My Hero Battlefront ~血闘師緑谷出久~ 作:もっぴー☆
毎度お待たせしました。ちょっと一回本文が消し飛んでモチベ低下してましたがついに体育祭第一種目開始です。今回一位を取るのだ誰か?
ひとつ言えることは……気軽にダイスは振るなということでしょうか?
ミッドナイトによるスタートの合図がスタジアムに響き渡り、呼応するように生徒たちはスタートを切った。
百人以上の生徒たちが一斉に地を蹴り鳴らし、我先にとゲートへなだれ込む光景はまさに人間津波である。それを後方で見ていた緑谷は、改めて前のマスコミ騒動を、あの時の食堂の光景を思い出していた。
「ってなんじゃこりゃ進まねえッ!」
「ゲート狭すぎでしょ!?」
「やっぱりこうなるよね……」
案の定というべきか、ゲートはなだれ込んだ生徒達であっという間に詰まりだし、出だしの勢いはすぐさま削がれた。すし詰め状態から牛歩の歩みとなる生徒を前に緑谷は苦笑いを零し、そろそろ行くかと行動を開始した。
「ちょっとごめんね肩借りるよ」
「ぐえっ!?」
流れが止まった場所へ向かいジャンプ、ちょうどいい生徒の肩を足場にさらに跳躍する。
下が無理なら上を行けばいい。緑谷は遮るものがない空中に躍り出るや血糸を駆使して某蜘蛛男の要領でスイングして前へと進んでいく。
チラリと下を見やると、そこには地面が見えぬほどひしめく生徒達。緑谷はデブ丼の店に入った時の圧迫感を思い出すなーと、くだらないことを考えながら悠々と出口まで進んだ。
出口にたどり着いた緑谷は最後に勢いをつけて前方に着地。最初の関門であるゲートを無事通過するのだった。
が、同時に足元から広範囲に広がる冷気を感じとった緑谷は再び跳んだ。
「なんだ凍った動けん!!」
「寒っみー!?」
「ザッケンナコラー!!」
瞬間、パキンッと地面は氷で覆われだし周囲の生徒達を巻き込んだ。足を奪われ動けなくなる生徒が続出したが、幸い緑谷は飛び上がったことで回避に成功。着地も双翼刃を作って足元に投擲し、足場代わりにすることで問題なく凌いだ。
「危ない危ない。この氷の出処は……やっぱり轟君か」
緑谷の視線の先には妨害を行った下手人である轟焦凍が映っていた。あのすし詰めの中から一足早くゲートを抜け、さらにライバルたちの妨害もこなすあたりさすが推薦組と言えよう。
「甘いですわ轟さん!」
「そう上手くいくと思うんじゃねえ半分野郎!!」
しかし妨害を喰らう生徒ばかりではない。ヒーロー科を筆頭に回避あるいは対処していく生徒が次々現れだす。地力で、あるいは個性を用いて各々道を切り開き負けじと食らいついていく様は一様に侮れない。
「僕も負けてられないな」
競技はまだ始まったばかり。緑谷もこの程度で委縮することはない。むしろ轟が後続を潰してくれたおかげで妨害の心配をせず気兼ねなく走れるとすら思っているし、皆の本気が伝わってきて一層やる気を漲らせいる。
「よっと、お先に失礼!」
「ちっ、はええ……!」
地面を蹴り抜き風を切る心地良い感覚を受けながら先頭に飛び出す緑谷。轟も負けじと追いかけるが距離が縮まらず苦虫を嚙み潰した表情を晒す。
『さぁーゲートの洗礼をいち早く抜けたのはA組轟と緑谷だ!続いて爆豪、B組の塩崎、骨抜、A組飯田と順に続いていく!他の奴らも急げ急げ、差つけられんぞー!』
リードを奪えたが油断は出来ない。爆豪や飯田といったスピードタイプの生徒が遅れているのはスロースターターなためだ。身体が温まればすぐにでも追いついてくるうえ、他にも速度自慢の個性を持った生徒が多数いるやもしれない。緑谷も目を見張る速度を出してるといえさすがに特化している相手には分が悪い。轟の妨害がまだ響いてる内に差を広げるべく走り続ける。
「標的発見!首席ダ!首席ダロ?オ前首席ダロ!首オイテケ!」
「なんか見たことある物騒なの来た!?」
が、ここで突如デジャブを感じる口悪ロボットが横から襲ってきた。物騒な物言いと共に襲って来たが、大した速度でもないため余裕を持って回避。そのままカウンターで拳を叩き込み破壊する。
だがその間に同じようなロボットが次々姿を現し、その身体で道を塞がれたことで出鼻を挫かれてしまうのだった。
『そう簡単にはいかないぜ先頭組!早速ひとつめの障害物だ!まずは手始めの……!』
マイクの声に呼応するように今度は巨大なロボットが姿を現した。それも一機や二機ではない、十を超えるほどの数だ。さらに周囲には人くらいの大きさのロボットも追加で湧き出してくる。
緑谷は……否、ヒーロー科の入試を受けた生徒たちはこのロボットを知っている。
そう、かつて入試の際生徒達を襲い会場である街を破壊したロボット……!
「第一関門、ロボ・インフェルノだ―――!!」
0ポイント
「斗流血法カグツチ刃身の壱焔丸七獄ぅッッ!!!!!!」
ゴッバアアアアアアアアン!!!!
『ええええええ―――!!!?』
紹介が終わった瞬間緑谷は七獄を放った。むっちゃ早口で。
些か以上に威力のこもった炎は正面を陣取るロボたちに襲い掛かり焼いていく。その威力はまさに地獄の業火と呼べ、くらった0ポイント
「予算――――――――――!!!?」
ついでに関係者席からも悲鳴を上げて崩れ落ちる教師がいた。見なかったことにしておく。
『ノーマーシーだぜA組緑谷!速攻でロボを消し炭にしやがったー!!容赦なさすぎて恨みでもあんのか疑っちまうぜオイ!』
「僕は別段コイツ等に恨みは………………小指の爪の端の端くらいならあるのかな?いやでも入試の時に
『嘘つけメッチャ殺意マシマシじゃねーか!見ろよパワーローダーがショック受けて崩れ落ちてるぞ!』
「いえいえ本当に僕は大して恨んでません。今回もただ……」
「大丈夫麗日?顔色が悪いよ」
「う、うん、平気平気。ただちょっと入試のこと思い出しただけやから、うん!……デク君のスーツ……乙女の尊厳……クリーニング…………うっ、頭が……!」
「あーうん…………………………………ドンマイ」
「大切な友人に特大ダメージが入ってるんでその報復をしただけです」
緑谷が指さす方角には麗日がいた。どうやら入試で起きた例の醜態―――とクリーニング代という手痛い出費―――の記憶を掘り起こしてしまいダメージを受けたようだ。それを同じ会場にいた耳郎が慰めている。
大切な友人の心にダメージを与えられたことにちょっぴりご機嫌ななめな緑谷。最近アリギュラのせいでストレスも溜まってるしここで発散がてらもう少し報復しようかなー全0P
「オイ、コノ生徒ヤバクネーカ?」
「盛リ上ゲルタメニ記憶チップゴト焼カレルノハ流石ニ嫌ダゾ」
「親分ニ恨ミガアルッポイシ一旦離レヨウゼ」
危険を察したのかロボ達が緑谷と0P
『あー…………そっか、あのアクシデントか。オーケー把握した、トラウマ起こしちまう結果になっちまったようでソーリーだお二人さん。
だーけーどーだー!ヒーローなんてトラウマのひとつやふたつ越えられなきゃやってけねえぜ!これも試練と思って受け取りな!』
察したマイクは謝り諭した。ヒーローなんて
『なんて話してる間に緑谷が早速第一関門クリアしたぞー!お前らあれ見習えとは言わねえが急げ急げー!』
それはそう。こんな
◆◆◆◆◆
ロボの大群を潜り抜け無事第一関門を突破した緑谷は依然先頭をキープしていく。
だが余裕があるとは別に思っていない。突破したのは第一関門。まだ見ぬ第二第三の障害が立ちはだかる以上簡単に気を抜く事は出来ない。
いつどこから何がくるか、目を光らせ走り続けることしばらく、緑谷の前に遂に二つ目の障害物が姿を見せた。
見せたのだが……ここまでやるか雄英体育祭?
『ロボットを怖がらせて抜けるとか予想できなかったが次はそうはいかねえぞ!落ちれば谷底真っ逆さま―――それが嫌なら這いずりな!第二関門、ザ・フォ―――――――――ル!!!』
眼前に広がるは断崖絶壁という言葉が似合う巨大な裂け目。そこから円柱がアトランダムに生えており、さらに足場だと言わんばかりに各々ワイヤーが張られていた。
一応ワイヤーは成人男性の腕程に太く、しっかり固定している。谷底にもクッションを敷いているため命の心配はないが、それでも落下の恐怖を思えば足がすくんでうまく進めない生徒が間違いなく出るだろう。
『さあ後続もドンドン見えてきたぜ!緑谷に続いてA組轟とB組塩崎が並んでやってきたー!オラオラ後ろも根性見せろ先頭は谷底にビビって―――』
「しかしこんな凶悪な障害物を用意するのにどれだけ予算が使われたんだ?国立だからって潤沢とは限らないし。……もしかして個人出資?いやさすがに無理が…………根津校長の存在を考えるとあり得ないって言いきれないな。あの人絶対お金持ってるだろうしついでにノリもいいし。先生方もプルスウルトラするつもりで計画立ててそうだ……セメンタスとパワーローダーがいれば制作の敷居も低くなるし人夫もエクトプラズムがいれば補える……うわっ改めて反則だな個性って。この光景
『な―――い!?めっちゃブツブツ言いながら走り抜けてたー!』
緑谷は速度を落とすことなくワイヤーを走り抜けていた。これにはマイクももっと苦戦してくれよと叫んでしまう。
だが考えてみよう。しっかり張られた頑丈で太いワイヤーは揺れる心配がほとんどない。つまり足場として十全以上に機能しているのだ。そんなもの緑谷からしたら地面と変わらず怯むことなんてありはしない。
『おッ前せっかく用意したステージを雑に攻略してんじゃねえよ!余裕ありすぎねえか?怖くねえのかよ!?』
「そんなこと言われても慣れてますし……。修行時代、渓谷の間に張った不安定な蔦の上を命綱なしで渡らされて、さらに目隠ししたうえで師匠が当てる気満々で攻撃を四方八方あらゆる方角から繰り出してくる修行とかしましたし。飛んでくる攻撃を空気の揺れなどで察知して避けて捌いてでも喰らって川に落ちて心停止しては蘇生を繰り返すあの修行を知る身としてはこの程度イージーもいい……ところ………………………ははっ思い出したら震えてきたや。本当勘弁してください師匠せめて目隠し取らせてください暗闇から飛んでくる血拳を避けるとか無茶振りが過ぎますほら言ってる間にザップさんの悲鳴が聞こえてますよ落ちていきましたよねこれ…………おい誰だ僕の身体に空斬糸巻きつけてるのもしかしなくても
『なんかブツブツ言って震えだしたぞ!?なんだ、今更怖くなったか!?』
『そっとしてやれ山田』
『イレイザーが優しい!?マジでどゆこと!?』
「おっといけない、またトリップしてた」
久々に
◆◆◆◆◆
『さー先頭が頭一つ抜けて下はダンゴ状態だが、チラホラ先頭に近づいてる奴もいるな!お前らこのまま緑谷に持ってかれるなんてつまんねえことすんなよ!下も上位何位までが通過するか公表してねえから安心せず突き進め!』
第二関門をクリアし、トップを独走する緑谷。だが、マイクが言うようにどんどん先頭へ近づく生徒が出始めているようだ。おそらく爆豪や飯田といった生徒だろう。
後半は彼らの個性が温まり本領を発揮する時間だ。ここからは逆転されてもおかしくないと、少しでも差を広げるべく緑谷はさらにギアを上げて……第三関門に到着したことですぐさまギアを戻した。
『先頭が早くも最終関門に突入だ!かくしてその実態は―――一面地雷原!その名も怒りのアフガンだ!!地雷の位置はよく見りゃわかる仕様になってるぞ!目と脚酷使しろ!!
ちなみに地雷、威力は大したことねえが音と見た目は派手だから失禁必至だぜ!!』
嫌すぎる副次効果である。仮に失禁したら間違いなく卒業まで擦られるだろう。そんな未来を避けたい緑谷は試しにと血槍を形成し、地雷へ向けて投擲した。
投げた槍が地雷に接触すると同時にBOMM!!と派手な音を鳴らし爆発。投げた槍は爆風に巻き上げられ盛大に宙を舞った。
「……いやこれ
これで大したことないと断言して生徒に差し向けるあたりこの世界の人間も大概頑丈だよなあと、緑谷は呟く。
『さあビビり散らす姿を全国に流されたくなきゃしっかり探して切り抜けるこったあ―――』
「まあ踏まなければいい話だけど」
『ここもフッツーに走り抜けるのかよ緑谷―――――!!?』
速度をほぼ落とすことなく走り抜ける緑谷にマイクはチクショーメーと叫んだ。
隠し方がお粗末で回避が容易、吹っ飛ぶのは
『だからお前怖くねーのかよ!あの爆発で宙に浮く感覚俺は結構怖かったんだぞ!?』
「試したんですかマイク……。僕はまあ、本物の地雷原の上で師匠の殺す気満々の猛攻を無限に凌ぎ続ける修行とかよくしたので今更です」
『ガキになんちゅう修行させてんだお前の師匠は!鬼か!?』
悲報、これより酷い修行を経験済みである。さらりと告げられる師匠の所業にマイクも鬼かと物申した。
「デス仙人です」
『畏怖と畏敬どっちが込もってんのかイマイチわかんねー!!』
そしていつもの返しである。ザップはクソ爺やボロ雑巾などと敬意の欠片もない呼び方をしているので、それを考慮すればこの呼び方は畏敬に分類されるんじゃなかろうか。知らんけど。
「地雷なんざ!俺には関係ねえッ!!」
マイクと
緑谷が振り向くと、そこには射殺さんばかりの眼光を向け飛んでくる爆豪が迫ってきていた。その後ろにも轟を始めとした見知った顔がチラホラ見える。
どうやら皆のエンジンが全開になったようだ。緑谷の想像を上回る生徒達の勢いに内心喜び、同時に接戦の勝利になりそうだなとわずかに焦る。それでも一位を取る気満々なあたり頭斗流であるが。
「いつまでも見下せると思うなやデクゥッ!!」
『ここでA組爆豪勝負を仕掛けてきたー!オラメディア共カメラ回せ回せ!つまらねえ独走状態からの視聴率チャンスだー!』
が、その余裕はすぐに消え去ることになる。力む動作をした爆豪は気合の叫びを上げるやひと際眩い爆発が起こし、一気に加速。文字通り緑谷の真上を取った。
加減してる、条件が違うという理由はあれど、追いついてみせた爆豪に対し緑谷はマジかとおおいに驚いた。
「ついでに……こいつを喰らえやッッ!!」
「えっ?」
そこへ爆豪は緑谷へ向け腕を振り下ろし大量の汗を降りかけていき……勢いよく爆発させた。
「
BOM!BOMM!!BOOOOMMM!!!
「ドワッバ!?」
爆破は一度で終わらず、爆破の勢いでさらに回転しつつ、何度も緑谷へ汗を降り注がせる。その度ボンボンと途切れぬ爆発が地雷原に降り注いだ。さらに爆破の反動で爆豪は前へと前へと進む。その様はまさに人間爆撃機である。
「テメエにぶちかますために温めてた新技だ。ありがたく味わえやッ!」
CABOOOOOOM!!!
「オブパッ!?」
「おっと誘爆もしちまったかわりぃわりぃ。じゃあなデクゥッ!!」
無差別爆撃を行った結果、緑谷の周囲にある地雷も軒並み誘爆し、激しい爆発がモニター越しに会場へ伝わった。爆豪は偶然を装ってるが、明らかにわざとである。
爆発を見届けた爆豪は爆破の勢いに乗りそのまま前進。ついに一位にへと踊り出したのだった。
―――「
だがそう簡単には前に出られるかといえばそんなことはない。
「タフネスかっちゃんだから許されるギリギリの高度から落とすやつッッ!!!!」
「アガッ!?」
グイッと絡んだ血糸を引っ張るや結構な高度にいた爆豪は軌道を九十度変えて真下に落下。予想外の軌道にかっちゃんは受け身を取るのに失敗し、顔面から地面にビターンといい音を鳴らし叩きつけられたのだった。普通に危険である。
CABOOOOOOM!!!
「オブパッ!?」
「わー誘爆しちゃったーうっかりうっかり。ごめんねかっちゃんーそれじゃあねー!」
ついでに真下にあった地雷が誘爆、先ほどの焼き回しのような光景を前に緑谷もわざとらしい謝罪をして再び先頭に出た。
勿論そんな所業にキレない爆豪でなく煙の中から現れた爆豪は、緑谷に並走するや般若の形相で猛抗議した。アフロヘアで。
アフロ爆豪とかかなりレアじゃね?
「デクゥッ!クソみてえな妨害してんじゃねえぞテメェッ!!」
「それ君が言うかな!?クソみたいな妨害だったらかっちゃんもかっちゃんでしょ。棚上げしないの!なんなのさあの爆撃、生徒が出していい攻撃じゃないし生徒に向けていい攻撃でもないよ!僕じゃなかったら大怪我してたよ!全国放送中に爆破テロでも起きたのかと思われちゃうじゃんか!?」
「んなこと言ったらテメェもテメェだろが!あんな高さから落とすなんざ俺じゃなかったら危ねえわッ!!」
「大丈夫大丈夫。あんな雑で危険な攻撃かっちゃんとザップさんくらいにしか使わないから安心して次も喰らってね!」
「だれが喰らうか!二度目を受ける前にテメェをぶっ殺したるわッ!」
「ハイハイぶっころぶっころ!この際だし前々から言いたかったこと言うけどさ、かっちゃんいつぶっ殺すの?子供のころから、それこそ一万回は聞いてるけど実行したこと一度もないよね?もう脅しどころかジョークにもなってないよ?それともあれかな?もしかしてかっちゃんのぶっ殺すってござる~とかのじゃ~とかキャラ付けのための語尾だったりするの?ああなるほど言ってみたら腑に落ちたよ!いや~ごめんね~誤解してたよ~。おかげでずっとかっちゃんのことを小学生並のボキャ貧幼馴染だとずっと思ってたや~!本当のかっちゃんは全力を出せば師匠の罵詈雑言とかザップさんの下品な口撃なんて霞むくらいのロクでもない毒を吐けるよね僕は信じてるよだって下種煮込みカレー十辛のような性格のかっちゃんだしねッッッッ!!!!!!」
「よ し 殺 す」
「や っ て み ろ」
『A組爆豪と緑谷そのまま喧嘩しだしたー!仲悪いなお前ら―――!』
『何をやってるあのアホ共……』
二つのアフロが罵り合う珍光景がここに生まれた。
メンチを切り合い一触即発の状態であるが、足だけはしっかり地雷を避けて走っている。お互い依然として一位を取る姿勢は崩していないようだ。
ふざけてるのか真面目にやってるのかわからないその姿にマイクや観客は笑い、相澤は静かに青筋が浮かべる。
ついでにアリギュラは二人のアフロを肴にゲラゲラ笑ってポップコーンを平らげ、トガちゃんはザップさんとじゃれてる時のデク君みたいですと述べニコニコ眺めてた。カァいいね。
後某所で死柄木が「こんなアフロ共にいいようにされたのかよ」とキレているが割愛しておく。
「後続に道作っちまうが後ろを気にしてる場合じゃねえな」
ここで戦局はさらに動く。前を行く二人に攻勢を仕掛けるべく、轟は個性を放った。
呟きを二人が拾ったころには足元一面が氷原へと変化。互いに罵り周囲を疎かにしたことで今度は回避に失敗、揃って足を取られつんのめりになってしまった。
『ここでA組轟も仕掛けてきたーッ!先頭二人をド派手に妨害するだけじゃなく地雷も無力化!コイツぁクレバーだぜ!』
「クソ親父が見てるんでな。わりぃが一位は取らせてもらうぞ」
轟は隙を見逃すことなく攻める。自身の足元に氷を重ねるように生み出し、飛び出す勢いを利用し前へ前と前進。その速度は相応に早く、それなりにあった二人の距離があっという間に縮まるや、一気に追い抜いたのだった。
『…………』
一瞬の隙をつかれ無様な姿を晒すこととなった二人は、遠ざかりだす背中を沈黙をもって見送り……、
『待!!!!てやゴラァッッッッッ!!!!!』
『
綺麗なハモりと共に爆炎を巻き起こし、周囲の氷を瞬く間に溶かすや二人は飛び出した。緑谷は血法で靴に血のスパイクを生やし安定させることで、爆豪は宙を舞うことで氷原をクリアして追いかけていく。
「こんなんで一位を取れっと思ったら大間違いだ半分野郎!!」
「斗流をナメたら痛い目見るよ!」
「チッ、やっぱこれだけじゃ止まらねえか……!」
『三人横並びになったー!こりゃどいつが勝つか分からなくなったぞ!!これ観てるオメーら、誰が勝つか予想してみろ!』
走り、重ね、飛び、三者三様の手段で凍った地雷原を走り抜けていく。この時点で四位とは大きく引き離し三人の首位争いにスポットライトが当たった。
一体誰が一位になるのか。地力で勝る緑谷か、ギアがあがり続ける爆豪か、まだまだ余力を残す轟か。観客や視聴者にも緊張が走り出す。
しかし待ってほしい。読者は忘れていないだろうか。
雄英体育祭の告知早々ヒーロー科の連中に喧嘩を売り、短いながら必死で己が身を鍛えた、
一人の少年のことを。
BOOOOOOOOOM!!!!
『後方で大爆発―――!!?何だあの威力ッ!?』
盛大な爆発が三人の背後で発生した。その威力は凄まじく、音だけなら爆豪の爆撃を優に超えよう。
そしてそんな爆発の中から一人の少年が鉄板にしがみつき先頭めがけて吹っ飛んできた。これには生徒も観客も、実況席すらも驚き絶句する。それもそのはずだ。
『―――喜べマスメディア、お前ら好みの展開だー!!偶然か故意かッ!凄まじい爆風に乗って猛追してきたのは……まさかのC組心操人使ッ!普通科からの刺客がここで牙を向いてきたああぁぁ―――ッッッ!!!』
派手に目立ち先頭組に喧嘩を売ったのは……ヒーロー科でなく普通科生徒だったのだから!
『っつーか抜いた―――!?トップ全抜きしたぞおい!?どんだけ威力と速度出てんだよ、緑谷といい最近の生徒はこれくらい怖くねーのかッ!?』
凄まじい勢いで飛ぶ心操はそのまま三人をごぼう抜きし先頭に飛び出した。
「こんなもん……緑谷の修行で三途の川往復してりゃ屁でもねえッ!!!」
『三途の川?なあ今三途の川って言ったか?修行で出る単語じゃねえぞ?どんな修行やったんだ緑谷???』
しかし今の心操はこの程度でやられるほどヤワではない。
ついでにマイクはコイツマジかよと言う表情を緑谷へ向けていた。なんとなく先ほどのデス仙人発言を思い出し、
『なんて言ってたらC組心操、地雷原を最初にクリアーッ!これはもしかしてあるか?あるのか!?初戦から下剋上あり得るかあぁーッ!!?』
「簡単にゃ……!」
「行かせないよ!!」
「どけや隈目ぇッ!!!」
しかし相手は一年ヒーロー科屈指の実力者達。鍛えた個性と技を用い、続くように地雷原を突破し徐々に距離を詰めていく。緑谷に鍛えられたとはいえまだまだ付け焼き刃。どうしても地力で負けてしまうのは仕方がない。
三人との距離はドンドン縮まり、ゲートを前にして目と鼻の先まで迫りくる。心操も背後からのプレッシャーから逃げようと必死で足を動かした。まあプレッシャーだけでなく、三人の顔が怖いという理由もあるだろうが。特に爆豪は悪鬼の形相だし。
「くそ、こうなりゃ……!お前らその顔やめろよこえーよ!特に爆豪なんかヒーローじゃなくて
「誰が
―――カクッ―――
(よし、効いた!)
ゴール直前、ここで心操が洗脳を発動。煽る言葉に熱くなっていた爆豪が見事引っかかってしまい、意識を飛ばしてしまった。
顔から表情が抜け落ちた爆豪はそのまま急降下を始め、緑谷と轟に向けて落下しだす。うまくいけばぶつかって妨害出来ると、最後に距離を稼げるやもと喜んだ。実際ゴールは目前。一位も夢じゃない。
たはだそう上手くいかないのが勝負事だ。
誰が言ったか、舞台には魔物が棲む。その魔物は時と場合によって神や13王の予想すら上回る事態が引き起こすことだってある。
例をひとつあげるとすればそう…………個性が発動するタイミングが悪かった、などだろうか。
BOOM!!
『え?』
降ってきた爆豪の手から爆発が起きた。洗脳されてるのになぜ?と困惑する一同。原因はおそらく放つ瞬間に洗脳されたからだろう。
銃で例えるなら個性という引き金を引いて発動という撃鉄が降り火薬に着火し、爆破という弾丸を発射する。この中で撃鉄が降りる動作中に洗脳を食らったといったところだろうか。
そして肝心の意識は洗脳で奪われてしまい止まらなくなった結果、偶然が重なり爆豪はちょっとした投下弾と化したのだった。
さてここで問題。そんなかっちゃん爆弾が不意打ち気味に降ってきたらどうなるでしょう。
「あだッ!?」
答えは……まず一番近かった緑谷に激突し、
「うぐッ!?」
次いで側にいる轟に二人がぶつかり、
「づあッ!?」
最後に前を走っていた心操に三人がぶつかり、
『おいおいおい待て待て、そんな展開ねーだろフツー!?』
うっかり服や血法が絡まり四人仲良く一塊となって転がりだす、でした。そうはならんやろ。
ゴロゴロと転がる四人は勢いを衰えることなく回転を続け……気づけば目の前はゴールであるスタジアムの出口。
みんな抜け出そうと必死で藻掻くが引っかかっりから抜けること出来ず、そのまま抜け出すことなく仲良く出口へ突っ込むのだった。
『…………ゴ――――――――――――ル!!って過去イチ締まんねえゴールだなおい!これ誰が一位なんだ!?スーパースローカメラはよっ!』
マイクの催促に応えるようにすぐさまモニターに映像が映し出された。映し出された映像にようやく止まった四人は解きながら視線を向ける。
そこには一塊となった緑谷達がゴール手前まで転がる映像映し出されており、そしてスローカメラが徐々に動きだしゴールラインを越える場所まで到達。
ゴールには……緑谷の足と、爆豪の顎と、轟の背中と、心操の手が、全く同じタイミングでゴールラインを通過していた。
教師たちはこれはまさかと驚き、さらに機械と、計測に秀でた個性を持った関係者を呼んで精査する。
そうして調べた結果……ミリ秒のズレもなく、四人が同時にゴールを切ったという結果が出るのだった。
『…………YA―――HA―――!おいこれ観てるお前らぁッ!早速今大会のハイライトシーンゲットだッ!!
ただでさえ同着なんて珍しいってのになんとそれが四人も出たーッ!!しかも、うち一人は普通科!!大番狂わせもいいところだぜ―――!!!』
同時に歴代トップクラスの珍映像だけどな!と笑う実況に観客席はもちろんヒーロー席からも凄まじい歓声があがった。
普通科含めた四人の生徒が同着一位。雄英どころか世界中で見ても非常に珍しい展開が起こったのだ。こんなもの誰が予想出来ただろうか。仮に出来た人間がいたら非常に強力な未来視の個性でも持っているだろう。
「ハハッ……マジかよ。俺が同着一位?夢なんじゃねえのか?実はどっかで頭打って気絶してて……、そっちのが現実味があるぞ?」
「えいっ」
「オブッ!?」
呆けてる心操の頬に緑谷のビンタが炸裂。スパーンといい音を鳴らした。
いきなりの暴行に頬を押さえながら緑谷を睨みつけ抗議する心操。そんな視線を気にすることなく、緑谷は笑顔を向けた。
「痛いなら夢じゃないよ」
「ッ……」
その言葉に心操は目を逸らし、涙を浮かべた。その涙が何を意味するかは本人のみぞ知る。
『さあー一位四人も凄まじかったが他の連中も忘れちゃいけねえぜお前らー!B組塩崎茨!茨を自在に操り地雷も氷も華麗に突破だー!そこにB組骨抜柔造も続く!地面を潜って地雷の下を悠々通過!コイツらも障害物次第で一位のチャンスがあった実力者共だ!まだ前の四人ばっか見てるプロヒーロー!後ろも見なきゃ大損こくぞー!』
その後四人が一息つく中他の生徒達も続々とゴールを果たしてくる。
麗日や飯田が緑谷の元にたったかやってきて和気あいあいとしたり、切島や鉄哲がゴール結果を口にして爆豪に睨まれたり、物間がA組達を出し抜いた心操を高らかに称賛し引かれたりと、いくらかの時間を過ごし、最後の一人がゲートを通過した時、第一種目は終わりを迎えたのだった。
※今回のダイス
作者「うーんこれ誰一位にしようかな。緑谷か爆豪でいいけどあえて轟や心操一位にして師匠に殺されるとか呟かせるのも捨てがたいな(鬼畜)。せっかくだしダイスでそこだけ決めて流れ作るか緑谷ダイス多めでそぉい!」
誰が一位になった?
1:緑谷
2:爆豪
3:緑谷
4:緑谷
5:心操(心操ハードモード)
6:緑谷
7:轟
8:緑谷
9:緑谷
10: 四 人 同 着 (作者ハードモード)
【1d10:10】
【1d10:10】
【1d10:10】
ダイス振ってるとたまにある鬼畜スナイプなんなん?
【誤字報告】
鵬仙さん。 ギャラクシーさん。 雪森さん。 zzzzさん。
誤字報告ありがとうございました。