天に立つ?ええ、ぜひお立ちなさい! 作:きりたん
藍染さんと共に罪人が待っているというその部屋へと入れば、そこにはアタクシの想像していたよりも幼い可愛らしい見た目の人物がいらっしゃいましたわ。外見はアタクシのような魅惑的な身体ではなくとても幼く見えるのですが、乙女の外見をどうこう言うのは野暮というものですものね。
「お待たせ致しましたわね。お忙しい四十六室の方々に代わりまして、アタクシが貴女の罪に対する沙汰をお伝えさせて頂きますわ」
「貴女は…それに、藍染隊長?なぜこちらに…」
「やぁ、朽木ルキアくん。実は少々欲しい物があってね。君に言っても理解できない事だろうから、黙って受け止めてほしい」
「それはどういう…?」
「ふふっ、お戯れはそのあたりでよくて?知っても意味がない事をわざわざ話して聞かせるのもまた無意味な行為ですわよ。朽木ルキアさん、まず貴女はなぜここにいるのかご理解してらっしゃいますわよね?」
わざわざ確認するまでもなく諦観の表情が見える彼女は、きっと自分の犯してしまった罪を悔いているのでしょうね。まぁ、現世での事が露見するまでは黙って何事もなかったかのように行動していたわけですから、案外内心は図太いのかもしれませんけれど…そのあたりだけは養女といえどしっかりと四大貴族の一角を担える精神性をしているのかもしれませんね。
うふふ、嘘か本当かわかりかねますが…そのような表情は貴女にはお似合いになられませんわよ?と言っても、もうすぐその表情も見られなくなってしまうのですけれどね。
「さて、あまり女性を待たせるものではありませんわね。此度の一件に対する中央四十六室よりのお言葉を申し渡しますわ。心してお聞き下さいな。
『罪人・朽木ルキアは本来ならば処刑が妥当であるが、己が犯した過ちによる自責の念で
という事になりましたの。ふふふ、すぐに終わりますのでご心配には及びませんわ。それでは環さん、どうぞ召し上がれ」
「なっ!?……………………」
「ふむ、初めて見せてもらったが便利なものだね。
「藍染さんの仰る通り人形を作るのには便利ですわ。だからと言って、そのようなつまらない事は致しませんけれど…それでは藍染さん、貴方の欲しい物が目の前にございますわよ?」
「フッ、確かに考察は後でも構わないね。それでは頂くとしようか」
これが環さんとの修行で身に付けたアタクシの卍解という能力ですの…藍染さんの解釈は少し間違いがございますが、訂正して差し上げるほどのものではありませんわね。感情を餌に力を蓄える
一応…と藍染さんから告げられたのは「彼女の中にある崩玉を取り出せば、その反動で彼女は死んでしまうかもしれない」との事らしいですわ。アタクシとしてはできれば生きていてくれたほうが良いのでそうお伝えしたのですけれど、こればかりは藍染さんの腕と朽木ルキアさんの運に任せるしかありませんわね。
「ほう…これが浦原喜助の崩玉か。これで私の実験は更に先へと進める事ができるよ。そして幸か不幸か彼女も生きているようだね」
「あら、それは重畳ですわ。それで…藍染さんはこれから予定通りになさいますの?」
「ああ、もうこれ以上くだらない茶番を行う必要もないからね。しばらくはかかりきりになりそうだし、この後に貴女が行う予定の戯れに便乗して姿を晦まそうと思っているよ」
「ええ、委細承知しておりますわ。うふふ…それにしても藍染さんの部下である九番隊の隊長さんまでアタクシが好きにしてしまって本当によろしいんですの?」
「構わないよ。彼が私に従うのは彼なりの尸魂界の在り方に対して憤りや疑念が根底にあるからだ。ならば彼…要は貴女の下にいたほうがいいだろう。ギンには色々と手伝ってもらうつもりだから連れて行くつもりだがね」
藍染さんの腕が良かったのか彼女の運が良かったのか答えはわかりませんが、朽木ルキアさんは体内から崩玉を取り出されても生きておられるようですわ。そして目的の物が手に入ればすぐに研究に勤しみたいだなんて、藍染さんはとても熱心でいらっしゃるのねぇ。それに九番隊の隊長さんを差し出すだなんて、アタクシを敬う心がけには感心致しますわ。
それでは予定通り中央四十六室の沙汰を護廷のほうにも通達しておきましょうかしら。きっとお優しいお仲間さんたちが、朽木ルキアさんの事を想い哀しみに暮れてくださるに違いありませんわ。心を壊してしまったという事に対しての哀しみと早く快復して欲しい想い、けれど意識を取り戻せば処刑されてしまうというのであればこのままのほうが良いのかもと考えてしまうという葛藤…どの程度の数の死神が朽木ルキアさんの事を真摯に考えるのか存じませんが、感情の波が大挙して環さんが食べ過ぎでお腹を壊さないか心配ですわね。
罪人の沙汰からそう日が経っていないにも関わらず、中央四十六室に対してある報告が上がって参りましたの。どうやら旅禍という者たちが瀞霊廷へと侵入し暴れているとの事…つまり犯罪者という事ですわね。せっかく護廷の死神さんたちから朽木ルキアさんへの面会や療養の嘆願などがやってきて、ワクワクしながら色々と準備していたというのに水を差された気分ですわ。どうせすぐに捕まるか殺されるのでしょうし、そんなものは護廷十三隊に任せて放っておけばよろしいですわ。
「姫様!たった今隠密機動より報告があり、旅禍たちがこちらへ向かって来ているとの事です!」
「あらぁ?護廷の死神さんたちはどうなさったの?もしかして皆さん今日はお休みでも取っておられるのかしら?」
「それが…旅禍たちは瀞霊廷内に散らばり死神たちを次々と撃破しているらしく、五番隊の藍染隊長も旅禍によって殺害されたとの事でした」
「あらあら、道理で…こほん、それは惜しい方を亡くしてしまいましたわね。それではきっと藍染さんたちの志を継いだ方たちが頑張って下さることでしょう。あなたも下がってよろしくてよ」
どうやら侵入者の方々はこちらへと向かって来られているらしいのですが、死神さんは一体何をやっているのかしら?わざわざここへやって来るだなんて…理由がまったく思い浮かびませんわ。それにしてもせっかくアタクシが死神を少数精鋭とすべく数を減らして差し上げたというのに、烏合の衆はどこまで行っても烏合の衆でしかないという事ですわね。
それに先ほどから護廷の方たちのいる方向より随分と大きな悲哀の感情が流れてくると環さんが喜んでおりましたが、なるほど…藍染さんは旅禍が侵入したという不慮の出来事を利用したようですわね。聞けば副隊長さんを随分と
とはいえそんな憎しみに駆られた副隊長さんが侵入者を相手に頑張ってくれればよろしいのですが、あまり期待しすぎても裏切られそうですしアタクシもお出迎えの用意をしたほうがよろしいかもしれませんわね。現在瀞霊廷を賑わわせてらっしゃる方は朽木ルキアさんが力を譲渡した人間との事なのですが、確かこちらに上がってきた報告では『当の人間については力の根源を破壊したので、もう力を振るう事はないだろう』と書かれていたと記憶しておりますわ。どうやら虚偽の報告をしていらっしゃるようですが、そちらの件は後に致しましょう。
「やぁ、どうやら予期せぬゲストによって随分と引っ掻き回されてしまっているようだね」
「あら藍染さん。てっきりもうこちらを離れているのかと思っておりましたわ」
「ああ、私の役も終わった事だしそうしようかとも思ったんだが、少々この劇の幕引きが気になってね。飛び入り参加の演者たちがどんな悲劇を見せてくれるのかと思うと、1観客としては最後まで見届けたいものだろう?それに…」
「それに?」
「この飛び入り参加の1人でもうすぐここに来る人物は私が観察していた対象でね。もしかしたら真姫さんも彼を気に入るかもしれないよ?」
「あらあら、それは楽しみですわね。それでは藍染さんはゆっくり観覧していらしてくださいまし」
こちらへと向かってこられているという侵入者さんを、中央四十六室を代表して迎えようとしていたら藍染さんがちょうどいらっしゃいましたわ。演者としての役目は終えたとはいえ、観客としては最後まで見たいという気持ちは理解できますものね。それだけでなく侵入者さんの1人は藍染さんの玩具の1つということのようですし、ならばアタクシも少し筋書きを変更致しましょうか…本来であれば飛び入りとはいえ端役の侵入者なんて、例え生きて捕らえたとしても最後は皆殺しにして差し上げるつもりでしたの。けれど、アタクシが気にいるとまで仰るのならば期待して差し上げましょう。もちろんそれほどの可能性を見せて頂ければ…の話ですけれど。
そして噂をすれば何とやら…この黒い着物を来た派手な色の御髪をした方が報告にあった侵入者の内の1人、そして藍染さんの玩具なのでしょうね。それにしても死神の皆様は
「ようこそですわ侵入者の方々。わざわざ裁かれにいらっしゃるなんて気の利く罪人ですのね」
「なんだアンタ…なんかどっかのお姫様みたいなカッコしてるんだな。なぁ、オレたちはルキアを救いに来ただけだ。大人しく居場所を教えてくれねぇか?」
「あらあら…貴方は今どういった状況なのか理解しておられないようですわ。それに貴方の目的は彼女でしたのね。彼女は現世にて人間に自らの死神としての能力を譲渡し、更にその人間に代わりとして戦わせていたの。そしてこちらへと連れて来られた結果『
「なん…だと…?そんなはずはねぇ!ルキアはそんなに弱くなんかないはずだ!」
ここは尸魂界の最高司法機関…侵入者が直接裁かれにいらっしゃるなんて感心ですわと思って差し上げたのに、目的は朽木ルキアさんを救いに来られたというアタクシのよく理解できない理由でしわね。もしかして以前あったというどこぞの隊長の脱獄逃亡事件のせいで、例え捕まっても簡単に脱獄させて逃げられると勘違いしてらっしゃるのかしら。まぁ彼女が目的なのでしたら、元々の脚本を少々変更して伝えて差し上げましょう。納得して頂けないようですが、焦らなくてもちゃんと説明して差し上げますわよ。
「…こほん、よぉくお聞きなさいな。まず能力を譲渡した事自体が重罪とされておりますが、ここまでならばまだ温情の余地がありましたわ。でも…彼女はその事を上司にさえ報告せず隠し通そうとしたのですわ。もしかしたら四大貴族の養女という事でどうとでもなるという驕りでもあったのかもしれませんわね。それでもまだなんとかなる展開でしたのよ?アタクシも栄えある護廷十三隊の死神を処刑したいなんて思っておりませんもの…でも、もう手遅れになってしまいましたの。
なぜかおわかりになっておられないようですわね。
「…どういう意味だ!?」
「無知蒙昧とは愚かな事ですわね。よくって?彼女は重罪を犯してしまった後に捕縛され、こちらへ連行されていらっしゃったのは事実ですの。そして司法機関たる中央四十六室にて
「お…俺のせい…なのか…?」
「ええ、彼女もその事実に気付いてしまい耐えられなかったのでしょうねぇ。尸魂界にて栄誉ある死神として、護廷の一員として、貴族の端くれとして、きっと彼女にも思うところがあったのでしょう。もし貴方が何もせずに冷静に考える事ができていれば…もしくは尸魂界に来たとしても、きちんと情報を集め法というものを理解し無闇に力を振るったりしなければ…きっとここまで彼女を追い詰めるような事にはならなかったというのに…本当にお馬鹿さんですわねぇ」
「待ってくれ!オレはただルキアを……」
「彼女は何も見知らぬ者に誘拐されたわけではありませんわ。元々所属していた組織の目上の者に連れてこられただけ…どうして貴方が助けるという行動に出たのか理解できませんわねぇ。貴方が彼女とお友達だったとして、そのお友達が連れて行かれたからと力ずくで解決致しますの?今回連れ戻しに行ったのは義理とはいえ兄だというのに?」
「それは……」
うふふ…こちらにいらっしゃった時の威勢はすっかり鳴りを潜めてしまいましたわね。救いに来ただなんてまるで物語の勇者のように登場しておいて、(アタクシの創作した)真実を知らされ意気消沈している様はとっても見応えがありますわ。環さんを通して感じるこの方の自責の念や後悔といった感情が力となってアタクシの中へと流れ込んで行くのを感じますわね。朽木ルキアさんが実際にどう思っていたのかなんてアタクシは存じ上げておりませんので、アタクシの都合の良い想像物語で勘弁してくださいませ。
確かに藍染さんの仰る事もわからないでもありませんわね。こうも素直に反応してくださると楽しくってもっと戯れたくなって参りますわ。うふふ…藍染さんたら、こんな面白い玩具を持っておられるのなら仰ってくださればよろしいのに。そして侵入者などではなく、きちんとした役を与えて差し上げればもっと素敵な演目になったかもしれませんわよ?
「姫様!隠密機動より更に報告が……貴様は!?」
「こちらに辿り着く事のできた侵入者さんですわ。アタクシが相手をしますので放っておいて構いませんわよ。それで、追加の報告とはなんですの?」
「はっ!旅禍の3名は捕縛したとの報告がありました。現在こちらに連行しているという事です」
「待ってくれ!アイツらが捕まったってのか!?」
あら、どうやらやっと死神さんたちがお仕事をしてくださったようですわね。確か侵入者は4人でしたから、これで全員ここへとやって来るというわけですのね。それなら…良い事を思いつきましたの!ふふっ、これならきっとこの玩具さんも楽しんで頂けるはずですわ。
「どうやら侵入者の皆さんもこちらに向かっておられるようですわね。貴方もお疲れになったでしょう?しばらくお休みなさるとよろしいですわ」
「っ!?ちょっと待ってくれ…がっ…」
あらあら、思ったよりも脆いのですわねぇ。
気絶させた玩具さんを報告に来た者に任せて
「戻ってきたようだね。黒崎一護は貴女の目から見てどうだい?」
「あの玩具さんは黒崎さんと仰るんですの?そうですわね…素直で弄り甲斐のある童ではありますけれど、所詮その程度…といったところですわ。今のところはわざわざお気に入りにして差し上げる程ではございませんわね」
「おや、思ったより手厳しい評価だね。その割には随分と楽しんでいたように見えたんだが」
確かに藍染さんの仰るように面白い童でしたし楽しめたのですが、アタクシのお気に入りにするならばまだ足りないですわ。それにアタクシには
せっかくなので侵入者たちの末路を特等席でご覧頂くために藍染さんをお誘いし、共に侵入者たちがいるという牢獄へ向かったのですが…何やら騒がしいですわねぇ。
「ルキア!おい!目を覚ませ!」
「何事ですの?ここは牢獄なのですから、囚人は囚人らしく静かに沙汰を待つものですわよ?」
より深い哀しみを差し上げようと彼女と同じ牢獄に入れてみたのですが…そんなに揺すっても怒鳴っても意味がありませんのよ?勿論そんな事は知らないでしょうけれど、アタクシから見れば一生懸命に訴えかけるその茶番は見ていて愉快な気持ちにしかならないのですけれどね。とりあえず離れた別の牢にいるお仲間さんを目の前で処刑して差し上げれば、今よりもっともっと素敵な表情をしてくださるかしら?
…ところでどうして黒崎さんも朽木ルキアさんも牢を出ているのでしょうか?あと、お二方と一緒にいる褐色の女性はどなたなのでしょう?
「ほう…ここで現れるか。真姫さん、彼女は四楓院夜一…元二番隊隊長で今はただの逃亡者だね」
「逃亡者なのは否定せんが、罠に嵌めた張本人に言われるのは癪じゃな。じゃが、貴様らの企みもここまでじゃ」
四楓院夜一さん…?そういえばそんな方の名前の資料もありましたわね。なるほど、過去に逃亡を手助けした経験を持つ四楓院さんならば、今回も同じように逃げ出す手助けをする程度訳ないという事なのかしら。
「貴女がどうして
「愚問じゃな。藍染は勿論じゃが、貴様も相当に引っ掻き回してくれているようじゃのう…未練などという言葉は持ち合わせておらんが、二番隊も四楓院の家も随分貴様には世話になったようじゃな」
「うふふ、お褒め頂き光栄ですわ…でしたら貴女も罪人として捕らえて差し上げましょう。心配はいりませんわ。貴女のお家の方もきっと理解してくださるはずですもの」
「ここで貴様ら2人とやりあうつもりなどないわ。一護!ここは一旦退くぞ!」
「待ってくれ!まだアイツらが捕まってるんだ!」
「すぐには殺されはせん!じゃがここで熱くなって捕まれば助け出す機も失うのじゃぞ!」
「……くそっ!」
あらあら、さすが元とはいえ二番隊と隠密機動の隊長ですわね。敵わないと見て黒崎さんと朽木ルキアさんを連れて逃げて行ってしまいましたわ。逃げられたというよりも逃して差し上げたというほうが正しいのでしょうけれど…何せアタクシも藍染さんもただ見ていただけですもの。
「追わなくて良かったのかい?」
「あら、アタクシのような可憐な乙女に鬼事など似合いませんもの。むしろ藍染さんのほうこそ逃してよろしかったんですの?」
「ああ、特に支障はないよ。既に状況は彼らの希望が届かないほどに決している。故に四楓院夜一らが今更どう動こうとも、それはただの徒労でしかないのだからね」
アタクシたちは今回の死神たちを使った劇についてはお話を致しましたけれど、アタクシが虚圏にいた間に藍染さんがどのように暗躍しておられたのかについては詳しく聞いておりませんの。なので四楓院さんの言葉で何かしら謀を行っていたのは理解できるのですけれど、詳細は存じておりませんのですわ。けれど藍染さんも支障はないと仰っておられますし、もしも再度あの方たちと見えるとしても因縁があるのは藍染さんですものね。アタクシは無関係なのですから、きっと藍染さんが対処なさるのでしょう。残念ながら罪人である朽木ルキアさんを拐われてしまいましたけれど、あれはもはや中身のない人形と同じ…手元にあれば使い道はありましたのですけれど、どの道彼女の身体を放っておいてもアタクシの元へと戻ってくるでしょうから問題ありませんしね。
「ならばアタクシは残った侵入者の方たちの処刑を言い渡してから、此度の劇の幕を引きに参りましょうか」
「フッ、貴女によって護廷十三隊は見る影もないほどに瓦解していくね。それでは私もそれを見届けてから虚圏へ向かうとしよう」
「ふふふ、アタクシは別に瓦解させようなんて思っておりませんわよ?彼らが勝手に自滅しているだけですわ」
「ああ、どうやら私が考えていた以上に卑小な連中だったようだね。とはいえ例外というものはあるものだ。愉快だからといってあまり油断しないほうが良いよ」
確かにその通りですわね。今この場に総隊長さんが現れれば状況は一転してアタクシたちの不利になるかもしれませんし、わざわざお諌めくださったのですから最後まで気を抜かずに演じる事に致しましょう。まずは残った侵入者の方たちには
「これは姫様。投獄されている旅禍にご用事ですか?」
「ええ、今回の一件は随分と大事になってしまいましたものね。四十六室の方々も事後処理で大変そうですので、あまり役に立たないアタクシですが言伝の真似事をさせて頂いておりますの」
「役に立たないなどご謙遜を…ではこちらへどうぞ。護衛をお付け致しましょうか?」
「そうですわね…この程度で護衛など申し訳ありませんけれど、この後の事もありますし一緒に来てくださる?」
「はっ!それではお供させて頂きます」
牢番さんには今から行う事の後片付けなどをやって頂かなくてはなりませんしね。後から呼ぶよりも一緒に来てもらったほうが手間も省けますわ。今来ているこちらは黒崎さんたちが入られておられた牢獄とは別の棟にありますので、牢番さんも気を使ってくださったのかしら。あまり人のいない牢を進んで行けば、そこにはそれぞれ別の牢屋で静かに座ってらっしゃる方がおりましたわ。褐色の男の子と眼鏡をかけた男の子、そして可愛らしい女の子までいらっしゃるのねぇ。こんな場所でなければ、ゆっくりお茶でも飲みながら現世のお話を聞きたかったものですわ。
「もし?貴方たちが黒崎さんと一緒に瀞霊廷に侵入した罪人でよろしかったかしら?」
「罪人か…死神たちから見れば侵入者と見られるのは当然だろうな」「石田くん…」
「アタクシも忙しい身ですので要件のみお伝え致しますわね。
『瀞霊廷へ侵入し数多の死神を傷付け五番隊隊長を殺害し、更には投獄されていた罪人を連れ去った一連の犯罪への首謀及び共謀の罪にて死罪とする』
ということになりましたの。それでは皆さん、ご機嫌よう」
「なっ!?」「くっ…」
「えっ…?茶渡くん!!石田くん!!イヤぁぁ!!!」
「目の前でお仲間を失って悲しいですわねぇ…でも貴女はこれからアタクシの人形として使って差し上げますので安心なさい」
「え…?いや…くろさ……たす……」
「では牢番さん。四十六室の方から言い渡さされた刑は執行されましたわ。こちらの首を落とされた
「は…はい。了解致しました」
「こちらの女の子はアタクシのお部屋へ運んでしまって構いませんわ。もう抵抗できませんのでそのまま持っていってくださいな」
ふふ、あまりにも早い判決と刑の執行に驚きながら死んで逝かれましたわね。きっとアタクシの見た目から、戦いなど縁のない女とでも侮っておられたのでしょう。でも残念ながらアタクシは実力も兼ね備えた才女ですの。一瞬で罪人の首2つ斬り落とすくらい朝餉前ですわ。
本来ならばお三方とも首を落として差し上げるつもりだったのですけれど…直接お顔を見て気が変わりましたの。牢番さんに
確か藍染さんは部下を庇って亡くなられた事にされているはずですけれど、侵入してきたどなたと戦ったのかお聞きするのを失念しておりましたので、こちらのお二方にその罪を被って頂くことに致しましたの。いくら藍染さんでもこちらの女の子に負けたという事はなさらないと思いますし、これで騒動のほうは解決ですわね。あとは死神の皆さんの働きについてお話するだけですわ。
それでは侵入者の裁きも終わった事ですし、次は護廷のほうへと参りましょう。