宇宙(ソラ)に輝く、星の守り手~Phantasy Star Online2外伝~   作:星野優季

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2021年10/11
主人公のあだ名をミーシェからユウに変更
文章の訂正


アークス式ブートキャンプ~ゼンチは僕だ。僕の導き出した解に間違いはない~

あの後。

 

なんやかんやありまして、私のあだ名は“ユウ”に決まった。

 

理由は、私のアークスの入隊試験の時の受験番号が342だったから。

 

そして次の日から訓練が始まった。

 

内容は、剣の振り方から始まり、走り込み、魔法の実践訓練、そして歴史や神学、魔法基礎の座学。

 

 

 

ただし私は、ステータスが特異過ぎるため、訓練は免除されていた。

 

まあ、アークス式の立体変態機動の訓練(いつものやつ)はこっそりやっていたのだが。

 

 

 

 

 

そして、召喚されてから一週間が経過した、ある日。

 

 

事件は起こった。

 

 

 

sideハジメ

その日も、僕は訓練に参加していた。

 

あの日から、僕はユウキさん─────ユウさんに鍛えて貰っている。

 

何故か彼女が他の人に教える立場になっていたからだ。

 

まだ訓練開始までは少し早い時間だったため、自主練のために細身の剣を取り出した。

 

だが、唐突に後ろから衝撃を受けてハジメはたたらを踏んだ。そのまま受け身をとれず転倒してしまう。顔をしかめながら背後を振り返ったハジメは予想通りの面子に心底うんざりした表情をした。

そこに居たのは、檜山率いる小悪党四人組である。訓練が始まってからというもの、こうやってユウキさんや白崎さん達が居ない時を狙って自分にちょっかいを出してくるのだ。

 

「よぉ、南雲。何してんの?お前が剣持っても意味ないだろが。マジ無能なんだしよ〜」

「ちょっ、檜山言い過ぎ!いくら本当だからってさ〜、ギャハハハ」

「なんで毎回訓練に出てくるわけ?俺なら恥ずかしくて無理だわ!」

「なぁ、大介。もういっそ憐れだから、俺等で稽古つけてやんね?」

 

一体何がそんなに面白いのかニヤニヤ、ゲラゲラと笑う檜山達。

 

「あぁ?おいおい、信治、お前マジ優し過ぎじゃね?まぁ、俺も優しいし?稽古つけてやってもいいけどさぁ〜」

 

「おお、いいじゃん。俺ら超優しいじゃん。わざわざ無能の為に時間使ってやるとかさ〜。南雲〜、感謝しろよ?」

 

そんな事を言いながら馴れ馴れしく肩を組み、ハジメを人目につかない方へ連行していく檜山達。それをクラスメイト達は気付いたようだが見て見ぬふりをする。

 

「いや、ユウキさんが鍛えてくれてるから大丈夫だって。僕の事は放っておいてくれていいからさ」

 

一応、やんわりと断ってみるハジメ。

 

「はぁ?俺らがわざわざ無能のお前を鍛えてやろうってのに何言ってんの?マジ有り得ないんだけど。お前はただ、ありがとうございますって言ってればいいんだよ!」

 

そう言って、脇腹を殴る檜山。ハジメは「ぐっ」と痛みに顔をしかめながら呻く。檜山達は段段暴力に躊躇いを覚えなくなって来ているようだ。思春期男子がいきなり大きな力を得れば溺れるのは仕方ないこととはいえ、その矛先を向けられては堪ったものではない。

やがて、訓練施設から死角になっている人気のない場所に来ると、檜山はハジメを突き飛ばした。

 

「ほら、さっさと立てよ。楽しい訓練の時間だぞ?」

 

檜山、中野、斎藤、近藤の四人がハジメを取り囲む。ハジメは悔しさに唇を噛み締めながら立ち上がろうとして、背中に悪寒を感じ横に転がった。

そこを見てみると近藤が今自分がいた場所に剣の鞘を地面に振り落としていた。

そんな事を他所に更に追撃が加わる。

 

「ほら、なに寝てんだよ?焦げるぞ〜。ここに焼撃を望む、"火球"」

 

中野が火属性の下級魔法である"火球"を放つ。

 

魔法自体は一節の下級魔法だ。それでもプロボクサーに殴られるくらいの威力はある。それは、彼等の適性の高さと魔法陣が刻まれた媒体が国から支給されたアーティファクトであることが原因だ。

 

避けた直後であったハジメはまた、転がるように必死に避ける。だがそれを見計らったように、今度は近藤が魔法を放った。

 

「ここに風撃を望む"風球"」

 

まずい。ハジメはそう思い目を閉じたが、 その衝撃が襲ってくることはなかった。

 

いや、()()()()()()()()()()()()()と言うべきか。

 

「《カバームーブ》!!」

 

 

side楓

 

 

「《カバームーブ》!!」

 

気付いたら体が勝手に動いていた。

 

誰かを傷つけられることに我慢ならなかったのか。

 

それとも、何か他に理由があったのか。

 

“風球”を受け、わたしの体は吹き飛ばされる。

 

「あぐっ!」

 

「ああ?なんだぁ?……………ああ、誰かと思えば、“無能”の本条じゃねえか!なんだよこんな所まで来てよぉ」

 

「ああ分かった、もしかしてコイツも訓練してほしいってことじゃね?同じ“無能”だからってことでさぁ」

「ああそうかそう言う事か!いいぜぇ、やってやるよ。その代わり、授業料はその体で払って貰うけどな!」

 

ギャハハハ、と品のない笑い方をする彼ら。

 

ああ、わたしはこれからどうなるんだろう。

 

「ほら立てよお前ら。楽しい楽しい訓練の時間だぞ?」

 

件の鞘で叩かれる。大量の魔法を打たれる。

 

痛い。痛い。痛い。痛い。

 

段々体の感覚がなくなってきた。

 

ああ、つらい。

 

だれか、だれか、たすけ、て──────

 

 

 

 

 

 

 

「ねエ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何、シてるノ?

 

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間。

 

 

強いつむじ風が私たちを遮った。

 

sideユウキ

 

ねエ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何、シてるノ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

殺意がわいた。(抱くのは憤怒)

 

彼らに対して。(ソレガ闇ダ。)

 

大切な人を傷つけた。(キサマノモツ深淵ナルチカラ。)

 

アイツらが。(スベテ二、怒レ。)

 

あいつらは、(アイツラハ、)絶対に許さなイ。(絶対ニ許サナい。)

 

 

その後は簡単だった。

 

ヤツらと楓ちゃん達の間にレ・ザンディアを放ち分断する。

 

その間にファントムのクラス特性を利用して、彼らの前に瞬間移動する。

 

右手をかざす。

 

雷属性のテクニック、ゾンデ系統のナ・ゾンデを行使し雷を纏い、ギ・ゾンデでまとめて連中をなぎ払う。

 

氷属性のテクニック、バータ系統のバータを放ち、相手の足を凍らせる。

 

「な、え、えいし ょう は、がっ!」

 

そして。

 

両の手に氷と光の剣を創り出し、その剣舞を見舞う、特殊テクニック。

 

これこそ、複合属性テクニック─────

 

「バーラン、ツィオ─────」

 

「何してるの!?」

 

 

 

()()を放とうとした瞬間、奥の方から声が掛かる。

 

私は、相手に向けていたフォトンを納める。

 

同時に、両手に持った剣も消失する。

 

私は、声のする方向に顔を向ける。

 

 

side out

「何してるの!?」

 

その声の方向を向くと「やべっ」という顔をする檜山達。それはそうだろう、そこに居たの女の子は檜山達が惚れている香織だったのだから。しかも香織だけでなく雫や光輝、龍太郎もいる。

 

「南雲くん!楓ちゃん!」

 

檜山達を無視して、香織は、ゲホッゲホッと咳き込み蹲るハジメ達の元にに駆け寄る。

 

「おいユウキ!君は、檜山達になんてことをするんだ!」

 

天之川がつかみかかってくる。

 

ユウキ(ユウ)はそれをひらりと躱し、口を開く。

 

「確かに少しやり過ぎたかもしれない。けど、元々悪いのは彼らだよ?私はただ、チカラの振るい方を間違えたらどうなるかをわからせるために、お灸を据えてやっただけ」

「だが!ここまでする必要はないだろう!そのくらい、話せば─────」

 

「話せば分かってくれる?詭弁だね。そんなわけないじゃないか。コイツらが話して分かるとでも?上辺だけ取り繕って、裏でコソコソと同じようなことをするのは目に見えてるだろう?」

「だが!」

 

「もう、これ以上は話にならない。行かせてもらうよ」

 

そう言った彼女は、ハジメと楓を抱える。

 

「待て!まだ話は」

 

「うるさいガキ。その口を閉じろ。────略式複合テクニック、“レ・バーランツィア”、発動」

 

そう言った彼女の背中に、氷と光の翼が生える。

 

そのまま、彼女は王宮の方へと飛んでいった。

 

「ま、待って!」

「ちょ、待ちなさい!」

 

そして、香織達はその後を追い掛けていった。

 

その場に残ったのは、光輝と、気絶した檜山達だった。

 

 

「どうして、どうしてなんだ…………」

 

とある“勇者”のその言葉を聞いたものは、誰もいない。

 

 

sideユウキ

 

 

───────あー……………やり過ぎたわ、完ッ全ッに。

 

二人を助けるためとはいえども、明らかなオーバーキルだった。

 

今、回復テクニックのレスタやら状態異常回復テクニックのアンティやらを大量投入して二人の傷を癒やしてるけど、そんな中思う。

 

私、やり過ぎたわ。と。

 

『流石に複合テクニックはどうかと…………』

 

「あーもう分かってるよっ!お願いだからシエラ、ちょっと黙ってて!」

 

『でも確かに、今回のことは向こうに非があったとは思います。訓練と称していたぶるなんて、ウチ(アークス)なら普通は厳罰ですし』

 

「………これから、どうしようかな」

 

これからも絶対こういうことは続く。

それにどう対処していくか…………

 

その時、扉の方からノックする音が聞こえた。

 

檜山たちか!?と警戒したが、訪ねてきたのは別の人だった。

 

「白崎です。ミーシェちゃん、いますか?」

「八重樫だけど。ミーシェさん、いる?」

 

私はドアの方へ移動し、鍵と扉を開ける。

 

「はーい、どうしたのかな?」

「その………南雲くん、だいじょぶかなって思って見に来たんだけど………」

 

香織ちゃんはハジメくんの方を見る。

 

「大丈夫、今は治療もして眠ってるだけだよ。命に別状はないからね」

 

「すごい、傷が、こんなに綺麗に治ってる………」

 

そりゃあレスタアンティでガン回ししたからね。むしろ直ってないとおかしいレベル。

 

「それで?ここに来た理由は、それだけだったのかな?」

 

「ううん、他にもあって………」

 

 

 

「ん…………」

「……!は、ハジメ君!」

 

そこで丁度良く、ハジメくん達二人が起きた。

 

その後、体の無事を確認されて、感謝された。

 

そして、二人からも私に話があるそうで。

 

「「「「私たち(僕たち)を、鍛えてくれませんか!?」」」」

 

「『…………はい?』」

 

話された私は、シエラと一緒に呆然とした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………なるほどね。

 

香織ちゃんはは南雲くんを守れるくらいに強くなりたい、

ハジメくんはみんなに迷惑を掛けたくない、

雫ちゃんは弱さを実感しているから、

そして楓ちゃんは…………

 

「大切な人を守れるくらいに強くなりたい、か」

 

「…………………うん。今のままじゃ、何も、出来ないから」

 

なるほどね。よし。

 

「シエラ、例のアレ、用意できてる?」

 

『はい!カリンさんの協力の下、完成させました!』

 

…………まじかー。

 

「……………カリンが、参加してるの?このプロジェクト」

『はい!』

 

…………やばい。不安になってきた。

 

「………?誰と話してるの?」

 

「いや、なんでもない。それより、この後第二修練場まで来てよ。お望み通り、鍛えてあげるよ」

 

「ほんと!?」

 

「ただし!この訓練は非常に厳しいものになるから、注意してよ?」

 

「…………はい!」

 

 

 

 

U.C 102/9/23/14:00

 

第二修練場

 

 

と言うわけで、やって来たのは今は使われていない王城の第二修練場。

 

訓練に必要な道具の数々をセットし終え、キリトくんたちや楓ちゃんたち、ハジメくん達の全員が揃った。

 

よし、それじゃあ……………

 

「それじゃ、これより、VR空間における特殊訓練を開始する!」

 

「ち、ちょっと待って!?VR空間?それってどういうことなの?」

 

ああそっか。ハジメくんたちにはまだ説明してなかったな。

 

というわけで私は、自分の出自や所属などを、簡単に説明した。

 

「あ、あーくすに………………」

 

守護輝士(ガーディアン)、ダーカーと来た………」

 

「“PSO2”まんまじゃん……………」

 

「そういや、俺たちも最初あんな感じだったよな………」

 

『あはは、まあ仕方ないんじゃないですか?』

 

「ま、ともかく!それはまた後で整理するとして、まずは小手調べから!シエラ、“アレ”を!」

 

『了解です!』

 

瞬間。

 

周りの景色が変わる。

 

その光景は─────

 

「な、なんだこれは…………」

 

「すごい………きれい…………」

 

ここは、アークスの技術で再現した、浸食された旧マザーシップ。元マザーシップ・シオンであり、かのダークファルスの居城─────

 

『まもなく、最前線へ転送されますよー!

第一次作戦は、ダークファルス【敗者(ルーサー)】の

眷属をたっくさん、倒すことです!』

 

「………へ?」

 

「これは………?」

 

楓ちゃんと雫ちゃんの口から、そのような言葉が漏れる。

 

「これは、三年前くらいから続く、アークスの恒例行事。よく開催される、全アークス一斉参加の特殊作戦!」

 

『すごく大変な戦いになると思います。

私に出来ることは少ないですけど……

ご無事を、祈っていますっ!』

 

「お、おいユウ、ちょっと待て………!」

 

「それじゃ、いってらっしゃーい!」

 

3

 

2

 

1

 

GO

 

 

次の瞬間、彼女らの目の前には、六本腕で金色の怪物がいた。

 

『き、緊急連絡ですー!

強力な敵さんの反応を確認!

急いで撃破しちゃってくださーい!』

 

「はあ!?な、何を─────」

 

 

 

EMERGENCY CODE

 

[DUEL]

 

アポス・ドリオスを討伐せよ!

このエマージェンシートライアルをクリアしたらクエストクリア!

 

「なんじゃこりゃっ!?」

 

「そいつ部位破壊できるところがたくさんあるから頑張ってー。あと私は参加しないからー」

 

「嘘だろっ!?」

 

とりあえず限界ギリギリまでドリオス(前座)をしばかせる。

これこそ、アークスのスパルタ式ブートキャンプだっ!

 

 

 

 

 

 

そして。ようやく第一段階が終わった。

まあ、まだ荒削りなところもあるけど、センスはあった。

 

キリトくんたちと楓ちゃんたちはいわずもがな、雫ちゃんは得意の剣術を存分に発揮できたみたいだし、香織ちゃんは魔法による的確な援護を、ハジメくんにはあらかじめライフルを渡していたけど、その取り回しもとても上手かった。

 

『敵さんの撃破確認ーっと!

みなさん、お疲れさまでしたー!』

 

CODE[DUEL]

 

COMPLETED

 

『お疲れさまです!帰還して下さい』

 

 

「さて、10分休憩!その次は、いよいよメインディッシュだ!しっかり休んどいてね?」

 

『か、勘弁して(くれ)~!』

 

 

10分後。

 

マザーシップの風景も変わり、最深部の前。

 

ここのボスのいる場所までやってきた。

 

『………ついに、【敗者】が姿を現しました。

まもなく、かのダークファルスの元に

転送が開始されます。』

 

この数十分の間に、纏う雰囲気も結構変わってきた。

 

「今回の訓練で学んだことを生かしてけばだいじょーぶ!がんばってねー!」

 

『戦闘に入ってしまえば、私に出来ることは

何もありません……私は皆さんの無事を

願うだけ……どうか、ご武運を。』

 

「“ヤツ”は手強いからね。気を付けて!」

 

3

 

2

 

1

 

GO

 

カウントダウン終了。転送を開始します。

 

カチカチと音をならして現れた“ソレ”。

 

その巨体は、彼らを圧巻する。

 

さあ、どう戦うかな?

 

 

 

side キリト

 

 

 

カチカチと音をならして現れた、“ダークファルス・ルーサー”なる存在。

 

アレを倒さねば、この訓練は終われない。

 

さあ、やるぞ────!

 

 

『緊急通達。

強力な適正反応を確認。

早急な撃破をお願いします。』

 

「っ散開!!」

 

直後、ルーサーが剣を真正面に叩きつける。

 

EMERGENCY CODE

 

[DUEL]

 

ダークファルス・ルーサーを討伐せよ!

このエマージェンシートライアルをクリアしたらクエストクリア!

 

危なっ………!

 

開幕即ブッパの一撃が来るとは………

こっちも負けてられない……!

 

「時計だ!腹にある時計を殴れ!」

『了解(です)!』

 

俺の指示に従い、皆は腹にある時計を殴り始める。

すると、腹の時計が開いた。

赤黒い模様の刻まれた柔らかい部分。

 

『式にゴミが!?』

 

「殴れ!殴り続けろ!それが弱点だ!」

 

『アークス風情が!』

 

「攻撃来るぞ!」

 

口らしき場所から赤いエネルギーの塊のようなものを吐き出した。

俺たちはアークスじゃないけどな!

 

何も言わずに全員避ける。

 

無言で剣をたたきつけてきた。

ソレも全員避ける。

 

周囲が一瞬赤く染まり、ルーサーが攻撃の届かない場所まで瞬間移動する。

 

『あまり煩わせるな、面倒だ』

 

「大きいの来るぞ、気を付けろ!」

 

腹にある時計がカチカチと時を刻み、針が真上に来た瞬間、ルーサーはど真ん中に瞬間移動した。

そして、足下すべてに謎の文様が────

 

「全体攻撃だ!飛んで回避!」

 

『演算の必要もない!』

 

ルーサーはその体をくるりと回し、なぎ払う。

 

『壊れたオモチャに用はない!』

 

上下が反転したルーサーが、その剣を突き刺して、そこから黒い槍のような攻撃を大量に放つ。

 

何度も、何度も。

 

『解が無駄に収束しているぞ!』

 

腹の時計から二本のの剣を抜き、両方を一直線にたたきつけてきた。

 

腕を叩き、頭を叩き。

 

ルーサーが、無言で剣を使い切りつけてきた。

 

回避し、逆に切りつける。

 

ルーサーが足場の左右を切りつけ、その先まで衝撃が伝わる。

 

『見苦しい!』

 

黒いもやのような弾の攻撃を放つ。

 

回避し、切りつける。

 

『演算の必要もない!』

 

そういい、ゴーン、という金のような音と共に、再び奥へ転移する。なにをするつもりだ───?

 

『深淵と崩壊の先に、全知へ至る道がある!』

 

「まずい、大技だ、警戒しろ!」

 

『今こそ、全知を掴むとき!』

 

ルーサーは、四本の剣を創り出す。

 

それらは俺たちの周りを取り囲む。

 

『我が名は【敗者(ルーサー)】、』

 

赤い波動、まず───────

 

『全知そのものだ』

 

止まる。

 

すべてが。

 

体が動かない。

 

(くそっ!まずい!動け───!)

 

体が動かない。

 

暴れる。動こうと。

 

すると、

 

パリン、と。

 

ガラスが割れるように拘束が解除され、体に自由が戻る。

 

そのまま、流れるように剣に攻撃を放ち、剣をすべて破壊する。

 

『見え透いた回答だな』

 

両サイドに攻撃を放つ。

 

その部分が赤く染まる。

 

『底は知れている』

 

ルーサーが足場の下へ沈み、剣で突き上げる。

 

『僕の思うがままに、解を求めん』

 

沈んでいるルーサーが、右手を突き出して、大量の黒い弾を放出する。

 

「だっ!」

「づっ!?」

 

「ユウキ!ハジメ!」

 

黒い球に当たったユウキ達が燃え上がる。

 

「────“恵雨”!」

 

その詠唱が届いた瞬間、空から雨が降り、炎を消し、全員の傷を癒やす。

 

「ありがと!」

「どういたしまして!」

 

『全知は僕だ!僕の導き出した解に間違いはない!』

 

今度は左手を突き出し、地面を叩きつける。

 

波のような衝撃波が発生して、当たった人間を凍結させる。

 

「それ!」

 

当たった人間は、白崎さんの魔法ですぐに治癒される。

 

『ダークファルス・ルーサー残存体力、低下!』

 

「よし、あと、少しだ……!」

 

『無意味だ無駄だ愚かしい、滅びろ消えろ宇宙のゴミが!』

 

両手を突き出して、黒い物体を発生させる。

 

「吸い込まれるぞ、全力で距離をとれ!」

 

その数秒後、ブラックホールのようなものを消失させ、衝撃波が発生する。

 

その直後、

 

「そりゃあ!」

 

リズが重い一撃を叩きつける。

 

『未知の事象だと………!?』

 

ルーサーが分かりやすくダウンする。

 

喉元にあったもやも消え、赤い玉のようなものが露出する。

 

「今だ、総攻撃!」

 

全員がさまざまな攻撃を赤い玉に浴びせる。

 

数十秒後、ルーサーが復帰する。

 

『見え透いた回答だな』

『解が無駄に収束しているぞ!』

『壊れたオモチャに用はない!』

 

避けては切り、避けては斬る。

 

その繰り返し。

 

『ダークファルス・ルーサー、残存体力あとわずかです!』

 

よし、これで…………!

 

「おしまいだ───────!」

 

腹部への一撃が決まり、そして──────

 

『馬鹿な……………どこに、どこに間違いがあった……!』

 

そう言い残すと、ルーサーが沈み、消滅していく。

 

「やった…………………のか?」

 

『敵性反応、消失しました。

各員の協力に感謝します』

 

「…………………」

 

「「「「「「「「「「「「「「「「よっしゃ──────────────!!」」」」」」」」」」」」」」」」

 

こうして。

 

「こうして、ダークファルス・ルーサー(アークスのおもちゃ)による特別訓練の()()()()、終了したのでした。めでたしめでたし、と」

 

………………

 

『……………え?』

 

一、にち、め……?

 

「そりゃあそうよ!あれ、設定的にはすんごい弱くて、私1人で簡単にボコれるやつだよ?コイツがソロで倒せるくらいにならないとねぇ?」 

 

 

ああ。

 

 

 

 

 

この地獄は、まだまだ続きそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局。

 

 

この訓練は、三週間。

 

相手を変えて。

 

休みを除き、毎日行われたのだった。

 

ダーカー、ダークファルス、幻創種、オメガ、魔神城、閃機種、フォトナー…………

 

もう、おなかいっぱいです。

 

 

三週間後、メルド団長から

「明日から、実戦訓練の一環として【オルクス大迷宮】へ遠征に行く。必要なものはこちらで用意してあるが、今までの王都外での魔物との実戦訓練とは一線を画すと思ってくれ!まぁ、要するに気合入れろってことだ。今日はゆっくり休めよ!では、解散!」

 

そう言われたとき、訓練に参加した人間が狂喜乱舞したのは、また別の話。




ちなみに
あの後使用したした訓練用エネミーとクエストのモデル

深淵に至りし巨なる躰/ダークファルス・エルダー

採掘基地防衛戦:終焉/ダークファルス・アプレンティス

解き放たれし鋼鉄の威信/幻創戦艦・大和

魔神城戦/魔神城・ミシルガスード

VR特殊訓練/艦破訓練:終の慟哭


結論:地獄
???「よしよしよしよしとてもよし!すっばらしいデータが取れました!」
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