり落ちてきて繋がったり色々あって最後は街を繋ぐおっきな橋が出来上がり、私やデク君の知るヘルサレムズ・ロットが形成されました。

 

 この瞬間、神様も予測できない、まったく新しい世界が生まれたのでした。

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 新しい世界が再構築されてからというもの、意外も意外、割と落ち着いた日々が続いてます。

 天変地異もかくやな混乱はなんだったのでしょう。十日も経つ頃には紐育(ニューヨーク)……ヘルサレムズ・ロットは落ち着きを取り戻してました。

 物流は十日かからず復活したしドルの紙幣価値は別に死んでないしテレビではこっち(現世)あっち(異界)の人が一緒になって陽気な番組を流してます。世界が繋がって異形個性以上に異形をしてる人達が隣を歩いているのにみんな平然としてます。なんでしたら軽口を言い合ったり一緒にご飯を食べたりしてます。あまりの平和にちょっと驚きです。

 

 もちろん大崩落がトラウマになる人もたくさんいました。人によっては家族や恋人が巻き込まれてしまって、再会が絶望的な人もいて、その辛さから逃げるようにヘルサレムズ・ロットを去る人もたくさんいました。

 大崩落に巻き込まれた人の中にはビビアンさん達もいました。幸いビビアンさんとお父さんは無事ですがお母さんの方は未だ行方不明です。二人はお母さんの帰りを信じて今もお店を営業してるいます。その姿はとても健気で、でも少し心配で、少しでも元気でいてもらいたくて賑やかしも兼ねてよくお店に行きます。

 余談ですがバブラデュゴバーガーっていうメニューが増えてたので頼んでみました。口の回りを汚しやすいし中身が暴れるのが瑕ですが蟹と海老のいいとこどりな味で美味しかったです。

 

 そんな超常が日常になった街で私はというと……みんなには悪いけど、これまで以上に満喫していました。

 世界が変わってから個性並に色んな姿や体質、広い趣味嗜好を持った人が街に溢れかえってます。本当なんでもありです。それこそ私の好きな人をちうちうしたくなる普通が……面白い、変わった趣味程度の扱いで、以前よりも受け入れてもらえたのです。

 

 もちろんみんながみんなってわけではありません。怯えちゃう人もいます。この前もゲームのボスキャラっぽい人にとっても怖い!って怯えられました。それでも以前と比べたら「変わった趣味もってんな」みたいな反応が増えました。

 「僕なんて三か月に一度脳を吸わないと記憶を失うよー」と笑って語るタコさんや、「まーアタイたちも子作り中に旦那食べちゃうしねー。おかげで再生機能のある旦那を探すのが大変よー」なんていう下半身が蟷螂なお姉さんの話を聞くとなおさらです。おかげで生きやすかったです。

 

 とはいえ街が様変わりしてから非常に不便なところもあります。それは犯罪の急増です。

 紐育(ニューヨーク)のころもちょくちょく犯罪はありましたがそれでもNYPD(警察)が頑張ってくれましたし、仮に襲われても簡単に逃げられたので被害はほぼ皆無でした。

 ですがヘルサレムズ・ロットになってからは違います。それはもう犯罪の頻度が爆上がりです。下はチンピラのカツアゲから上は世界の危機まで、パトカーがひっきりなしに出動する事態です。緊急出動する警察を五回以上見ない日がありません。

 

 私もよく絡まれます。昼夜関係なく隙あらば強面な人達が凶器片手にお金をせびってきます。いかにもな男の人達が無理やりエッチなことをしようとしてきたりもします。さらにもうワンランク悪い人は臓器にも手を出そうとしてきます。

 さすがに好きでもない人に臓器摘出(モツ抜き)されるのは嫌なのでHLPD(警察)の皆さんがいる場所まで走ったり適当に刺して逃げたりしてます。違うベクトルで少し生きにくいです。

 一応アリリン謹製防犯装置を持ってたりしますが間違いなく人死にが出るので使うのは最終手段です。おかげで自衛の隠密技術が爆上がりしたし、護身用のナイフの扱いも上手くなってしまいました。でも争ってる時の私はカァいくないからあまり絡んでほしくないです。

 

 そんなこんなで平和だけど全然平和じゃない、でもちょっと平和なヘルサレムズ・ロット生活もあっという間に二年程経過しました。こっちの世界に来て五年経過です。この時も私は生きやすくなった街で人生を謳歌中です!

 

 ……同時に、まだ引きずってもいました。

 この世界でアリリンや知り合った人と過ごして、失恋の傷は大分癒されました。だけど夜中斉藤君のことを思い出して悲しい気持ちになることがたまにあります。

 アリリンからも引きずりすぎって呆れられますがこればっかりはどうしようもありません。惚れっぽい私がずっとそういう気分になれないあたり重症です。

 

 ……せめて斉藤君の時のような、ううん、それ以上のインパクトのある出会いがあれば、もしかしたらこの傷は癒えるかもしれません。だけどそんな奇跡、そうそう起きることなんてないと理解してます……。

 

 と、そう思う時期が私にもありました。

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 しばらくして不思議なことが起きました。最近犯罪やそれに伴う被害を見ることがちょっとだけ減ったのです。警察の皆さんが頑張ってるのかなと思いましたがどうもそれだけではないようです。

 

 「ああそれ多分デクの仕業じゃない?」

 

 「デクですか?」

 

 ビビアンさんのところでご飯をしていた時に教えてくれました。なんでも悪さをしたり事故が起きたりした時一人の少年が颯爽と駆けつけて人命救助をしたり悪者をやっつけてるのです。ビビアンさんも店の前でマフィアがドンパチしだした時に救けられたと言ってました。

 「大丈夫、僕が来た!」の言葉と共に救ってくれ、時には親身に相談にのってくれたり、おまけに見返りを求めないその姿はまるでコミックのヒーローだって、救けられた人たちは口をそろえて言います。警察のみなさんもデクって人のヒーロー活動のおかげでわずかながら余裕が出来たと喜んでるらしいです。

 

 次第に市民、警察両方からヘルサレムズ・ロットのご当地ヒーローとして受け入れられ、今では小規模ながら非公式ファンクラブまで出来るほど人気になってるとかなんとか。

 同時にアンチも大量に湧きましたがそういう人は大抵悪さをする人達です。そういう人たちは救けられた人達がこっそり警察に通報してます。残当です。

 

 それにしても……、不思議です。こんな街で無償の人助けをしていく。コミックのヒーローみたいにやってきて悪者をやっつける。なにより「大丈夫、僕が来た」という安心を得られる言葉。

 

 (まるでオールマイトみたいです)

 

 そう、まるで私の世界にいた日本の№1ヒーロー、オールマイトがこの世界にやって来たように感じました。とはいえ容姿は緑の天パ。ちっこい。そばかす。絶対生息子。なんか陰毛とか言われてる等々。みんなの証言を聞いてオールマイトとは似ても似つきませんでしたが。後最後のは完全に悪口です。

 私はふーんそうなんだって適当に流してご飯に戻りました。ヒーローに興味はありません。だってヒーローは私の事を救けてくれたことがないから。私にとってのヒーローはアリリンだったから。

 ただその無関心も、すぐ打ち砕かれました。

 

 ご飯の後バイト先から連絡があり、急遽シフトを入れることになりました。時間が時間だったので終わる頃には日も落ちて街が煌めきだってます。

 今日は観たいドラマがあります。早く帰らないといけないのでちょっとリスキーですが裏通りを近道に使いました。

 

 「ようねーちゃん。こんな時間に裏通りを歩くなんて危険だぜー?」

 

 「悪~い奴に襲われでもしたら大変だぞぉ?いっちょそこまで護衛してやるぜぇ?」

 

 「なんだったらそこのホテルで休憩するかい?お代はその身体で、なーんてな!ギャハハハ!」

 

 「うえー、最悪ですぅ」

 

 その結果チンピラさん達に絡まれました。ああもう迂闊です私。急がば回れって諺を知らないのですか?おまけに目の前の指が腕になってるおっきい人と取り巻きたちはやましいことを口走ってます。欲望駄々漏れです。もう少し隠す努力をしてください。

 

 (面倒くさいなぁ。刺して逃げよっと)

 

 仕事でお疲れだしドラマの前にシャワーを浴びたいのもあって不機嫌だった私は強行手段を考えました。チンピラさんもよからぬことを考えてますし刺されても自業自得です。

 適当に足を刺して逃げようと少しかがみ隠してるナイフに手をかけ、足目掛けて―――

 

 「やめるんだお前達!!」

 

 「?」

 

 「ゲッ!この声は……!」

 

 振り下ろそうとした時、空から一人の少年が……私の運命の人が降ってきたのです。

 

 「ああもう誰か絡んでると思ったらまたヌズルバさんたちですか!何度もお灸を据えてるんですからそろそろ懲りてください!」

 

 「やっぱり、またテメェかクソガキーーー」

 

 颯爽とやってきたその子を見て、察しました。なるほどこの子がビビアンさんが言っていたデクってヒーローさんですか。

 救けに来てくれたことには感謝しますが正直私は今すぐにでもお家に帰りたいです。なので注意を引いてるうちにさっさとお暇させていただきましょう―――

 

 「……いや待ておめえなにがあったんだよ!?どういう状況なんだその姿!?」

 

 「血か?それ血なのか!?」

 

 「僕だって好きでこんな状態になったわけじゃないよ!文句はさっきまで暴れまわってた地底人に言ってください!」

 

 

 ―――えっ?―――

 

 

 ヒーローを見て、私は頭が真っ白になりました。

 みんなが私の前であれこれ言い争っていますがひとつも耳に入ってきません。目の前に映る少年の姿にだけ私の思考は吸い寄せられました。

 パっと見て、その子の背は低かったです。もしかしたら私と同等くらいです。だけど誰かを守ろうとするその姿はとっても大きく見えました。

 ふと嗅ぎなれた匂いが、血の匂いが鼻孔をくすぐります。それは彼の全身から放たれてて、嗅がなくてもわかるほどの尋常じゃない量でした。あまりの"普通"じゃない血の匂いを放つ姿に、ずっと失恋で彷徨っていた私の心に熱が入り、ドキドキと胸の高鳴りを感じました。

 

 「だいたいヌズルバさんは仲間思いでリーダーシップありますし、なんでしたら僕に何度もコテンパンにされても折れないしぶとさに見捨てずついてきてくれる友人がいるんですよ?真っ当に頑張れば間違いなく大成出来ますから路地裏でカツアゲなんてせず働いてください!」

 

 「いいいいいいいだろ別に!テメェこそ毎度毎度褒めんじゃねえやりにくくてかなわねえんだよ!」

 

 「事実を言ってるだけです!……あっ大丈夫ですかお姉さん?」

 

 言い争いの中私を心配してこちらに振り返ってくれたその子の顔を見て、ドキドキが加速します。

 そばかすが少し目立つ、優しい笑顔。子供らしい幼さが残るけど、むしろそれが緑がかったくせ毛とマッチしていて……さらになんの因果かな、少し斉藤君に似ているのもあって興奮で心音が痛いくらい鳴り響きます。そして最後に、自信に満ちた笑顔を向け……、

 

 「もう大丈夫だよ」

 

 私の世界で聞き慣れた福音とも言える言葉と共に

 

 「何故って?」

 

 頭から足元まで、真っ赤に染め上げた、

 

 「僕が来た!」

 

 血塗れの王子様が私に微笑みかけてくれたのでした!

 

 

 

 

 

 その瞬間、私は再び……恋に落ちました!

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 『血塗れの王子様?????』

 

 トガさんの発言に聞いていた先生方一同から一斉に訝しい視線を向けられる。塚内警部に至っては椅子をこちらに向け居住まいを正し真剣な表情で見つめてきた。

 

 「……緑谷君。少しお話いいかい?」

 

 「違うんですいや違わないけど違うんですその時ちょうど地上侵略を目論む地底人たちの会合がありましてそれに乗じて一斉検挙する作戦が行われたのですが向こうが急遽試作中だった蟻型地上侵略生体兵器『蟻・ヴェ・デルチVer.e0.83』を投入してきましてそれが放つ()酸攻撃から身を守るべく血の膜で全身を包んで戦っていたんですその後地上まで縺れ込んだところちょうど射線に逃げ遅れた市民がいまして()酸攻撃から市民を庇う形で被ったんですその時酸に浸食される前に血の膜を炸裂させることで()酸の回避に成功したんですけど結果的に酸の代わりに血に塗れてしまったんですその後無事制圧したのでよしとしますがそんな姿で事務所に戻るわけにはいかず家に帰って身綺麗にしようとした矢先に彼女が暴漢に絡まれてるのを発見したんですつまりその時の血は全部僕のなんです誓って大量虐殺を行ったとかではありませんええそれは間違いありません信じてください本当切実に」

 

 僕は速攻で弁明した。

 

 「話のところどころに気の抜ける単語を挟むのどうにか出来ないのか……?」

 

 「そこは蟻型地上侵略生体兵器を開発した地底人達に言ってください」

 

 僕だって好きで挟んでるわけじゃないやい。

 




※今更ですがトガちゃんとアリギュラ周りの設定はほとんど捏造&独自設定です。

執筆中小話。
大崩落の部分で遊んでた二人ですが最初は下記のダイスを振って何のゲームを遊んでたか決めようとしてました。

1:スマ〇ラ
2:スプラ〇ゥーン
3:ポ〇モン
4:マリ〇パーティー
5:3デブマラソン(お前ら地底人かよ)
6:マリ〇カート
7:モン〇ンライズ
8:桃〇
9:↑+百年プレイ
10:バ〇ンカイトス100%RTA(人の心ないんか)

なお作者半分以上未プレイだからやめた模様。

【誤字報告】

someyさん。 タイガージョーさん。

誤字報告ありがとうございました。
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