白海竜と歩む道   作:よっしー希少種

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20.黄金色の龍

 セアとラルアの目の前に、蒼と桜の火竜が降り立つ。リオレウス亜種とリオレイア亜種だ。戦闘能力自体は低いメタドラス本体は闘わずに、鱗粉でモンスターを凶暴化させる事で外敵に仕向けてくるようだ。

 

「ラルアはリオレイアをお願い!」

「わかった!」

 

 二手に別れて、火竜の番を相手取る。

 

「これでっ!」

 

 リオレイア亜種の火球を掻い潜り、頭を掴むと一気に放電、それによりリオレイア亜種は意識を失った。

 

「やる……」

 

 セアも、飛び立とうとするリオレウス亜種目掛けて狩技、昇竜撃を放つ。

 

「はあぁっ!」

 

 盾でリオレウス亜種の顎を突き上げつつ上昇、落下の勢いそのままに盾で頭頂部を叩く。リオレウス亜種の無力化も成功だ。

 

「次……」

 

 二人はメタドラスに視線を向ける。あちらも二人を見つめており、背中の翼のような膜をヒラヒラと動かしている。

 

「コオォォォォォ!!」

 

 再び咆哮をする。今度は地中からダイミョウザザミと、川の下流からガノトトスが現れた。

 

「また……」

「セア、ザザミをお願い!」

「わかった!」

 

 再び、二手に分かれてモンスターを狩る。そうやって時間を稼いでいる間に、メタドラスは周りの気配を察知していた。窪地の周りにはハンターや人化症のモンスターが多くおり、このまま逃げても無事に逃げれる保証は無い。今まで慎重に生きてきたこのモンスターの本能がそう伝えている。メタドラスは耐える事にした。自分が洗脳したモンスター達が道を切り開くまで……。

 

 

 一方、窪地周囲。

 

「フーちゃん、次は?」

「あっち……」

「よし……」

 

 周囲のモンスターの対処も順調だった。ハンター達はフーの索敵を頼りに、先手を打つ形で対処に回れていた。

 

「だいぶ匂い減った。もう少しかも……」

「わかった。もう少し……頑張るよ!」

 

 他の組も順調だった。やはり、元モンスターだからか、人間と比べると単体での戦力が段違いだ。

 

「もう少しだ! 気合い入れていくぞぉ!!」

「「「オォォォォォ!!」」」

「……」

(もう少し……確かにもう少しなんだけど……なんだろう、この異臭……)

 

 

「おりゃあぁっ!!」

 

 ロアルドロスとアオアシラを無力化し、再びメタドラスに視線を向ける。

 

「そろそろ……あいつの仲間も尽きるかな?」

「多分……段々弱くなってきてるし」

 

 無力化したモンスター達は、意識を取り戻すと、どこかに逃げていってしまう。しかし、それでもメタドラスは変わらず、二人をじっと見つめていた。二人も警戒を解かずに、メタドラスを睨む。静寂が、窪地に訪れた。

 

「……咆哮をしない」

「尽きたか……じゃあ、本体を叩くよ!」

 

 ラルアが先陣を切る。同時に、メタドラスは背中の膜を大きく広げ、前脚で地面を擦る。

 何か来る。ハンターとしての経験から、セアはそれに気付けた。

 

「……! 待って、ラルア!」

「ゴルルアァァァァァ!!!!」

 

 今までの透き通るような咆哮とは違う、怒りに満ちたような咆哮を上げた。同時に、辺りに金色の鱗粉を散布する。

 

「ラルア!」

「しまっ……!!」

 

 忠告は間に合わなかった。ラルアは鱗粉の波に飲まれてしまった。セアも影響は無いとはいえ、この濃い鱗粉の中で動くのは不可能だ。

 

(ラルア……くそっ……)

 

 

「咆哮……」

「さっきとは全然違うわね」

「……」

 

 窪地周囲にも咆哮は聞こえていた。明らかに違う咆哮に、全員が警戒を強めた。

 

「…………居る」

「え?」

「そこっ!」

「ギイッ!?」

 

 突如、ゴア・マガラの爪が空を切った。そこから少量の血飛沫が舞う。

 

「……浅い」

「ゴアちゃん……何が」

 

 三人の前に姿を見せたのは、フクロウのような姿をした鳥竜。翼には、ゴア・マガラが付けたであろう引っ掻き傷がある。

 

「ホロロホルル……」

「それも、二つ名……朧隠だ。視力に頼らず、常に鱗粉で探知をしていたから気付けたのだな」

「うん……。お兄ちゃん、お姉ちゃん、こいつ、強いよ」

「わかってますわ……」

 

 三人は戦闘態勢に入った。

 

「援護は望めないかも。他にも強い気配がある」

「わかった。ならばここは我らで片付けよう」

「よし、頑張るわよ!」

 

 朧隠との戦闘が始まる。

 

 同じ頃、四天王サイド。

 

「最悪……二つ名かぁ」

「黒炎王に紅兜。厄介だね……」

 

 黒炎王リオレウスと、紅兜アオアシラと対峙していた。

 

「隠し玉、か」

「かもね……」

「……ね、ディノとガムートで紅兜やってよ」

「え……」

 

 ミツネの発言に、ゼクスは目を丸くした。

 

「わかった」

「よし、やるぞガムート!」

 

 二人は紅兜との戦闘を開始した。

 

「ゼクスは黒炎王をお願い」

「一人で……?」

「飛べるのはゼクスしかいない」

「う……」

 

 いくら四天王とは言え、二つ名に一人で挑むのは無謀だ。

 

「……」

「大丈夫、落とすだけでいい。落としたら今度、二度と飛べないようにするから」

「……信じるよ」

「任せて」

 

 ミツネはゼクスの背中をぽんと叩く。そしてゼクスは空へ飛んだ。

 

 一方、ガルルガ達。

 

「……マジか。これ鋏硬すぎて足がイカれるぞ」

「らしくねーな。弱気なんて」

「そっちだってさっきから岩砕いてばっかじゃねーか」

「……」

 

 四人の前に現れたのは、矛砕ダイミョウザザミと岩穿テツカブラだ。

 

「だが、これだけ硬いと手を出せないのはある……」

「……じゃあ、お前アイツならいけるか?」

 

 ブラキは岩穿を指さす。

 

矛砕(こっち)よりかは全然マシだ」

「良し。なら交代だ。オレがコイツをやる」

「……無理すんなよ」

「大丈夫だ。爆砕の拳、その真価を見せてやるよ」

 

 二人は目標を変えると、戦闘態勢に入る。

 

「頑張れー!」

「が、頑張れー……」

 

 ガンキンとクックの応援も加わる。二人は目の前の敵を倒すべく、動き出した。

 

 オウガ達も、二つ名モンスターと対峙していた。

 

「無理したな」

「ごめん…………」

「ど、どどどどうすればいいの……???」

 

 真空波を受けたナルガを庇いながら、白疾風ナルガクルガを睨む。

 

「出血が酷いな……仕方ない。ここは拙者一人で戦う」

「む、無茶だよオウガ! いくらなんでも……」

「無謀なのは承知の上。だが……やらねばお主らを失いかねん。それだけは……」

「オウガ……」

 

 オウガはペッコを一瞥した。

 

「ナルガの事、頼んだぞ」

 

 雷光虫を展開し、白疾風に迫る。

 

「っ……」

 

 ペッコはナルガを抱えて、岩陰に身を隠した。

 

(頑張って……オウガ……)

 

 

「フーちゃん……?」

「う……すごい、匂い……」

 

 口を押えながら、苦しそうに話している。

 

「な、何……?」

「酸っぱい……………ような……でも……それだけじゃ…………ない。これは……」

 

 直後、遠くからハンター達の悲鳴が聞こえた。

 

「お、おいなんだ!」

「リ、リーダー! 大変です!」

 

 一人のハンターが息を切らしながら戻ってくる。

 

「どうしたんだ……」

「ヤツです……」

「何?」

「き、恐暴竜です……!」

「!」

 

 恐暴竜、イビルジョーの事だ。

 

「イビルジョー……か。でも、こっちも数は多いから大丈夫なはず」

「違う……」

「え?」

 

 今にも吐きそうな表情で、フーは話した。

 

「一匹……じゃ……ない……」

「……は?」

「一匹なら……こんな…………匂わ……ない」

「群れって事……?」

 

 フーは首を縦に振った。レープは急いでハンター達のリーダーに報告する。

 

「本当か?」

「フーちゃんは鼻が利く……それであんな苦しそうにしてるなら、間違いないです!」

「むぅ……規模は?」

「そこまでは……」

「……総員備えろ! 恐暴竜の群れが来るぞ!」

 

 多数の足音が近付いてくる。木々を薙ぎ倒しながら、恐暴竜の群れが、ハンター達の前に現れる。その数、視認できるだけでも十は超えている。

 

「ゴオォォォォッ!!」

「ひっ……」

「こ、こんなに……?」

「ひ、怯むな! いくぞぉぉ!!」

 

 掛け声と共に、ハンター達はイビルジョーに立ち向かう。

 

(こんなの、いつ全滅してもおかしくない規模だ……。セア、早く……!)

 

 

 窪地を覆っていた鱗粉が、徐々に晴れていく。

 

「……ラルア、大丈夫なの!?」

 

 返事は返ってこない。盾を下ろして姿を確認しようとしたその時、目にした光景にセアは絶句した。

 

「え……」

 

 最初に見えたのは、金色の鱗粉が付着した白い甲殻。そして青い背電殻。そう、目の前に居たのは双界の覇者、白海竜ラギアクルス亜種だ。

 

「な……なんで……」

 

 代わりに、ラルアの姿は見当たらない。つまりは、そういう事なのだろう。ラギアクルス亜種はセアを見ると、小さく喉を鳴らした。

 

「ラルア……?」

「…………グルル……ガアァァァァァ!!!!」

「っ!」

 

 ラギアクルスと対峙した時と同じ咆哮を上げる。相手はセアを敵とみなしたようだ。ラギアクルス亜種の周りには、破けた服が散っていた。ラルアがさっきまで着ていたものだ。あのラギアクルス亜種はラルアで間違いない。

 

「そんな……ラルア! 私だよ!」

 

 セアの声には、雷ブレスで応えた。ギリギリ盾で防ぐ。

 

「……」

 

 そしてセアは、震える手でデスレストレインを手に取る。

 

「…………ごめん」

「ガアァァァァァ!!」

 

 そしてその刃を、ラギアクルス亜種に向けて振った。




次回、まずは窪地周囲の方々から決着です
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