天理「なんだこいつ……(ドン引き)」
計150連して星5キャラいないのです。
厨二皇女と空飛ぶ非常食すき。
いつの間にか、落ちている感覚。
目を開けるどころか、全身が存在しない。
まるで、質量のない魂だけが落下しているような。
形容するならばそんな感覚だ。
そしていつも、この感覚の後には─────
「いってぇ!!?」
頭から、地面に突っ込む痛みが来る。
それが堪らなく痛くて、生きているのを実感する。
………記載しておくが、断じて被虐気質ではない。
繰り返す。
俺は断じて
◆◆◆◆◆
「あークソがよ、
頭から着地どうにかなんねぇのかよ……」
毎回起こるその事象に思わず溜め息をつく。
柔らかな砂だったので衝撃と痛みは薄いが、混じる小石が地味に痛いんだ、これ。冷たい雪に突っ込むとかよりは遥かにマシではあるけれど。
「いつもの現在地の確認はー、っと………」
立ち上がり、周囲を見渡してみる。
ここは水辺のようで、落ちた場所は砂浜のようだ。目の前には広大な水…これは海だろうか。周りは切り立った崖に囲まれていて、後ろには丘へと続く道がある。舗装されているのを見る限り、文明はある。
「道があるからと言って意思疎通できる
人間がいるとは限らないしなぁ…………」
以前、ワニみたいな種族に追い回されたことを思い出す。連中怖かった。言葉分からないのに攻撃してくるし仕方なく殴ったらまた追いかけてくるし。
「言語機能働いてますかねー、この世界。
それはそれとして、これ海なのかな………
潮の匂いするし……青いし………海だよね?」
目の前に広がる美しい海原を見ながら腰を下ろし、両手で水を掬って水質確認、その指を舐めてみる。あっ塩の味、絶対これ海ですやん。よく見れば魚もいるし。
「あーそうだ、剣は………ん?」
御用達の絶対に折れない愛剣を取ろうと腰を探る、……………えっマジで?愛剣ちゃん無いんだけど。丸腰だと原住民とかいたら死ぬよ?多少殴れるけど刃物使われたら結構死ぬよ?
慌てて全身を探ってみると。
「えっ?」
愛剣は、右手にあった。
特に装飾のない簡素な形状で、刀身は1mほどの剣。
しかし、その刃は狭く、柄は長い。
片手、両手のどちらでも使える便利な代物。
……………しかし、そんな見慣れた愛剣はともかく。
「……………どっから出てきた、これ」
遂にボケが回ってきたか、と頭を抱える。
あれか、リモコン握ったまま
『リモコンどこやったっけ? あっ持ってたわ』
的なあれか? 剣だぞ有り得ねえだろ。
「…………あれっ?」
そして、手から剣が消えたことに気がつく。
更に、背中にその重みが来ていることにも。
そして、1つの仮説に行き着く。
「…………えっ、これは……えっ? まさか……」
剣くん出番だよー。
「っとぉ!?」
瞬間、背中の剣の重みが消えたと思うと、凄まじい
速度で光の粒子が手の中に収束、愛剣を形造る。
そして、抑え難い興奮が爆発する。
「なにこれすっげぇ! フォースか!?
遂に俺ちゃんにもフォースが宿ったのか!?」
剣を納める、そう意識すれば剣は光の粒子となって手の中から消え失せ、背中に剣を形造る。
「いやすげぇなこれ………これは……あれか?
原始的な世界に見せかけて……超科学的な。
いやただのファンタジーな世界っつー可能性も
無きにしも非ずだな………どうなんだろう」
これが普通、という可能性もある。
普通なことで興奮しているのは他人から見て完全に
ヤヴァい人でしかない。クールになるんだ。
ていうか、今まで世界移動で便利な力が手に入った
試しはないし、これが普通なんだろう、この世界。
「うん、虚しくなってきた。
やめよう。早く順応しようぜ俺ちゃん」
立ち上れば、海の水面に自分が映る。
背中には白くシンプルな片手半剣。
獣革から作られた動きやすいポケット多めの旅服。
パッとしない灰色の髪に黒い眼。
そしてこれまたパッとしない顔立ち。
「失礼な………パッとしてろよ」
そんな自分で自分に突っ込みを入れるくらい孤独に
慣れてしまったが、まぁ今回も死なないように。
「諸国漫遊、もとい、諸世界漫遊。
男ウーシア、今日も今日とて未知の世界へ!」
拳を掲げて、丘を登る。
こうして、いつもの旅が始まる。
知らない世界、知らない文化、知らない力。
幾つもの世界を経たとして、
〝未知〟とは決して無くなりはしないもの。
なら見に行こう、知りに行こう、気の向くままに。
世界を旅して、知らないものを見に行こう。
それが、俺の存在意義だ。
「風が気持ちいい………
おっ、城が見えるな。行ってみるか!」
色褪せぬ景色を見に行こう。
世界を、時間を、次元すらも越えて。