白海竜と歩む道   作:よっしー希少種

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6.骸纏う捕食者

 ある日の孤島。水辺でキレアジを食べる人化症のクルペッコが居た。

 

「んー、ヒレが邪魔だけど、キレアジも美味しいなぁ。……もう一匹、他のやつ食べようか」

 

 水面を覗き込む。様々な魚が優雅に泳いでいる。

 

「どれにしようかなぁ〜。サシミウオか、大食いマグロか、骨か……んっ!?」

 

 思わず二度見する。魚達の中に骨の怪物が紛れていたのだ。それは青い瞳でクルペッコを見つめた。直後、水面から顔を出し、クルペッコの右足を狙って噛み付いてきた。

 

「なっ……!? や、やめろぉ!!」

 

 クルペッコは両手で頭をつかみ、離そうとする。が、離れようとしない。ふと、さっき食べたキレアジのヒレが視界に入る。キレアジのヒレは武器を研げるくらいには硬い。クルペッコはヒレを持つと、角を怪物目掛けて振り下ろした。僅かに顎の力が緩み、なんとか離すことができた。

 

「は……はぁ……な、何あれ……」

 

 右足からは血が流れている。ろくに動かせそうにない。また襲われるんじゃないかという恐怖心から、クルペッコはすぐさま飛び立ち、その場を離れようとした。

 しかし、急に体が重くなり、そのまま落ちてしまう。

 

「何これ……」

 

 体には青色の液体がまとわりついていた。粘性が高く、なかなか落ちない。

 

「うぅ……これじゃ飛べないじゃないか……」

「逃げないでよ……」

「ヒィッ!?」

 

 背後から声と共に、水の音がした。恐る恐る振り向くと、そこには人の姿があった。頭に大きな骨を被り、深い青色のワンピースを身にまとっている。そして何より、先程骨の怪物だと思っていたもの……骨を纏い、龍の頭を模した触腕が二本、背後から伸びている。

 

「ねぇ、なんで逃げるの?」

「え……え……?」

「ボクさ、まだ食べたことないんだよね……人化症のモンスター」

 

 サッと血の気が引いた。目の前の存在は自分を捕食する気だと知ったからだ。

 

「い、嫌……寄らないで!」

 

 火打ち石を打ち合わせて威嚇する。しかし、粘液に濡れてるせいで上手く火が起こらない。

 

「何してるの?」

「う……」

「ほら……黙ってて」

 

 触腕が両腕に絡みつく。ろくに抵抗できなくなったクルペッコの脚の上に、少年は座った。

 

「じゃ、いただきます」

「や、やめ……!」

 

 少年はなんの躊躇も無く、クルペッコの左腕に噛み付いた。骨を砕きながら、肉を噛みちぎる。

 

「ーーーーーっっ!!!!」

「ん……やっぱり、人間やモンスターとは違った味がする。もっと食べてもいいよね?」

「あ……やだ……っっ!!!!」

 

 痛みと恐怖心で頭の中がごちゃごちゃになったが、生存本能が働いたのか、彼は最後の抵抗を試みた。得意の声マネだ。

 

「……っ。ゴガアァァァァッッッ!!」

「んぐっ!?」

 

 耳元で叫ばれ、流石に怯む。しかし、それだけだった。

 

「……うるさいよ」

「……」

「わかった。次はその喉噛みちぎってあげるね」

「…………」

 

 少年はクルペッコの喉元へ口を運んだ。その時……

 

「ゴガアァァァァァッ!!」

「な、何……?」

 

 大きな咆哮が辺りに響いた。見ると、そこには恐暴竜イビルジョーの姿があった。クルペッコは声マネでイビルジョーを呼び込む事を試みた。声マネと、自身の血の匂い、これがあれば貪食なイビルジョーなら間違いなく誘い込める、そう思ったのだ。

 

「っ! 邪魔を!」

 

 少年はクルペッコの脚から離れると、イビルジョーの方を向き、戦闘態勢をとった。クルペッコは右腕と左足を使い、その場を離れようとした。どういう訳か、脚のあたりは粘液が溶けており、動かしやすい状態になっていた。背後から激しい戦闘の音が聞こえる。気付かれないように祈りながら、這ってその場を後にした。

 

 

 どれくらい這っただろうか。気が付けば、ハンター達が使うベースキャンプの辺りまで来ていた。クルペッコは迷わず進む。ここに行けば、ハンターに助けを求めることが出来ると思いながら。

 ベースキャンプのテントの中まで移動した。

 

(ここなら目につくはず……。とりあえず、少し休もう……)

 

 クルペッコは体力を回復するために休眠についた。

 

 

 

 

 

「あれ、居ない」

 

 クルペッコが居た場所を見て一言呟く。そこには粘液と血が混ざったものが残されているだけだった。

 

「ま、いっか。あの傷ならそう遠くへは逃げれないだろうし。……それより、お腹いっぱいになったら眠たくなってきたな……少し寝よ」

 

 少年は近くの水辺へ向かうと、そこから水に潜り、休眠についた。




オストガロア、孤島で活動開始……
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