ナイツ&マジック ~演算不能の騎士物語~   作:アルヌ・サクヌッセンム

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20話 破壊・工作

 誰もが寝静まった虫達の声だけが響く夜。

 人気の無くなったテルモネン重工の工房設備を何者かが忍び足で駆けていく。

 その誰かは鍵の厳重な鍛冶師たちの仕事場には目もくれず、裏庭に繋がる倉庫(ガレージ)に忍び込むと僅かな月明りを頼りに目的の物を探し始めた。

 それは紛う事なき不法侵入行為であった。

 

「あった。これが魔導演算機(マギウス・エンジン)だな?それに幻晶騎士(シルエット・ナイト)もどきの模型も」

 

 人間大の重々しい機械とその傍らに鎮座している虫型の模型。

 侵入者は目当ての物を見つけると、懐から小瓶を取り出し中に湛えられた謎の液体を機械の中に注ぎ込み始める。自分自身には引っ掛からない様に慎重に。

 液体は金属部品に触れると、泡立つような音を立ててわずかだが、嫌な臭いのガスを出し始めた。その気体を吸い込まない様に気を付けながら、瓶が空になるまで液体を使い切る。

 

「これで良し。それでは失礼させてもらおう」

 

 マスクに覆われた顔の奥の瞳が怪しく嗤い、謎の人物はその場を後にした。

 侵入者が去った後も、液体は機械装置と模型の中にじっくりと浸透していき、その内部構造を破壊していく。

 

 金属腐食剤。錬金術師や構文技師が金属同士を溶着したり、蝕刻(エッチング)(*化学的腐食作用を利用した表面加工や塑性加工の技術)を行う際に使う薬剤だ。

 彼らが業務で使うそれより数倍は薄められてはいたが、そんな物を精密機械の中に注ぎ込んだりしたらどうなるかなど考えるまでもないだろう。

 夜が明ける頃には、魔導演算機と模型は中身をすっかり台無しにされて、哀れな躯を晒すことになった。

 こうして、悪意を持った何者かの破壊工作は完了したのである。倉庫の中に悪臭のみを残して。

 

 

 

 

 

「そ、そんな……ひどい」

 

「誰がこんな事を!?」

 

 素っ頓狂な声を上げたバトソンに呼ばれて、朝一番に駆け付けて来たエルとエヴァは変わり果てた魔導演算機と自分達の作品を前に膝から崩れ落ちた。

 ぐずぐずに溶けたヘキサペッド。腐ったような残り香を漂わせ、金属化合物が洩れ出でたボロボロの演算機筐体。

 本当にひどい有様だった。

 

「“僕”の魔導演算機がこんな酷い状態になるなんて!」

 

 そう、それはK-sido(キシドー)がインストールされているエヴァの魔導演算機では無く、将来に備えてストックされていたエルの演算機だったのだ。

 

[私の魔導演算機は無事だった……けど、エルの演算機に加えてヘキサペッドもボロボロだ!ひどいな]

 

 最近、同じ機体ばかり操作していて少し飽きが来てしまったエヴァは数日前、4体目の模型であるオクトペッドを弄ってみたくて制御用のコンソールごと魔導演算機を猫車で自宅に持ち帰っていた。

 ちょうどその間にこの事件が起こった為、エヴァの演算機は難を逃れた形になった。彼女がヘキサペッドを破壊されても、冷静でいられたのはその影響もある。

 だが、一番の理由はエルの動揺ぶりを間近で見ていたからだ。人は隣に自分以上に感情を発露している人間がいると、冷静な気持ちになる事がある。おそらくこれもそのケースだろう。

 

[まさか、こんな事になるなんて!エル……あんなに落ち込んで、なんて声を掛けたらいいんだ]

 

 工房施設の床に膝と手を突き嘆いている親友の姿は、エヴァの胸を締め付けた。

 

 だがしかし。

 

「まだです!まだ諦められない!」

 

 溶けかけた筐体に駆け寄ったエルは、その中身を覗き込んで手を突っ込んだ。

 

「え、エル!?何してるんだよ!?」

 

「まだ、まだ機能が生きてる部品があるかもしれません!それだけでも分解して取り出せば!」

 

「わ、解った。分解作業は私も手伝うから!だから、素手でそれに触るな!腐食性がまだ活きてるかもしれないだろ?」

 

 なんとかバトソンと共に興奮した状態のエルを落ち着かせてから、溶けた魔導演算機筐体の分解を始めたエヴァ達。

 その中身をつぶさに見ていくと、どうやら腐食した部品とそうでない部品がある事が解った。重力に導かれて液体が流れた箇所のみ破壊されたため、被害部位には偏りができていたのだ。

 とは言え、これは本来機密のヴェールに覆われた魔導演算機の部品だ。どれがどんな役割を持っており、どういった構造が機能を担保しているのかすらわからないのだ。

 もちろん作業は慎重にやっているが、下手に弄るとその機構が壊れて余計に機能破壊を招くことだって考えられる。どうしたものかと悩んでいると。

 

「やっぱり!これの機能は活きてますよ!多分、作業記憶を記録する媒体ですね。つまり、メモリーに相当する物です」

 

 エルが素っ頓狂な声を出して、細長い板状の部品を翳した。

 

「な、なんでそんな事解るんだよ?魔導演算機の機構なんて、お前知らない筈だろ?」

 

銀線神経(シルバー・ナーヴ)をまだ無事だった端子に繋げて、中の術式を読み込んでみました。そしたら、小規模術式を記録する機能が活きてました。こんな高速低容量なのはおそらくメモリーでしょう」

 

 そう言って無事だった部品の目につく端子に片っ端に銀糸を繋いで中身を読み込み、機能の特定を行い始めたエル。

 それに続いて、エヴァも腐食した物の中でも比較的損傷が軽微に見える部品の端子を優先的に洗浄していき、彼に渡して行った。

 

「駄目ですね。この部品は死んでます。こっちは幻像投影機(ホロモニター)の描画機能を司っている物のようですね。GPUみたいなものかな?これも活きてます」

 

 次々に機能が活きている部品と死んでいる物を特定していくエル。

 その中でも、彼がその無事を最も喜んだ物があった。

 

「あった!先輩、見つけましたよ!これが魔導演算機組み込み型の平衡感覚器(ジャイロ・センサー)に相違ありません!」

 

 三つの細長い管が半円上に曲げられた物がそれぞれ別ベクトルに約90度程傾いた状態で繋がった球体状の物体(オブジェクト)

 それはちょうど人間の三半規管を模したような構造の部品だった。

 

加速度検知器(アクセラメーター)の機能も兼ねているのかな?ちょっと揺らしただけで、僕に“慣性”の量も伝えてくれてます。いやぁ、これが無事でいてくれてよかった!」

 

 今泣いた烏がもう笑う。悲しみ落ち込んでいたのは僅かな時間に過ぎず、この状況でもエルは壊れた魔導演算機の中に“悦び”を見出していた。とんでもない鋼の精神(メンタル)である。

 そのあまりにも前向きすぎる思考に圧倒されていたエヴァだったが、落ち着いて考えるとこのあまりにも不自然な状況を訝しみ始めた。

 

「これ、明らかに人為的なものだよな?普通の魔導演算機の中にこんな強い腐食性の物質が仕込まれてるとは考えにくいし、誰かがそういう薬剤を筐体にぶち込んだんだろうけど、いったい何の目的でこんな事を?

 ……それにしても、迂闊だったぜ。まさか、貸してもらったガレージでこんなことが起こるなんて。自己防衛(セキュリティ)意識が甘かったな」

 

「えぇ、そうですね。これが本当に人為的な物であれば、酷い人もいたものです。もし犯人を特定できたなら、然るべき処罰を受けていただきましょう。ですが、それよりも今は……」

 

 エルはいつの間にか持って来ていたバイペッドをエヴァに差し出し、そのどこまでも前向きで貪欲な考えを詳らかにした。

 

「早速、このジャイロをロボットに組み込みましょう!」

 

 

 

「なぁ、本当にいいのか?犯人探しをしなくても」

 

 エヴァが器物損壊事件の関係者としては当然な意見を述べる。

 だが、被害者である筈のエルは冷静に反論した。

 

「できると思います?証拠は筐体に注ぎ込まれた金属腐食剤と現場に残された足跡だけですよ?」

 

 金属腐食剤なんて危険な薬剤は入手できる手段が限られるとは言え、こんな手の込んだ破壊工作をするような人間がそう簡単に尻尾を出すとはエルには思えなかった。

 第一、この世界には科学捜査の概念すらないので、こんな貧弱な証拠では犯人特定は難しいだろう。それに二人にはこのような事をする人物に心当たりがない。人物像が絞り込めないのだ。

 

「それに捜査を専門的に行う警察や検察のような組織に僕達は人脈がありません。あるとすれば、お祖父様と侯爵閣下ぐらいですけど」

 

「……お父さんにも相談はしてみるつもりだけど、早馬を飛ばしてもらっても時間がかかるよなぁ」

 

 ちなみに後日、ラウリにも連絡は行ったので彼も調査してくれているようだが、目立った報告は無かった。おそらく捜査は難航しているのだろう。

 何れにせよ、今すぐどうにかなる問題ではないとエヴァもこの件は頭の片隅に追いやり、思考を切り替えることにした。

 

「さて、不本意な形だけどジャイロセンサーの現物が手に入ったのはありがたい。けど、この部品は既存機の中に組み込むには大きすぎるぞ」

 

 平衡感覚器は大人の掌程度の大きさの物だった。バイペッドもオクトペッドもあくまで卓上サイズの模型に過ぎないため、そのままでは積めない。

 普通なら拡張改造を考えるところであろうが、この問題にエヴァは実に“彼女らしい決定”を下した。

 

「よし、いっその事もっと大きい機体を新しく作ろうか」

 

「わ~い!新型を作るんですね。楽しみ♪」

 

 そうと決まればという事で、早速エルと二人で新機体の設計を始めた。

 当然、そのモチーフは。

 

「人型です!バイペッドの後継機を作りましょう!」

 

「まぁ、このジャイロは元々お前の魔導演算機の中にあったもんだし、人型が一番その力を活用できるよな。いいぜ」

 

 設計図に人型のシルエットが描き込まれていく。

 その大きさは30㎝程度だろうか?子供達の体よりは流石に小さいが、模型としてはかなりの大型モデルだ。

 

「パーフェク〇・グレードのガン〇ムぐらいの大きさですか?先輩ったら、太っ腹♪」

 

「どうせなら、豪華に仕上げたいしな。この際だから勉強も兼ねて、実際の幻晶騎士の構造を基にして作ってみるか」

 

「おぉ!本格的ですね!素晴らしい!

 それにきっと、そちらの方が身体強化魔法(フィジカル・ブースト)との相性も良い筈ですよ。ありがたい!」

 

 このようにエルが飛び上がって喜んでいる様を、少しホッとした顔でエヴァは見ていた。

 

[表面上は明るく振る舞ってるけど、エルだって自分の魔導演算機が壊されて傷ついてる筈だ。なんとかこれで元気を取り戻してくれるといいんだが]

 

 しかし、これだけの大型作品となると作るのに相応の時間がかかる。おそらく、今年中に完成することはないと思われた。

 その旨、伝えてもエルは機嫌を損ねることは無かった。

 

「これだけの代物なら、全然構いませんよ!むしろ、下手に短期間に仕上げてクオリティが下がるよりもずっといいです!エヴァ先輩、ありがとうございます!」

 

 

 

 

 

[……渡りに船とは正にこの事だな。こんな授業まで存在するとは]

 

 幻晶騎士設計基礎。

 いつも通りの騎士学科の授業が終わったエヴァはその日、この講義に参加していた。

 このカリキュラムの存在自体は、彼女も入学時に渡されていた案内資料を読んで知っていた。

 しかし、この日行われていたのは正に今エヴァが必要としている物であった。

 

 模型制作実習。

 機体の構造を鍛冶師達が実際に把握するために、サロドレアの縮尺模型(スケールモデル)を作ろうというあまりにもそのまんまな内容だったのだ。

 しかも、その縮尺は。

 

[1/32って……大型の飛行機模型や小さめの自動車プラモのスケールじゃんか!?ちょうど私が作ろうとしてる模型のサイズにかなり近いな!]

 

 しかし、その講義は事前申し込みが必要な選択制のかなり上級者向け授業。本来の対象者は中等部以上の鍛冶師学科生である。

 だが、そんな事でエヴァが諦めるだろうか?答えは否である。彼女は参加申し込みを行った。

 以前ラウリから貰った紹介状まで使って教員を説得した。

 当然、初等部の騎士学科生の参加を彼らはそう易々と許可はしなかったが……。

 

「では、参加資格があるかどうか。これを見て判断してくれますか?」

 

 そう言ってエヴァが彼らに提出したのは、以前から自作していた幻晶騎士模型。

 そして、独学で編集したと本人が宣う分厚いレポート。内容はエルと共に調べた幻晶騎士の基礎構造に関する物とバイペッドの設計資料。

 高等部生が作ったものだと言われた方がよっぽど信憑性を感じられるようなクオリティの自主的提出物を渡されては、審査した教員達も力無く首を垂れるほかなかった。 

 こうして、エヴァは無事(?)実習への参加権をもぎ取ってきたのである。

 

 この実習でエヴァの生来の凝り性と経験は如何なく反映された。何せ彼女はカルダトアの操縦席を直に見たことがあるのだ。

 コックピットのレイアウトにはサロドレアもカルダトアもそこまで大きな違いはないため、エヴァの主観情報は模型の出来に大いに影響を与えた。

 

「こんなに作り込まれた操縦席の模型は久しぶりに見ます。今年の生徒はかなり意識が高いですね。いや、感心感心」

 

 柔和な顔立ちの教師がエヴァの監修が入った操縦席を覗き込んで、そう評する。

 

 一方でエヴァが今まで等閑(なおざり)にしていた点も、この授業によってはっきりする事になる。

 それが金属内格(インナー・スケルトン)の構造。特に脊椎とその周辺に分布する筋肉である。

 

[うっわぁ、聞いていた通りすごくややこしい仕組みだわ。バイペッド作るときはディフォルメして簡略化した部分とかも、ここじゃしっかりと作り込まんといかんしな]

 

 参考品として、かつて制作された模型の完成品が皆に公開されているのだが、外装(アウター・スキン)の一部を剥したカットモデルの中身は、非常に精巧に作り込まれた物であった。

 基本的に幻晶騎士の骨格と筋肉は人体のそれと同じような構造になっているため、それを整備する者たちには、内蔵器官や構成材料の違いを除き、人体解剖学を学ぶ医学生のような知識が求められる。

 エルが拡張人体(エンハンスド・ボディ)と呼んだ所以がここにある。正に幻晶騎士は機械仕掛けの拡大された人体なのだ。(もちろん、それなりのアレンジも加えられてはいるが)

 

[こりゃ、骨が折れるぞ。だが、それでこそモデラー冥利に尽きるってもんだ。やる気出て来たぞ!]

 

 エヴァはそれから文字通り、全身全霊を懸けてこの実習に挑んだ。

 その力の入れようと言ったら、立ち会った教師達や他の参加生徒達すら気圧される程の物だった。

 

[あの参考模型は私達教師陣が力を合わせて作った最高の一品。それに匹敵する程の物を一人で組み上げていくとは、この娘は一体……?]

 

 更に驚くべきことに、彼女はこの実習で本物の結晶筋肉(クリスタル・ティシュー)銀線神経(シルバー・ナーブ)を持ち込んで作品に組み込み始めたのだ。

 

「おい!あいつ、用意された模擬素材(イミテーション)を使ってないぞ!」「本物使って作るとか意識高っけぇな、おい!」

 

 素材の持ち込みが禁止されてないのを良いことに、エヴァは用意された設備や工具も用いて、やりたい放題やり散らかした。

 

 そうして数か月に渡る授業の果てに、生徒達はそれぞれのサロドレア模型を完成させた。

 エヴァの作品はその中でも頭一つ飛び出て、完成度が高かった。

 

「完成おめでとう、皆さん。特にエヴァリーナさんの物は本当によくできた品ですね。……もしよろしければ、その作品を今後の授業の参考品として寄贈してもらえないでしょうか?

 もちろん、無償(タダ)でとは言いません」

 

 結構な額の報酬を対価に、教師は交渉してきた。よほど、出来に感心したらしい。

 

 しかし、エヴァはこれをやんわりと断った。

 

「すいません、この模型をどうしても譲りたい友達がいるんです。その子にプレゼントするために心を込めて作ったモノですので、どうかご勘弁を」

 

 それを聞いて名残惜しそうにした教師であったが、はにかむような表情でそう口にする少女を見て、笑顔で交渉を打ち切った。無粋な事をしたと思ったのだろう。

 

[ふぅ、まさかそこまで評価してくれるなんて、肝が冷えたな。先生、ごめんな。この模型にはこっそりエルのヤツから預かったジャイロまで組み込んでるんだ。これを渡したら、アイツに恨まれちまうから]

 

 そんな裏事情があったとは、教師達も生徒達も知る由もない。

 

 

 

 基本的な構造は当初の構想以上の出来栄えで完成した模型だったが、これだけでは只のガワだけ立派な観賞用模型(ディスプレイ・モデル)にすぎない。

 実際に稼働して問題ないものかどうかは、まだ未知数であったのだ。

 

「だから、関節のクリアランスや設定の確認の為にもお前に動かしてもらわなきゃな。エル」

 

「はい!お任せください!では、行きますよ!」

 

 バイペッド以上に大きく複雑な構造を持つ1/32サロドレアにエルの魔力と術式が注ぎ込まれ、その支配下に入る。

 僅かな痙攣の後、機体はまず四肢の関節可動域を確認するように動かして行き、次いで体幹の動きを確かめる。

 

「腰に少々違和感があります。腰椎関節が微妙にずれているかもしれません」

 

「解った。調整しよう」

 

 エルの意見を基に金属内格の関節位置(アライメント)を微調整していく。

 それを終えたら、この機体の最も重要部品の一つである平衡感覚器の動作確認だ。

 

 若干の酩酊感をしばらく味わったが、彼はすぐにこれにも順応し、この違和感をむしろ楽しみ始める。

 

「あぁ!実に興味深い」

 

「大丈夫か?なんか酔っぱらってるようにも見えたけど」

 

「えぇ。むしろ楽しいですよ。この感覚は素敵な没入感をくれます。では、いよいよ歩行を始めますね」

 

 最初は恐る恐ると言った感じのゆっくりとした歩行。

 それが徐々に軽やかな足取りへと変わって行き、終いには楽しげなスキップにまで。

 

「これが重心点(ZMP)が同期するってことなんですね。この加速感も素晴らしい!楽しい!楽しすぎます!」

 

 単なる知識が感覚へと結びつく体験は、エルの心に素晴らしい高揚感を齎した。

 幸せそうに綻ぶ彼の顔貌と楽し気に動いている機体を嬉しそうに鑑賞した後、エヴァは次の話題を切り出した。

 

「エル。あとで部品の摩耗や負荷の確認やらもするから、その時に今後の改造計画とかも相談しよう。

 ……あ、それと」

 

「何ですか?」

 

「その機体の愛称(ペットネーム)を決めてくれ。いつまでも1/32サロドレアじゃしまらないだろう?」

 

「あ、そうですね。うーん……そうだ!」

 

 エルは自分の愛用杖(ウィンチェスター)を掲げて、新しい愛機にこう名付けた。

 

銀色の銃(シルバーガン)。この子の名前は、シルバー・ガンです!」




模型の名前にいろいろツッコミたいこともあるでしょうが、このネーミングは前から決めていたものです。原作の“イカルガ”の前の前の機体に当たるという事で、由来は……お察しくださいw
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