過労死する前にジン団長と賢王とタカキは休んで。
ジン団長にアイスティー飲ませる(迫真)。
「ほへー、ここがモンドか………」
連行とは言ってもアンバーについて行くだけだったので、普通に拘束されないままで、モンドまで来てしまったが。
長い橋を渡り、高壁に囲まれた城らしい城だ。
「自由の国モンドへようこそ。
こんな形じゃなければ良かったんだけどね」
「自由の国、ねぇ。
俺も自由にさせて貰いたいなー。
まぁ仕事だろうし責めるつもりはないけどさ」
「すぐに自由にさせて貰えると思うよ。
モンドは西風騎士団が管理してるから、
ジン団長から許しを貰えば、あなたも自由だよ」
「へぇ……王じゃなく騎士団が管理してるのか?」
「うん、話せば長くなるけどね」
町は活気があり、人々も笑顔が多い。
平和そうで何よりだが………竜巻か何か災害の起きた後のような感じがある。片付けをする人々も多い。
「…………ふーん」
「おやおや、アンバー。また旅人か?」
「ん?」
「あっ」
声をかけてきたのは、路地から出てきた青髪の男。
どこか不思議な雰囲気の男で、アンバーやモンドの人々とは何かが違う感じがする。
「ガイア先輩! 確かにそうなんですが………」
「ふーむ………見ない格好だ……
ただの旅人では、ないだろうな」
「さぁ? 本当にただの旅人だったら?」
「ハハハッ、そりゃ傑作だ……なんせ最近は
色々と物騒なもんでな………モンドだけじゃない、
そして渦中にいるのが、あの旅人だったからな」
「ほー………栄誉騎士って旅人か。
別国でも凄いことしてるみたいだけど、
俺ちゃん本当にただの旅人なんだけどなぁ」
ガイア先輩、ね………勘良さそうでめっちゃ怖い。
まぁ別にバラしても良いんだけど、信じるかどうかって話なんだよな…じゃないとヤバい人扱いだし。
対人関係で印象が悪いと色々と困る。
「テイワットの外から来たなんて言ってる
旅人がただの旅人な訳ないでしょ……………」
「ほーう? テイワットの外から………
面白い冗談、とも取れるが、
そいつの真偽は確かめないといけないな。
お前さんがテイワットの言葉を
話せるのも考えてみればおかしいだろう?」
「あっ……!?」
「言語が同じ、って可能性もあるだろ?
話を聞く限り、2人ともテイワットの
外を知らないようだしな」
言い逃れもそろそろ限界かな。本当なら連行された先で騎士団の団長にだけ明かそうと思ってたけど。
ガイア先輩めっちゃ怖いなー。
「はいはい2人ともそこまで!
話はジン団長に聞いてもらいます!
ガイア先輩も、そ、尊敬すべき旅人さんを
煽るようなことを言うのはやめて下さい!」
「おっと。こりゃ失敬、
「なんで急に尊敬するんだ………」
「『騎士団ガイド』だよ。遅れたが、俺はガイア。
騎士団じゃ騎兵隊長をしてるんだ。
名前を聞かせてくれるか、尊敬すべき旅人さん」
「ムズ痒いからやめてくれよそれ……
ウーシアだ。よろしく、ガイア先輩」
取り敢えず信用を得られるようにと手を差し出す。それに、ガイアは笑みを顔に貼り付けたまま握手を交わしてくれた。まぁこれで信用はされないか。
「俺も騎士団に行く所だったんだ。では行こう」
「はぁ………」
「騎士団も大変そうだな」
疲れた様子のアンバーに、そう皮肉る。
現に疲れさせている原因に聞かれた彼女は苦い顔をして頷き、ガイアがけらけらと笑う。
「騎士団は仕事が多くてな。
大部分は遠征に出ていて人手不足なのさ」
「私たちが言ったジン団長も本当は代理団長なの。
でもジンさんは少し働き過ぎな所があって…….」
「仕事人間なのか……怖い人じゃないといいなぁ」
「ジンさんは良い人だからそれは大丈夫!
あなたが悪い人じゃないなら、だけど」
「悪いことはしてないから大丈夫だな!」
そうして、騎士団へと向かう。
途中、ガイアの視線が凄かったが気にしないようにした。疑われ過ぎだろ………
騎士団本部は大きな建物だった。
近くに見えた聖堂も大きかったが、それに並ぶほど大きい。流石はモンドを管理している騎士団だ。
中に入ると、2人の女性が待っていた。
片方は魔女のような見た目のとんがり帽子の女性、もう片方はキリッとした顔立ちの金髪の女性だ。
「今戻ったぜ、代理団長殿」
「ただいま戻りました、ジン団長!」
「あぁ、よく戻った」
それに頷くのは金髪の女性。
多分、彼女がジン代理団長だろう。彼女はこちらへ視線を向けてくる。
「そして君がウーシア、で合っているか?」
「合ってるよ。それにしても耳が早いことだ」
「彼が他の騎士に伝えてくれたからだ」
「ん?」
彼、というのはガイアしかいない。
そちらへ目を向けると、彼はヘラヘラとした笑いを浮かべたまま「やれやれ」と首を振る。
「任務中、怪しい奴がいたからな。
悪いが尾行させて貰ったぜ」
「えっ!? そうだったんですか!?」
「いつからだよ………」
「お前がヒルチャールに襲われる前だな」
「着いた瞬間からかよ………」
こりゃ
ちっと不味いかもしれないな。
つーかアンバーも気付いてなかったのかよ……
「じゃあ俺は任務に戻らせて貰うとしよう」
「あぁ、頼んだぞ」
そしてガイアは踵を返して本部から出ていく……………そのすれ違った瞬間に、耳打ちされる。
(何もない所から出てきたのは黙っておいてやるよ)
(…………ありがとう)
「ハハハッ、じゃあな」
口だけ動かして礼を言うと、彼は笑いながら去っていった。怖すぎんよ……完全に見られてたし。
「さて、早速だが話を………」
「ジン、仕事を急ぐのは分かるけれど、
自己紹介くらいはしたらどうなのかしら?」
「あぁ、そうだったか………すまない」
……………しかしまぁ、大分疲れが見えるな。
団長の目には隈が酷いし、身体は強張っている。
見た所、3日は寝てねぇな……
何度もワーカホリックを見たことがあるが、奴等と似たような感覚だ。国のため、誰かのために、そういった意思をひしひしと感じさせる。
「では、改めて自己紹介をさせてもらおう。
西風騎士団、代理団長のジン・グンヒルドだ」
「西風騎士団、図書司書のリサ・ミンツよ」
「…………俺はウーシア。しがない旅人だ」
「では、話を聞かせてもらいたい。
君の素性を少しでも、明らかにするために」