My Hero Battlefront ~血闘師緑谷出久~   作:もっぴー☆

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モンハンワイルズが楽しいので第四十三話です。

お待たせいたしました。お仕事と引っ越し作業が全然終わらないせいで書く体力がなかなか出来なくてつらたんです。
え、その体力をどうせモンハンに回してるんだろ?いえいえそんなことありませんよどっちかというとサイバーパンク2077を(ry


第43話:アフロがデフォになるまで爆破したる

 「いやぁーごめんね驚かせちゃって。ちょっと暴走しちゃったよ!」

 

 ランチラッシュ暴走から一分ほど、復帰したランチラッシュは無事元通りになった。

 荒療治(アッパー)によりランチラッシュが宙を舞うという事態に周囲から悲鳴と叱責をもらうことになったが、治療の一環という弁明と正気を取り戻したランチラッシュの執り成しもあり僕は事なきを得たのだった。

 いやあ、元に戻って本当によかった。じゃないとお昼いっぱいお説教は間違いなかったろう。救けていただきありがとうございます。そしてすみません僕の知り合いが。

 

 「え、もしかしてあの子たち緑谷君の知り合いなの?世の中狭いねえ」

 

 「元紐育(H・L)で知り合いまして……あの二人にはよく振り回されてます」

 

 「うーん一度も見てないのになんでだろう、振り回されてるのがありありと想像できる。言葉に悲壮感漂ってるから?

 ……やっぱあの子の言ってた彼氏って……いや、口にするのは無粋か」

 

 なにやら呟くランチラッシュ。あの、大丈夫ですか?殴った僕が言うのもなんですが気分が悪いのでしたらリカバリーガールに診てもらった方がいいのでは……?

 

 「ああ大丈夫大丈夫。むしろ絶好調さ!一日中料理してても問題ないよ!それに……」

 

 「ランチラッシュ!特製注文第三ウェーブです!北京一、コンフィ二、佛跳三、小籠二、ムニエル三、シェパード一、ま……まだまだ来ます!」

 

 「見ての通り過去一忙しい状況だからね!」

 

 後ろを見ればランチラッシュの料理を食べるべく生徒たちが押し寄せていた。修羅の時の料理が気になったんだろう、視線の先には先日のマスコミ騒動と見劣りしない数の生徒が押し寄せていた。デブ丼の店の押し合いみたいだなと、かつての思い出を空腹と共に思い出す。

 

 「さて、僕は調理に戻るよ。あ、今日は何を注文するんだい?」

 

 そうだった、まだお昼を注文していなかったんだ。ランチラッシュのキャラが濃すぎて忘れていた。え~っと、今日はカツ丼にしようかな。

 

 「……あ、いや、待てよ?」

 

 どれにするか逡巡する中でもしかしたらと思い付く。落ち着いたとはいえランチラッシュの腕はおそらく今が人生最高峰。それこそ口で説明した料理を完璧に仕上げてしまえるほどに。

 だから考えたのだ。今ならダイアンズ・ダイナーのバーガーを完全に再現できるかもしれないと!

 

 「例のバーガー……となると、うん。わかったよ。ちょっとこのウェーブ終わるまで待っててね!」

 

 僕の注文を聞いたランチラッシュは順番が来たら呼ぶよと告げ、調理台へと戻った。さて、注文は通ったしテーブルを確保するか。

 

 

 「はぁぁぁ……!」

 

 

 と思った矢先に背後からさっきと似たなにかを感じた。振り返ればランチラッシュの身体から再び闘気とも波動とも取れるモノが浮かび上がっている。待って再発した?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 幻覚か否か、さっきと違い突然視界に荒野が広がり、謎の重圧が降りかかる。どういうこと???

 

 

 

―――抜杓蓋米―――

 

 

 ランチラッシュが数えるのも億劫になるほど分身し山になってる食材を無数のランチラッシュが包囲。どこか故事を捩ったような言葉が紡がれながら分身が動き出し、高速で調理が進みだす。

 

 

 

―――牛飲馬食―――

 

 

 追加の四字熟語が紡がれ調理が完成間近に迫ると、仕上げとばかりに本体と分身が一斉に跳躍。

 

 

 

―――故膳鬼成!―――

 

 

 無数の分身が料理へ押し寄せ本体が完成の一撃()を叩き込む。気づけば一人となったランチラッシュがその場に佇み、その背中には再びの一文字が揺らめき、周囲には完成された料理が並べられていた。

 

 「さては全然治ってませんねランチラッシュ」

 

 アリギュラ、本当に指摘以外なにもしてないんだよね?こっそり改造強化とかしてない?本当に?

 

 どこからともなくしつこいと怒られた気がしたので僕は黙った。

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 「はい!特製バーガー出来たよデク君!」

 

 さて、ちょっとしたトラブルはあったがその後はこれといったこと―――そこかしこで雄叫びやオーバーリアクションが飛び交ったことは除く―――はなく、間もなく僕の分の料理も無事出来上がった。

 出されたバーガーを受け取りありがとうと一礼して席に戻る。少し時間がかかってしまったけど飯田君たちはすでに食べ始めているのかな―――

 

 

 「まだだ兄さん。僕も兄さんみたいな立派なヒーローになるべくまだまだ走り続ける……!」

 

 「どう母ちゃん、私こんなに上手くお米炊けたねん……!」

 

 「紅頼雄斗(クリムゾンライオット)!俺、俺アンタに憧れて……!」

 

 「テメエらの飯にゃヤクでも入っとんのか?」

 

 

 なんかかっちゃん以外トリップしてました。

 どうしたのか聞けば案の定ランチラッシュ作の料理が原因だった。かっちゃんは嫌な予感がしてランチラッシュに頼まなかったらしく事なきを得たようだ。いい勘だよかっちゃん。

 

 しかしご飯を食べてトリップとかモルツォ・グァッツァみたい…………いや、周りの惨状からしてまんまそれだな。

 僕も一度食べたがザップさん達共々トリップしだして正気を失われていくのをどこかで自覚しつつ―――自覚してたのは個性がわずかに抵抗したんだろうな―――次第に意識が混濁していって……………………クラウスさんに聞いた話だと、最後は典型的アメコミヒーローの顔でHAHAHA!って笑っていたとか。

 

 端的に言うとオールマイトモドキになっていた。そして今現在、周囲でも似たことが起こっている。一種の地獄かな?

 

 唯一の救いは一過性なのかみんな徐々に正気に戻ってきており、自然と収束することだろう。もしもフルコースや満漢全席が振る舞われていたら…………この部屋は食堂から動物園にクラスチェンジしていたかもしれない。

 

 ……あれ?もしかしなくても今のランチラッシュってモルツォ・グァッツァの料理と同じ現象を自在に引き起こせるってこと?なにそれ怖っ……。

 いや戦慄してる場合じゃないか。とりあえず気つけ。

 

 「おごっ!ここは……?俺は確か宇宙空間で虹の道を兄さんと一緒に走って……?」

 

 「うべっ!あれ、食堂?私母ちゃんと一緒におにぎりビルを建てて……?」

 

 「ぐえっ!はっ!?今紅頼雄斗(クリムゾンライオット)のリーゼントが天を突いて……!?」

 

 「この短時間でどういう展開があったの???」

 

 三人に気つけを行い正気に戻すや三者三様の反応を見せながら揃って困惑。三人の内容が気になるがひとまず置いといて何が起きたのか説明してあげる。ランチラッシュのご飯を食べてトリップしてたんだよー後遺症は多分ないだろうから安心してねー。

 三人は余計混乱した。うん、トリップするご飯とか訳わからないよね。間接的だけど知り合いがごめんね。

 

 「まさか料理ひとつでここまで心を狂わせるとは……。これが料理を極めた者の行き着く先か……!おみそれしました、ランチラッシュ!」

 

 「これが飯の極致っつーなら俺は死んでも食わんぞ」

 

 辛辣な返しだねかっちゃん。端から見たら怪しい組織による集団幻覚に見えなくもないから言いたいことはわかるけど。

 その後美味すぎるだけで害はないと納得した麗日さん達は食事を再開。恐る恐るながらも口をつけては叫びそうな声を抑えつつ極まった美味さに感動するのだった。さて、みんな落ち着いてくれたし、僕もそろそろ手をつけようか。冷めたらもったいない。

 

 「あ、かっちゃん。念のためトリップしたら気つけお願い」

 

 「アフロがデフォになるまで爆破したるから安心しろや」

 

 うーんとってもいい笑顔。爆破の大義名分のために早くトリップしろというのがひしひしと伝わってくる。

 

 「いただきます」

 

 意を決して食事を開始。目の前にあるバーガーはまさにThe・バーガーと言える姿をしており、視界を楽しませてくれる。言っていないはずなのにパンズにはあの店で入れている三本線に横線一つの切れ込みがはいっていた。

 手をつけるとパンの柔らかい感触と共に、わずかに炙られた、サクリとした感触が伝わってくる。この時点で胃が早く食べたいと訴えかけてきている。その欲望に応えるべく大きく口を開き、ガブリとかぶりついた。

 

 「―――!!!」

 

 味わった瞬間、僕は驚き目を見開いた。そのバーガーがあまりにも美味しすぎたから―――ではない。

 むしろ味としては向こう(H・L)で慣れ親しんだ、アメリカンと言わんばかりの味だ。

 

 じゃあなにに驚いたのかと言われたら……このバーガーの味がまさにダイアンズ・ダイナーの、あの親子の作るバーガーと一緒だったからだ。

 

 パンズの食感も、トマトの厚みも、パテの味付けも、そしてソースの酸味すらそっくりそのまま再現されていた。それこそ、今この場所がダイアンズ・ダイナーだって言われても信じてしまえるほどに。

 

 僕は一心不乱に食べた。大口を開けて何度もかぶり付いては飛び出るソースを行儀悪く手で掬いなめとった。

 付け合わせのポテトも塩気が程よくこのバーガーを引き立て、そのうえで飽きさせず名脇役の存在感を醸し出している。細さもあの店そっくりだ。

 

 バーガー、ポテト、バーガー、ポテトと交互に貪り瞬く間に全て平らげた僕はホッと一息、喜びを噛み締めながらコーヒーを飲む。おそらく今の僕は誰が見ても至福の一時を堪能したというのがわかるだろう。

 

 「無心で食べきったな。そんな美味かったのか?」

 

 「うん。すごく美味しかった。まさか行きつけの店のバーガーをここまで完璧に再現しきるとは思わなかったよ。ここ最近で一番幸せかも」

 

 「そこまで言うのか。……なんか俺も食いたくなってきたな」

 

 僕が心底美味しそうに食べる姿に、切島君も気になってしまったようだ。ただ、今まさにお昼を終えたせいもあって入りはしないだろう。見事な生殺しだ。是非とも明日頼んでみるといいよ。

 

 「すっごい食べっぷりでしたねデク君!お味はどうでしたか?」

 

 「完璧な再現だったよ。今も感動に打ち震えてるし、なんなら気を抜いたら涙が出そう」

 

 「えへへ……そこまで言ってくれるんだったら頑張った甲斐がありました。あ、デク君コーヒーなくなってるよ。おかわり入れるね!」

 

 「あ、本当だ。わざわざありがとうトガさん」

 

 「どういたしまして!」

 

 ちょうど飲みきったところを見計らってトガさんがコーヒーのおかわりをくれた。コーヒーが飲み放題なのも再現してるのか。至れり尽くせりだな。

 一口口にいれる。うん、コーヒーの濃さもいい感じだ。量産品の味であるが、あの街で慣れ親しんだ味でもある。食後にはこれがちょうどいい。

 

 今日のお昼は至福の一時だった。これなら午後からの授業も最高のコンディションで迎えられるだろうと実感し、再びコーヒーを口に入れ

 

 

 「ブッフウ――――――!!!?」

 

 

 盛大にコーヒーを吹き出した。向かいにいたかっちゃんの顔面に直撃した。

 

 

 「あっっついわゴラァッッ!!」

 

 

 キレたかっちゃんによる渾身の爆破が炸裂。僕はアフロになった。

 うーんかなり痛い。さてはトリップを期待してこっそり汗を溜め込んでたな?みみっちいぞ。

 

 「ってくだらないこと考えてる場合じゃない!トガサン?トガサンナンデ!?」

 

 「はい、デク君のトガヒミコです!でも私のことよりデク君です!アフロになってるよ!あ、でもこれはこれでファンシーで素敵です」

 

 「いやファンシーで素敵、じゃないよ!いつからここにいたのさ!?」

 

 「え、デク君にバーガー出した時からいましたよ?」

 

 え、そんな前からいたの?ちょっと待って受け取った時を思い出して…………、

 

 

 ―――はい!特製バーガー出来たよデク君!―――

 

 

 「……あっ、本当だいた」

 

 「はい、スルーされてちょっと驚きました」

 

 いたよ普通に。しかも名前呼びしていたよ。

 帽子とマスクをしていたとはいえ何度も見た顔なのにトガさんと認識出来なかったんだけど。貴方の隠密技術もはや個性レベルで超常化してませんか?貴方もどこへ向かってるのさ本当。いや別に褒めてないから照れない。

 というかこのバーガーはトガさん作か。そりゃあ瓜二つなわけだ。だって彼女一時期ダイアンズ・ダイナーで働いてたんだから……じゃなくて!?

 

 「そ、そもそもッ!なんで学校の台所使ってるのさ!ランチラッシュに怒られるよ!?」

 

 「あ、それに関してはご安心を。従業員として作りましたから大丈夫です。ブイッ」

 

 「えっ」

 

 「あれ、オールマイトから聞いてないです?私今日から雄英の食堂で働くことになったんだよ」

 

 「え"?」

 

 

 

 

 

 え?

 

 

 

 

 

 え?????

 

 

 トガさんがここで働くことに?文字にして十文字ちょいの言葉なのに僕は理解できず思考が停止した。いや本当なんでさ???

 宇宙を背景に僕の頭上ではハテナがドッグファイトを繰り広げる。あ、あのハテナ塚内さんの頭上でも飛んでいたハテナ(37話参照)だ。もしかしてハテナって概念じゃなくて個別に存在して近くに飛んでるの?

 

 「デ、デク君。そのお姉さん知り合い?」

 

 「私ですか?」

 

 呆然とするみんなを代表して麗日さんがトガさんが何者か確認を取ってきた。まずい、あることないこと言われても困る。僕は急いで混乱から復帰、余計なことを言わぬよう釘を刺し―――

 

 

 「初めまして、私はトガヒミコって言います!

 

 

 デク君の彼女です!

 

 

 『かのじょぉおおおおお―――!!?』

 

 「ちがいます」

 

 『どっち!?』

 

 

 時既に遅し、釘刺しが間に合わず彼女に発言を許してしまった。聞いたみんなは揃って驚き叫んだ。当然だろう、突然僕の関係者に年上お姉さんの彼女が現れたのだ。いや彼女じゃないけど。

 彼女が外堀を埋めてくるのは想定通りなので即ただの友人兼ストーカーだと訂正。周囲は情報の殴り合いに混乱。トガさんもえっ?と驚いた表情を見せる。いやそこ、違うのって顔しない。

 

 ちがう?なんで?あ、そうじゃなくて、ふむふむ、それじゃあと呟いてはこくこくと頷き咀嚼している。しばらくしてああなるほどわかりましたと、笑顔で手を叩き納得したような表情を見せた。もう嫌な予感しかしないので即訂正出来るよう身構えておく。

 

 

 「えへへごめんなさい、間違えちゃいました!

 

 

 デク君のお嫁さんです!!

 

 

 『およめさんんんんんんんんんッッッ!!?』

 

 「ちがいます」

 

 『どっち!?』

 

 

 嫌な予感的中。何故かランクアップした関係をもう一度訂正。いいかいトガさん、僕ら友達。アイアムユアフレンド、ユーアーマイフレンド&ストーカー。ドゥーユーアンダースタン?

 ふう、これだけ念押しすれば周囲にトガさん=僕の嫁という誤解は解けるだろう、多分。

 

 「どうしましたか緑谷さん。なにやら騒ぎになってますが」

 

 「ホワット?緑谷クン、そちらノコックさんはお知り合いですカ?」

 

 「ん」

 

 とか言ってたら僕らの騒ぎを聞いたのかAクラスの、しかも女子陣が集まってきてしまった。近くにいる生徒もなんだなんだと注目するおまけ付きだ。ええい、一難去ってまた一難。

 

 「ほほうこれはこれは美しい……。お姉さん、オイラは峰田実。ヒーロー科一年Aクラス、その男のご友人です。以後お見知りおきを。お姉さんのことを教えていただいても?」

 

 「あ、バカ」

 

 追加でやって来た峰田君がトガさんを見るやお近づきになるべく紳士的にナンパしだした。三秒後さっきと同じやり取りをした。女子からキャーっと歓声が、峰田君からギャーッと悲鳴が響き渡ったのは言うまでもない。自分から無意味に傷つきにいって楽しいかい?

 

 「緑谷てっめええええええええ!!なんでこんな、こ、こん、こんな元気ハツラツな猫ちゃん系巨乳お姉さんの存在を隠してやがったんだああああ!!し、しかも、しかも嫁だとか、ザッケンナらあああああ!!!」

 

 「お願いだからややこしくなる発言は控えて」

 

 ナンパ失敗……どころか友人の(スケ)という返答を受け、峰田君はそれはもうたいそうお怒りのご様子。嫉妬の炎を燃やしてつかみかかってくるが避けながら淡々と説明する。シーイズマイフレンド以下省略。

 

 「むー、相変わらずデク君のガードが固すぎです。私の何が不満なのかな?」

 

 「……ノーコメントで」

 

 一割は純愛百%の刃傷沙汰、二割は僕の個性で彼女に与える危険、七割は些細な事でも報復してくるだろう外付け(アリギュラ)への恐怖が原因なんて言えるわけない。トガさん経由で耳に入ったら何言われるか。いや、なにも言わず解体(バラ)すか。

 

 ……ところで楽しそうなところ悪いけどトガさん仕事は?コーヒー淹れに来てからそれっきりだよね?さすがにサボったらランチラッシュ達に怒られるよ、ほら睨んで…………るどころか微笑ましそうにこちらを見てるんだけど。なんでさ?

 ちょっと、なんで今サムズアップしたのランチラッシュ。それはあれですか、サボって平気だよって意味ですか?それともグッドラックって意味ですか、ねえ?さてはすでに外堀埋めたなトガさん??

 

 「え、トガさんってその見た目でほぼ同い年なの!?」

 

 「こう見えて十七歳です。ちょっと個性事故にあって急成長しちゃいまして、今ではデク君もドキドキの素敵なお姉さんボデーです。だから気にせずヒミコちゃんって呼んでね!」

 

 「被害にあってるのにすっごいポジティブ思考」

 

 少し目を離してる間に向こうは向こうで盛り上がりだしている。距離を詰めるのが本当上手いなトガさん。

 あ、トガさん身体は個性事故のせいってことにして年齢は戸籍に合わせてくれたのか。変に隠すよりもいいし口裏も合わせやすくて助かる。

 ……トガさんがここで働く以上広く交友関係をもってほしくもあるし、しばらく(けん)に回るべきかな?でもいつ爆弾が投下されるかわからないしなあ……。とりあえずすぐ釘指しとフォローが出来るようにしておこう。

 

 「ですが大変ではないでしょうか?同年代ですのに学校に通うでなく働きになられているあたり、なにか事情があるのか考えてしまいます。もしや身体のことで?もしそうでしたら私たちでもなにか力になれるようなことがございましたら―――」

 

 「あ、学校行ってないのは失恋して無断でニューヨークに無期限傷心旅行に出たからだから大層な理由はないよ。勉強もマブ(アリリン)にたくさん教えて(脳内インストールして)もらってとっても賢くなったから行く必要もないですし。身体はむしろデク君を誘惑出来る爆アドなのでノープロブレムです!」

 

 「この人無敵ノコ」

 

 「ニューヨーク……、もしかしテ緑谷クンとはそこでエンカウントヲ?」

 

 「はい!チンピラさんに絡まれてるところを救けてもらいました!空から降ってきたデク君はとっても素敵でかっこよかったです! 

 あ、でもかっこいいだけじゃないんです。たくさんの人の手助けする姿も優しくて素敵だし、感謝されて照れてる姿もカァいいです。拗ねて塩対応してくるデク君も微笑ましいです。なにより!ボロボロになりながら(ヴィラン)をやっつけるデクくんは見てるだけで心も身体もポカポカするくらいかっこいいんです!見るたび好きが更新されていきます!」

 

 「緑谷のこと好きすぎじゃない?聞いてるこっちが恥ずかし……」

 

 「へ、へぇー。ヒミコちゃん色んなデク君を見てきたんだね。……かっこいいのちょっとわかるかも……

 

 ちょっと飛ばしすぎじゃないかなトガさん。距離の詰め方を見誤らないか不安を覚えてしまう。いやまあそんなヘマをする彼女じゃないけど。

 ……まあお互いの楽しそうな姿を見ていると心配しなくていいかな。むしろ生い立ちを聞いた身としては頑張って君の普通を受け入れてもらえる下地が作られることを願うよ。

 雄英ヒーロー科生徒の善性は強い。事情さえわかれば案外いけるかもしれないし、みんなにも出来ることならこのまま仲良くなって彼女の普通を怖がらない友達になってあげてほしいな。

 

 「ところで気になったんダケど……実際緑谷とはどこまでいってるノコ?友達の関係で終わってるようには見えないし」

 

 「そうね。実際のところどうなの?むしろどこまでいったことあるの?A?B?もしかしてC?」

 

 「んっ」

 

 「ちょっと、三人ともやめなって!いくらなんでも下世話すぎ!」

 

 「非常~に残念ですがまだAも半ばです。色々あって積極的スキンシップの許可をもぎ取れたのですがやはりガードが固いです。せめてCには到達したいです」

 

 「かなりノリ気だしすごい強欲……!」

 

 「オウ、積極的スキンシップ……!」

 

 待って流れ変わった?なんか突然女子達の目が光ったように見えたんだけど。

 

 「ねえ、怖いもの見たさでどんなことしてるのか教えてもらっても?」

 

 「ふふふ、それはもう色々です。お手手をにぎにぎギューッてしたりハグからのデク吸いなんかしてデク君を堪能してます!なんでしたらほっぺにチューとかもします。毎回顔真っ赤にしてプルプル踞っててカァいいです♡だけどお口にはさせてもらえません。気配を消して不意打ちしても全力で避けます。

 その時デク君何て言うと思います?「僕なんかよりいい人いるだろうからその人のために取っておきなさい!」ですよ?デク君以上にいい人なんていないのに。おかしいよね?」

 

 「ちゅー!?」

 

 「おやおやおやこれはこれはこれは……。…………ねえ、いっそ夜這いとか考えたりしないの?」

 

 「すでに何度も試してますが駄目です。お布団に潜り込んだらカァいい悲鳴を上げて逃げだしては朝まで(ヴィラン)を殴り飛ばしてました。デク君のガード固すぎです。腹筋みたいにガッチガチです。もしかしたらクラウス君の不壊盾並かも」

 

 「緑谷こんな可愛い女の子の夜這いを逃げ回るってヘタレすぎノコ」

 

 「ふ、腹筋ガチガチなんや……!」

 

 「いやそれより逃げた後の緑谷ロックすぎない……?」

 

 「そうですヘタレです。ヘタレヒーローです。以前もデク君の誕生日にベッドの上で裸リボンになってコンドームを添えながら私をプレゼントしたら茹で蛸になって雄たけびを上げながら窓を突き破って逃げちゃいました。あ、その日はちょうど警察が(ヴィラン)組織の一斉検挙を行ってたので飛び入り参加で暴れてました」

 

 「みどりっやつっぱったっから○※□◇#△▲☆=¥!>♂×&◎♯£あああああああああああ!!」

 

 「トガさああああんッ!!?」

 

 やりすぎだトガヒミコッ!ここは学生が食事に来る場所であって猥談をぶち込む場所じゃない!

 周りを見ろ。女子は顔を赤くしておおはしゃぎだし男子からは嫉妬の視線が飛んでくるしなんなら幾人か前かがみだし峰田君は血涙流して発狂してる!生徒の!教育に!!悪いッ!!!

 

 「トガくーん!食堂(ここ)でそういう話をしないの!せめて他所でなさい!」

 

 「あ、ごめんなさい楽しくてついつい熱が入りすぎちゃいました!」

 

 ほらランチラッシュも怒ってるじゃないか。恋バナ……恋バナ?はそれくらいにしてさっさとお仕事に戻りなさい!研修中でしょ!

 

 「デク君もかなりお怒りなのでお仕事に戻りましょう。ごめんねみんな、恋バナはこれでおしまいです!」

 

 退散を決め込んだトガさんはまた後でねとこちらに手を振り厨房へ戻るのだった。

 後には肩で息をし疲れ果てた僕と困惑する飯田君達、十人十色の反応を向ける女子達、そして嫉妬に狂う峰田君が残されるのだった。

 

 「なんなんだ緑谷ぁ……!あんな一途でスケベボディなお姉さんが召し上がれってしてるのに万歳突撃しないなんてあり得ねえぞ……!なんだ、不能なのか?それとも男がいいのか……!」

 

 「ちゃんと機能するしノーマルです」

 

 「んじゃあなんで手ぇ出さねえんだおめえはよおッ!?ハッ、もしかしてあれか?ニューヨークにいたころアメリカならではの性の奔放さで金髪巨乳グンバツチャンネーなセフレ作って致してたのか?そのヒーロースマイルで女を堕としてとっかえひっかえしていたからあの程度じゃ食指が動かねえのか!!?」

 

 「人死にが出かねない発言はやめろ!?」

 

 糾弾するのは百歩譲って許すが、こっちは爆弾(アリギュラ)抱えてるんだ。誤解を招くことを言って命の危険に晒そうとするな。

 

 言っておくが僕だって男だ。彼女が夜這いする度にドキドキしっぱなしだし、息子も反応している。ただ先程も言った通り刃傷沙汰や血液摂取などの間違いが高確率で起きる。

 僕が怪我するだけならともかく万一彼女が怪我したり傷害罪が適用されるような事態になったとしよう。絶対アリギュラが激おこで暴走車を持ちだす。そしてシャレにならない死傷者が出る。

 全体に及ぶ被害を考えると毎回耐えて外で発散―――無心で(ヴィラン)の無差別制圧―――するのが一番平和的解決なんだ。後治安もよくなるし。

 

 大体金髪巨乳グンバツチャンネーっていうけど……そんなピンポイントな人知り合いにいないよ。

 チェインさんもニーカさんも、後アリスさんやエステヴェスさんにアニラさんも金髪じゃないし、ビビアンさんは人並み。K・Kさんはむしろ貧……スレンダーなモデル体型だ。そうそうそんな人に巡り合わないから夢を見すぎないように。

 

 「年上のお姉さんってカテゴリだけでそこまでポンポン名前が出てくること自体羨ましいんだよちくしょおおおッ!」

 

 いや知らないよ。ああ言えばこう言う。

 

 結局何を言ってもキレる峰田君を前に僕はどうすることもできず、オールマイトを口実に逃げることにした。せっかくのダイアンズ・ダイナーの味を堪能出来たのに調子は最悪だ。恨むぞトガさん……。

 

 

 「緑谷」

 

 「小大さん?」

 

 と、食堂を出ようとしたところで小大さんに肩を叩かれた。えっと、まさか励ましてくれてる?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「据え膳食わぬは男の恥よ。今晩レッツゴー」

 

 「初めてのまともな台詞がそれでいいのかアンタ!?」

 

 レッツゴーじゃないよ!ああもうインタビューの時から思ってたけど小大さん、アンタ実は愉快枠だな!?

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 「ん"っ?」

 

 「どしたんすか姐さん、不機嫌な顔して?」

 

 「今身内の誰かが私の悪口を言ったわ」

 

 「へ?いやいや何言ってんすか。知り合いのなかで姐さんに悪口言う奴なんていやせんって」

 

 「いーえ私の勘が囁いてるわ。誰かが大ッ変!失礼なことを言ったって。そう思わないかしら~スティーブン先生~?」

 

 「なんでもかんでも真っ先に僕を疑うのはやめてくれないか。他にも可能性があるだろ。例えば……あー、レイエスが酔ってつい溢してしまったとか、モリソンがなんとなく口走ったとか。後は……イズク少年あたりがうっかりと」

 

 「絶対彼は違います」

 「賭けにもならない予想っすよ」

 「あり得ないです」

 「解釈違いかと」

 「些か、想像出来ませんね」

 「彼がそのような言を発するとは思えないが」

 「うちの義息子疑うのやめてくれないかしら」

 

 「言ってて僕もないなと思ったよ。……はあ、この合唱だけで彼が如何に我々に愛されているか、よーくわかるよ」

 




緑「あ、そういえば裸の金髪巨乳グンバツチャンネーに抱きつかれたことは一度あったや」
峰「ギルティ。お前を○す」デデン
緑「クリオネの個性持ち(型異界人)のカニバリスト(ヴィラン)で捕食目的で抱きついてきて顔が寄○獣みたいに割れても?」
峰「…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………執行猶予!」
緑「それでも許されないんだ……」


※おまけの女子陣の恋バナ()反応。
麗日→茹でダコおめめグルグルであわあわ。
耳郎→顔真っ赤でトガちゃんの猥談に苦言。
八百万→茹でダコドキドキしながら耳が象さん。
小森→顔を赤らめてキャーキャー楽しんでる。
柳→目を輝かせて続きを催促。
角取→色々想像してアメイジングとか言ってる。
小大→テ ン シ ョ ン 上 が っ て き た (AA略)

とりあえず小大ファンの方、ごめんなさい。

【誤字報告】

 御影鈴さん。 Galciaさん。 エビ+Cさん。 5W1Hさん。

誤字報告ありがとうございました。
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