宇宙(ソラ)に輝く、星の守り手~Phantasy Star Online2外伝~   作:星野優季

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後編です。
今回、とうとう物語が大きく動きます。



大迷宮、再臨するは閃の悪夢 後編

「な…………あ…………」

 

ある意味で見慣れた“その光景”。

 

黒い穴から飛び出す四足歩行のバケモノ。

 

地面からにじみ出るダカン達。

 

「なんだ、アレは…………」

 

誰かも分からぬ声。

 

呟かれた、絶望の言の葉。

 

それは、何に対してのものだったか。

 

きっと、ダーカー達に向けたものだった。

 

だが、絶望の瞬間は始まったばかりだった。

 

それは、オラクルにとっては数ヶ月ぶり。

 

私にとっては十数年ぶり。

 

赤と銀色の、無数の三角形で構成された正八面体。

 

巨大なそれが一つ、人くらいの大きさのそれが八つ、人の3倍はあろうかというそれが二つ。

 

そこから出てきたのは───────

 

『間違いない。この反応は──────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

閃機種だっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聞きたくなかった。

 

だが、現実に起こった事である。

 

 

シャオから告げられた絶望的な事実。

 

現れたのは、四角いコアとそれを守る緑色の装甲らしきものだけで構成された、シンプルな造形のソレ(バリール)

ビームの剣と小さな盾を持った騎士のような風貌のフォトナーの兵器(ディゾルセイバー)

 

4つの脚部型ブースターを持つ、重力を自在に操り、防御力の高い頑強な形態、攻撃力の高い高機動な形態の2つの形態を駆使して私たち(アークス)を翻弄してきた、蟹の怪物(グラーブエグゼクル)

 

 

それはまるで、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

運命が、私たちを嘲笑しているかのようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

EMERGENCY CODE

[ATTACK]

 

全ての敵を討伐せよ!

 

 

「っ!」

 

その姿を見た瞬間、私は弾かれたように走り出す。

 

エグゼクルがその手に持つ巨体な武器(メガリスロッド)を横薙ぎに振るう。

 

「あ、おい、待て!」

 

生憎だが待てない。ヤツは────

 

───────────その一撃は、ベヒモスをいともたやすく引きちぎり、その死体を奈落の底へと吹き飛ばす。

 

「潰れてろ、有象無象がッッ!」

 

私はディメシオンを収納し、“カースドコートF”へと衣装を変える。

 

そして、────

 

かの【深遠なる闇】を討ち払いし希望(意思)の具現。

宇宙の起源たる光纏う、私たちの進む道を生み出した、私の相棒(愛銃)──────!

 

「来たれ、我が想い────具現せよ、“光纏銃 クラース、アサルト”ッッ!」

 

背後に描かれるは六芒の紋章。

 

かつて未来を切り拓いた意思は、その先端から大量のフォトンの塊を撃ち出す。

 

それをなぎ払うように降る。

 

扇形の掃射が3回。

 

ファントムライフル専用PA、“クーゲルシュトゥルム”。

 

それだけで、前方にいた大量の雑魚共(ダカンとバリール)は倒される。

 

「ダー、カーアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!」

 

私は吠えた。

 

いくらウジウジ悩まないとは言ったところで、ダーカー達に対する根本的な憎しみは、消えないのだ。

 

 

 

 

 

ーーーーーside out

 

 

 

「アラン、雫達と一緒に生徒達を先導してトラウムソルジャーを突破しろ!カイル、イヴァン、ベイル、全力で障壁を張れ!光輝、お前達は早く階段へ向かえ!」

 

「待って下さい、メルドさん!俺達もやります!あの恐竜みたいな奴が一番ヤバいでしょう!香織達も戦っているんだ、俺達も」

 

「馬鹿野郎!あれが本当にベヒモスなら、今のお前達で倒せる相手じゃない!奴は六十五階層の魔物、嘗て最強と言われた冒険者をして歯が立たなかった化物だ!!さっさと行け!俺はお前達を死なせる訳には行かないんだ!」

 

「嫌です!見捨ててなんて行けません!みんなで絶対、生き残るんです!」

 

「くっ!こんな時にわがままを…………!」

 

メルドもユウキと共にベヒモスを足止めすべく指示を飛ばす、部下達に障壁を張らせ塹壕代わりにし、ユウキの安全を確保しつつ退路を開く指示を。

 

それを聞いた騎士達が各々の準備を進める。

 

だが撤退させようとした光輝達、というか光輝は自分達も戦うといって聞かず、メルドの鬼気迫る説得にも「見捨ててなど行けない!」といって踏みとどまってしまう。

 

ユウキ(ユウ)も、冷静さを多少欠いてはいるが、光輝とメルドのやり取りはしっかり聞こえていて、指示に従わない彼に苛立ちを覚えていた。だが今はエグゼクルや他の閃機種、沸いてくるダカン共への対応で手一杯、そちらに対応する余裕はなかった。

 

そんなユウキ(ユウ)を支援せんと、ハイリヒ王国最高戦力である騎士達による全力の多重障壁が展開された。

 

 

 

「「「全ての敵意と悪意を拒絶する、神の子らに絶対の守りを、此処は聖域なりて、神敵を通さず “聖絶”!」」」

 

 

 

だが。

 

 

そんなものは、防御貫通などを当たり前にしてくる閃機種や、ダーカー達の先兵たるダカンには通用しなかった。

 

パリン、と。

 

ダカンに紙クズのように叩き割られる。

 

「なっ………!」

 

そのまま、ダカンの足が振り上げられる。

 

そして、その足は、メルドに突き刺さる──────

 

 

「セアッッッッ!!!」

 

 

───────ことは、なかった。

 

攻撃される直前、キリトの斬撃によってダカン数十体が吹き飛ばされ、一気に葬られたのだ。

 

「光輝、早く撤退しろ!お前らじゃ歯が立たない!メルドさん達も早く行け!」

 

「出来るわけないだろう!メルドさんたちも置いていく訳には行かない!絶対、皆で生き残るんだ!」

 

「お前らだって言ってんだろ!早く下がれ!周りを見ろ!」

 

「くっ、こんな時にわがままを…」

 

キリトの説得にも関わらず天之河は撤退を拒み、彼のパーティも殆どが天之河と共に戦うと言わんばかりに撤退しようとしない。

 

メルドは苦虫を噛み潰したような表情になりながらも刻々と悪くなって行くこの状況をどうにかするべく思考を続けるがどれも無理だった。全てはベテランの騎士や冒険者達でないと対処出来無い物だったのだ

 

「光輝!桐ヶ谷くんの言う通りにして撤退しましょう!」

 

八重樫は状況判断がしっかりと出来ているのだ。天之河を諌めようと腕を掴み後退させようとしているが……

 

「へっ、光輝の無茶は今に始まった事じゃねぇだろ?付き合うぜ光輝!」

 

「龍太郎・・・ありがとな」

 

「状況に酔ってんじゃないわよ!この馬鹿共!」

 

「雫ちゃん・・・」

 

坂上の言葉に更にやる気を見せる天之河。そんな三文芝居の如きやり取りをしていると、後ろから複数人。人が走ってきた。

 

 

「天之河くん!」

 

ハジメに木綿季、楓だった。

 

「なっ、南雲!?それに木綿季と楓も!?」

 

「どうして二人が此処に!?」

 

「早く撤退を!皆の所に君がいないと誰が引っ張っていくんだ!早く!」

 

「そうだよ!ここは私たちがどうにかする。だから撤退して!」

 

「キミたちよりもボクたちの方がこの場所は適任だし、みんなは早く下がって!」

 

「いきなりなんだ?それより、なんでこんな所にいるんだ!此処は君がいていい場所じゃない!俺達に任せて南雲達は─────」

 

「そんなこと言っている場合か!」

 

ハジメが見たこともないような剣幕で怒る。

いつもと違う南雲の様子に、光輝たちも面食らう。

 

「キミがメルド団長の指示に従わずに撤退しようとしないから皆がパニックになって、今現在進行形でピンチになってるんでしょ!」

 

「一撃で切り抜け皆の恐怖を吹き飛ばす力が必要なんだ!それが出来るのはリーダーの天之河くんだけでしょ!前ばかり見てないで後ろもちゃんと見て!」

 

「ああ、わかった。直ぐに行く!メルド団長!すいませ――」

 

「クソっ、全員、下がれ─────────!」

 

キリトの防衛ラインを突破した閃機種やダーカー達がなだれ込んでくる。

 

「くそっ!神意よ!全ての邪悪を滅ぼし光をもたらしたまえ!神の息吹よ!全ての暗雲を吹き払い、この世を聖浄で満たしたまえ!神の慈悲よ!この一撃を以て全ての罪科を許したまえ!――――"神威"!」

 

土煙が立ち込めるがお構いなしに聖剣の極光を走らせた光輝。光が辺りを満たし白く塗り潰し、激震する橋に大きく亀裂が入っていく。

────しかし、なぜか閃機種やダーカー達には傷一つ付かず、どころか更に進んでくる始末。

 

だが、それで「ハイそうですか」と諦められるほど、アークス式訓練を受けてきたメンツは甘くない。

 

そして、その訓練を施した本人も、そのようなことは想定済みだった。

 

「それっ!」

 

楓が、手に持つ盾でダーカー共を吹っ飛ばし、

 

「行けっ!」

 

ハジメが、その手に持つ拳銃型デバイス、フォトンシューターを放つ。

 

「ヤァッ!」

 

そして木綿季が、()()()()()()斬撃を()()()、ダカンを切り裂く。

 

だが、こちらへと歩いてきたディゾルセイバー。今の攻撃力では到底太刀打ちできないようなソレへの対処は─────

 

そう思った矢先、青い刃の鎌を持ったユウキ(ユウ)がいきなり現れ、ソレの足を2回切り裂く。

 

たったそれだけで足を破壊した。

 

「シュヴァルツ、カッツェ────」

 

更に胸のコアに高速移動。2回斬撃を入れ、

 

「みんなじゃ役不足。だから速く逃げて!」

 

それだけを告げ、消え去った。

 

その間、僅か7秒。

 

「「「「「「「「は…………?」」」」」」」」

 

あまりの作業染みた早業(クエスト周回並の速さ)に、前線にいた人間みんなが呆ける。

 

「………ぼ、坊主に嬢ちゃん達…………やれるんだな?」

 

「「「………やります」」」

 

「………えっと、別に、倒してしまっても構わんでしょう?」

 

先ほどのことをスルーして肯定するハジメ達。啖呵を切るキリト。

 

「そうか………後で助ける。だからその間は頼んだぞ!」

 

「「はい!」」

「「了解!」」

 

メルドはハジメ達に謎の怪物を任せ全員を後方へと連れ下がる

 

「待って下さい!みんながまだっ!」

 

「坊主達の作戦だ!ソルジャーどもを突破して安全地帯を作ったら魔法で一斉攻撃を開始する!もちろん坊主達がある程度離脱してからだ!魔法で足止めしている間に帰還したら上階に撤退だ!」

 

「なら私も残ります!」

 

「ダメだ!撤退しながら、香織には光輝を治癒してもらわにゃならん!」

 

「でも!」

 

食い下がる白崎にメルドは一喝する。

 

「あいつらの思いを無駄にする気か!」

 

「ッ!?」

 

後方へと下がる前衛組。

 

「さーて、訓練の成果を見せてやろうじゃないか!」

 

「もちろん!ボクたちも全力で行くよ!」

 

「やってやる……!」

 

「うん──!行くよ、ユウキ(ユウ)ちゃん!」

 

後方はどうなっているだろうか。ユウキ(ユウ)が気になっている時と同時。先ほどまで閃光が光ったり激音が響いたりしていたが、その聞こえる回数が減っており、ようやく退路の確保が出来たようだった。

 

「行くぞッッッ!!!!」

 

「「「応ッッッ!!」」」

 

キリトの号令により、4人全員が突っこんでいく。

 

グラーブエグゼクルの方向へと。

 

 

 

ーーーーーside ユウキ

 

 

 

 

 

 

 

…………ようやく撤退したか。

 

あの天之川たちの愚行には流石に私もイライラしていた。

 

撤退させてくれたのは助かった。

 

助かった。助かったのだ、が。

 

 

「何で逃げろっつってんのにここにいるのかな君たちはァッッッ!!!」

 

逃げろ、と。

 

そう言ったはずなのに何故かいるみんな(楓ちゃん達)

 

「君たち理解できてんの!?アレは訓練で出したヤツよりも格段に強いんだよ!?対フォトナー艦隊の時並の強さ………みんなの訓練は文字通りその何百分の一位なんだよ!?」

 

「だとしても、雑魚くらいは対処できる。だから───」

 

私の言葉にキリトくんが反論する。

 

「─────それに、私ユウキ(ユウ)にまだ何も返せてない」

 

「返せてないって、楓ちゃんは何を……」

 

「私は、この世界に来て、ユウキちゃん(あなた)に何も、恩返しができてない………!ずっと助けてもらってたのに、何もしてあげられてないッッッ!!!」

 

「そんな、私は恩返しなんて求めて………」

 

「それでもッ!───────それでも私は、あなたを手伝いたい………あなたに、無理も、してほしくない………からっ………」

 

ユウキは一瞬唸る。だが。

 

「…………ダーカー共はフォトンが一番有効。つまりハジメくんの銃が一番効果がある。閃機種は体のどこかに露出してる赤い部分に攻撃を食らわせてやればいい。そこがコアだから」

 

「………へ?ど、どういう…………」

 

「っ、でええい!だから良いって事だよ!そこまで言うのならやってみろって話!」

 

「─────うん!」

 

『ええ!?い、良いんですか!?』

 

結局は折れてしまった。これ以上は何を言っても引かないという強い意志を感じたこともあるが、何より──

 

「大丈夫だよ。──────だって、あの子達の目には“覚悟”があったもん。だからきっと。ヤツ(エグゼクル)をぶっ倒すまでは、ね」

 

『…………まあ、あなたが言うなら大丈夫なんでしょうけどね』

 

私は信じる。みんなのことを。

 

少なくとも、私がヤツ(エグゼクル)を倒すまでは持ってくれると思う。

 

さあ、始めようか!

 

CHANGE OVER CODE《/color》

[DUEL]

 

強敵を撃破せよ!

 

 

 

私は、エクゼクルの方向へと突っこんでいく。

 

ヤツは、持っているロッドを振りかぶり、自身の周囲を赤い線でできた枠で囲む。

 

ヤツはロッドを横薙ぎに振るい、先ほどの枠の中にあった謎のブロックが中心に収束し、その範囲内の地面のみが光り、衝撃が発生する。

 

私はロッドが横薙ぎにされたタイミングで、サイドステップを行い、回避する。

 

ファントムクラスのスキル“ファントムカウンター”の条件が達成する。

 

すかさずクラースアサルトで攻撃を叩き込むと、体から青黒い光が飛び出し、着弾地点に叩き込まれる。

 

エクゼクルは、ロッドを真上に振り上げる。

 

サイドステップでその直線上から回避する。

 

直線上に攻撃が奔る。

 

また条件達成する。

 

ギリギリの回避が故の、カウンターを放つ。

 

赤い部分に着弾する。

 

杖を上に上げると、その先から赤い何かが地面に向かって打ち込まれる。地雷である。

 

地雷の有効範囲に入らないよう気を付けながら、横へと起動する。

 

杖を上に振り上げる。

 

たたき落とされた瞬間、×印の衝撃波が走り、また更に振り上げ、今度は直線に衝撃波が来る。

 

一発目を横飛びに回避し、射撃。二発目をバックステップで回避して、射撃。

 

ヤツが上に飛ぶ。

 

紫色の円が地面に構成される。

 

杖を下に向け、己の身ごと叩きつける。

 

×印の衝撃波が来る。横に回避し、カウンターを打ち込む。

 

左腕が振られる。

 

赤い線でできた枠が現れる。

 

後ろに飛び回避する。

 

ブロックが中心に集まり、衝撃を起こす。

 

その間、私は攻撃を放つ。

 

4.5秒で、3発。

 

条件達成。

 

クラースアサルト、特殊能力“光紡の守護輝士”発動。

 

30秒間、威力が8パーセント上昇し、不可視の結界が展開され、被ダメージが約30パーセント軽減される。

 

さらにたたみかける。

 

杖が叩きつけられる。

 

回避して撃つ。

 

杖が真下に突き刺さる。

 

ソレも回避し、撃つ。

 

ブーストを吹かせてスピンターンしながら距離を取る。

 

隙だらけのその巨体に大量の攻撃を放つ。

 

直線上に衝撃波が放たれる。

 

回避に失敗し、吹き飛ばされる。

 

すぐに立ち直り、サイドステップで次の攻撃を回避する。

 

突進してくる。

 

だが回避して、そのがら空きの弱点(赤いコア)に攻撃を放つ。

 

更に私は、後々の布石のため、“ファントムタイム”を発動。消費するフォトンを20パーセントカットする。

すると突如前の足が上へと上がり、背中へと装備された。

 

攻撃のパターンが変わる。

 

赤い線でできた柱が何本も地面に立つ。

 

中のブロックが中心に集まり、衝撃が中にのみ発生する。

 

直線上に衝撃波を発生させ、間髪入れずに十字型の衝撃波を放つ。

 

横凪にはらい、突進する。

 

ソレすら回避し、攻撃を叩き込む。

 

地面にロッドを突き刺し、円形の衝撃波を起こす。

 

柱を何本も立て、そこに入らないようにステップで回避するが、十字型の衝撃波が襲いかかり、私がダメージを受ける。

 

「づっ!?」

 

かなり傷は深い。

 

すかさずレスタを放ち、傷を癒やす。

 

そして─────

 

これで、トドメ─────!

 

私は三角錐の形をしたビットを大量にばらまき、ヤツを包囲する。

 

ビットから大量のフォトン弾を打ち込ませ、ビットを自分の下に戻らせる。

 

私は、戻ってきたそのビットと共に、強力な一斉射撃をぶち込んだ。

 

「ファントムタイム───────フィニッシュ!」

 

打ち込んだ瞬間、ヤツの体が体勢を崩し、空へと上り───暴れながら、爆散する。

 

 

 

 

 

 

『大型閃機種の反応、消失しました!』

 

 

 

 

CODE [DUEL]

 

COMPLETED     

 

エマージェンシートライアル[全ての敵をを討伐せよ!]成功!

報酬:7681EXP 2438♢ ○ フォトンスフィア

 

 

シエラが言う。

 

同時に、マザーシップ・シバの中枢の如き足場は消失して、普通の橋に変化する。

 

よし、これで────!

 

 

 

 

 

 

そう、思っていた。

 

『なっ………!あ、新たな反応を確認!場所は………ユウキさんの、()()()()!』

 

「やばっ!?」

 

その声と同時、上空から巨大な黒い“ナニカ”が振ってくる。

 

その衝撃と共に、橋に亀裂が入る。

 

そこにいたのは────

 

四本足の巨大なダーカー。

 

獰猛なる黒き蟲。

 

「ダーク・ラグネかっ!」

 

EMERGENCY CODE

[DUEL]

 

ダーク・ラグネを討伐せよ!

 

巨大蟲型ダーカー、ダーク・ラグネ。

 

ダーカーの中では強力だとされているものの、その強さ自体は閃機種よりは弱いのだ。

 

ラグネは雄叫びを上げ、周囲に雷撃が降り注ぐ。

 

だが、その姿を見てすぐさま走り出したユウキ(ユウ)には関係ない。

 

抜剣(カタナ)に持ち替えた彼女は雷撃を避け、斬撃二発。足を折る。

 

『あれ………?このダーカー、なんか反応がおかしいような…………?』

 

それがきっかけで、その巨大はドシンと体勢を崩し、転倒する。

 

「今!」

 

そのうちに私はヤツの背中に回り込む。そして────

 

 

 

 

────右手に(メギド)。左手に(フォイエ)

 

両の手を合わせ、黒と赤の混ざり合うチカラの塊を作り上げる。

 

「炎と、闇。二つを合わせ、ぶっ放すッッッ!!!」

 

本来、複合テクニックは、ファントムクラスでは使えない代物だ。

 

───だか、この物語の主人公(PSO2のプレイヤー)の彼女は、ジグ(オラクルの名刀匠)をして、『フォトン特化傾向が自由すぎる』とまで言わしめた存在。すなわち─────

 

(その場で自分のクラス誤魔化して複合テクニックぶっ放すくらい朝飯前じゃい!)

 

そういった頭のおかしい行為(明らかなチート行為)をいともたやすくやってしまうのが彼女なのである。

 

「さあ、食らえ────」

 

その掌にて生成されたエネルギー(破壊の権化)

 

それが今ダークラグネに向けて解き放たれる。

 

「フォメ…ルギオン!!」

 

打ち放たれるのは、正しく紅蓮の炎。地獄そのものを具現したような一撃。

 

その一撃は、ダークラグネどころか、その先のダーカーすらも焼き尽くす。そして橋の中程でその威力を弱め、消失した。

 

「よし………これで─────」

 

貫かれたダークラグネ。その死体は、ゆっくりと消失し────

 

『な!?ま、まずいです!そのダーカーから異常なまでのダーカー因子反応!それ───罠です!』

 

「────は?」

 

その直後、死体から湧き出るダーカー因子。それらは全て、空気中に放出される────

 

「っ!させるかアァッッッ!!!」

 

─────その直前。なんと、ユウキ(ユウ)が、その因子を()()()()()()のだ。

 

『「「「なっ!?」」」』

 

「っ、ゴフッ!?」

 

そんな私は、口から血反吐を吐き、そのまま前に倒れた。

 

「「「ユウキ(ユウ)(ちゃん)!!」」」

 

その後のことは、一切記憶にない。

 

 

 

 

ーーーーーside out

 

だか、起こったことはそれだけではなかった。

 

「グオオオオオオオオオオオオォォォォォォオオオオオ!!!」

 

突如光る橋の反対側。

 

その光から出てきたのは───

 

「なっ!?き、恐竜!?」

 

幻創種、T・レックス。

 

彼らの住む地球とは異なる2016年の地球にて発見された、表向き情報を伝達する性質を持つ粒子とされるエーテルが、それとは別に、心の現す姿を具現させるという性質を持っている。

 

幻創種とは、それが故に、不安や恐怖といった集団心理がそのエーテルを介して生み出してしまった具現武装なのである。

 

そのため、幻創種は人々のネガティブな意識を反映しており、人々を襲う習性を持っている。

 

つまり、それが何を及ぼすかというと。

 

「まずいっ、こっちに走ってくる!」

「まだユウキ(ユウ)ちゃんが!」

「くそ、どうすれば!?」

 

「“カバームーブ”!」

 

そこへ、楓が動く。

 

相手を守るために、高速で移動するスキル、“カバームーブ”。

 

あの訓練の後、封印されていた“アバター”なる技能が解放されており、彼女はそれを使い、彼女の下へと走る。

 

「もう一回、“カバームーブ”!!」

 

次はキリトの下へと向かい、そのままユウキを抱えて走り出す。

 

全員はは力を振り絞り、必死にその場を走る。直後、幻創種のいる方向で強烈な衝撃が橋全体を襲った。幻創種の咆哮で橋全体が震動する。幻創種を中心に物凄い勢いで亀裂が走る。メキメキと橋が悲鳴を上げる。

 

そして遂に……橋が崩壊を始めた。

 

度重なる強大な攻撃にさらされ続けた石造りの橋は、幻創種の咆哮が引き金となり、遂に耐久限度を超えたのだ。

 

「グオオオオオオオオオオオオォォォォォォオオオオオ!!」

 

咆哮を上げながら崩壊し傾く石畳をく幻創種。そこへ─────

 

 

「前衛組! ソルジャーどもを寄せ付けるな! 後衛組は遠距離魔法準備! もうすぐ坊主の魔力が尽きる。アイツが離脱したら一斉攻撃で、あの化け物を足止めしろ!」

 

 

 

道を確保していたメルドが、ビリビリと腹の底まで響くような声で指示を飛ばす。それにより気を引き締め直す生徒達。中には階段の方向を未練に満ちた表情で見ている者もいる。

 

無理もない。ついさっき死にかけたのだ。一秒でも早く安全を確保したいと思うのは当然だろう。しかし、団長の「早くしろ!」という怒声に未練を断ち切るように戦場へと戻った。

 

その中には檜山大介もいた。自分の仕出かした事とはいえ、本気で恐怖を感じていた檜山は、直ぐにでもこの場から逃げ出したかった。

 

しかし、ふと脳裏にあの日の情景が浮かび上がる。

 

それは、迷宮に入る前日、ホルアドの町で宿泊していたときのこと。

 

緊張のせいか中々寝付けずにいた檜山は、トイレついでに外の風を浴びに行った。涼やかな風に気持ちが落ち着いたのを感じ部屋に戻ろうとしたのだが、その途中、ネグリジェ姿の香織を見かけたのだ。

 

檜山は頭が真っ白になった。檜山は香織に好意を持っている。しかし、自分とでは釣り合わないと思っており、光輝のような相手なら、所詮住む世界が違うと諦められた。

 

しかし、ハジメや楓は違う。自分より劣った存在(檜山はそう思っている)が香織の傍にいるのはおかしい。それなら自分でもいいじゃないか、と、元六芒均衡のマリアが聞けば「アンタあれだね。救いようのないバカだね」とでも言われそうな考えを檜山は本気で持っていた。

 

ただでさえ溜まっていた不満は、すでにと言える憎悪にまで膨れ上がっていた。香織が見蕩れていたグランツ鉱石を手に入れようとしたのも、その気持ちが焦りとなって現れたからだろう。

 

再び強い咆哮を上げ、楓たちをを追いかけようと両足に力を込める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、次の瞬間、あらゆる属性の攻撃魔法が殺到した。

 

夜空を流れる流星の如く、色とりどりの魔法が幻創種を打ち据える。ダメージは無いようだが、しっかりと足止めになっている。

 

いける! と確信し、転ばないよう注意しながら頭を下げて全力で走る楓たち。すぐ頭上を致死性の魔法が次々と通っていく感覚は正直生きた心地がしないが、チート集団であるみわながそんなミスをするはずないと信じて駆ける。幻創種との距離は既に三十メートルは広がった。

 

思わず、4人の頬が緩む。

 

 

 

 

 

 

しかし、その直後、全員の表情は凍りついた。

 

 

無数に飛び交う魔法の中で、一つの火球がクイッと軌道を僅かに曲げたのだ。

 

楓とハジメの方に向かって。

 

2人を狙い、明らかに誘導されたものだ。

 

 

((どうして!?))

 

 

 

疑問や困惑、驚愕が一瞬で脳内を駆け巡り、彼らは愕然とする。

 

ハジメは眼前に、楓は腹に、その火球はぶち当たる。着弾の衝撃波をモロに浴び、来た道を引き返すように吹き飛ぶ。直撃は避けたし、内臓などへのダメージもないが、三半規管をやられ平衡感覚が狂ってしまった。

 

キリトたちは助けようと引き返す。

 

2人も、フラフラしながら少しでも前に進もうと立ち上がるが……

 

二発目。キリトたちの足下に再び火球が炸裂する。

 

それが理由で吹き飛ばされたキリトたちは、足場を失い、橋の下────何も見えない奈落の底へと堕ちてゆく。

 

 

 

 

 

「待って、ハジメ君ッッッ!!!」

 

 

 

 

それは、女性の声だった。

 

安全な場所より駆けだし、奈落の底へ自ら落ちていった、その人の名前は─────

 

「か、お………り?」

 

白崎香織、その人だった。

 

「な、香織、まって、香織、香織────!!!」

 

「楓ッ!だめ、楓ェェェェェェェエエ!!!」

 

「キリト君、ユウキ!」

 

 

 

 

その場に残ったのは、少女たちの、悲痛な叫び声だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 










はい、やっぱりこうなってしまいました。




次回、絶望。

あなたは『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。』を知っていますか?

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