転生っていうのは、どういう意味なんだろうか。
いやそりゃ転生がどういうものかっていうのは分かるよ。二次創作じゃ使い古されたような言葉。
でもさ、転生した結果、何かのキャラとして生まれ変わったり、はたまた、まったく関係のないキャラとして生まれたとしてさ、それってどういうものなんだろうか。
……ああ、言い方が難しかったかな。
要は、本物か、ハリボテかってこと。
転生する奴には、神様から他作品のキャラの能力貰ったり、そのキャラ自体に姿を変えて転生したりする奴もいる。
それは、果たして俺たちが憧れた本物になりうるのだろうか。
ただ、ガワだけを変えたハリボテなんだろうか。
俺は、分からなかった。だから、本物になれなかった。
真冬の朝特有の肌を差すような寒さに、身体がブルリと震える。
しかし今では、そんな寒さにあってさえ表情が動くことはなくなってしまった。あー悲しい。
俺は転生者だ。名前を
まて、みなまで言うな。俺だって分かってるよ。なんだよ”りゅうが”って、くそ恥ずかしいよ。
いやそりゃ、世界のどこかには竜牙って名前が居るかもしれないし、どこかの竜牙さんには今の内に謝っとくよ。ごめん。
でもさ、前世の名前が”太郎”なんてくっそ平凡だったから、竜牙なんて恥ずかしいという感情が先に来るんだ。分かってくれ。
話を戻そう。
前述の通り、俺は転生した。前世の死因は知らんがな。
そんで後はテンプレ通り、女神さまに出会って、特典あげるっつわれて、なら騎士竜戦隊リュウソウジャーでって冗談半分に言ったら本当にくれた。もっとチートっぽい奴にすればよかった。
そして俺が転生した世界は、『僕のヒーローアカデミア』通称ヒロアカの世界。世界の総人口の8割が何らかの個性という名の超能力を持って生まれる世界だ。
そんな超能力みたいな力があるから、ヴィランなんて悪党どもが出て来て、それを退治するヒーローなんて職業が出てきた。
個性『リュウソウル』を持って転生したのは、そんな世界だった。
場面を戻して、俺は寒い中、無駄にデカい屋敷の中を歩いていた。
着始めてから随分と立つ制服に身を通し、今日も今日とて元気に朝練をやっているであろう御仁の元へ向かう。
やがて着いたのは、だだっ広い中庭。ここだけで、普通の一軒家が建てれそうなくらいには広い。
その中庭の中央で、汗を流している少女が一人。
「お嬢様、間もなく朝食のお時間です」
「――もうそんな時間ですか」
そう呟いて
流れ落ちる汗を拭きとる姿は、そのハリのある肌と動きやすいからという理由で来ている少々露出が多い服も相まって、年齢の割に妖艶な魅力を醸し出している。
まあ、それも目の前に居る人に何故かばれて、全部捨てられたんだけどな。とほほ。
「ふぅ……シャワーを浴びてきます。あなたは準備の方をしていても構いませんわ。今日でしょう? 雄英の一般受験は」
そうなのだ。俺は今日、国立の雄英高校という学校を受験する。
しかも、ヒーローとしてその名を知らぬ者はいないとまで言われる№1ヒーロー、オールマイトの母校であり、驚異の倍率を誇る雄英高校ヒーロー科にだ。
これは家……というか雇い主からの依頼でもある。推薦入学者として、すでに入学が決まっているお嬢様の護衛のために、同じヒーロー科を受験して合格しろというのだ。
入試倍率知ってんのかなあの御当主様。
「近くまでお供させていただきます。準備の方は前日に済んでおります」
「あら、覗きでもするんですの?」
「私は護衛ですから」
「…………そうですか」
何でそんな不満げなんですかね。アンタまだ15でしょ? おませちゃんめ。こちとら精神年齢どんだけだとおもっとんねん。
お風呂場まで彼女を送り届けた後は、近くに居たメイドに着替えを用意するように言い、俺は少し離れた場所で待機する。さっきも言ったが、護衛だからな。
……お嬢様は俺を名前で呼ばない。昔はそうでも無かったんだが、今ではからっきし。呼んでも「炎崎」だ。
まあ、俺も「お嬢様」と呼んでいる訳だが、これは仕事上仕方のないことだ。
立場はお嬢様が上で、彼女の家と俺は雇い主と雇われ人の関係だ。まだ小さい頃は良くても、さすがにそんな気安く接するわけにもいかないのだ。
十分ほどで彼女は出てきた。これまた、茹でった肌が艶めかしい。仕事モードで良かったよ。
「お待たせしました」
「いえ、それでは食堂の方にご案内します」
彼女を食堂に届けた後、俺は別の部屋で食事を摂る。いつもならスピード重視のメニューだが、何故か今日は栄養が考えられているメニューだった。
話を聞いてみると、今日が雄英の入試だからということで、御当主様が配慮してくださったらしい。
うーむこの。優しい雇い主様だ。……いや、よくよく考えたら、俺が雄英のしかもヒーロー科の試験落ちたら困るからじゃね? それもそっか。お嬢様の護衛のために受かりに行くんだからなぁ。受からなきゃ不味いわ。
うーむ。落ちたらどうなるんだろ、俺。良くてクビ。酷くて消されるのかもしれん。それはやだな。
出されたメニューが変わろうと、食べる速さは変わらない。腹に収まれば味は関係ないと、料理人に包丁で切りかかられそうな持論と共に、さっさと胃に詰め込んで食堂に向かうと、ちょうど配膳のメイドさんが出てきたところだった。
入室すると、ちょうど家族でコーヒーを飲んでいた。が、お嬢様が俺に気付くと立ち上がった。
「それではお父様、お母様。私は学校に向かいますわ」
「ええ。気を付けてね」
「行ってらっしゃい。竜牙くんも、受験を頑張りたまえ」
「ありがとうございます。全力でやらせていただきたいと思います」
わお、御当主様からの直々の激励。受からなきゃ消すからと暗に言ってるんですね、分かります。
ちゃんとお嬢様を立てるためにほどほどの順位にしときますんで、はい。
その後、外に出て迎えの車にお嬢様を乗せる。
「それではお嬢様、本日は別の護衛が付いておりますので」
「ええ。……受験、頑張ってください」
「はい」
お嬢様の車を見送り、俺も今日受験する雄英高校に向かう。
当然のことだが、一護衛役の俺に送り迎えなどといった大層なものはない。普通に電車と徒歩だ。時間には余裕があるが、早めに着いて損はない。行くか。
……はぁ。なんでこんなことしてるんだろうな、俺。いくら
とりあえず、護衛役なんだから、目立たないようにほどほどの成績で合格するようにしよう。
俺の名前は炎崎竜牙。個性『リュウソウル』。
八百万家の一人娘、
入試終わった。疲れた。
家の車に揺られながら、学校へ向かう。
もはや日常になったそれは、けれどもたった一つの要因で非日常になっていた。
「(リュウがいないだけで、こんなにつまらないなんて……)」
私の護衛役として、小さい頃から一緒にいた男の子。炎崎竜牙。私の知る中で、一番強い人。
いつもなら、向かいの席に彼が居て、他愛もない会話に興じていたはずなのに、それが出来ないだけで世界から色が失われてしまったかのように感じる。
昔はあだ名で呼び合っていた仲も、今では「炎崎」「お嬢様」という冷たいものになってしまった。
彼が仕事で私の護衛役をしているのは知っている。
でも年を取る度に、会話をする度に、昔と違う彼の雰囲気がどうしようもなく距離を感じさせて、それが嫌だった。
傷つくのが嫌だから、自分で傷つける。彼に冷たくしだしたのは、私からだというのに。
雄英高校の一般受験。すでに推薦で合格している私には関係ないけど、きっと彼は合格する。おそらく首席で。
だって、
彼の強さに憧れて、手を出せるものには手を出した。隣に立ちたい一心で。……それでも、彼の強さには届かなかった。それだけ彼は強い。
なのに彼は時折、とても悲しそうな、泣きそうな表情を浮かべる。それなのになんで強くなろうとするのか、どうして強いのかを、昔聞いたことがある。そしたら彼は……
『私はお嬢様の護衛役ですから。主人を守るには、主人よりも強くなる必要があるので』
なら、私があなたを守るにはどうしたらいいの? 決まってる。
そうすれば、彼という護衛役を置く必要はなくなる。護衛役というしがらみが無くなった彼と一緒にいられる。昔の様に戻れるかもしれない。
護衛役と言う役目が無くなってしまうと、彼が私から引き離されるかもしれないが、そこは私がお父様を説得すればいい。
そうだ。
「高校ならば、少しは建前に出来るかしら?」
……うん。高校で「お嬢様」なんて呼ばれても、変な注目を呼ばれるだけ。名前で呼ぶように言う理由としては最適。そして同じような理由で、彼を名前で呼ぶことも出来る。
ふと思いついたにしては、中々良いのではないだろうか?
名案を思いついた私は、少しだけ浮かれた気分で学校に向かうのだった。
雄英高校の会議室では、受験の結果を元に、来年度の入学者をどうするかの話し合いが行われていた。
と言っても、既に順位は付けられており、教員たちがそれを見て感想を言い合うだけの場とかしているのだが。
「敵P0で9位か。すげえな」
「こっちの2位は敵Pだけで2位か」
「タフネスの賜物だな」
教員たちの話題は主に3つ。一つは実技試験で仮想相手となるロボットを倒すことで得られる敵Pの多い2位の人物。二つ目は、人を助けたりすることで採点される救助Pだけで上位に食い込んだ9位の人物。そして――
「まさかOPが2体もぶっ壊されるとはなぁ!」
「1体は9位の子に、そしてもう1体が、主席合格者のこいつか」
そう言った教員が持っていた資料を机に置く。その資料には、炎崎竜牙の名前が書かれていた。
「何回見てもすげえよなぁ。まさか
「
「しかも0Pを倒したところ見ろよ。
「加えて筆記も全教科満点。規格外も良い所ね」
「にしてもよ、この志望理由……」
――推薦入学者の八百万百と同じクラスにしてください。じゃないと消されちゃうんで。いやマジで
『……いや何がどうした!?』
そうして教員たちの会話は白熱し、結局順位通りに合格者が決まって行ったのである。
後日
『君は晴れて主席合格だ! 来なよ炎崎少年、ここが君のヒーローアカデミアだ!』
「…………いやちょっとまってぇぇぇぇえええええ!?」
作者の趣味です。轟TSして良い?
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駄目に決まってんだろぉ!
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良いじゃんもっとやれぇ!