再会   作:ピットくん

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第五話 到着 その2

 ダメでしょ開けちゃ、と奥にいた女の子に言われ、すぐに扉は閉められた。どうやら、さらに奥の部屋はリビングになっていて、そこで男の子と女の子がテレビゲームをしているようだった。

 そして、彼にとって一番印象的だったのは、男の子の頭が平均よりだいぶ大きいことだった。彼は小学校時代から、頭が小さいことにコンプレックスを持っていて、世間的にはいいことであると言われがちであるが、彼には脳の総量が少ないと遠まわしに言われているような気がして、素直に喜ぶことができなかった。そのため、彼には昔から相手の目を見たあと、頭の大きさを確認する癖がついていたのである。しかし、あくまで平均より大きいという程度だったし、もしかしたら女の子の頭が小さすぎて、遠近法で大きく見えただけかもしれないと、彼は自分に言い聞かせた。一瞬の出来事であったが、二人の顔の印象は彼の瞼の裏にはっきりと焼き付いており、男の子の方は平凡な特徴のない顔をしていたのに対して、女の子の方は際立って整った造形をしていた。

 ほどなくして、住職がひとつのファイルを抱えて戻ってきた。

「すみません、うちの娘が」と住職は言った。どうやら、女の子の方が寺の子ではないかという彼の推測は当たっていたようだ。

「いえいえ、全然大丈夫ですよ」と彼は無意識に上から目線で答えた。

「月曜から、コロナの影響で小学校が休校期間に入ってしまったので、近所の友達と日が暮れるまで、憑りつかれたようにテレビゲームをしているんですよ」と、住職は自分の娘の話しになった途端、明らかに上機嫌になって、聞いてもないことをべらべらと饒舌にしゃべり始めた。

 彼には、子供たちが、パチンコ依存症の人のように、生気のない虚ろな顔をして、テレビゲームをしていることには全く興味がなかったので、さっさと祖父の墓に案内してもらうことにした。

 こちらがお祖父さんのお墓です、と住職が指し示した先には、灰色の光沢がある、比較的きれいな墓と、錆びれたような色をしている小さい墓が二つ並んでいた。

 彼はこの場所に来るのが初めてというわけではないが、未だに墓の正確な位置を覚えることができなかった。山の斜面の、すぐ下にあるということは理解できていたが、この寺に到着した時点で、彼の精神は、人々の思いの重さを全身に感じて、人をおんぶしているときのように、膝には負荷がかかり、足取りが重くなって、彼は急にその土地に関する感覚がくるってしまうのだった。

 彼のこの種の感受性が一般の人より大幅に強く、異常であることに気づいたのは、彼が成人するよりもはるかに後のことだった。

 

 

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---次へつづく---

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