再会   作:ピットくん

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第十七話 嵐 その7

 そうしている間に、「雨が強くなってきた」と言いながら、彼女がかごいっぱいに入った洗濯物を抱えて家の中に避難してきた。

「まー君、帰ったよ」と妹が言うと、「もう、十二時か」と彼女は何の引っ掛かりもなくつぶやいた。どうやら、まー君の存在は時報と同等に扱われているということが、今の発言から推測された。

「そしたら、この洗濯物だけ干すから、あなたは妹とリビングで待ってて。五分で終わらせるから」と彼女は言った。

 彼と妹はリビングに戻り、妹はテレビゲームを一緒にやらないかと誘ってきた。彼はその大役を快く引き受けた。程よく彼女の相手をしてやった。

 彼にとって、ゲームとは、四歳の頃から二十年間付き合ってきた人生の相棒のような存在であり、彼らの世代の人々にとっては、常に有力なコミュニケーションツールの一つであった。ゲーム好きというだけで、ほとんど交際のなかった同級生と仲良くなることが可能であり、彼もその恩恵を大いに享受した数多のゲーム好きのひとりであった。しかし、ゲームには現実逃避という要素が多分に含まれており、あまりにもゲームにのめり込みすぎると、それぞれの年齢において、適切な社会経験を積むことができず、最低限度のストレス耐性を獲得できないまま人格形成していき、社会人になった途端に突如として空から降りかかる多くのストレスに耐え切れず、社会からドロップアウトしてしまう人が、彼の同世代には多数存在した。それは、怪しい宗教団体で隔離されて育ってきた青年が、社会に勤めに出ると、社会経験が乏しいせいで全く常識がなく、周りには奇行に見えるようなことを平然とやってのけるのと同じである。

 だが、あと十年後には、時代の方が彼らに追いついてくるのかもしれない。なぜなら、十年後には彼らが世の中の中心になる年齢だし、科学の進歩というものは、僕らの想像をはるかに上回る速度で進んでいくのが時代の常であるから。それというのは、十年前の人類にとって、ガラパゴス携帯の方が一般的であった時代があり、スティーブ・ジョブズの発表があるまでは、スマートフォンが時代の主役の座を奪っていくなんて誰も予想することができなかったのと同じことである。

 二人の対戦が一段落したところで、ちょうど彼女がリビングに帰ってきた。

「お待たせ。そしたら、定食屋に行こうか」

 妹は、彼にまだゲームの相手をしてほしいという表情をしていたが、決して強く引き止めたりすることはなかった。もしかすると、そういう態度の裏側には、自分の姉を盗られてしまったという嫉妬と、女性としての生来の勘の良さから由来している、二人の仲を邪魔してはいけないという妹なりの優しさがあったのかもしれない。

 

---次へつづく---

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