さて、最終章のはじまりです!!
彼と彼女とまー君は、彼の死んだ祖父に会うために湖へとやって来ました…
第二十八話 再会 その1
「いいか、三人が湖の前で揃ったところで、小娘がこちらに向かって合図をしてくるから、そのタイミングに合わせてお前らがどかんと一発、湖に雷をぶち込むんだ。その光にまぎれて俺は下にいる三人の前に現れるからな。いいか、あの小僧の爺さんのためにも、ここはひとつ派手にやってやろうじゃないか。あの爺さん、いつもなら天狗にすすめられた酒を飲むことはめったにないのに、今日は珍しく大好きな日本酒を浴びるほど飲んでいるからな。それほど、孫に会えるのが嬉しいんだろうな。
心配することはないさ、今日のお前らの調子だと、嵐を巻き起こすことにもさして苦労をしていないようだからな。今さらお前ら義兄弟の能力を疑うやつは他にいないさ。もしいたら、そんな奴は俺の二十メートルの尻尾で吹き飛ばしてやるから安心しろ」
「だってさ」
「うん、きっと大丈夫だよ」
「だといいけどな。まあお前がくそみたいな醜態をさらさなければ問題はないが」
「頑張るよ、兄ちゃん」
そう軽口を叩いていた義兄弟であったが、風神と雷神の生まれ変わりである彼ら義兄弟にとって、立派な雷を落とせるようになったのは、つい最近、数百年の出来事であり、彼らの親世代が片割れだけで巨大な雷を生成できたことに比べると、彼らは八百万の神としてはまだまだ未成熟であった。しかし、義兄弟で嵐を巻き起こせるようになった時点で、たとえ片田舎であったにしても、一地方の天候を担当しなければならないのが風神、雷神の代々の伝統であったので、彼らもしぶしぶそれらに従っていた。もちろん、いざとなれば、目の前にいる全長数百メートルの白い竜が嵐を巻き起こすことも可能だし、白の宴会場で、青年の祖父に酒をすすめている泥酔天狗でさえも、団扇の一振りで嵐を巻き起こすことができるのであったから、彼ら義兄弟は何の心配もする必要はないのであった。
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彼が石段を登りきると、彼女の足元にいた、二つの尾を持つ猫又は、尾をひとつにくるくると結びなおし、昼間にも陣取っていた木上の特等席に座ってこちらを観察していた。二人は彼の到着を待ちわびていた。
何層にも積み重なった曇天が、暗度の増した湖の上空に覆いかぶさり、辺りの木陰におどろおどろしい雰囲気を醸し出していた。今や雷の爆裂音だけが彼らの耳に届く唯一の音響であり、その威圧的な旋律おそらく何者かによって意識的に三人の聴衆に向けて発せられているように彼らには感じられた。やがて、彼女が上空に向けて指揮者のように四拍子のリズムを刻むと、みるみるうちに幾重にもかさなった雲軍が円を描くように回りだし、本格的に雷の重低音がオーケストラのように演奏を始めた。
---次へつづく---