My Hero Battlefront ~血闘師緑谷出久~   作:もっぴー☆

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ヒロアカ最終巻発売したので第四十話です。

お待たせしましたトガちゃん回三度です!本当は今回で終わらせたかったのですが書けば書くほど終わらぬ……終わらぬ……。
気付けば11月に更新したかったのに大幅に遅れました。それもこれも全部11月にSteamにてアーリーアクセスが開始された中毒性の高い最高にクールでカオスなローグライクゲームElin(2980円)が悪いんだ!(露骨なステマ)


第40話:お友達からおねがいします

 ヒーローが私の前に現れてからはあっという間の展開でした。

 軽い言い争いはヒートアップすることもなくおっきいチンピラさんが正論に言い負かされました。結果実力行使に発展しておっきなチンピラさんが襲いかかります。たくさんの指腕でパンチしてくる姿は拳の雨みたいで見てて強烈です。

 

 「チクショウ毎度やられる俺じゃねえぞ!今度こそ一矢報いてやらぁ!」

 

 「正当防衛!」

 

 「ボンジョビッ!?」

 

 「兄貴ィーッ!!?」

 

 ですがヒーローは攻撃をあっさり回避してそのまま拳骨を落としました。チンピラさんは変な断末魔をあげて地面に顔をめり込ませ地に沈みます。

 

 「兄貴ー!しっかりしてくれ兄貴ー!?」

 

 「加減はしたのですぐ起きますよ。それで、まだやりますか?」

 

 「兄貴がやられたのに勝てるわけねえだろ!覚えてろよヒーロー気取りめー!」

 

 勝てないとわかっているんでしょう、おっきいチンピラさんがやられるとすぐさま他のチンピラさんが担いで逃げていきました。なんかすごい手慣れてます。それだけやられてるでしょうか。

 

 「あ、マサドさん!ヌズルバさんが起きたら伝えてください!心を入れ替えてくれるならいくらでも手を貸しますってー!」

 

 「いちいち優しくすんじゃねえよ恨みにくいだろうがあああぁぁぁ……!」

 

 ヒーローのお節介に情けない返事を返してチンピラさん達は去っていきました。優しすぎですこのヒーロー。

 

 「まったく、いつになったら僕の手を取ってくれるんだろ。……あ、放ってしまってすみませんお姉さん。立てますか?」

 

 荒事が終わってヒーローが私に手を差しのべてきました。その優しい笑みと血で染まった姿を見て顔は熱くなって心臓がバクバク鳴りっぱなしです。

 ふとその手を見ると所々に血が付いていました。それをじっと見ているとヒーローも血で汚れてるのに気付いて慌てて手を引っ込めます。

 

 「あ、ああ~えっと、すみません。まだ血が拭き取れきってなかったようです。自分の血ながら頑固でしつこいな、このっ、このっ」

 

 「もったいないです!」

 

 気付けば血を拭おうとする彼の手を掴み声をあげてました。考えるより先に身体が動いてます。びっくりです。向こうも私の行動にびっくりしてます。ダブルびっくり顔です。

 ……って悠長に考えてる場合じゃありません。今私勢いで手を握っちゃってます。恋した人の手を!それに気付いた瞬間顔がさらに熱くなってきました!見れば向こうも手を握られて顔を赤らめてます!カッコいいのにカァいいです!……じゃなくてえっと、とりあえず自己紹介と感謝を伝えないと!

 

 「えっとえっと、もしかしなくてもデク君ですよね!」

 

 「えっ、あっ、はい、ヒーローデクです!新参者ですがみんなの笑顔のため頑張りますので応援よろしくお願いします!」

 

 「私トガヒミコっていいます!これからたくさん応援します!」

 

 デク君で間違いないようです!ドギマギしながら受け答えする姿もカァいいです!……いや何をやってるんですか私。ずっと興奮してるせいでありがとうって言うのを忘れてます!ほらっデク君も困ってますから早く言ってください!

 

 「あの、デク君!」

 

 「あっはい、なんですかトガさん?」

 

 

 「好きです付き合ってください!」

 

 

 「ヘァッ!!?」

 

 

 あ、間違えてないけど間違えました。

 

 「ごめんなさい、違うんです!ありがとうって言いたかったんです!今のは興奮しててその、間違えて……ませんね。やっぱり好きです付き合ってください!」

 

 「二段構え!!?」

 

 訂正しましたが再訂正します。だって私は今五年振りに乙女心が燃え上がっているから!この気持ちを違うって誤魔化すなんてナンセンスです!

 私の突然の告白にデク君は目ん玉が飛び出して驚きまくりです。オーバーリアクションのデク君も面白くてカァいいです。

 

 「ちょちょちょちょっと待って!いきなりすぎます!僕ら今会ったばかりだよね!?」

 

 「ハイ!そしてとっても素敵な姿に一目惚れしました!」

 

 「あ、これ絶対吊り橋効果だ。ダ、ダメだよ貴方のような綺麗な人がそんな行き当たりばったりの恋なんて!だ、だいたいここ恋人っていうのはふ、二人で一緒に遊園地に行って手を繋いだりクレープを半分こすることですよね!?僕にはその、ハ、ハードルが高すぎます!」

 

 「発想がカァいすぎです。でも綺麗ですか……えへへ、ありがとうございます」

 

 「んぅ゙っ」

 

 なんということでしょう。デク君の中の恋人イメージが天然記念物級です。ピュアピュアです。私の笑顔に顔も血と見分けがつかないくらい真っ赤にしてるのがその証拠です。カァいいです。

 

 ぐいぐい押してくる私にデク君は白目を向いたり落書きみたいな顔になったかと思ったら見たことある(オールマイト)顔になったりと大忙し。百面相デク君もカァいいね!あ、キャパオーバーしちゃったのか固まって口から変な音を出す機械になりました。彼が落ち着いて返事をくれるまで眺めて待ちましょう。

 

 「……お……お、お、お、お…………!」

 

 「お?」

 

 しばらくして再起動したデク君はすごいどもりながらギギギと油の切れた機械のように動きだして、百八十度反転。

 

 

 「お友達からおねがいしますううううぅぅぅぅぅ―――!!!!」

 

 

 一拍してヤケクソ気味に叫びながらすごい勢いで走り去っていったのでした。

 

 土煙が舞う路地裏からチンピラもヒーローもいなくなり私だけポツンと残されました。表通りの喧騒と通りがかったネコちゃんの鳴き声が響きます。そんな静寂の中私はというと……、

 

 

 「…………間違いありません、これは脈ありです!!」

 

 

 盛大にガッツポーズを取って飛び跳ねました。もうおおはしゃぎです。手応えを得たこの瞬間、ここ五年で一番の出来事だって自信を持って言えます!

 やったぁやったぁとひとしきり跳ねた後、こうしちゃいられませんと携帯を取り出しアリリンに電話しました。今すぐこの喜びを共有です!

 

 「アリリンアリリン!ビッグニュースです!」

 

 『な~に~?今大事な調整してるから~手短にね~』

 

 「あのね、あのね……私、新しい恋に目覚めました!!」

 

 『…………赤飯炊いてあげるから早くこっちに来なさ~い!!』

 

 アリリンはとっても喜んでくれました。それこそ今やってる作業をほっぽりだすほどでした。

 五年前の失恋がずっと尾を引いていてなかなか恋出来ず、心配させてしまってましたから仕方ありません。恋バナをするときも専ら聞き役でした。

 ですが新たな恋をした私は謂わばニューヒミコ。今日は私が恋バナトークを炸裂させましょう!覚悟してねアリリン。今夜は寝かせません!嘘です徹夜はお肌に悪いのでちゃんと寝ましょう。

 

 「お赤飯楽しみです!……あれ?」

 

 携帯を戻す時、ふと右手が汚れていました。見れば渇いた血が少し付いてます。どこか怪我したのかと確認しましたが特に怪我はありません。

 これはなんだろうって考えて、すぐたどり着きました。そういえばさっきデク君の手を握りました。まだ血のついてた彼の手を。つまりこれはデク君の血です……!

 そう理解した瞬間、気が付けば手に付いた血を舐めていました。もはや無意識での行動です。自分でも驚きです。

 

 「ん……ちょっと変わった血の味がします―――」

 

 口の中で味わうと、輸血パックや他の人の血と違い、ピリピリしました。七味とうがらし?なんて暢気に考えてたと思います。

 ですが暢気にしてる私の顔は、この後すぐに歪みました。

 

 「うっ……!な、なにこの感じ……!?あ、熱い……!」

 

 突如として身体に異変が起きました。喉からお腹にかけて焼けるような、熱湯を一気に流し込んだような熱が襲ってきます。突然の焼ける痛みに身体を抱きしめ踞ってしまいました。

 さらに突くような痛みが私の中を駆け巡り、同時に私の中で何かが私を塗り替えようとするような、えも知れない感覚にも襲われます。

 

 なんで突然こんなことが?身体が痛む中何が原因なのか必死で頭を回します。

 痛みとは別に未知の体験に焦りと戸惑いを覚えながら必死で考えて、ハッと気付きました。

 身体に異変が起きる前私は何をしました?そう、デク君の血を舐めました。舐めて嚥下して、そしたら身体が熱くなって、痛くなって、奪われる感覚が襲ってきました。つまり一連の身体の異常はデク君の血が引き起こしたんだって。

 そう考えたらストンと胸に落ちるように理解出来ました。どういう原理なのかはわかりませんが今デク君の血が私の中を駆け巡って私の細胞を襲っているのだって。

 

 デク君の血が私を襲い、そして私を侵して奪って塗り替えていく。まるで毒に蝕まれるような感覚に私は恐怖を覚え…………、

 

 

 

 

 

 あはぁ……♡」

 

 

 

 

 

 ……るどころか恍惚の笑みを浮かべて興奮してました。

 

 ぶっちゃけます。発情しちゃいました。

 あ、なに言ってるんだコイツとか思いましたね?

 

 でもね、考えてください。私は好きな人の血を吸ってその人になりたいって願望があります。

 デク君の血は私を取り込んで、私に成ろうとしてきます。

 つまりお互いがお互いに成ろうとしてるんです。

 

 こんなの実質相思相愛じゃないですか。

 

 程なくして私の身体は落ち着きを取り戻しました。量が量だったので侵食も物量負けしたのでしょう。効力が失われたのか身体を駆け巡っていた痛みも侵食も治まりすっかり元通りです。

 ですが効力を失っただけで、私の心についた熱情は鎮火するどころか、さっきの何倍にも燃え上がって延焼の一途を辿ってます。下着がダメにならなかったのが奇跡なくらいです。

 

 

 「……アリリン。斉藤くん。私は今魂で理解しました……。私が失恋したのは、私が生まれてきたのは……、今この瞬間(とき)のため……。そう、デク君のお嫁さんになるためだったんです!!

 

 

 路地裏にて拳を高らかに挙げて叫んだ瞬間、私の恋路は新たなステップに突入(トガヒミコ・ライジング)したのでした。

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 さて、デク君と運命の出会いを果たした翌日ですが……私は心身ともに絶好調です!

 あの後アリリンに第二の恋の報告に向かうや恋バナするわよってすごい楽しそうにお赤飯を出してきました。美味しかったです。

 普段なら私が聞いたり質問してアリリンが惚気るのだけど今日は逆です、私が惚気まくりです。アリリンも楽しそうに質問攻めしてきました。

 途中私の異常を聞いたアリリンは「牙狩りに恋したうえアイツらの血を舐めるとか度胸ありすぎでしょ」って言って念のため身体を診てくれました。医療設備フル稼働で診るなんてアリリンは心配症ですね。

 

 その後はお泊まりして夜遅くまで恋バナをしたりアリリンの押しまくり恋愛術を再履修したり皮下侵入型発信器搭載ナノマシン(バイタルサイン受信アプリ付き)を作ってもらったりして、明日から始まるデク君のお嫁さん作戦へ備えました。

 

 

 「デク君おはよー!今日もスーツがキマってます!あ、でもネクタイがちょっと歪んでるね。待ってね…………はい!これでキマってさらにかっこよくなりました!」

 

 「うぇあ!?お、おはようトガさあああッ!?あ、あああ、ありがとうございます!」

 

 「どういたしまして。ふふ、照れてるデク君もカァいいです♪」

 

 

 今日から早速アタック開始です!最初は探すのに苦労しましたが気合で発見したら後は簡単です。アリリン特製発信器で追跡出来ます。

 曲がったネクタイを直しつつデク君に発信器をペタリ。後は連絡先を交換したり軽くお話をして満足のいくスタートを切れました。顔を赤くしてぎこちなく話すデク君はカァいかったです。

 

 

 「おーいデクくーん!今からお昼ですか?だったらせっかくだし一緒にご飯食べませんか。お隣空いてますよ!」

 

 「あ、トガさんこんにちは。トガさんもよくここに来るんですか?え、一時期働いてた?ああビビアンさんが言ってた元店員って貴方だったんですか。……今食べてるのってバブラデュゴバーガー?」

 

 

 ある時は待ち伏せして一緒にご飯をしました。デク君がダイアンズダイナーの常連さんと知ったときは驚きました。でもでも、そのおかげでご飯に誘いやすくてぐっと距離を縮めることが出来ました。このお店は恋のキューピットです!

 ただバビュラデュゴの足をポリポリしてたら何故か苦笑いされました。カニとエビの合いの子みたいで美味しいですよ?

 

 

 「お仕事お疲れ様ですデク君!差し入れ持ってきました!たくさんあるのでみんなと一緒に食べてね!」

 

 「わあ、差し入れありがとうございます!ちょうど小腹がすいていたんでありがたく頂きます。……あれ?トガさんどうやってここまで来たんです?今大捕物の事後処理中で、この一帯警察が封鎖してるし僕らも警戒中なんですけど?」

 

 「普通に歩いてきましたよ?」

 

 「えっ???」

 

 「おーい少年、そろそろ撤収する……誰だ君は!?」

 

 

 ある時はデク君の休憩を見計らって差し入れをしました。もちろんデク君だけじゃなくデク君の仲間の分も用意してます。私は出来る女なのです!

 最初は何処から入ったって敵意を向けられて大変でしたが、デク君が取りなしてくれたおかげで今では神出鬼没のデク君の彼女候補として定着しました。自称デク君のお義母さん(K・Kさん)に至っては結婚式の仲人を務めるわよって言ってきます。チョロいですこの人。でもそれだけ認めてくれているということですよね。とっても嬉しいです!

 逆に番頭さんにはずっと警戒されてます。酷いです、デク君とお話したいだけなのに。

 

 

 「デク君大丈夫です?とっても痛そうです。あ、そうだ。止血ジェルあるんで使ってください!大丈夫です、アリリンのお墨付きです!」

 

 「避難!!しろや!!!!」

 

 

 ある時は血界の眷属(ブラッド・ブリード)と戦って怪我してるデク君見たさに現場に押し掛けました。デク君がキレました。レアケースです。

 今思えばさすがにお馬鹿です私。浮かれすぎです。凶悪(ヴィラン)がいるところに無防備にやってくるとか怒られて当然です。デク君霊安室コースもありえたのでなおさらです。

 ボロボロのデク君を見れて満足しましたが代わりに正座からの二時間お説教をくらいました。ちょっと辛かったです。

 ……だけど私のことを心配してのお説教だったのでたまに聞くのはありかもしれません。え?説教一時間追加?ヒエェ……。

 

 そんなこんなで週五回くらいの頻度かな、遠くから手を振ることもあれば一緒にお話したりとひたすらデク君にアタックしました。その甲斐あってかデク君もぎこちない笑みじゃなく自然な笑みでこちらを見てくれるようになりました。デク君の先輩のお猿(ザップ)さんに聞けば、私に好かれてることが満更でもないって顔してるようです。これはもしかして……もしかします!?ってちょっぴり期待しちゃう日々を送りました。

 

 「あ、あの、トガさん。少し聞いていいかな」

 

 「はい、なんでしょうか?」

 

 そんな期待が日に日に増しているある日のこと、デク君は聞いてきました。どうしてここまで僕のことを思ってくれるのかって。どうやら私がデク君を好きになっていることになにか思うことがあるようです。

 聞けば好きになってくれたことはとても嬉しいけど出会い方が出会い方だったから、私に吊り橋効果が働いているんじゃないかって。そうですか……嬉しいのですか……ふへへ……♪

 

 他にも職業柄ハニートラップだったりする可能性も考慮しないといけないらしく、私のアタックの頻度や勢いにどうしても疑いをもっちゃうらしいです。だから一度確認を取りたいのだとか。

 デク君の疑問を聞いた私は呆れちゃいました。ちょっと真面目すぎです。仮にハニトラだったとしても馬鹿正直に言わないですよ。だいたいそんなの気にしてたら幸せが逃げちゃいます!私は逃げませんが!私は逃げませんが!!

 とはいえ今のままじゃデク君に首ったけなのを納得してくれないのも事実。ならば理由をお話ししましょう。

 

「あのねデク君。私ね、五年前に失恋しちゃったの」

 

 「え」

 

 突然のカミングアウトにデク君もうまく反応が出来ないのか一寸口ごもり、無難にお気の毒と返してきますが気にせず続けます。

 

 「初恋でした。斉藤君って人なんだけど、ある日喧嘩があって斉藤君が怪我してボロボロになって、その姿に心がドキドキして、初恋をしました。

 だけどその人にはすでに彼女さんがいて、この恋は最初から実ることがありませんでした。たくさん泣いてアリリンに慰めてもらって諦めもついたけど、それでもショックが抜けきれなくて五年も引きずっちゃって、最近はもしかしたらこれから先あんなにドキドキすることはもうないかもしれないって思うようになってました。

 

 そんな私の前にデク君が現れてくれました。私を守るためにやってきたデク君の背中が、血で染まった顔で向けてくれた笑顔が、私の燻ぶり続けていた心に火を入れてくれました。

 

 もうドキドキすることはない?いいえ、しないどころか初恋の時よりドキドキしました。確かにボロボロだった斉藤君も素敵でした。だけど血塗れ姿のデク君はもっと素敵でした!それこそ昔の自分でしたら我慢できず刺してちうちうしてた自信もあります!それほどのトキメキを受けました!吊り橋効果だったとしても、この気持ちは決して嘘じゃありません!

 

 ……私本気なの。本気でデク君のことが好きになったの。だからねデク君……すぐじゃなくていいから恋人のこと、考えていてください」

 

 一息に私の気持ちを伝え切りました。どれだけ衝撃的だったか、どれだけ好きか。伝えれば伝えるほどデク君の顔が赤くなっていって、最初に告白したときのように百面相してます。あ、蹲っちゃった。

 

 「ああもう熱意が凄まじすぎるよ誰だよただの吊り橋効果の可能性って言ったの僕だよ全然違うじゃん本気で惚れてるそれだよ例えるならオールマイトに出会った時の僕以上じゃないかでも同時に依存してて危ういよというかボロボロ姿や血まみれ姿に恋したってあれか嗜虐癖かそれともヘモフィリアか?でも性癖なんて人それぞれだしそれこそ個性だからそこはいいんだけどいやまってその前にかなり不穏なワードが出てきたような気のせいだよねブツブツブツブツ……!」

 

 あ、ブツブツ呟きだしました。何言ってるかは聞き取れませんが心の整理をしてるのはなんとなくわかります。とはいえその時間には私も助けられます。

 今更ですが喋った私も私で顔が火照っちゃってます。心臓鳴りっぱなしでいっぱいいっぱいだったりします。私もちょっと落ち着きたいですし、ひとまず返事はまた今度にしてもらって今日はこのあたりで失礼しましょう―――

 

 「ああもう、ここまで言われたらこっちも覚悟するしかない……!トガさん!」

 

 「え?なんでしょうか?」

 

 「そ、その、恋人の件ですが……!」

 

 「!」

 

 だけどここで誤算です。なんとデク君、まさかのその場で決断です!覚悟完了したのか顔を真っ赤にしながらこっちをしっかり見据えてます。

 待ってくださいこれは予想外です!デク君のことだから少し時間をくださいって言って次の日までかかると思ったのに!?ここでまさかの押しまくり恋愛術を受ける側に回ってしまいました!

 

 「その、正直僕は恋愛経験なんてありません。それどころかつい最近まで女の人と話すことなんてなくて、そのため女の人の扱いも全然で、友達の言葉を借りるなら所謂クソナードです。きっとこの先付き合っても配慮出来なかったり貴方を傷つけるようなことをするかもしれません」

 

 「!!」

 

 ま、まずいです、覚悟完了してからデク君の口からツラツラと言葉が出てきます!待ってください今度はこっちが心の準備が出来てなくてゆでダコになっちゃってます!

 

 「もしかしたら世界の危機に立ち向かって、力及ばず斃れて、あなたを泣かせるかもしれません。……そ、そんなダメダメな僕ですが、トガさんのき、期待に応える甲斐性くらいは今だけでも見せたいと思います!」

 

 「!!!」

 

 あ、あ、あ、ダメです!ダメですデク君!畳み掛けないでください!それ以上はドキドキが抑えられなくなって何をするかわかりません!?

 

 「ですから、こ、ここ、恋人の件ですが……!よ、よろ……」

 

 お、お、お、お願いデク君!ちょっと待ってくださ―――

 

 

 

 

 ―――ぷつん―――

 

 

 

 

 「あっ……♡」

 

 「よろしく、お、お、おねがいしいいイイッ―――!?」

 

 なにかが切れる音がした瞬間、私はデク君の胸に飛び込んでいました。返事の前に抱きつかれるとは思わなかったのか甲高い声をあげてワタワタしてます。心臓がすっごい音を鳴らしてます。

 

 「ああああの、トガさん!少しだけ離れてくだしゃいませんか!!?僕にも心の準備が―――」

 

 「あはぁ……♡」

 

 ですが今の私はそんなの気にする余裕はもはやありません。だってこの時の私はもはや自分を制御出来なかったから。

 

 「ごめんなさいデク君。でもね、デク君もいけないんです。落ち着く間もなくその場で返事をしてくるなんて、デク君らしくないです。むしろ押しまくりでアリリンみたいです……。

 おかげで……今まで抑えれた好きって気持ちが一気に溢れて……我慢出来なくなりました……」

 

 自分の口から出たとは思えない艶かしい声が届いたのかもはや赤くないところがないデク君。そんな彼にさらに詰めより、荒い息づかいと発情して蕩けた瞳でデク君を見つめました。

 

 

 右手にナイフを握って。

 

 

 「エ、刃物ナンデ?」

 

 「お願いデク君……。

 

 ちうちうさせて……

 

 「」

 

 デク君は赤かった顔を一瞬で青くさせますが私は気にせず満面の笑みで握りしめたナイフを振り上げました。

 ですがそこはさすがのデク君。鍛えぬいた戦闘技能と防衛本能が働いていち早く私の腕と服を掴みます。

 

 「ふえ?」

 

 デク君の動きに間の抜けた声を漏らした直後、隙ありと言わんばかりにデク君は反動をつけて勢いよくひっくり返って―――

 

 

 「やっぱりさっきのなしでお願いしますううう―――ッ!!!!」

 

 

 「えええええええええ!!?」

 

 

 盛大に投げ飛ば(巴投げ)したのでした。

 

 ぽーいと宙を舞う私。正気を取り戻したら空中にいて盛大に驚きました。投げ飛ばしたデク君も驚いてました。お互いなにかしら無意識だったようです。無意識から驚くまで息ぴったりです。シンクロニシティです。

 

 デク君は慌てて救助を行おうとしますが、私はその前に身体を回転させ綺麗に着地。脳内アリリンが十点満点の札を上げた気がします。ですが事態を飲み込み切れてない私はポカンと口をあけてフリーズ。デク君も大丈夫ですかと慌てて近づいてきて……突如デク君のスマホからアラートが鳴り響いて慌てた声がしました。

 

 

 ―――各員緊急事態!―――

 

 ―――最近動きが怪しかったシュラウド会がこちらの監視を掻い潜って高次存在と交信を決行!近くにいる者は至急添付した地点へ急行して交信を阻止するんだ!―――

 

 ―――急げ!下手したら螺旋の使徒やら腐食者やらがダース単位で湧き出てヘルサレムズ・ロット全域で汚染が始まるぞ!―――

 

 

 この声は番頭さんですね。とっても慌てた声でお話ししてきました。それを聞いたデク君はなんでこのタイミングでと大慌て。焦りの表情でスマホを見て、よりにもよって僕が一番近いと呟くや顔を覆って項垂れます。私はまだ硬直中です。

 

 「…………ご、ごめんなさいトガさん!緊急出動要請がかかりました!制圧が終わったら改めて謝罪に向かわせていただきますので念のため避難をお願いします!」

 

 私とスマホを見て葛藤の末デク君は現場を選択。硬直する私にペコペコと頭を下げながら事情を伝えると大急ぎで走っていきました。

 その顔はすっごい悩んでの決断だったのでしょう、苦虫を噛み潰したような顔をしています。私はそんなデク君を硬直したまま見送りその場に取り残されるのでした。

 

 

 「………………やらかしちゃった―――!!?」

 

 

 ヒュルリ~と風が私の頬を撫でて一拍、再起動した私は過去最大級のやらかしに悲鳴をあげるのでした。私の馬鹿ーッ!!

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 バンッ!!

 

 「うわあああんアリリイイイン!!」

 

 「ぐふぇ。ちょっと痛いわよヒ~ちゃん~。どったのよ~、いきなり泣きべそかいて突っ込んでくるとかびっくりするじゃない~」

 

 「自分のやらかしが情けなくてたまりません!!私は世界一馬鹿でクズな女です!!」

 

 「こ~ら~、いきなり自虐に走らない~。そんなこと言ったら私は~世界一馬鹿でクズな女のマブになっちゃうでしょ~。そんなのいやよ~」

 

 再起動からの悲鳴をあげた私は泣きべそをかきながら猛ダッシュでアリリンのお家に突撃。無遠慮に入るや自分の情けなさを吐き出したくて勢いそのままアリリンの胸に抱きつきました。ドスコイと言わんばかりにぶつかっちゃったせいで少し咳き込んじゃってます。ごめんなさい、アリリンにまで迷惑をかけちゃいました……。もうヤケ酒でもしようかな。……あ、それだったらヤケちうちうのほうがいいかな。アリリンの匂いを嗅いでるとアリリンをちうちうしたくなってきました。あむあむ。

 

 「勝手にちうちうしようとしないの~」

 

 「あいた。ハッ、私はなにを?」

 

 アリリンのチョップが頭に炸裂。やってきた痛みに私は正気を取り戻しました。とっても落ち込んで思考がメチャクチャだったとはいえ無断ちうちうはさすがに駄目です。ごめんなさいアリリン。

 

 「ヤケで飲ますほどアタシの血は多くないし安くないわよ~も~。それで~、大泣きしてど~したのよ~。ヒ~ちゃんがそこまで荒れるとか~珍しいわね~。なにか酷い事された~?」

 

 「うっ……逆です……デク君に……デク君に嫌われることしちゃいましたぁ……!」

 

 「はっ?あのもじゃ毛に嫌われる~?あんたに構ってもらっては内心一喜一憂してる~思春期真っ盛りもじゃもじゃチェリ~ボ~イが~?なにしたのよ~?」

 

 ちょっと言いすぎじゃないかな?でも私が構って一喜一憂してるのですか。ちょっと嬉しいです……ってそうじゃありません。

 

 「さっきデク君に好きになった理由を話したの。そしたらすっごい意識してくれてお顔を真っ赤にして踞ったの。これでさらに気を引ければいいなって思ってたら予想以上の効果があって、デク君すぐ覚悟決めちゃって……。

 逆に私が心の準備が出来てなくて、色々あって自分を制御できなくて暴走して、うっかりナイフ片手に襲っちゃったの。そしたら怖がらせちゃって……」

 

 「は~~~、牙狩りがナイフくらいでビビってんじゃないわよ~。ヒ~ロ~気取りのくせにや~ね~」

 

 「それでもせっかく勇気を出してくれたのに襲うのは駄目です。おかげでデク君はやっぱ今のなしって、大慌てで私を投げ飛ばしちゃいました……」

 

 「ま~投げ飛ばすくらいよくあるんじゃ…………………………

 

 はっ?

 

 理由を話してたらアリリンの口から普段絶対ない底冷えするような声が出てきて驚きました。そんな声出せるんだアリリン。

 

 「投げ飛ばした?アタシのヒーちゃんを?怪我はないのヒーちゃん?」

 

 「え?う、うん。脳内アリリンが満点くれるくらい綺麗に着地できました」

 

 「そう良かった。……ヒ~ちゃ~ん。ちょ~っと急用思い出したから~少し出るわね~。それまでこの部屋~適当に使ってていいわよ~」

 

 「え、どこいくんですか?」

 

 「な~いしょ~」

 

 私の安否を確認したアリリンは突然お部屋を出ていきました。とりつく暇もなく放置された私はとりあえず帰ってくるまで待つことにします。

 …………う~ん、暇です。一応ここはアリリンと遊ぶお部屋なのでお菓子やゲームもあります、でもアリリンがいないと楽しさ半減です。適当にSw○tchで遊んでみましたが味気なかったので適当に切り上げてソファにもたれ掛かります。他に何をしましょうか。

 

 「こういう時こそデク君のバイタルサインですね」

 

 というわけで発信器から送信されるバイタルサインを見て落ちつこうと思います。アリリンが気を利かせてつけてくれたこのアプリ。普段のリズミカルな心拍数や血圧を見てると落ち着きますし、逆に心拍数が早かったり血圧が下がるとすごい頑張ってるんだなってわかってとっても楽しいです。私の生活のマストアイテムです!

 

 え?落ち込んでたのに立ち直るのが早い?いえまだ落ち込んでますよ。ただアリリンに気持ちを吐き出したおかげで大分落ち着きましたし、なによりまだ一回大失敗しただけです。

 好感度はだだ下がりでしょうが挽回できないわけじゃないと思います。デク君も後で謝りにくるって言ってたしそこでもう一度改めて話す機会もあります。

 

 そんなわけでアプリを起動してデク君のバイタルを受信!今デク君はどうなってるんだろ。やっぱりまだ世界の危機と戦ってるのでしょうか?だったら呼吸数や心拍数を見てどんな感じか楽しめます!

 そう思ってスマホの画面を見ると……!

 

 「……え?」

 

 

 いつものように起動したアプリの画面には……ピーッと音を鳴らし、全てのサインが停止している画面が映されていました。

 

 

 「えっ、嘘、どういうことですか……!?」

 

 バイタルサインが停止しているなんて思考の片隅にもなかった事態でした。

 一瞬機械の故障と考えましたがアリリンが作る道具は類を見ないほどの正確さと頑強さを誇ります。それは普段使ってる私自身が保証出来ます。出来てしまうのです。故障なんてありえないって。

 つまり画面に映っているのは見間違いでもなんでもない事実だって、デク君のバイタルが、心肺が停止しているって、非情な現実を突きつけてきます。

 

 「そんな……!?い、今デク君はどこに……!」

 

 動悸が激しくなって今にも泣き出しそうな気持ちになりますが、それを必死で抑え込みデク君が今どこにいるのか確認します。感情のままに泣くにしても暴れるにしても、まずはデク君の安否です。仮に病院に搬送されてましたらまだ一縷の希望があります!

 

 「場所は……えっ!?」

 

 発信器を受信するとすぐさま場所がわかりました。ですが発信源を見て驚きを隠せません。

 

 大きな病院の手術室?違います。

 デク君のいる事務所?違います。

 もしかしてまだ現場?違います。

 

 なんと発信源は……アリリンの研究室のひとつだったのです!

 

 どうしてデク君があの部屋にと考えましたが疑問はすぐ氷解しました。この部屋は医療機器が充実した部屋です。私も何度か診てもらってます。これはもしかしたらアリリンが瀕死のデク君を拾ってきたんじゃ……!

 そうとわかったらやることはひとつ、デク君の安否の確認です。もしかしたらアリリンが瀕死のデク君を回収して手術しているかもしれません。

 この部屋なら行き方はわかります。なんでしたらすぐそこです。だから私は飛び起き大急ぎで部屋に向かいます。デク君の無事を信じて。

 

 「アリリン!デク君は無事ですか!?」

 

 到着するやノックもせずに部屋に入った私を待っていたのは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゴボボ、ゴボゴボゴボボゴボボ(せめて、せめて人型生物に限定して下さい)!!」

 

 「なに言ってるかわかんなぁ~い。か~ら~の~キメラガチャスタ~~~ト~~~!!」

 

 ガボ、ガボボー(やめ、やめろー)!?」

 

 「」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 生首状態で培養槽の中からゴボゴボ音を出して猛抗議するデク君と、首から下のボディをスロットマシンで決めようと回転させるアリリンと、部屋の隅っこに切り離されて放置されてる全裸のデク君ボディが目に入ったのでした。

 

 デク君無事だけど全然無事じゃないです。

 でも生首だけなのにとっても元気です。

 というかアリリンのそれってもしかして斉藤君にやろうとしてたキメラガチャですか?

 しかも珍獣しか選択肢にありません。

 選択肢にあるポポロパッペロってなんですか?

 

 「…………ツッコミが追い付きません!」

 

 私そういうキャラじゃないんです。手加減してください!

 

 




今年中にトガちゃん回終わらせたいけど終わるかな……?

一瞬だけ考えて没にしたネタ:アリギュラ遭遇5秒前。
緑:交信阻止したし急いでトガさんに会いに行かないと!……ん、なんだこのメモ?
ア:BeHinD yOU.┓┏.
緑:僕指折られるの??????

元ネタはウォッチメンのロールシャッハ。
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