天に立つ?ええ、ぜひお立ちなさい!   作:きりたん

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人にはそれに見合った弁えるべき分というものがございますの!

 

 

護廷十三隊はかつてない程に大きく変わる事となった…

 

 

瀞霊廷に旅禍が侵入し暴れまわった事により、多くの死神たちが少なからぬ傷を負った。そしてこの一件で現状に対する数多くの問題が浮き彫りとなり、それを重く見たそれぞれがその責を問われる事となった。

 

 

一番隊隊長及び護廷十三隊総隊長である山本元柳斎重國は、隊長1人が犠牲となったにも関わらず中央四十六室まで旅禍に侵入を許してしまうという一連の不始末を問われ辞職。同隊副隊長も同じくその立場を辞そうとしたが、これについては山本元柳斎重國が許さなかった。

 

四番隊隊長卯ノ花烈は、自身の部下が旅禍に協力し瀞霊廷を乱す一助となった事実を重く受け辞職。また当事者である山田花太郎は謀反人として、上司である卯ノ花烈によって粛清された。

 

五番隊隊長藍染惣右介は、旅禍との交戦の際に死亡。

 

六番隊隊長朽木白哉は、事件の発端とも言える旅禍と現世で相対しておきながら、勝手な判断による処断を行ったせいで結果的に今回の事件を招いてしまった責を受け辞職。同隊副隊長である阿散井恋次も同様の責にて辞職しようとしたが、朽木白哉の説得を受け留まる事となった。

 

 

そして今回一番重い処分となったのが三番隊隊長である市丸ギンだった。

 

 

『侵入者がいることを認識しておきながら手を出さず門番を諌めるだけに留め、結果旅禍によって多数の死神が負傷した。この時隊長である市丸ギンが果断な行動を行っておれば、今回の事件そのものを防ぐ事ができた。この件を重く認識した結果、以降隊長がこのような失態を犯す事のないよう見せしめとして三番隊隊長市丸ギンを処刑とする』

 

 

この通達が護廷十三隊へと届いた日には、市丸ギンは中央四十六室からの使者に連れられて行った。事件を未然に防ぐ事ができなかったのは同じだと六番隊からも擁護の声が上がったが、その声が届く事はなく処刑は無事執行されたという結果だけが届くことになった。更に不可解な事にその遺体については『隊長という大役を今まで務めてきた実績を鑑みて、せめてもの情けとして静かに埋葬した』という言葉が返ってきただけだった。

 

 

 

……

………

 

 

 

うふふふふ…随分と護廷十三隊という職を辞して行かれる方が多いですわねぇ。もしかしたらあまり良くない職場環境なのかしら?総隊長さんは隠居に追い込む事ができましたので予定通りなのですけれど、思ったより辞めて行かれる方が多い事にはアタクシも驚きを隠せませんでしたわ。前もって藍染さんから要注意人物をお聞きしておりましたのですが、その内の1人である四番隊隊長まで消えてくださるのですもの。

 

それにしても十番隊の副隊長さんは随分と熱心に陳情を上げてらしたわねぇ。アタクシの予定では()()()()()だったのですけれど…つい環さんの申されるまま死神に扮して十番隊まで様子を見に行ってみたのですが、それはそれはとっても魅力的な表情をしていらしたわ。環さんも副隊長さんから発せられる深い哀しみにとても満足していらっしゃったんですの。

 

 

 

「ほんまに真姫さんはえげつないなぁ。狡猾さとか容赦の無さは藍染隊長よりも上なんちゃうかな?」

 

「ふふふ、そんなに褒められても何も出ませんわよ?それに市丸さんに殉職していただくにはこれが一番都合が良かっただけですわ」

 

「そらまぁ隊長が2人もあの程度の旅禍に殺されるなんて有り得へんしなぁ。1人でも考えられへん事態やけど…」

 

「残された方たちには、抜けてしまわれた隊長さんたちの穴を埋めるべく奮闘してくださる事を期待しておりますわ。それにしても市丸さんの処刑について十番隊の副隊長さんはとても悲しんでらっしゃったのですけれど、もしかして仲の良い方でいらしたのかしら?」

 

「いやぁ、真姫さんが思うような事は何もないですわ。むしろ意外に思っとるくらいやし」

 

「それでしたら問題ありませんわねぇ……実を言うと、次は彼女で遊ぼうかと思っておりますの」

 

「……へぇ。まぁボクがとやかく言う事でもないし、そろそろ藍染隊長のとこに行ってきますわ」

 

 

表向きは処刑した事にしてアタクシの下にいた市丸さんでしたが、少々お話をしてみれば随分と表情を隠すのがお上手のようですわね。十番隊の副隊長さんを次に選んだとお伝えした時の市丸さんは、きっと誰が見ても何も変わったところはないと仰るでしょう。でも残念な事にアタクシの斬魄刀である環さんには、市丸さんの内側で溢れる殺意をお見通しでしたわ。例え内に秘めた感情であろうと、強い想いを力と変える環さんとアタクシには筒抜けも同然ですの。

 

 

ふふふ、次に市丸さんが彼女を見た時が楽しみですわねぇ。

 

 

「姫様、護廷十三隊より山本重國()総隊長がお越しです」

 

「あら、何かございましたかしら?こちらへお通ししてくださいな」

 

元総隊長さんが一体どういった用件なのでしょうね?てっきりもう隠居なされていると思っておりましたのに、暇ができてお茶のお誘いとかかしら?アタクシのような美女とお話しながら穏やかな時間を過ごしたいと仰るのでしたら吝かではありませんわ。

 

 

「ようこそいらっしゃいましたわ。本日はどうなさったのかしら?」

 

「…護廷の総隊長は中央四十六室より任命される決まりとなっておる。なればこそ、儂の後釜として京楽春水を推薦したいと思うてな。本当は四番隊の卯ノ花に任せたかったのじゃが、儂と同じく辞してしまったからのう」

 

なるほどなるほど、次の総隊長の推薦でしたのね…でも、それは困りましたわね。総隊長さんの後継は狂犬と噂の更木さんか、藍染さんから頂いた東仙さんにしようと思っておりましたのに…まぁ最後のお願いくらい聞いて差し上げましょう。

 

「そういうことでしたら構いませんわよ。アタクシのほうから四十六室の方々へお伝えしておきますわ。じきにその旨を通達される事でしょう」

 

「うむ、用件はそれだけじゃ」

 

「お待ちくださいな。貴方はこれからどうなさるおつもりですの?」

 

「例え総隊長の座を降りようとも、儂がやることは何も変わらぬ。ただ護廷の敵を焼き尽くすのみよ」

 

「うふふ、それはそれは頼もしい事ですわぁ」

 

この総隊長さん…いえ、元総隊長さんですけれど、会う度に宣戦布告のような真似をしてお帰りになるのはご趣味なのかしら。あまり考えたくはありませんが、アタクシのような美女を威嚇して怯える様子を眺めるのがお好きとかなのだとしたら恐ろしいですわね…

 

とはいえ、もう顔を合わせることもないでしょうし気にせず参りましょう。たまに見せる女の憂い顔というものも殿方の心を惹きつけて止まないと理解はしておりますけれど、アタクシはどちらかというとそれを見るほうが好きですもの。

 

既に瀞霊廷はアタクシの箱庭も同然。そして今回の一件で瀞霊廷では多くの悲劇が起こり、その渦中の死神たちのおかげでアタクシは更に力を蓄える事となりましたわ。例え戦っても負けることはないとはいえど、目障りだった者たちが自らいなくなって下さったのですから良いでしょう。

 

 

ここからはアタクシの下で、より素敵な世界へと導いて差し上げましょう。

 

 

まずは…そうですわね。藍染さんから頂いた下僕とお会いしておきましょう。これからアタクシの手足となって働いて頂くのですから、いつまでも放っておくのは可哀想ですわね。あちら(護廷十三隊)もお忙しいかもしれませんが、それは死神たちの怠慢による結果なのですから慮って差し上げるのは失礼ですわね。

 

 

「お待たせ致しました。九番隊隊長・東仙要です。藍染様より姫様の事は伺っております」

 

「あらあら、さすが藍染さんですわね。話が早くて助かりますわぁ」

 

「はっ。それで、今日はどういったご用でしょうか?」

 

「藍染さんからお聞きしていた方がどのような方なのか実際にお会いしてみたかったのですけれど…貴方、()()憤っていらっしゃるの?」

 

今まで藍染さんからお話だけは聞いた事がありましたが、直接お会いしてみると…随分と歪なお方のようですわねぇ。市丸さんとは内に秘めているという部分は同じですけれど、本質はまったく違うものを抱えていらっしゃるようですわ。理由はある程度わかっているのですが、いくら感情を読み取る事ができても思考を読めるわけではありませんしね。話してみなければわからない事も往々にしてございますし、きっかけくらいは与えて差し上げましょう。

 

「……いえ、何も憤りなど」

 

「うふふ、貴方の事は存じておりますわよ?()()を見てもそのように振る舞っていられるかしら…入ってらっしゃい」

 

「…姫様?」

 

「貴方もご存知でしょう?他人を貶しその姿を見て悦楽を感じるのが大好きな綱彌代時灘さんですわぁ。そのような人物が四大貴族綱彌代家なのですから、困った世の中ですわよねぇ…さぁ東仙さん。貴方の想いをお教えくださいな」

 

「私は……」

 

「貴方の正義に対する想いは存じておりますわぁ。ならばなぜ戸惑う事がありますの?正義とは秩序…それは決して人の身で定めるものにあらず、ですわよ」

 

ふふっ、随分と葛藤されていらっしゃるようですわねぇ。アタクシがこの瀞霊廷へ来た時に招いて下さった綱彌代家はとっくにアタクシの手中へと収めてありますの。さすが四大貴族筆頭だけあって様々なものを知ることができたものですわ。特に興味を惹かれたのが綱彌代時灘さん…綱彌代家の権力と持ち前の狡猾な性格も合わさり、随分と楽しんでいらっしゃったようですもの。

 

そんな時灘さんは最後までとても愉快でいらっしゃったものですわ。客人として招かれたアタクシに対して、その歪んだ愉悦を行いたかったのでしょうけれど…例え元死神であろうと相手の力量もわからぬまま、優位に立ちたがり相手を下げる事に腐心するような愚物に負けるアタクシではありませんもの。そして思い通りにならないと見るや癇癪を起こしたかのように騒ぎ立てる…まさしく時灘さんが今まで見てらっしゃった者たちと同じ末路を辿ったというわけですわ。結果として多少はアタクシの力へとなれた事ですし、今となっては立派なお人形となれたのですからきっと喜んでいることでしょうね。

 

そんな変わり果てた綱彌代時灘さんを目の前にして、東仙さんはどうなさるのかしら…いくら盲目とはいえ姿が見えない事など理由にもなりませんわよ?

 

「姫様…私はきっと()()()を許すことはできないでしょう。それはこの男を斬って終わりというものではないのです。姫様が仰った正義と秩序…それが歪められている今が私は許せない」

 

「ええ、ええ…わかりますわぁ。そんな東仙さんに教えて差し上げましょう。どうすれば正しい秩序が手に入るか…答えは、今を変えるのではありませんわ。一度壊し尽くし、新たに作り直す事で生まれるものなのですもの」

 

そうですのね…せめてその燻った種火に(時灘)をくべて差し上げたというのに、何か東仙さんの中で思い留めるものがあるのかしら?世界の在り方に不満を述べ、正しき道を歩みたいのであればそんな道をご自分で作ればよろしいのに…それならばそれで構わないですわ。アタクシが正しい道へと手を引いて差し上げますの。

 

正しくないものを正しい在り方へと…貴族のためではなく、死神のためでもなく、アタクシのための正義、そしてアタクシのための秩序…いずれ尸魂界も虚圏も現世も藍染さんが管理なさることでしょう。そしてアタクシがその上で下々の幸せを眺めている世界こそ幸せな世界なのですわ。

 

「東仙さん。古きより長きに渡り流れ続けた時代は終わりを告げ、これより訪れる新しい風を迎える証が()()ですわ。それっ」

 

「…っ!」

 

「うふふ、これで古き時代の象徴たる綱彌代家の当主さんはお亡くなりになりましたわ。これから忙しくなりますわよ?東仙さんもしっかりと正義(アタクシ)のために働いてくださいまし」

 

本当は現在の体制への終止符として大々的に行おうかと思っておりましたけれど、これはこれで良いでしょう。東仙さんの前で、感情を奪われ人形として立ち尽くしておられた綱彌代時灘さんの首を刎ねて差し上げましたわ。個人への復讐や怨恨ではなく、四大貴族の筆頭である綱彌代家の人間として首を斬り落として差し上げた事で東仙さんも新しい(アタクシの)時代の到来を肌で感じ取られた事でしょうねぇ。

 

 

それでは死神の皆さんにもそれを理解していただきましょうか…

 

 

 

……

………

 

 

 

「藍染隊長。虚圏でも色々とやることあるやろうに、東仙さんをあの人の側に置いてきはってよかったんですか?」

 

「構わないよ。確かに要がいない事で多少忙しくなるのは事実だが、彼女の側にいる事は要にとって悪くない事のはずだ」

 

「へぇ…ボクあの人の事よう知らんのですけど、東仙さんたぶんやけどあの人と合わへんのやないですかね?」

 

「その辺りは心配いらないよ。要にはある程度彼女の人物像は教えてあるし、彼女を呼ぶ時は『姫様』と呼んであげるようにも言ってある。何も知らない者からすれば自由奔放に周囲をかき乱しているだけのように見えるかもしれないが、ああ見えて打っている1つ1つの手が複数の効果を齎して彼女の利になっているんだ」

 

「なんや、相当厄介なお人みたいですやん。藍染隊長もどっからあんな人見つけてきはったんです?」

 

「彼女とは私が死神になって少ししてからの知り合いだね。さて、要がいない分ギンには働いてもらうよ?いくら崩玉が手に入ったとはいえ、まだまだ試さなくてはならない事は数多くあるからね」

 

「お手柔らかにたのんますわ…」

 

 

ほんまにあんまり働かせんといて欲しいわ。藍染隊長に取り入ってそれなりに動いてきたつもりやけど、まさかここに来て()()()()おるとは思わへんやん。藍染隊長1人でも厄介やのに、中央四十六室の中にある意味もっとえげつないのが巣食ってるとか…虚圏に着いてきたの失敗やったかもしれんわ。

 

しかも最後にあの人…真姫さんがボクに言い残したのが「次は乱菊で遊ぶ」やもんなぁ。殺されはせんと思いたいけど今までの例があるから油断できひんわ。藍染隊長は藍染隊長で瀞霊廷の事なんか気にも留めてへんし…いやまぁ総隊長もおらんくなってもうたし気に留める必要もなくなったって事やろか。

 

とにかく今は機を待つ時や。この2人を同時には相手にできん以上、()は絶対に表に出したらあかん。

 

 

 

 

 

フフッ、ギンは私が()()()()()()()()()()()()()()()()事には気付いていないようだね。表には一切出さず内に秘め、その内外の矛盾を気付かせない努力は見事だと褒めておこう。私も明確に()()だと判断したのは彼女の言葉があったからだが…まさかギンも想像もしていないのだろうね。

 

彼女が斬魄刀を所持しており、しかも普段から常に口元を覆ったりとよく目にする()()が斬魄刀なのだとは夢にも思わないだろう。

 

彼女の斬魄刀の能力は『感情を力へと変える』…喜怒哀楽が激しいほど大きな力となるらしいが、その能力の真価はそこではない。()()()()()()()()()()()()()()()()()というのが彼女の斬魄刀の一番の利点だろう。そして感情を力に変えるということは相手の感情を常に感じ取る事ができるということ。

 

たまたま『彼女に呼び出されている』という表向きの用事を事実とすべく赴いた際に彼女から「市丸さんはどなたかに大きな殺意を抱かれておられるようですわね」という言葉を聞き、明確に意識するようになってわかった事だった。近づいてきた最初から本心を語る事はなかったが、ただの復讐で狙っているというわけではなく()()()()()()()()()()()()()という行動を考えればこの私にとって答えも出すなど容易というものだ。

 

そして瀞霊廷での一件の前に彼女には少々助言をしてある。元々彼女は愉悦もあるのだろうが、自身の力を蓄えるために他人の感情を煽ろうとする傾向があった。だから十番隊副隊長で遊んでみると楽しいものが見られるかもしれない…とね。

 

元々彼女の計画では五番隊の副隊長である雛森くんを私が死んだと思わせる事で哀しみの餌とし、その後雛森くんが()()()()()事によって次は日番谷隊長の哀しみを力へと変えるつもりだったらしい。そこに「十番隊副隊長の松本くんも使うと更に良いかもしれないよ」と囁いておいただけだ。

 

きっと今頃、より悲劇を演出するために脚本を考えていることだろう。ギンがその時どんな表情をするのか…より近く(特等席)で見せてもらうとしよう。

 

 

それまでは忠実な手駒としてしっかり働いてくれたまえ。

 

 

 

……

………

 

 

 

「浦原さん!ルキアはなんで目を覚まさねぇんだ!?それに早くアイツらを助けに行かねぇと!」

 

「落ち着いてください。黒崎サンの心配はごもっともですが、夜一サンから聞いた内容も含め、事態は思っていた以上にまずい状態になってるんス」

 

「…どういうことなんだよ?」

 

「まず朽木ルキアサンですが…このままだと意識を取り戻すことはないでしょう。わかりやすく例えると、魂の抜けた状態の黒崎サンの身体と同じだと言えば理解できますか?今の彼女は()()()()()()()()()()…心が抜け出している状態なんス」

 

「つまり誰かに奪われたってことか!?なら…そいつを倒せば戻るってことだよな!?」

 

「いいえ、そいつは早計というのもです。まず犯人は誰かわかってるんスか?また瀞霊廷に乗り込んで、囚われた井上サンたちを助け出して犯人を倒せると?黒崎サン1人で?」

 

「っ…!くそっ!」

 

ルキアを助け出すために乗り込んだのはいいが、結局夜一さんに助けられて逃げ出すハメになっちまった。しかも捕まったアイツらを置いていくことになっちまうなんて…夜一さんの話では、瀞霊廷に侵入したとしてもそこまで罪が重くなる事はないらしい。だからといって黙って待ってろって言われてもモヤモヤするだけで気が晴れねぇんだよ!

 

結局助け出す事ができたルキアも、まるで人形みたいに動かねぇ。浦原さんの見立てでは心を取り戻さないと元には戻らないってことだし、それを奪ったのが誰なのかもわからねぇ…今のオレが1人で乗り込んでも勝てないのはわかりきってる。あの時オレを気絶させた女…見た目は戦いなんてまるでできそうにないクセに、言い訳もできねぇくらい一瞬でやられちまった。

 

もう会わねぇなんて気楽な事も言ってられねぇし、とにかく修行して強くなるしかねぇ!

 

 

 

 

「黒崎サンは勉強部屋で修行ですか……しかし随分と困った状況になったもんスねぇ」

 

「どうするつもりじゃ?見た感じ()()も奪われておるのじゃろう」

 

「ええ、更に悪い情報もあるんス。黒崎サンには言いませんでしたが、捕まった彼らは夜一サンたちが逃げた後すぐに処刑されたそうなんっス」

 

「…なんじゃと?」

 

「恐らくその指示を出したのは夜一サンの見たという女の人で間違いないでしょう。藍染サンと一緒にいたということは、その女の人が四十六室に何かしている可能性が高い…」

 

「どこから現れたのかは知らぬが厄介な奴が出てきたものじゃのう。藍染だけでも厄介だというのに、更に四十六室を牛耳る女と手を組んでいるとはな。確か現世(ココ)には『混ぜるな危険』という諺があったのを思い出したわ」

 

「それは諺じゃなくて薬品の注意事項っス。まぁ危険度では比較にならないんスけどねぇ」

 

「そんな事はどうでもよいわ!とにかく奴らが次に動き出すまでに何とかできるのか?」

 

「できるできないじゃなく、アタシは最善を尽くすだけっス」

 

 

 

 

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