ヒトがウマ娘に敵うわけがない   作:背水 陣

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『プリティーランド』

「後は……新しい水筒と蹄鉄かな?」

「はい。それと、テイオーさんからついでに、はちみードリンクを帰りに買ってきて欲しいと連絡が。」

「買い出しはパシリじゃないんだぞ、あいつ……。固め、濃いめ、少なめか?」

「ええ、そうです。」

「ったく、しょうがねえヤツだ」

 

『うまぴょい伝説』の一件もひと段落した春先のこと。好井ソウマはエイシンフラッシュと共に買い物へ出かけていた。商店街の顔でもある、ナイスネイチャのアドバイスの下にお買い得に手に入れられた品々を両手に下げつつ、肩を並べて二人は歩く。トウカイテイオーからの、無粋な依頼を達成しようと歩いていると。

 

「……おっ、福引じゃないか。フラッシュ、さっき貰ってたよね?」

「一枚だけですが、ここに。」

「せっかくだし、回していかないか? 正月はお参りに行く時間もなかったからさ。今年の運試しってまだやってなくて」

「構いませんが……。寄り道はスケジュール外です。テイオーさんのお願いも合わせるのなら、移動時間を小走りで行わないといけなくなりますよ。」

「じゃあ大丈夫だね。さ、いっておいで」

「え? トレーナーさんが引くのでは?」

「くじ引きは毎年テイオーかクリークの結果を遵守してるんだよ。担当の子の運勢こそ、俺の運勢だから。福引も同じにしたくってさ」

「……不思議な心掛けですね。わかりました、行って参ります。」

 

やや困惑した表情のまま、フラッシュが抽選機の方へ向かっていく。彼女の分の荷物も手にしたソウマが、遠くで見守っていると……。

 

 

ガラガラを回し終えたフラッシュが、見たこともない表情でこちらを振り返ってきた。

 

 

 

 

 

 

「えぇー!? トレーナー、なんで『プリティーランド』の一日パスポート持ってるのぉ!?」

 

トレーナー室に帰り、成果を報告するや否やテイオーが大声をあげる。受け取ったはちみードリンクを落としそうになり、クリークがそっと支えてくれていた。

詰め寄るような形で叫ばれたため、耳がキーンとなったソウマが荷物を下ろしながら答える。

 

「フラッシュが当ててくれてさ。せいぜい3等のにんじん一本とかかなー、って思ってたんだけど」

「運試し体験という名目で回してみただけだったのですが……思いもよらない結果でした。」

 

『プリティーランド』とは、トレセン学園から少し離れた地域にある国民的テーマパークだ。世の中の可愛いものを幻想的な世界観で埋め尽くした、観光施設なのである。特に若い女性からの評判が高く、当然ウマ娘達からも絶大な人気を誇っている。ウマスタ映えするのも理由の一つだ。

 

「やったー! 最近行けてなかったんだよねー。いつ? いつ行くの、トレーナー!」

「まあ、落ち着けって。行くのは来週の休日って決まっちゃってるんだが……」

「……ありゃ。トレーナーさん、これもしかして……二人だけしか行けないの?」

 

チケットの封筒に刻まれた『ペア』の文字を見たナイスネイチャが問う。そのことを福引会場で受け取る際に承知していたソウマは肯定した。更に、大人と子供の分で一枚ずつなので必然的にソウマと誰か、となってしまう。

 

「一応聞くけど……行きたい人。」

 

率先して手をあげるテイオー。小言を呟きながらネイチャも挙げる。クリークは手のひらを差し出し、別の人へどうぞ、と譲った。フラッシュを見ると、伏し目がちに考えごとをしていた。

 

「フラッシュは?」

「……日本のプリティーランドは訪れたことがないので、興味がないわけではありませんが……。そうなると、スケジュールを考え直さなくてはならないので……。」

「……」

 

真剣な顔で思考を張り巡らせるフラッシュを見ながら、ソウマも少し考えた。

 

 

そして。

 

 

「テイオー、ネイチャ。行くなら、今度ファル子も誘っていかないか? もちろん、クリークも。『うまぴょい伝説』のことで、打ち上げらしい打ち上げもしてなかったしさ」

「えー!? ……まあ、行けるならいいけど~。トレーナー、そんなお金あるの~?」

「大人を舐めなさんな。こーいう時のために、貯金ってもんをしてんだよ」

「うっわー、意外。トレーナーさん、給料日前には もやし生活してるタイプだと思った」

「偏見が抜けませんね、ネイチャさんは?」

「じゃあ、これはどうするの?」

 

封筒を手に取りながら、首を傾げるテイオー。

ソウマはそれを受け取ると。

 

「今回は功労者に権利をあげようと思ってさ」

「……え?」

 

難しい顔をするフラッシュへ、渡すのだった。

 

 

 

 

 

――――。

 

「フラッシュさん、まだ寝ないの~?」

 

寮室にて、消灯時間も迫った翌日のこと。布団に入っていた同室の友、スマートファルコンがスマホの画面を暗くしながら尋ねた。

質問を投げかけられた先のエイシンフラッシュは、パジャマ姿で机に向かったまま短く返事をする。

 

「すみません、もう少しだけ。」

「帰ってきてからず~っと何か調べてるけど。そんなに難しい宿題出てたっけ?」

「宿題は既に終わらせてあります。ファルコンさんこそ、明日の小テスト対策は問題ありませんか?」

「…………えへっ☆」

「諦めるのは自由ですが、私もクラシックに向けて忙しくなるので。また教える時間を取るのは難しいですよ?」

「そんなぁ~~! フラッシュさんが頼りなのにぃ~~!」

 

泣きべそをかきながら、ファルコンはフラッシュに抱き着く。肩越しに作業内容を見ると、想像と違っていた内容が目に入ってきたので、驚きながらファルコは問う。

 

「あれ、勉強してたんじゃないんだ」

「宿題は済ませてあると言ったではありませんか。」

「……ああ、そっか。そういえば、トレーナーさんとデートするって言ってもんね。計画立ててたんだ」

「? デート……ですか?」

「えっ……。好井さんと二人でプリティーランド行くんでしょ? それって普通にデートだよね?」

「………………なるほど。」

「自覚なかったの~? もー、ダメだよフラッシュさん! ちゃんとそれっぽくしなきゃ! 好井さん、にぶにぶなんだから!」

「あ、勝手に予定を付け加えないでください!」

「イイのイイの! えーと、あ。夜は絶対パレード見ながらディナーが良いよ。ロマンチックだよね~。あ、アプリも入れないとダメだよ。パス取れないから!」

「ファルコンさん!」

 

 

 

 

・・・。

 

 

「おはよう、フラッシュ」

「おはようございます。本日はよろしくお願いします。」

 

プリティーランドへ往訪する日。存分に楽しむためのスケジュールを、完璧に(スマートファルコンの助言を得つつ)作り上げたフラッシュは、指定の時間にソウマを駅へ呼びつけていた。

普段の移動は車だが、今日は入り口から楽しむために電車移動を提案されたのだ。

 

「……」

「? なにか?」

「いや。なんか普段着のフラッシュって、そういえば新鮮だなぁ、って」

「普段は制服かジャージですからね。」

「それに……化粧してる? いつもより綺麗だ(肌が)」

「雑談の時間は設けてません。早く行きましょう。」

「ああ、よろしく!」

 

日帰りなので荷物も軽め。スケジュールを見るために片手に持っていたスマホをしまいながら。

嬉しさのあまり、勝手に振り出す尻尾を必死に抑えつつフラッシュは歩き出すのだった。

 

 

「プリティーランドなんて、いつ以来かなぁ。小学生の時に学校行事で行ったっきりかな」

「トレーナーさんは、このあたりの出身なのですか?」

「ううん。もう少し西寄りの田舎出身だよ。だから東京方面は結構憧れがあってさ。なんだかんだ忙しくて、トレーナーになってこっちに住むようになってから、一度も観光とか出来てないんだけど……」

「近いほど、逆に行かなくなると聞きますし。自然ではないでしょうか。」

「いつでも行けるとなると、まあまあ億劫になっちゃってねぇ。だから、フラッシュが色々今日の予定考えてくれて助かったよ」

「いえ、そんな。」

 

電車に揺られながら、他愛もない会話を交わす二人。休日ということもあり人は多く、何とか座ることは出来たものの肩を寄せ合わなくてはならないほど、窮屈な状態だった。

 

「ガキの頃にさー。チャッピー(※)を池に落としたから、出禁になった学校があるって噂があったんだよな~」(※ カピバラを模したプリティーランドのメインキャラクター)

「ファルコンさんも、似たようなことを言ってました。よくある話なのでしょうか?」

「俺の先輩や、後輩の貞星(じょうせい)とかに聞いても同じこと言ってたよ。逆に安心沢や桐生院さんは知らないって」

「男性間のみの噂話なのでしょうか……?」

「さあ、どうだか。っと、フラッシュ。もう少しこっちおいで」

「え? あっ……。」

 

停車と同時にぞろぞろと人が入ってくる。ギリギリ見えていた外の風景も埋まるほどの乗車数になり、いよいよ身動きも出来なくなってきた。少しのスペースを埋めるため、ソウマが隣のフラッシュをそっと抱き寄せた。

 

「流石に休日だな~。大丈夫かい、フラッシュ?」

「ええ。問題ありません。」

 

早打つ心臓の音が聞こえないよう、密着する時間が早く過ぎて欲しいと願いながら。逆に、もう少しだけ続いてくれたらいいのにとも思うフラッシュは、一人悶々としながら目的地へと運ばれるのだった。

 

 

この電車の目的は専用なのではないか、と錯覚するほど。大量に存在した乗客は、ある駅に停まると同時に揃って下りて行った。外気に混じる潮気と共に、人の流れに乗ってソウマとフラッシュは歩いていく。

改札を過ぎ、遊歩道を進みながら衰えない人波に倣うように目的地へ。

 

大きなゲートを潜ると、そこはもう『プリティーランド』だった。

 

「いやー、何年振りかな。懐かしい」

 

春先の温かさと柔らかな日差しに目を細めながら、ソウマが周囲を見渡す。昔と変わらない幻想的な建物、まんま作品から出てきたようなキャストの数々。笑顔で、楽しく話しながら道行く人々も記憶の中と変わりない。

 

「……よし。じゃあ、行こうか。案内よろしくね、フラッシュ」

「あっ、はい!」

 

回顧している場合ではない。視界の中に、エイシンフラッシュを収めるとソウマはすぐに言葉を放った。興奮気味に尻尾を動かし、目を輝かせながら『プリティーランド』に没入している少女を、急かしてあげなくては。きっと完璧なプランを考えてくれているであろう、彼女に一日付き合うと決めたのだから。

 

 

 

「最初は、クイックパスの取得をしましょう。そうしないと、そもそも参加できないアトラクションもあるみたいです。」

「わかった」

 

 

「……残念です。一番人気のグランドサンダーヤマフジが取れないなんて……。」

「まあまあ。二番人気のプリティーワールドツアーは取れたんだから、いいじゃないか」

「そうですね……。あ、トレーナーさん。南西の海沿いへ向かいましょう。予定通りであれば、グリーティングをやっているかと。」

「グリィ……? まあ、うん。オッケー」

 

 

 

「たくさん写真が撮れましたね。後で両親に送っても良いですか?」

「良いよ。俺のスマホで撮った分も送っておくよ」

「ありがとうございます。さて、トレーナーさん。次は待機列の方へ移動しましょう。今の待ち時間なら、ちょうどお昼過ぎになると思いますので。予約したお店への、スムーズに向かえるんですよ。」

「はいよ」

 

 

 

「……何してるの、フラッシュ?」

「本日の動員数やお客さんの動向を調べています。基本的に予約で埋まっていたりしますが、穴場として楽しめる場所もたくさんあるはずですから。」

「待ってる時間ぐらい、ゆっくりすればいいのに」

「いいえ。予定通り楽しむのであれば、必要不可欠なんです。しばし時間を貰えますか、好井さん。」

「うん、いいよ」

 

 

 

「とても可愛らしい盛り付けの食事でしたね。食べるのが少し勿体なかったです。」

「凄い人気だったみたいだし、フラッシュが予約してくれてなかったら、食べられなかったんじゃない?」

「ええ、きっと。……そろそろ時間ですね。プリティーワールドツアーの方へ行きましょうか。」

「はいはい。引っ張らないでよ」

 

 

「……うん、待ち時間も悪くない。頃合いですね。ソウマさん、日も暮れてきたのでジャングルシップに乗りましょう。昼よりも幻想的らしく、人気の高いアトラクションらしいので。」

「行こう行こう」

 

 

「素敵な風景でしたね。パークの中で川渡りをするというのは、新鮮でした。案内役の方の解説や冗談も、とても素晴らしかったです。」

「そうだね」

「……夜も更け、予定時刻ですね。夕食へと参りましょうか。ちょうどパレードが見えるお店を取ってあるんです。」

「いいね」

 

 

 

「ふぅ。あっという間に一日が終わりましたね、ソウマさん。」

「うん」

 

 

予約していた店で食事を終え、窓越しに進行する煌びやかなパレードをカメラに収めたエイシンフラッシュが、満足げに笑う。

自分の中で立てた予定通りに物事が進み、妨害もされず、予定外の大ごとも起きず。何もかも、思い描いた通りに、一日を終えられたことは彼女にとってこの上ない喜びだった。

 

下げられた皿の空いたスペースに、スマートフォンを置いて本日の成果を確認してみる。スケジュールアプリに、並べられた綺麗なチェックマーク。楽しそうに取れた写真。ちょうどドイツでは昼の時間ということもあって、送った写真の返事が両親から届いてきており。フラッシュの笑顔とはしゃぐ姿に対して、慈愛の籠った返信が来たことで、更に頬を綻ばせるのだった。

 

 

「……フラッシュ」

「はい?」

 

ふいに、ソウマが声を掛ける。

フラッシュは液晶から、正面に座るとトレーナーに視線を移した。

 

「今日、楽しかった?」

「はい。とても。」

「そっか。それならよかった」

「……?」

 

不思議な質問に首を傾げる。何かあったのだろうか。

 

 

……と、思う間もなく。

フラッシュは、気付いた。

 

 

ソウマの、疲労が見える……ぎこちない笑顔に。

 

 

 

(……私、今日、ずっと一人だけで……。)

 

予定を組んでもらうよう、お願いされていた。不慣れな自分に代わって、回り方やお店については一任すると言ってくれていた。

 

だけど、それは。

決して、独りよがりになって良いわけではなかったのだ。ベストな動き、プラン。いくらそれが、寸分たがわず実行できたからと言って、共に居た人が満足できるとは限らないのだから。

 

ソウマは、文句も言わずただただ付き合ってくれた。もしかしたら、どこかで苦手なことや嫌いなものがあったかもしれないのに。大人の余裕に甘え、自分の願望を叶える為だけに動いてしまっていた。

 

その結果、前に座る同伴者に。こんな疲れた顔をさせてしまったのだ。

 

 

「……あの……トレーナーさん。」

「ん?」

「すみません……。私……。」

「フラッシュ……?」

 

伏し目がちになったフラッシュへ、ソウマが声を掛けようとした時。

 

 

「おっ?」

「あっ……。」

 

パレードの喧噪はいつしか止み、代わりに花火が夜空を彩っていた。

 

「ビックリしたー。フラッシュ、これは見に行かなくていいの?」

「すみません、場所取りに行かないといけない時間だったのに……。」

「……お会計済ませておくからさ。先に出て、いい所探しておいでよ」

「ですが……。」

「いいからいいから」

 

言われるがままに、フラッシュは店を出る。

 

誰もが、煌びやかに咲く夜の花を見上げる為立ち止まっていたり、カメラを向けていたりした。

街灯と閃光に照らされる道を、ふらふらとフラッシュが歩いていく。一番よく見える場所は、とっくに人影が肩を寄り添わせて立っていた。本当なら、ここには自分たちが居るはずだったのに。

 

最後の最後で予定が狂ってしまったことより、トレーナーに負担をかけ続けてしたことに気づけなかった自分に落ち込むフラッシュは、とぼとぼと当てもなく歩き回った。

 

そして、決して景色が良いとは言えない海沿いのエリアへに居ることに気付くと。花火を背に、柵に手を掛けて海を眺めるのだった。

 

 

「……あ、居た居た。フラッシュ、どうしたんだよ」

 

やや汗をかいたソウマが、慌ててフラッシュを見つけて駆け寄る。先ほどまでの様子と違い、意気消沈しているので流石に心配していたようだ。

 

「……あの、トレーナーさん。」

「ん?」

「今日は、すみませんでした。」

「え? なんで?」

 

華の雷鳴にかき消されそうなほど、弱い声でフラッシュが謝罪をする。

 

「私、トレーナーさんの意見も聞かずに……。自分の好きなように予定を立てて、動いてしまいました。」

「……」

「せっかく二人で来ているのに……。申し訳ありません。トレーナーさんだって、もしかしたら行きたい所とか。苦手なものがあったかもしれないのに。私……。」

「フラッシュ」

「はい?」

 

涙ぐみながら心情を語る、黒鹿毛の髪に。

ソウマの大きな手が被さった。

 

「今日はありがとう。楽しかったよ」

「え……?」

「テーマパークなんて、久しぶりだったからさ。俺一人じゃ、きっと無駄な時間とか使っちゃって、十分に動けてなかったと思う」

 

ゆっくりと、かざした手を撫でながら続ける。

 

「フラッシュのおかげで、完璧に遊べて良かったよ。フラッシュは、どうだった?」

「私は……。」

 

一日の最初から振り返る。気合を入れて臨んだことを褒められ、予定通りにことが進み。好きな物を十分に謳歌できた。今、この状況を度外視するのであれば……それは。

 

 

「とても、とても楽しかったです。今までにないくらい、とっても……!」

「なら、良かった。フラッシュがそう思ってくれたなら、俺も嬉しいんだよ。謝罪なんて、されるいわれもないよ」

「ですが……。」

「久しぶり、って言ったろぉ? もしかして疲れて見えたのなら、場慣れしてないってだけだから。心配しなさんな」

「トレーナーさん……。」

「それに……。こんないい場所をも取ってくれたんだからさ」

「え?」

 

指をさされた場所を見る。そこは、海の方向。

ほとんど波のない水面に、美しいまでに反射する花火が見えていた。

 

「改めて、ありがとう。フラッシュ。キミがいてくれて良かった」

「……。」

 

たくさんの感情がフラッシュの中にせめぎ合う。嬉しさと申し訳なさと、何よりも。……何よりも。

 

「!」

 

そんなトレーナーの手を、フラッシュはゆっくり取る。そして抱え込むようにしてしがみつき、共に海から見える花火を堪能するのだった。

 

 

 

 

「……ソウマさん。」

「ん?」

「今後、私たち……。私が、わがままを言っていたら。ちゃんと指摘してください。見聞を広めるにも大切なことですから。」

「え~。それは難しいなぁ」

「何故ですか?」

「俺、ウマ娘(キミ達)のこと大好きだからさ。甘えられたら、何でも聞きたくなっちゃうんだよ」

「……なんですか、それ。」

「無茶なこととか、危ないことはもちろん止めるけど。それ以外のことなら、どんなことだって叶えてあげたい。俺は、いっつもそう思ってるよ」

 

 

「……ばかな人ですね、あなたは。」

「知ってる」

 

掴んでいた腕を少しだけ。

包み込むように、けれど力強く握り直すフラッシュなのであった。

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