白海竜と歩む道   作:よっしー希少種

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途中、いきなり一人称パートが挟まります


22.狩りの終わり

「ガアァァァァァァ!!」

「っ……!」

 

 セアはラギアクルス亜種との戦闘に苦戦していた。原種とは異なる肉質……特に頭はかなり硬く、原種と同じ動きで斬りにいくと弾かれてしまう。胸を狙うつもりで攻撃して頭に当たる事もあり、効率よくダメージを与えられない。

 

(このまま斬り続けたら……死んじゃうよね……)

 

 セアはまだ迷っていた。共に過した存在だけに、傷付けるのは心が痛む。

 

「ガルァ!」

「わっ……!」

 

 しかし、ラギアクルス亜種の方は構わず攻撃してくる。あっちはセアを倒す事しか頭に無いようだ。

 

「っ……ラルア……」

(まだ……何か元に戻す方法は無いのかな……)

 

 迷いのある攻撃では、大したダメージは入らない。それどころか、攻撃する隙を与えてしまい、セアは防戦一方になってしまった。ラギアクルス亜種も、セアの攻撃が通用しない部位がある事を理解してきたようだ。セアの攻撃を頭で弾き、そのままセアに迫る。

 

「しまっ……!」

 

 直後、右腕に激痛が走り、血飛沫が舞った。

 

「っ……!!? あぁぁっ!?」

 

 無理矢理に腕を引きちぎられる。膝を付き、右腕があった場所に手を動かす。乱暴に引きちぎられた腕からは、血が絶えず流れていた。

 

「ふ……うぅ……」

 

 フラフラと立ち上がり顔を上げると、目の前に見えたのは白い巨体。追撃のタックルにより、セアは壁まで吹き飛ばされてしまった。

 

「ガ……あ…………」

 

 頭を強打し、意識が飛びそうになる。全身に走る鈍痛、頭部強打と失血による意識の低下。もう狩りができる状態では無かった。

 

「…………」

 

 血の匂いに興奮したのか、ラギアクルス亜種がセアに迫る。

 

(あぁ、死ぬんだ私……)

 

 そして口を開き、セアに襲いかかった。

 

 

 ……なんで私は、こんな夢を見ているんだろう。鱗粉にのまれて、気付けば私は夢の中。セアが、私を狩ろうと武器を振っている。私は……元の姿になってる。またこんな夢……最悪だよ。

 痛いよ、セア。そんなに斬らないでよ。私だよ? 夢とは言え、こんなの酷いよ……。あぁ、体が勝手に動いてセアに攻撃してる。私、セアを攻撃したくないのに。

 あ、これ……腕に噛み付くかな。……!! な、何これ……血の味、骨を砕く感覚、肉の感触……全部鮮明にわかる。うわ……なんか、懐かしい味だ。いやいや、そんな事どうでもいい。こんな鮮明な夢ってあるんだ。セア、すごく痛がってる。え? まだ攻撃するの? やめてよ、セアが死んじゃう。……ぶつかった。なんでこんなにわかるの? もしかして…………夢じゃない?

 だとしたら……。な、何してるの私! このままセアを食べる気なの!? そんなのダメだよ! お願い言う事聞いて! 私の体なんでしょ! 止まってよ!! やだやだやだやだやだやだ!! 嫌だ!!!! 止まって!!!!

 

 

「…………」

 

 ラギアクルス亜種は、セアを噛み砕くその寸前に、ピタリと動きを止めた。そしてゆっくりと頭を引く。

 

「…………ラルア?」

 

 セアの呼び掛けに、ラルアは小さく喉を鳴らした。そして、メタドラスに視線を移す。

 

「グル……ガアァァァァァァァァ!!」

「コアァァァァァァ!!」

 

 ラルアがメタドラスに襲いかかる。メタドラスはその小さな体躯を活かし、噛みつきをヒラリとかわして見せた。

 

「グウ、ガルル!!」

 

 今度はタックルを見舞うが、またしてもかわされてしまう。その後も何度も、様々な攻撃を仕掛けるが、尽くかわされてしまう。

 

「グル……ガウゥ……」

 

 ラルアの動きが緩慢になる。体力の限界のようだ。一方のメタドラスは、古龍故の無尽蔵の体力のおかげでまだ全然動けそうだ。

 このままでは決着はつかない。それ所か、セアが失血死してしまう可能性だってある。ラルアは考えた。必死で考えた。そして、ある作戦を思い付く。

 体力が少し回復した頃、メタドラスの足元目掛けて雷ブレスを放った。当然、跳んでかわされるが、想定内。そのまま一気にメタドラスに迫る。空中なら無防備になる、その隙を突いての攻撃だ。ラルアの牙が、メタドラスの首を捉えた。

 

「コアァァッ!?」

 

 捉えてしまえばこっちのもの。ラルアはその体を地面に叩きつけるように、頭を振る。メタドラスの体から、血が吹き出てきた。

 

「グル……グウゥゥ!!」

「コウゥ……」

 

 メタドラスも背中の膜を広げ、鱗粉を撒き散らして抵抗した。しかしそれにも屈せず、ラルアはメタドラスの体を地面に叩きつけ続ける。鱗粉は止まらないが、関係無かった。絶命するまで、ひたすらに叩く。

 やがて、鱗粉の影響か、意識が薄れてきた。それでも尚、メタドラスの体を叩きつける。視界が黄金色に染まる。それでもまだ叩き付ける。

 ラルアは、その意識が途絶えるまでメタドラスを離さなかった。

 

 

「今ならいけるんじゃないか?」

「うん。鱗粉も晴れたし、大丈夫そう」

「みんな、降りるよ!」

 

 ゼクス、ガルルガ、ペッコの三人は、鱗粉が晴れるのを確認すると、二人を回収するために窪地に降り立った。

 

「大分派手にやったな。なんだこの血痕の量は」

「わ……ハンターさん片腕無いけど大丈夫かな……?」

「え、本当に? だったらすぐに運んで。人間は私達みたいに腕もげても勝手に血は止まらないから」

「わかった!」

 

 ペッコがセアを背負って飛び立つ。

 

「……で?」

「あぁ……」

「これは、なんなんだ?」

「私に聞かないでよ」

「はぁ? テメェらずっと研究してたんだろ?」

「してたけどさぁ……これはちょっと……知らないやつだ」

「……まぁいい。どうするよ、これ」

「とりあえず……二人共(・・・)回収しよう」

 

 ゼクスとガルルガは血溜まりの中で眠る存在を前に話をしていた。一つは、背中に背電殻を備えた、人間の少女の姿をした存在。もう一つは……黄色の膜に体を包みながら眠る、人間の少年の姿をした存在だ。




次回、一応最終回
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