宇宙(ソラ)に輝く、星の守り手~Phantasy Star Online2外伝~   作:星野優季

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お久しぶりです。
リテムのレベリングその他から始まり、リアルの用事で長らく投稿できていませんでした。
申し訳ありません。

もう、3ヶ月、か………


深界に至りし守護輝士

「だぁー、ちくしょぉおおー!」

「いくら何でも多すぎんだろー!!」

「ちょっと黙っててよキリトー!」

「どうしてこんなことにー!!」

「急がないと追いつかれるよ速く逃げてー!」

「いやー、こんなに走ったのは久しぶりだよ~」

「……ハジメ、ファイト……」

「「お前ら気楽だな!」」

 

現在、私たちはユエを背負いながら猛然と草むらの中を逃走していた。周りは百六十センチ以上ある雑草が生い茂りこの中で一番身長の高いハジメくんの肩付近まで隠してしまっている。ユエちゃんなら完全に姿が見えなくなっているだろう。

 

そんな生い茂る雑草を鬱陶しそうに払い除けながら、私たちが逃走している理由はというと──────

 

 

 

「「「「「「「「「「「「シャァアア!!」」」」」」」」」」」」

 

 

 

────現在進行形で二百体を超える魔物に追われているからである。

 

私たちが準備を終えて迷宮攻略に動き出したあと、十階層ほどは順調に降りることが出来た。ハジメくんたちやカエデちゃんの装備や技量が充実し、さらにそれが熟練してきたからというのもあるが、ユエちゃんの魔法、そして私のテクニックが凄まじい活躍を見せたというのも大きな要因だ。

 

全属性の魔法をなんでもござれとノータイムで使用し的確にハジメくんたちを援護する。

 

ただ、ユエちゃんは回復系や結界系の魔法はあまり得意ではないらしい。〝自動再生〟があるからか無意識に不要と判断しているのかもしれない。もっとも、ハジメくんたちには神水が、私に至ってはメイト系、アトマイザー各種、レスタアンティ、ハーフドール、更には攻撃した相手の生命力を奪う〝奪命の撃〟というS級特殊能力(SOP)と呼ばれるものが付与された武器(抜剣)まであるのでなんの問題もなかったけど。

 

そんな私たち七人が降り立ったのが現在の階層だ。まず見えたのは樹海だった。十メートルを超える木々が鬱蒼と茂っており、空気はどこか湿っぽい。しかし、以前通ったらしい熱帯林の階層だとか蒸し暑いナベリウスの森林エリア、あとはアムドゥスキアの火山洞窟エリアと違ってそれほど熱くはないしジメジメしてないのが救いだろう。あそこ、涼しそうに見えて割と蒸し暑いんだよな………。

 

そして、そんな中で私たちが階下への階段を探して探索していると、突然、ズズンッという地響きが響き渡った。

 

『前方より反応あり。注意してください!』

 

シエラの警告もあり、何事かと身構える私たちの前に現れたのは、巨大な爬虫類を思わせる魔物だった。見た目はアムドゥスキアのヴォル・ドラゴンを少しちっちゃくして色を白くしたような見た目だった。

 

ただし、なぜか頭に一輪の可憐な花を生やしていたが……。

 

鋭い牙と迸る殺気が議論の余地なくこの魔物の強力さを示していたが、ついっと視線を上に向けると向日葵にそっくりの花がふりふり動く。なんだこのシリアスブレイカー。

 

迷宮の名前からもじった仮称オルク・ドラゴンが咆哮を上げて私たちに向かって突進してくる。

 

ハジメくんの横にいたカオリちゃんは慌てずシュテルを抜こうとして……それを制するように前に出たユエちゃんがスッと手を掲げた。

 

「〝緋槍(ひそう)〟」

 

ユエちゃんの手元に現れた炎は渦を巻いて円錐状の槍の形をとり、一直線にオルク・ドラゴンの口内目掛けて飛翔し、あっさり突き刺さって、そのまま貫通。周囲の肉を容赦なく溶かして一瞬で絶命させた。地響きを立てながら横倒しになるオルク。

 

そして、残った頭の花がポトリと地面に落ちた。

 

「……」

 

いろんな意味で思わず押し黙るハジメくんたち。

 

最近、ユエちゃんの無双が激しい。最初は私たちの援護に徹していたはずだが、何故か途中からハジメくん……というかカオリちゃんに対抗するように先制攻撃を仕掛け魔物を瞬殺するのだ。

 

そのせいで、ハジメくんたちは、最近出番がめっきり減ってしまい、自分たちが役立たずな気がしてならなかったらしい。まさか、自分が足手まといだから即行で終わらせているとかではあるまいな? と内心不安にも駆られていたとか。もしそんなことを本気で言われたら丸十日は落ち込む自信があったという。

 

カオリちゃんは抜きかけのシュテルをホルスターに仕舞い直すと苦笑いしながらユエちゃんに話しかけた。

 

「あ~、ユエ? 張り切るのはいいんだけど……最近、私たち、あまり動いてない気がするんだけど……」

 

ユエちゃんは振り返ってカオリちゃんの方を見ると、無表情ながらどこか得意げな顔をする。

 

「……私、みんなの役に立つ。……パートナーだから」

 

どうやら、ただハジメくんたちの援護だけしているのが我慢ならなかったらしい。

 

まあ確か、少し前に一蓮托生のパートナーなのだから頼りにしているみたいな事をハジメくんが言っていたような気がする。

 

確かその時は、ユエちゃんが、魔力もフォトンも枯渇するまで魔法(テクニック)を使い戦闘中に倒れてちょっとした窮地に陥ってしまい、何とか脱した後、その事をひどく気にするので慰める意味で言っていたのだけど……思いのほか深く心に残ったようである。パートナーとして役立つところを見せたいのだろう。

 

「はは、いや、もう十分に役立ってるって。ユエは魔法が強力な分、接近戦は苦手なんだから後衛を頼むよ。前衛は俺達の役目だ」

 

「……ハジメ……ん」

 

ハジメくんに注意されてしまい若干シュンとするユエちゃん。

 

ハジメくんは、どうにも彼の役に立つことにこだわり過ぎる嫌いのあるユエちゃんに苦笑いしながら、彼女の柔らかな髪を撫でる。それだけで、ユエちゃんはほっこりした表情になって機嫌が戻ってしまうのだから、ハジメくんとしてはもう何とも言えない。

 

 

別に依存して欲しいわけではないので、所々で注意が必要だろう……と思いつつ、つい甘やかしてしまう。ハジメくんは、実のところ、そんな自分にこそ一番呆れていたそう。

 

『皆さん、周囲から無数の熱源反応を感知しました。警戒してください』

 

ある意味、二人がイチャついていると、ハジメくんの〝気配感知〟に続々と魔物が集まってくる気配が捉えられた。

シエラからも報告がなされたところで確認すると、十体ほどの魔物が取り囲むように私たちの方へ向かってくる。統率の取れた動きにザウーダンとかみたいな群れの魔物かな?と訝しみながらみんなを促して現場を離脱する。数が多いので少しでも有利な場所に移動するためだ。

 

 

円状に包囲しようとする魔物に対し、わたしは、その内の一体目掛けて()()()で、かつ()()()()()()()()で突っ込んでいった。

 

「「「「「「………は?」」」」」」

 

ハジメくんたちの間の抜けた声をよそに、生い茂った木の枝を払い除け飛び出した先には、体長二メートル強の爬虫類、例えるなら火山洞窟エリアのディッグのような魔物がいた。

 

ただし、頭からチューリップのような花をひらひらと咲かせて。

 

「………なにあれ」

 

「……かわいい」

 

「……流行りなのか?」

 

カエデちゃんが苦笑いし、ユエちゃんが思わずほっこりしながら呟けば、ハジメくんはシリアスブレイカーな魔物にジト目を向け、有り得ない推測を呟く。

 

仮称オルク・ディッグは、オルク・ドラゴンと同じく、「花なんて知らんわ!」というかのように殺気を撒き散らしながら低く唸っている。臨戦態勢だ。花はゆらゆらふりふりしてるけど……まじでなにあれ。

 

「シャァァアア!!」

 

オルク・ディッグが、花に注目して立ち尽くすハジメくん達に飛びかかる。その強靭な脚には二十センチメートルはありそうなカギ爪が付いており、ギラリと凶悪な光を放っていた。

 

私たちは左右に分かれるように飛び退き回避する。

 

それだけで終わらず、ハジメくんは 〝空力〟を使って三角飛びの要領でディッグの頭上を取った。そして、試しにと頭のチューリップを撃ち抜いてみた。

 

ドパンッという発砲音と同時にチューリップの花が四散する。

 

オルク・ディッグは一瞬ビクンと痙攣したかと思えば、着地を失敗してもんどり打ちながら地面を転がり、樹にぶつかって動きを止めた。シーンと静寂が辺りを包む。ユエちゃんもトコトコとハジメくんの傍に寄ってきてディッグと四散して地面に散らばるチューリップの花びらを交互に見やった。私も気になって手持ちの武器を〝光跡銃アンビシオン〟に換装し、チョンチョンと突っついてみる。

 

「……死んだ?」

 

「いや、生きてるっぽいけど……」

 

ハジメくんの見立て通り、ピクピクと痙攣した後、ディッグはムクッと起き上がり辺りを見渡し始めた。そして、地面に落ちているチューリップを見つけるとノッシノッシと歩み寄り親の敵と言わんばかりに踏みつけ始めた。

 

「え~、何その反応、どういうこと?」

 

「……イタズラされた?」

 

「いや、そんな背中に張り紙つけて騒ぐ小学生じゃねぇんだから……」

 

ディッグは一通り踏みつけて満足したのか、如何にも「ふぅ~、いい仕事したぜ!」と言わんばかりに天を仰ぎ「キュルルル~!」と鳴き声を上げた。そして、ふと気がついたようにハジメくん達の方へ顔を向けビクッとする。

 

「今気がついたのかよ。どんだけ夢中だったんだよ」

 

「……やっぱりイジメ?」

 

「いやいや違うと思うよあれは」

 

ハジメくんがツッコミ、ユエちゃんが同情したような眼差しでディッグを見る。ディッグは暫く硬直したものの、直ぐに姿勢を低くし牙をむき出しにして唸り一気に飛びかかってきた。

 

私はアンビシオンを向けて、容赦なく引き金を引く。アンビシオンの先から一瞬で光弾が生成され、撃ち出された。その弾丸は、青白色の閃光となって狙い違わずディッグの脳天を直撃し後頭部を粉砕して飛び出た弾丸は、背後の樹も貫通して樹海の奥へと消えていった。

 

跳躍の勢いそのままにズザーと滑っていく絶命したディッグ。ハジメくんもユエも何とも言えない顔でディッグの死体を見やった。

 

 

 

「ホント、一体なんなんだ?」

 

「……イジメられて、撃たれて……哀れ」

 

「いや、イジメから離れろよ。絶対違うから」

 

私たちは訳がわからないものの、そもそも迷宮のそのものがわけのわからない物ばかりなので気にするのを止めた。

 

『周囲に熱源反応多数。注意を!』

 

どうやら、包囲網がかなり狭まってきていたようだ。なので急いで移動しつつ、有利な場所を探っていく。

 

程なくして直径五メートルはありそうな太い樹が無数に伸びている場所に出た。隣り合う樹の太い枝同士が絡み合っており、まるで空中回廊のようだ。

 

ハジメくんは〝空力〟で、ユエは風系統の魔法で頭上の太い枝に飛び移る。ハジメくんはそこで頭上から集まってきた魔物達を狙い撃ちにし殲滅するつもりなのだ。

 

 

 

数分もかからず眼下に次々とディッグが現れ始めた。焼夷手榴弾でも投げ落としてやろうと思っていたらしいハジメくんは硬直した。隣では魔法を放つため手を突き出した状態でユエも固まっていた。

 

なぜなら……

 

「なんでどいつもこいつも花つけてんだよ!」

 

「……ん、お花畑」

 

「わーお、めっちゃシュール」

 

ハジメくんたちの言う通り、現れた十体以上のディッグもどきは全て頭に花をつけていた。それも色とりどりの花を。

 

思わずツッコミを入れてしまったハジメくんの声に反応して、ディッグもどきたちが一斉にハジメくん達の方を見た。そして、襲いかかろうと跳躍の姿勢を見せる。

 

『状況開始。健闘を!』

 

EMERGENCY CODE

[ATTACK]

 

敵を100体倒せ!

 

ハジメくんは〝焼夷手榴弾〟を投げ落とすと同時に、その効果範囲外にいるものから優先してドンナーで狙い撃ちにした。連続して発砲音が轟き、その度に紅い閃光がディッグの頭部を一発の狂いもなく吹き飛ばしていく。ユエちゃんも同じく周囲の個体から先程も使った〝緋槍〟を使って仕留めていく。

カオリちゃんも突き抜けてきた個体を正確無比に撃ち抜いていき、キリトくんたちもPA────ではなくソードスキルでバッタバッタとなぎ倒していく。

 

そしてきっかり三秒後、群れの中央で〝焼夷手榴弾〟が爆発し、摂氏三千度の燃え盛るタールが飛び散り周囲のディッグを焼き尽くしていった。この階層の魔物にも十分に効いているようだとハジメくんは胸を撫で下ろした。やはり、あのガーディアンが特別強かったらしい。

 

結局十秒もかからず殲滅に成功した。しかし、ハジメくんの表情は冴えない。ユエちゃんがそれに気がつき首を傾げながら尋ねた。

 

「……ハジメ?」

 

「……お前ら、なんかおかしくないか?」

 

「?」

「どういうこと、ハジメ君?」

 

「ちょっと弱すぎる」

 

 ハジメくんの言葉にハッとなるユエちゃんたち。

 

「………確かに。やけに当てやすかったし、やわかったね」

「……それはお前がおかしいだけだ、ユウ」

 

確かに、ディッグも先のオルクも、動きは単純そのもので特殊な攻撃もなく簡単に殲滅できてしまった。それどころか殺気はあれどもどこか機械的で不自然な動きだった。花が取れたディッグが怒りをあらわにして花を踏みつけていた光景を見た後なので尚更、花をつけたディッグ達に違和感を覚えてしまう。

 

慎重に進もう、ハジメくんがユエちゃんにそう言おうとしたその時、ハジメくんの〝気配感知〟とキリトくんの気配感知スキルが再び魔物の接近を捉えた。全方位からおびただしい数の魔物が集まってくる。ハジメくんの感知範囲は半径二十メートルといったところだが、その範囲内において既に捉えきれない程の魔物が一直線に向かってきていた。

 

 

 

「お前ら、ヤバイぞ。三十───いや、四十以上の魔物が急速接近中だ。まるで、誰かが指示してるみたいに全方位から囲むように集まってきやがる」

 

「とゆーか、これ奥の方────100mくらい先の方から来てるのも含めて200は超えてるんじゃない?」

 

「……逃げる?」

 

「……いや、この密度だと既に逃げ道がない。一番高い樹の天辺から殲滅するのがベストだろうな」

 

「ん……特大のいく」

 

「こちらも、とっておきのテクニックを披露しようかな?────────わたしが連中を()()()から、ユエちゃんは集まったエネミーを叩いて!私はチャージ中動けないから、護衛をお願い!」

 

「ん…………分かった」

 

「うん、任せて!」

 

「任せとけ!」

 

「ボク達に任せといてよ!」

 

「みんな、無理しないでね!」

 

「よし、かましてやれ!」

 

CHANGE OVER CODE

[ATTACK]

 

敵を200体倒せ!

 

私たちは高速で移動しながら周囲で一番高い樹を見つける。そして、その枝に飛び乗り、眼下の足がかりになりそうな太い枝を砕いて魔物が登って来にくいようにした。

 

ハジメくんはドンナーを構えながら静かにその時を待つ。ユエちゃんがそっとハジメくんの服の裾を掴んだらしいことがわかった。手が塞がっていたので代わりに少しだけ体を寄せた。ユエちゃんの掴む手が少し強くなったようだ。わたしはシフタとデバンドを最大出力で放ち、全員のステータスを上昇させる。

 

そして第一陣が登場した。ディッグだけでなくオルクもいる。オルクは樹に体当たりを始め、ディッグは器用にカギ爪を使ってヒョイヒョイと樹を登ってくる。

 

ハジメくんはドンナーの引き金を引いた。発砲音と共に閃光が幾筋も降り注ぎカギ爪で樹にしがみついていたディッグを一体も残さず撃ち抜く。

 

撃ち尽くしたドンナーからシリンダーを露出させると、くるりと手元で一回転させ排莢し、左脇に挟んで装填する。この間五秒。

 

その間隙を埋めるように発砲直前に落としておいた〝焼夷手榴弾〟が爆発。辺りに炎を撒き散らす。そして、再度ドンナーを連射する。それだけで既に十五体は屠ったハジメくんだが、その顔に満足感はなかった。

 

既に眼下には三十体を超えるディッグと二十体以上のオルクがひしめき合い、ハジメくん達のいる大木をへし折ろうと、あるいは登って襲おうと群がっているからだ。

 

カオリちゃんやキリトくん、ユウキちゃんにカエデちゃんも、魔法やスキルを放ってエネミーを落としている。

 

「ハジメ?」

 

「まだだ……もうちょい」

 

「まだもう少し、引き付けて……」

 

ユエの呼び掛けにディッグを撃ち落としながら答えるハジメくん。ユエちゃんはハジメくんを信じてひたすら魔力の集束に意識を集中させる。

 

わたしもテクニックを放たず、ため続ける。

 

 そして遂に、眼下の魔物が総勢五十体を超え、今では多すぎて判別しづらいが、事前の〝気配感知〟で捉えた魔物の数に達したと思われたところで、ハジメくんは、ユエちゃんに合図を送った。

わたしも、テクニックの有効範囲に敵がすべて入ったのを確認し、ぶっ放す。

 

 

「ユウ、ユエ!」

 

「略式複合テクニック、〝レ・ザンディア〟!!!」

 

「んっ! 〝凍獄(とうごく)〟!」

 

 

 

わたしが超最大出力の〝レ・ザンディア〟を放った瞬間、通常のレ・ザンディアよりも大規模な、雷をまとった竜巻が発生し、エネミーがその中心に勢いよく集められていく。そして、ユエの魔法が放たれた。すると、私たち達のいる樹の付近、レ・ザンディアを中心に地面が一気に凍てつき始めた。ビキビキッと音を立てながら瞬く間に蒼氷に覆われていき、魔物に到達すると花が咲いたかのように氷がそそり立って氷華を作り出していく。

 

魔物は一瞬の抵抗も許されずに、その雷風纏う氷華の柩に閉じ込められ目から光を失っていった。氷結範囲は指定座標を中心に五十メートル四方。まさに〝殲滅魔法〟というに相応しい威力である。

 

CODE [ATTACK]

 

COMPLETED     

 

エマージェンシートライアル[敵を200体倒せ!]成功!

報酬:6751EXP 2537♢ ○ ラムダグラインダー×2

 

 

「はぁ……はぁ……」

 

「お疲れさん。流石は吸血姫だ。ユウもサンキューな」

 

「……くふふ……」

 

「どういたしまして」

 

周囲一帯、まさに氷結地獄と化した光景を見て混じりけのない称賛をユエちゃんと私に贈るハジメくん。ユエちゃんは最上級魔法を使った影響で魔力が一気に消費されてしまい肩で息をしている。おそらく酷い倦怠感に襲われていることだろう。

かくいう私も、少々体内のフォトンを使いすぎて、息が少し上がっていた。空間中のフォトンを吸収して、回復する。

 

ハジメくんは傍らでへたり込むユエちゃんの腰に手を回して支えながら、首筋を差し出した。吸血させて回復させるようだ。神水でもある程度回復するのだが、吸血鬼としての種族特性なのか全快になるには酷く時間がかかるそう。やはり血が一番いいようだ。

 

ユエちゃんは、ハジメくんの称賛に僅かに口元を綻ばせながら照れたように「くふふ」と笑いをもらし、差し出された首筋に頬を赤らめながら口を付けようとした。

 

だが、それを止めるように突如ハジメくんが険しい表情で立ち上がった。彼の〝気配感知〟が更に百体以上の魔物を捉えたからだ。

こちらも、フォトンによる感知で、大量のエネミーの反応を確認した。

 

おっと……これはまずいかもね…………

 

「みんな、更に倍の数、こっちに向かってきてる」

 

「「「「「!?」」」」」

 

「おいおいもうリポップするなんて、こんなのいくらなんでもおかしいだろ。たった今、全滅させたところだろ?それなのにまた特攻……まるで強制されている?……まさか、あの花……」

 

「……寄生だよね、多分」

 

「キリトくんたちもそう思う?……だよねー。なんかあいつらの反応が明らかに操られてる感じすごかったし」

 

キリトくんとユウキちゃんの推測を肯定するように私がコクンと頷く。

 

「……だとしたら、連中を操っている本体がいるはずだろ」

 

「だね。あの花をばらまいてるヤツを倒さない限り、私達はこの階層の魔物全てを相手にすることになっちゃう」

 

私たちは物量で押しつぶされる前に、おそらくエネミーたちを操っているのであろうエネミーの本体を探すことにした。でなければ、とても階下探しなどしていられない。

 

座り込んでいるユエちゃんに吸血させている暇はないので、ハジメくんはユエちゃんに神水を渡そうとした。しかし、ユエはそれを拒んだ。訝しそうなハジメくんにユエちゃんが両手を伸ばして言う。

 

「ハジメ……だっこ……」

 

「お前はいくつだよ! ってまさか吸血しながら行く気か!?」

 

ハジメくんの推測に「正解」というようにコクンと頷くユエちゃん。確かに、神水ではユエちゃんの魔力回復が遅いし、不測の事態に備えて回復はさせておきたい。しかし、自分が必死に駆けずり回っている時にチューチューされるという構図に若干抵抗を感じている様子のハジメくん。背に腹は替えられないと分かってはいるようだが……

 

結局了承してユエちゃんをだっこ……は邪魔になるので、おんぶして、私たちは本体探しに飛び出した。

 

そして冒頭の場面へと戻るわけだ。

 

私たちは現在、二百近い魔物に追われていた。草むらが鬱陶しいと、吸血は済んでいるのにユエちゃんはハジメくんの背中から降りようとしない。

 

後ろからは魔物が、ドドドドドドドドドドドドドドドッ!と、地響きを立てながら迫っている。背の高い草むらに隠れながらディッグが併走し四方八方から飛びかかってくる。それを撃って斬って殴って焼いて吹っ飛ばして迎撃しつつ、探索の結果一番怪しいと考えられた場所に向かいひたすら駆けるハジメくん。ユエちゃんやカオリちゃんも魔法を撃ち込み、キリトくんたちも応戦し致命的な包囲をさせまいとする。

 

カプッ、チュー

 

私たちが睨んだのは樹海を抜けた先、今通っている草むらの向こう側にみえる迷宮の壁、その中央付近にある縦割れの洞窟らしき場所だ。

 

なぜ、その場所に目星をつけたのかというと、襲い来る魔物の動きに一定の習性があったからだ。私たちが迎撃しながら進んでいると、ある方向に逃走しようとした時だけやたら動きが激しくなるのだ。まるで、その方向には行かせまいとするかのように。更にこちらのフォトンを感知する能力でも、なぜか何故かそちらの方向に進むと異様にフォトンがざわついたのだ。故に、その方向に突貫してみることにしたというわけである。

 

どうやら、草むらに隠れながらというのは既に失敗しているようだ。みんなは〝空力〟で跳躍し、〝縮地〟で更に加速する。わたしも、ちょっとばかり二段ジャンプをかまし、そこから更に前方へ雷を纏いながら高速移動する雷属性テクニックの〝イル・ゾンデ〟をぶっ放し加速する。

 

カプッ、チュー

 

「ユエさん!? さっきからちょくちょく吸うの止めてくれませんかね!?」

 

「……不可抗力」

 

「嘘だ! ほとんど消耗してないだろ!」

 

「……ヤツの花が……私にも……くっ」

 

「何わざとらしく呻いてんだよ。ヤツのせいにするなバカヤロー。ていうか余裕だな、おい」

 

こんな状況にもかかわらず、ハジメくんの血に夢中のユエちゃん。元王族なだけあって肝の据わりかたは半端ではないらしい。そんな風に戯れながらもきっちり迎撃し、私たちは二百体以上の魔物を引き連れたまま縦割れに飛び込んだ。

 

縦割れの洞窟は大の大人が二人並べば窮屈さを感じる狭さだ。オルクは当然通れず、ディッグでも一体ずつしか侵入できない。何とかハジメくん達を引き裂こうと侵入してきたディッグの一体がカギ爪を伸ばすが、その前にハジメくんのドンナーと私のアンビシオンが火を噴いた。そして、すかさず錬成し割れ目を塞ぐ。

 

「ふぅ~、これで取り敢えず大丈夫だろう」

 

「……お疲れさま」

 

「そう思うなら、そろそろ降りてくれねぇ?」

 

「……むぅ……仕方ない」

 

ハジメくんの言葉に渋々、ほんと~に渋々といった様子でハジメくんの背から降りるユエちゃん。余程、ハジメくんの背中は居心地がいいらしい。

 

「さて、あいつらやたら必死だったからな、ここでビンゴだろ。油断するなよ?」

「ん」

「らしき反応がっちり捕らえたよ。間違いなくこの先だね」

 

錬成で入口を閉じたため薄暗い洞窟を二人は慎重に進む。

しばらく道なりに進んでいると、やがて大きな広間に出た。広間の奥には更に縦割れの道が続いている。もしかすると階下への階段かもしれない。ハジメくんは辺りを探る。〝気配感知〟には何も反応はないがなんとなく嫌な予感がするので警戒は怠らない。気配感知を誤魔化す魔物など、この迷宮にはわんさかいるのだ。

ハジメくん達が部屋の中央までやってきたとき、それは起きた。

 

全方位から緑色のピンポン玉サイズの球体が無数に飛んできたのだ。私たち全員は一瞬で背中合わせになり、飛来する緑の球を迎撃する。

 

しかし、その数は優に百を超え、尚、激しく撃ち込まれるのでハジメくんは錬成で石壁を作り出し防ぐことに決めた。石壁に阻まれ貫くこともできずに潰れていく緑の球。大した威力もなさそうである。ユエちゃんたちの方も問題なく、速度と手数に優れる風系の魔法などで迎撃している。

私も私で高速()()チャージしたフォイエ系統のテクニックをわんさか放り込み、球体を余すことなく焼いていく。

 

「ユエ、おそらく本体の攻撃だ。どこにいるかわかるか?」

 

「……」

 

「ユエ?」

「ユエちゃん?」

 

ユエちゃんに本体の位置を把握できるか聞いてみるハジメくん。ユエちゃんは〝気配感知〟など索敵系の技能は持っていないが、吸血鬼の鋭い五感はハジメくんとは異なる観点で有用な索敵となることがあるのだ。

 

しかし、ハジメくんの質問にユエちゃんは答えない。訝しみ、ユエちゃんの名を呼ぶハジメくんだが、その返答は────

 

「……にげて……ハジメ!」

 

────攻撃を以て返される。ユエちゃんの手がハジメくんの方向にに向く。ユエちゃんの手に(魔力)が集束する。本能が激しく警鐘を鳴らし私たちは、その場を全力で飛び退いた。刹那、わたし達のいた場所を強力な風の刃が通り過ぎ、背後の石壁を綺麗に両断する。

 

「ユエ!?」

「ああそういうことかクソッ!」

 

まさかの攻撃にハジメくんは驚愕の声を上げるが、ユエの頭の上にあるものを見て私たち事態を理解する。そう、ユエの頭の上にも花が咲いていたのだ。それも、ユエに合わせたのかと疑いたくなるぐらいよく似合う真っ赤な薔薇が。

 

「くそっ、さっきの緑玉か!?」

 

ハジメくんは自身の迂闊さに自分を殴りたくなる衝動をこらえ、ユエちゃんの風の刃を回避し続ける。

 

「ハジメ……うぅ……」

 

ユエちゃんが無表情を崩し悲痛な表情をする。ディッグの花を撃ったとき、ディッグは花を憎々しげに踏みつけていた。あれはつまり、花をつけられ操られている時も意識はあるということだろう。体の自由だけを奪われるようだ。

 

だが、それなら解放の仕方も既に知っている。ハジメくんはユエの花に照準し引き金を引こうとした。

 

しかし、操っている者もハジメくんが花を撃ち落としたことやハジメくんの飛び道具を知っているようで、そう簡単にはいかなかった。

 

ユエを操り、花を庇うような動きをし出したのだ。上下の運動を多用しており、外せばユエの顔面を吹き飛ばしてしまうだろう。ならばと、接近し切り落とそうとすると、突然ユエが片方の手を自分の頭に当てるという行動に出た。

 

 

 

「……やってくれるじゃねぇか……」

 

 

 

 つまり、ハジメくんが接近すればユエ自身を自らの魔法の的にすると警告しているのだろう。

 

 

 

 ユエは確かに不死身に近い。しかし、上級以上の魔法を使い一瞬で塵にされてなお〝再生〟できるかと言われれば否定せざるを得ない。そして、ユエは、最上級ですらノータイムで放てるのだ。特攻など分の悪そうな賭けは避けたいところだ。

 

ハジメくんの逡巡を察したのか、それは奥の縦割れの暗がりから現れた。

 

アルラウネやドリアード等という人間の女と植物が融合したような魔物がRPGにはよく出てくる。ハジメくん達の前に現れた魔物は正しくそれだった。もっとも、神話では美しい女性の姿で敵対しなかったり大切にすれば幸運をもたらすなどという伝承もあるが、目の前のアルラウネもどきにはそんな印象皆無である。

 

確かに、見た目は人間の女なのだが、内面の醜さが溢れているかのように醜悪な顔をしており、無数のツルが触手のようにウネウネとうねっていて実に気味が悪い。その口元は何が楽しいのかニタニタと笑っている。

 

ハジメくんはすかさずエセアルラウネに銃口を向けた。しかし、ハジメくんが発砲する前にユエが射線に入って妨害する。

 

「ハジメ……ごめんなさい……」

 

悔しそうな表情で歯を食いしばっているユエちゃん。自分が足でまといなっていることが耐え難いのだろう。今も必死に抵抗しているはずだ。口は動くようで、謝罪しながらも引き結ばれた口元からは血が滴り落ちている。鋭い犬歯が唇を傷つけているのだ。悔しいためか、呪縛を解くためか、あるいはその両方かはわからないが。

 

ユエちゃんを盾にしながらエセアルラウネは緑の球をハジメくんに打ち込む。

 

ハジメくんは、それをドンナーで打ち払った。球が潰れ、目に見えない花を咲かせる胞子が飛び散っているのだろう。

 

しかし、ユエちゃんのようにハジメくんの頭に花が咲く気配はない。ニタニタ笑いを止め怪訝そうな表情になるエセアルラウネ。ハジメくんには胞子が効いていない。

 

(たぶん、耐性系の技能のおかげだろうな)

 

ハジメくんの推測通り、エセアルラウネの胞子は一種の神経毒である。そのため、〝毒耐性〟によりハジメくんたちには効果がないのだ。つまり、彼らが助かっているのは全くの偶然で、ユエちゃんを油断したとは責められない。ユエちゃんが悲痛を感じる必要はないのだ。

ちなみに、私の場合は体内のフォトンの浄化能力によって入ってきた胞子が片っ端から浄化されているために効いていないのだ、

 

エセアルラウネは私たちに胞子が効かないと悟ったのか不機嫌そうにユエに命じて魔法を発動させる。また、風の刃だ。もしかすると、ディッグ達の動きが単純だったことも考えると操る対象の実力を十全には発揮できないのかもしれない。

 

(不幸中の幸いだな)

 

風の刃を回避しようとすると、これみよがしにユエの頭に手をやるのでその場に留まり、サイクロプスより奪った固有魔法〝金剛〟により耐える。

 

この技能は魔力を体表に覆うように展開し固めることで、文字通り金剛(ダイヤモンド)の如き防御力を発揮するという何とも頼もしい技能である。まだまだ未熟なため、おそらく門番のサイクロプスの十分の一程度の防御力だが、風の刃も鋭さはあっても威力はないので凌げている。

 

(一応、速攻で片付く方法もあるんだが……後が怖いしな……焼夷手榴弾でも投げ込むか?)

 

ハジメくんがこの状況をどう打開すべきか思案していると、ユエが悲痛な叫びを上げる。

 

「ハジメ! ……私はいいから……撃って!」

 

何やら覚悟を決めた様子でハジメくんに撃てと叫ぶユエ。ハジメくんの足手まといになるどころか、攻撃してしまうぐらいなら自分ごと撃って欲しい、そんな意志を込めた紅い瞳が真っ直ぐハジメくんを見つめる。

 

そんなこと出来るはずないだろう! 必ず助けてみせる! 普通はこんな熱いセリフが飛び出て、ヒロインと絆を確かめ合うシーンだ。一昔前のハジメくんならそうしただろう。だがしかし、そんな期待を裏切るのが現在のハジメくんクオリティー。

 

 

 

「え、いいのか? 助か──べぶっ!?」

 

スパンッ!!

 

「おい、ユウ!なにすんだよ!!」

「……やめなさい。てかせめてもう少し躊躇えよ」

 

ユエの言葉を聞いた瞬間、何の躊躇ためらいもなく引き金を引こうとしたハジメくん。そして、それを叩いた私。

 

ユエが目をパチクリとする。エセアルラウネもパチクリとする。

 

「ならお前ならどうするんだよ!」

「簡単だよ」

 

瞬間、私の周りのフォトンが()()()

 

「っ!?」

 

いや、実際に冷えているわけではない。だが、そう感じる程に辺りのフォトンは静まっていた。

 

「音なく、堕ちろ」

 

次の瞬間、いつの間にか抜剣────〝エギルオービット〟に持ち替えていた私が、カタナを振り上げた。

同時に、その刃が青白い光をまとう。

切っ先が動く。

軌跡を描く。

私から見て、彼女の花と奴の首。そのどちらも切れるように()()()

そのなぞった場所が、フォトンによって構成された刃が通過する。

音もなく、ユエちゃんの頭上の花とアルラウネもどきの首が堕ちた。

 

ユエがそっと両手で頭の上を確認するとそこに花はなく、代わりに千切れているやつの首がある。そして、落とされた事に気づいたアルラウネの首。その頭部が緑色の液体を撒き散らしながらするりと落ちる。そのまま、グラリと傾くと手足をビクンビクンと痙攣させながら地面に倒れ伏した。

 

「ゆ、ユエ、無事か? 違和感とかないか?」

「ユエちゃん?大丈夫?」

 

気軽な感じでユエの安否を確認するハジメくん。なんか若干こっちを見て引いてない?

 

「…………ん。大丈夫。それより────」

 

……なんかすごいものを見る目でこちらを見るみんな。

 

「どうしたの?なんかとんでもない化け物を見るような目をして」

 

「………いや、なんでもねぇ」

「………ん」

「大したことじゃないよ」

「とんでもないものを見ただけだからな」

「うんうん」

「ちょっと、すごいなーと思っただけだから」

 

 

 

……………解せぬ。

 

 

 

 

 

 

 

 

エセアルラウネを私が切り落とし、なんか引かれた日から随分経ち、私たちは迷宮攻略に勤しんでいた。

 

そして遂に、次の階層で私たちが最初にいた階層から百階目になるところまで来た。その一歩手前の階層でみんなは装備の確認と補充にあたっていた。相変わらずユエちゃんは飽きもせずにハジメくんの作業を見つめている。というよりも、どちらかというと作業をするハジメくんを見るのが好きなようだ。今も、ハジメくんのすぐ隣で手元とハジメくんを交互に見ながらまったりとしている。その表情は迷宮には似つかわしくない緩んだものだ。

 

ユエちゃんと出会ってからどれくらい日数が経ったのか時間感覚がないためわからないが、最近、ユエちゃんはよくこういうまったり顔というか安らぎ顔を見せる。露骨に甘えてくるようにもなった。

 

特に拠点で休んでいる時には必ず密着している。横になれば添い寝の如く腕に抱きつくし、座っていれば背中から抱きつく。吸血させるときは正面から抱き合う形になるのだが、終わった後も中々離れようとしない。ハジメくんの胸元に顔をグリグリと擦りつけ満足げな表情でくつろぐのだ。

 

 

 

 ハジメくんも男である。ユエちゃんの外見が十二、三歳なので微笑ましさが先行し簡単に欲情したりはしないが、実際は遥に年上。その片鱗を時々見せると随分と妖艶になるのは困ったものである。未だ迷宮内である以上、常に緊張感をもっていることから耐えてはいるが、地上に出て気が抜けた後、ユエちゃんの大人モードで迫られたら理性がもつ自信はあまりなかった、とは本人の弁だ。

 

 

 

「ハジメ……いつもより慎重……」

 

「うん? ああ、次で百階だからな。もしかしたら何かあるかもしれないと思ってな。一般に認識されている上の迷宮も百階だと言われていたから……まぁ念のためだ」

 

「こういうのがお決まりのパターンなら、節目の階層には何かがあるもんだからね~」

 

私たちが最初にいた階層から八十階を超えた時点で、ここが地上で認識されている通常の【オルクス大迷宮】である可能性は消えた。奈落に落ちた時の感覚と、各階層を踏破してきた感覚からいえば、通常の迷宮の遥かに地下であるのは確実だという。

 

銃技、体術、固有魔法、兵器、そして錬成。いずれも相当磨きをかけたという自負がハジメくんにはあった。キリトくんたちだって剣技(ソードスキル)などの習熟度はかなりのものだ。カオリちゃんだって光や回復魔法は、既に達人級のそれ。そうそう、簡単にやられはしないだろう。しかし、そのような実力とは関係なくあっさり致命傷を与えてくるのが迷宮の怖いところである。

 

故に、出来る時に出来る限りの準備をしておく。ちなみに今の私たちのステータスはこうだ。

 

 

 

====================================

 

南雲ハジメ 17歳 男 レベル:76

 

天職:錬成師

 

筋力:1980

 

体力:2090

 

耐性:2070

 

敏捷:2450

 

魔力:1780

 

魔耐:1780

 

技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+複製錬成]・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作][+■■■]・■■■■■■・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚]・風爪・夜目・遠見・気配感知・魔力感知・熱源感知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・金剛・威圧・念話・言語理解

 

====================================

 

==================================

 

 

 

本条楓 17歳 女 レベル:72

 

 

 

天職:守護者

 

筋力:1500

 

体力:4500

 

耐性:8237

 

敏捷:220

 

魔力:362

 

魔耐:8236

 

技能:アバター[+武器投影][+能力値補正][+スキル]・フォトン適正[+浄化][+エレメンタルブラスト][+■■][+■■■]・■■■■■■・システムNWO・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作]・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地]・風盾・夜目・遠見・気配感知・魔力感知・熱源感知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・金剛・威圧・念話・言語理解

 

 

 

==================================

 

====================================

 

白崎香織 17歳 女 レベル:78

 

天職:治癒師

 

筋力:1980

 

体力:2090

 

耐性:2070

 

敏捷:2450

 

魔力:6699

 

魔耐:3222

 

技能:回復魔法[+遠隔治癒][+詠唱破棄][+高速詠唱][+回復量上昇]・光属性適正[+詠唱破棄][+高速詠唱][+威力上昇]・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作][+■■][+■■■]・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚]・風爪・夜目・遠見・気配感知・魔力感知・熱源感知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・金剛・威圧・念話・言語理解

 

====================================

 

 

====================================

 

桐ヶ谷和人 18歳 男 レベル:76

 

天職:剣士

 

筋力:4522

 

体力:2090

 

耐性:2444

 

敏捷:3547

 

魔力:1998

 

魔耐:2877

 

技能:S.カーディナル[+武器投影][+能力値補正][+ソードスキル]・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作][+■■■■■■][+■■■]・魔法・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚]・風爪・夜目・遠見・気配感知・魔力感知・熱源感知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・金剛・威圧・念話・言語理解

 

====================================

 

====================================

 

紺野木綿季 17歳 女 レベル:76

 

天職:剣士

 

筋力:1980

 

体力:2090

 

耐性:2070

 

敏捷:2450

 

魔力:1780

 

魔耐:1780

 

技能:S.カーディナル[+武器投影][+能力値補正][+ソードスキル]・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作][+■■■■■■][+■■][+■■■]・魔法・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚]・風爪・夜目・遠見・気配感知・魔力感知・熱源感知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・金剛・威圧・念話・言語理解

 

====================================

 

==================================

 

本条 ユウキ 17才 女 レベル150

メインクラス:ファントム

サブクラス:なし

天職:アークス 職業:アークス

HP:5132

PP:320

打撃力:2438

射撃力:4502

法撃力:4527

技量:887

打撃防御:3672

射撃防御:3555

法撃防御:3246

魔力:1

技能:守護輝士[+ハンターLV.100][+ファイターLV.100][+レンジャーLV.100][+ガンナーLV.100][+フォースLV.100][+テクターLV.100][+ブレイバーLV.100][+バウンサーLV.100][+サモナーLV.100][+ヒーローLV.100][+ファントムLV.100][+エトワールLV.100][+天敵:ドゥドゥ]・ダークブラスト[+巨躯(エルダー)(模倣)][+敗者(ルーサー)(模倣)][+若人(アプレンティス)(模倣)][+双子(ダブル)(模倣)]・ダークファルス【仮面(ペルソナ)】(偽)[+時間遡行][+偽装]・ダークファルス【■■(■■■)】・フォトン適正[+浄化][+フォトン操作][+テクニック]・全知存在・料理・ギャザリング・ダーカー因子・ロビーアクション・アークス[+天敵:ドゥドゥ]・ライドロイド操作・A.I.S操縦・言語理解・光紡の守護輝士・■■の■■

称号:守護輝士

 

==================================

 

ステータスは、初めての魔物を喰えば上昇し続けているが、固有魔法はそれほど増えなくなった。主級の魔物なら取得することもあるが、その階層の通常の魔物ではもう増えないようだ。魔物同士が喰い合っても相手の固有魔法を簒奪しないのと同様に、ステータスが上がって肉体の変質が進むごとに習得し難くなっているのかもしれない。

そして、知らぬ間に増えていた謎の技能。文字が塗り潰されているために、何なのか全くわからない。

落ち着いたときに、これの解析も必要だろう。

 

────────そして。

私に至ってはなんかレベルが限界突破してました。

これを理由に、周りからますます変なものを見る目で見られるのは、別の話。

 

 

 

しばらくして、全ての準備を終えた私たちは、階下へと続く階段へと向かった。

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