孤島に、とある白海竜が居た。やることは毎日同じ。縄張りを徘徊し、餌を食らい、疲れたら休息をとる。縄張りに侵入してきた存在に対しては攻撃をすることも。しかし、ハンター達に目をつけられるようなことはしておらず、至って平穏に暮らしていた。あの日までは……。
ある日、いつも通りに目を覚ました白海竜はある異変に気付いた。まず、体についてだ。白海竜の呼び名の元となった、石英を含む白い外殻が無くなっていた。かわりにその身を覆っていたのは肌色の皮膚。さらに、前脚が脚としてではなく「手」として機能する形状になっていた。白海竜は自分の体をくまなく眺めた。今自分で確認できる範囲では、大部分が変化しており、尻尾のみは変わっていなかった。
白海竜は水辺へ行き、水面を覗いた。映っていたのは、赤い目に、前髪に青いラインがある白髪の少女の姿だった。
「え……えぇぇぇぇぇぇぇ!!!!???」
*
「……はぁーー、ここでも出ない」
孤島の洞窟の中で、鉱石をポーチに詰めながら項垂れる一人の女性のハンターが居た。名前はセア、龍歴院所属のハンターだ。
「チュクチュクのためにベアライト石が要るのに……」
片手剣のチュクチュクを生産する為に必要なベアライト石を求めて、孤島の探索ツアーに来ていた。しかし、例のセンサーに引っかかったのか全く出てこない。
「帰るか……今度孤島に行くクエストこなすついでに探そう」
諦めて帰ろうと、ポーチからモドリ玉を出した時だった。モンスターの声が微かに聞こえてきた。
(……ダイミョウザザミか? 外からだな。ちょうどいい。憂さ晴らしとフリーハント報酬狙いで狩っていくか)
セアは納刀してある真名ウンネフェルの柄に手をかけながら、足音を殺しつつ洞窟を出た。
洞窟の外は開けた場所になっており、遮蔽物が無い。モンスターに見つかりやすい場所だが、状況を把握するために、なるべく気配を消して動く。予想通り、外に居たのはダイミョウザザミだった。こちらに背を向けながら、何かに対して攻撃を仕掛けている様子だ。
(何してんだろ? 地面掘って遊んでる?)
もっと近づいて見てみる。すると、ダイミョウザザミの方から何かが飛び出して来た。
(……え、人? なんでここに!?)
「あーーもう! しつこいよーー!!」
(しかもなんか、裸なんだけど!? どういう状況!?)
人影は裸の少女である事がわかった。少女はセアの方に走ってきて、そして目の前で盛大にコケた。
「えーっと、あなた、大丈……!?」
セアは少女の体を見て、あることに気付いた。普通の人間には付いていない、青色の突起が背中に複数個あり、腰からは白い尻尾が生えている。
(もしかして、この娘……)
「キョアァァァッ!」
「!」
少女を追って近付いてきたダイミョウザザミが、ハサミを掲げて威嚇している。
「くっ!」
振り下ろされたハサミを右手の盾で受け止める。
「ねえあなた、まだ動ける!?」
「え? う、うん」
「じゃあ早くどこかに隠れて! こいつの動きを止めてから一緒に逃げるよ!」
「う……逃げるなんて不本意だが、やむを得ない!!」
少女が離れたのを確認すると、セアはハサミを受け流し、真名ウンネフェルを抜刀した。
(止めるって言ってもどうするか……採取装備だし、ポーチの空き作るために刃薬も置いてきちゃったからなぁ……。あ、でもこのやり方ならワンチャン……)
ダイミョウザザミは威嚇後、横歩きで接近しながらハサミで攻撃してきた。セアはそれをかわし、脚を数回斬る。今度はジャンプからのプレス攻撃。前転で少し距離をとり、衝撃は盾で受ける。そしてまた脚に回転斬りまでのコンボを叩き込んだ。
(よし、溜まった)
武器を納刀し、ダイミョウザザミの周りを動きながら機会を伺った。そしてダイミョウザザミが飛び上がった瞬間……
(今!)
セアはマカ錬金タルを取り出し、振り始めた。二、三、四回と錬金を重ねていき、五回目……
「できましたー!」
タルを大きく掲げ、中からアイテムを取り出す。手投げできる程度の大きさの物体、レンキン気合玉だ。それを地面に投げつけ、煙を浴びる。
「よし、ここからだ」
セアの方に向き直ったダイミョウザザミは、すぐさま泡ブレスで攻撃をしてきた。ギリギリで回避し、走って距離を詰める。ある程度近付いたところで、真名ウンネフェルの刃の部分に刃薬を塗り……
「……混沌の刃薬!」
前進しながら盾に刃を擦り付け、思いっきり振り切る。ダイミョウザザミを斬りつつ、刃に塗った紫の刃薬を発火させる。混沌の刃薬……会心、減気、心眼、重撃の四つの刃薬の効果をまとめて付与する狩技。この効果の中の減気効果で気絶を狙う作戦だ。
「いくよ!」
そのまま頭を狙ってひたすらに斬る。怯んだ隙にさらに斬る。斬って斬って、ついにダイミョウザザミは大きく体勢を崩した。
「よし……! ねー! どこにいる!!?」
辺りを見回しながら叫ぶ。すると、洞窟の方から少女が顔を出した。
「片付いたか?」
「居た!」
セアは武器を納刀して少女に駆け寄り、少女の手首を掴んで引っ張った。
「よし、逃げるよ!」
「う、うん!」
そのまま無理やり引っ張り、その場を後にした。
*
「はぁ……はぁ……ここなら大丈夫……」
「なんだここ……こんな場所があるのか」
孤島のベースキャンプに着いた。ここならモンスターの襲撃を受けることは無い。
「ねぇ、あなたハンターでしょ? その……助かったよ。ありがとう」
(ハンターが目の前に居る……私がモンスターってばれたら殺されそうだし、バレないようにしなきゃ)
少女はテントにあるベッドに腰掛けながら言った。
「どういたしまして。とりあえず、それ羽織って」
少女の横に置いてあるタオルケットを指差す。
「? なんで?」
「裸じゃん」
「いつも裸だから別に……」
「……裸でいることに躊躇が無かったり、尻尾があったり、やっぱりあなた人間じゃないよね?」
「……人間じゃないなら何?」
「モンスターでしょって」
そう言った瞬間、少女の表情は固くなった。
(バレてる……誤魔化さなきゃ)
「に、ニンゲンデスヨー……」
「嘘つくな。じゃあ背中のそれと腰からは生えてるのは何?」
「…………」
「……とりあえず、連れて帰るね」
「ハンターがモンスターを連れ帰る……解体する気でしょ!?」
「しないよ」
「ヤダ! 行かないよ!!」
立ち上がって逃げようとする少女を
「逃がすか!」
「グエッ!?」
盾を使ってベッドに押し倒した。
「ヤダーー!! まだ死にたくない!!」
「死なないから!! 暴れないで!!」
「ヤダーー!!!!」
「くっそ……こうなったら……」
セアはポーチの中から水色の草を取り出し、少女の口に突っ込んだ。
「ムッ!!?」
「ちょっと寝てなさい!」
そして顎を押し、無理やり咀嚼させる。噛み砕かれた草から分泌された睡眠作用により、少女はコロッと眠りについた。
「くー……」
「ふぅ……まさかここでネムリ草が役に立つとは」
セアは少女の口から噛み砕かれたネムリ草を取り出し、捨てた後、支給品ボックスの中にあるネコタクチケットを納品ボックスに納品した。これでしばらくすれば帰還用のネコタクが来るはず。
「しかし、私も出会うことになるなんてなぁ……」
少女の体にタオルケットを巻きながら呟く。
「人化症のモンスター……だよね。違ったとしても保護するしかないけど」
帰還用のネコタクが到着した。セアは少女を抱えてネコタクに乗り込んだ。
龍歴院のハンターは活動範囲が広いので、プレイヤーのハンターが出会ってないだけで、亜種に出会ったことがある龍歴院のハンターも居る……という解釈。
XXをベースにした理由ですが、私が始めたモンハンがXからだからです。4G、X、XX、ST、ST2、XR、RISEしかやった事がないので、知識はそんなに無いですが、wikiの力も借りつつ頑張っていこうと思います。