提督の憂鬱   作:sognathus

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深海棲艦の隠れ家で何やらル級が興奮して話しています。
面白い事が大好きなレ級達は何事かと早速話を聞きました。


第57話 「決意」

レ級「ケッコンカッコカリ?」

 

ル級「そう! 私聞いちゃったの!」

 

ヲ級「なにそれ?」

 

早速興味を持ったヲ級が質問する。

 

タ級「提督と結婚できるっていう例のアレ?」

 

ル級「あ、タ級知ってるの? そうだよ。それ!」

 

レ級「提督と結婚?」

 

提督という言葉を聞いてレ級も興味深そうに聞いてきた。

 

ヲ級「それってどういう事?」

 

ル級「え? それは......えっとぉ......」

 

タ級「あなた達結婚の意味知らないの......」

 

自分で話題を振っておいて早々に壁にぶつかって悩むル級の姿に、呆れ顔でタ級が溜め息をつく。

その落ち着いた様子に、どうやら彼女は詳細を知っているようだと判断したタ級以外の三人は同時に同じ言葉を発した。

 

レ級・ル級・ヲ級「教えて!」

 

タ級「はいはい。いい? 結婚というのはね......」

 

 

レ級「ずっと一緒!?」キラキラ

 

ル級「奥さん!?」キラキラ

 

ヲ級「子供!?」キラキラ

 

タ級「いや、ヲ級はちょっとそれ結論早いから。過程飛んでるから」

 

レ級「でも、結婚したら提督とふーふってのになれるんでしょ?」

 

結婚の意味を知ったレ級が目をキラキラさせて身を乗り出して聞いてきた。

 

ル級「そしたら提督の奥さんになるのよね?」

 

ヲ級「つまりずっと一緒になる?」

 

タ級「あくまで効率的な艦隊運用様の仕組みだと思うけど......まぁ、結婚という言葉を使っている以上、建前上はそうとっても問題はない、かな?」

 

タ級「でも完全じゃないからこそ、敢えてその名称を漢字じゃなく片仮名で表記......」

 

結婚の意味に盛り上がる三人に対して、その仕組みの根本的な問題も理解していたタ級はレ級達の勢いを宥める為に説明を続けようとしたが――

 

レ級「結婚したい!」

 

案の定、レ級の元気いっぱいの期待に満ちた声に遮られた。

 

ル級「したーい!」

 

ヲ級「したら。基地のごはん毎日食べられるー♪」

 

ル級とヲ級も後に続く。

が、ヲ級の動機は明らかに結婚本来の目的とはかけ離れていた。

 

タ級「......ヲ級はご飯目当てで結婚? レ級とル級は?」

 

レ級「僕は大佐好きだし結婚してふーふになりたい!」

 

ル級「私も大佐のこと嫌いじゃないけど、やっぱりヲ級と一緒でご飯たべたいなぁ」

 

タ級「レ級以外は動機が不純ね......」

 

本日二度目の呆れ顔で苦笑しつつタ級は今度はレ級の方を向く。

 

レ級「タ級は?」

 

タ級「え?」

 

レ級の不意の言葉にタ級は聞き返す事しかできなかった。

 

レ級「タ級は大佐のこと、好き?」

 

タ級「え、ちょっ、な、にゃに.....なに言ってるのよ」カァ

 

ル級(噛んだ)

 

ヲ級(噛んだね)

 

レ級「? なんでそんなに照れてるの? 好きかどうか訊いてるだけじゃん?」

 

タ級のあからさまな動揺にレ級が首を傾げてキョトンと不思議そうな表情をする。

 

タ級「だ、だからって急にそんな事言われたら困るじゃない......」

 

ル級「好き?」

 

ヲ級「嫌い?」

 

天然なレ級に対して多少は心の機微に聡い二人が面白そうな顔でレ級の質問に乗って来た。

 

タ級「もう、あなた達まで......。別に......嫌いじゃ......ないけど」

 

レ級「本当!? じゃ、僕と一緒だね! 大佐とけっこ――」

 

その言葉にタ級も自分と同じ見解だと判断したレ級は嬉しそう顔をした。

そんなレ級に対して少し申し訳ない気持ちで今度はタ級が彼女の言葉を遮った。

 

タ級「でもね」

 

レ級・ル級・ヲ級「?」

 

タ級「私達、深海棲艦なのよ?」

 

ル級・ヲ級「あ」

 

タ級「結婚できるわけ、ないじゃない......」

 

明瞭にして普遍の事実だった。

そう、これがなによりの問題だった。

 

レ級「艦娘に戻ればいいじゃん」

 

そんな事実を前にしてもレ級は結婚への意志を諦めることなく、子供の様にちょっと不機嫌な顔で解決策を提示する。

 

タ級「今のところ敗けて沈むしか艦娘に馬割れ代る手段はないでしょ? それに生まれ変わったとしても過去の記憶が残ってるかも分らないし......」

 

レ級「僕は忘れないもん!」

 

ついにレ級が叫んだ。

普段子供の様で、その実芯はしっかりしていて、何事にも動揺しない彼女がこうも激しい感情を露にするのはとても珍しい事だった。

その証拠に今まで面白そうな顔で話に乗っていたル級とヲ級も、今では目を丸くして二人の様子を伺うにとどまっている。

 

タ級「子供みたいに意地張らないの。自信はあっても保障はないでしょ?」

 

レ級「......」

 

ル級「レ級......」

 

ヲ級「元気出して!」

 

黙り込んでしまったレ級を心配してル級達が励ましの言葉を掛ける。

 

タ級「残念だけど今は諦めるしか......」

 

レ級「深海棲艦のまま......」

 

タ級「え?」

 

レ級「深海棲艦のまま結婚しちゃダメなの?」

 

我儘な答えだった。

でもそれしかもうレ級には考えが浮かばなかった。

彼女の目尻には悔しさからか僅かに涙の滴が滲んでいた。

そんなレ級を可哀そうだと思いながらも、丁寧に諭してやる事しかできないタ級はこう言った。

 

タ級「レ級、あなた何を言って......。ダメに決まってるでしょ、そんなシステム元々ないし、それに私たちと海軍は敵同士なのよ?」

 

レ級「姫に相談して僕達の一派だけでも海軍の味方になるっていうのは?」

 

タ級「仕事とは言え、今までどれだけの艦娘を沈めて来たと思ってるの。その中には生身の人間、提督だって少なからずいた筈よ? その行いを海軍が赦して受け入れてくれると思う?」

 

レ級「その時は......」

 

タ級「ダメよ」

 

レ級「えっ」

 

短いながらも今まで一番強く厳しい口調で即座にタ級が否定の言葉を放った。

 

タ級「自決して自分一人で責任取るつもりだったでしょ? ダメよ。恥を晒さない為の自決ならまだしも、そんな我儘の私情による自決なんて私の矜持が許さないわ」

 

レ級「うぅ......でもぉ」ウル

 

タ級「ほら、泣かないの。何も絶対無理とは言ってないわ。姫に相談して襲うのを止めて、話し合いの機会を伺うという手段もあるわ」

 

ついに泣き出してしまったレ級をタ級は優しく抱き寄せ、その頭を撫でながら語りかけた。

 

レ級「ぐす......待つの?」

 

タ級「こういう問題は直ぐには解決はできないの。あなただってそれは判るでしょ?」

 

レ級「......うん」コク

 

タ級「いい子ね。それじゃ、まずは姫に相談するところから一緒に考えましょう。どうやって切り出すか。そして、それが上手くいったら大佐にも相談する......順序を踏まなくちゃね」ナデナデ

 

レ級「うん......そうだね。分った」グシグシ

 

ル級「レ級......大丈夫よ!」

 

ヲ級「そうよ! わたし達も協力するから!」

 

レ級「ル級、ヲ級......皆ありがとう!」

 

友人達の温かい言葉にレ級は涙で少し赤くなった目を拭いながら、いつも通りの明るい笑顔でお礼を言った。




姫許してくれるでしょうかね。
ま、それを考えるのは自分なんですがw

深海棲艦のままケッコンしていみたいんですよねぇ。
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