天に立つ?ええ、ぜひお立ちなさい!   作:きりたん

9 / 9
準備は上々…後は仕上げを御覧じろ、ですわ!

 

 

 

「ようこそ尸魂界…そして瀞霊廷へ。お久しぶりの方も初めてお会いする方も、本日は期待しておりますわね?」

 

「お久しぶりです、姫様。お元気そうで何よりです。我ら十刃、藍染様の命により参上致しました」

 

「うふふ、確かハリベルさんでしたわよね?その力を存分に振るうことを期待しておりますわ。そういえばいつも一緒におられた方たちは今日はいらっしゃらないんですの?」

 

「はい、あれらは姫様の事を少々恐れておりまして…今は現世のほうにおります」

 

「あらあら、畏れるだなんて…彼女たちも礼儀が身に付いたようで良かったですわぁ」

 

藍染さんが虚圏からお呼びになった悪霊さんたち…その中でもきちんと礼儀のなっている方はちゃんとアタクシに挨拶に来てくださっておりますの。こちらにいるハリベルさんは最初からきちんとした方でしたけれど、当時一緒におられた方は少々言葉遣いがなっておられなかったので躾をして差し上げたのものですわ。

 

虚圏の悪霊さんたちには尸魂界(こちら)と現世の二手に分かれて頂いておりますので、ハリベルさんのお付きの方たちは現世に行かれているようですわね。悪霊さんたちは好戦的な方が多いですし、そういった方は皆現世で楽しんでおられるのでしょう。現世に大半の戦力が集中している以上、こちらに残っている死神さんはただのお留守番でしかありませんもの。

 

「皆さんには適度に日頃の鬱憤を発散してきて頂ければよいのですけれど……歯ごたえのある相手が欲しいのであればあちら(十一番隊)のほうへお行きなさいな」

 

現在残っている死神さんの中でハリベルさんや大帝さんと戦うとなると…雛森さんと東仙さんは除外するとして、日番谷さんも雛森さんと戦って頂く必要がありますの。そして大半の隊長格たちは現世に行っておりますので、後残されているのは狂犬と呼ばれておられる十一番隊の隊長さんくらいですわ。どうして現世に行かれなかったのか存じませんけれど、ちょうど良いので彼らの相手をして頂きましょうか。

 

 

ところで…先程からアタクシをずっと見つめているこの方はどなたなのでしょう?アタクシを見ていたいという気持ちは理解して差し上げますけれど、貴方には貴方の果たすべき役割というものがございますわよ?

 

「貴様が儂に楯突いて女帝などと名乗っていた女か…それの画策に与する事になるとは忌々しいものよ」

 

「女帝などと名乗った事はありませんわよ?アタクシの事は姫様とお呼びなさいな。そして…そのように仰るということは、貴方が大帝と呼ばれていた方という事ですわねぇ。あの後アタクシはこちらに来てしまいましたので、こうしてお会いできた事を嬉しく思いますわ」

 

「戯言を……死神どもを始末するついでに、貴様も一緒に冥府へと送ってくれようか」

 

「ふふっ、威勢がよろしくて結構ですわ。遊んで差し上げても構わないのですけれど、今は藍染さんから聞かれされておられる事をしっかりと果たしてご覧なさいな」

 

 

虚圏では後の事を藍染さんにお任せしてきてしまいましたけれど、そのままアタクシが虚圏に残っておれば大帝さんはアタクシの配下に収まっておられたのですから何を憤っておられるのかしら。どちらにしてもアタクシの下僕には変わりないのですから大人しく従っていれば良いのものを……やはり悪霊さんにはいつもの躾が必要なのかもしれませんわねぇ。そういった事も含めて藍染さんにお任せしてきたつもりだったのですけれど……手が回らなかったのか、藍染さんの人選が悪かったのかどちらなのかしら……

 

「下僕の躾がなっていないのは誰の責任になるのかしらねぇ…?市丸さん?」

 

「うっ…ボクのせいやないですよ。大体あれでも破面となってから大分マシになっとるんですから、真姫さんが思うようなんにさせるのは無理があるんやないですかね」

 

 

うふふ、市丸さんたら無理だなんて諦めてらっしゃるようですわねぇ。悪霊さんたちだってきちんとお話して差し上げればちゃんと理解してくださるものなのですよ?飼い主が誰なのかを優しく教えて差し上げれば理解するだけの頭は持っていらっしゃるのですから……中には判断できない者もおりますが、そういった者たちの末路というものは1つしかありませんけれどね。

 

 

 

「なぁ真姫さん、なんで五番隊の隊長と十番隊の隊長は戦うてるん?しかも東仙さんはそれを眺めてるし……」

 

「ふふ…雛森さんは藍染さんと再会した事で思うところがあったのかもしれませんわねぇ。日番谷さんは一緒にいた隊長2人が味方ではなくなり、信頼する副隊長さんも行方不明になってしまって孤軍奮闘といったところですわ」

 

「へぇ……行方不明っちゅうことは、真姫さんが何かしたんですの?」

 

「大した事はしておりませんわよ?たまたまお見かけしたので捕まえてアタクシの部屋に飾ってあるだけですもの。雛森さんが何かされたと思いこんで調べていたらアタクシに見つかってしまうなんて……不運ですわよねぇ」

 

「そらまた運が悪いとしか言えんね…」

 

「今の彼女は感情を奪われた人形…アタクシの許し無しに動く事すらできない哀れな傀儡。どうせなら何か有効利用でもして差し上げようかと思っていたんですけれど、今のところ出番ではないので置いてあるだけですわね」

 

「なっ……!?」

 

あらあら、市丸さんが目を見開いているところなんて初めて見たかもしれませんわね。何を驚くところがあったのかわかりませんけれど、お人形としてアタクシの下にいるなんて考えもしていなかったというところなのかしら?松本さんはこの後、雛森さんと戦っている日番谷さんのところに放り込む事を考えておりましたけれど、貴方の行動次第では悲劇のヒロインから逃れられるかもしれませんわねぇ。

 

「でも、そうですわねぇ……()()()()の頑張り次第では、松本さんが奇跡的に意識を取り戻すかもしれませんわよ?例えば……」

 

 

 

 

……

………

 

 

 

「霊王を守護する零番隊の実力のいうのはこの程度なのかい?」

 

 

 

王鍵を使用し霊王宮への道を開いてやってきたわけだが、やはり考えていた通りと言うべきか…零番隊という者たちも、()()()にとっては路傍の石と変わらぬ存在だったようだね。零番隊は護廷十三隊全軍よりも強いなどという与太話もあったようだが、やはり人の話というものは当てにはならないということか。

 

 

 

「くっ…お主は…霊王様を、どうするつもりじゃ…?」

 

「それは君たちには関係のない事さ」

 

 

それでは霊王を見てみるとしようか。死神たちの王として扱われているが…その実死神によって世界を維持するための贄となった存在。身体は引き裂かれ、ただの部品のように利用されるだけに成り果てた者。何を思ってそれを受け入れたのかは知らないが、王などという呼び名はこれ以上ない皮肉でしかないだろうね。

 

 

「これが霊王か…見るに堪えないな」

 

「霊王様がいなくなれば…世界のバランスは崩れ、尸魂界も現世も地獄も…全てが崩壊する事になるぞ…」

 

「何かを勘違いしているようだが、私はこんな使い古された玩具に用などない。だがそれ以上に…君たちが祀り上げているただの舞台装置を崇める気などないというだけさ」

 

「ならば…お主の目的は……?」

 

「……我慢ならなかっただけだよ。強者でありながらただの装置として留め置かれるだけの存在に…そしてその結果出来上がった死神たちによるくだらない箱庭にね。世を紡ぐのは強者に課せられた使命だ。決して弱者の小細工で演出された欺瞞に満ちたものではない。よって…今この時よりそれを私が背負うというだけの話さ」

 

 

 

「ほう……我ら(滅却師)がいない間に随分と思い上がった者が出てきているようだな」

 

 

 

……

………

 

 

 

「姫様!更に敵襲です!突如として瀞霊廷内部に別の襲撃があった模様!報告によれば、敵は……滅却師です!」

 

「あら、そうなんですの?滅却師という者たちはとっくに途絶えた種族だと記憶しておりましたけれど、まだ生き残っておられるのですわねぇ」

 

「滅却師共は虚だけでなく死神にも攻撃をしており、現在残っていた部隊はほぼ壊滅状態です!」

 

「滅却師……そうですわねぇ。歓迎してあげたいところですけれど、今は時期が悪いですわねぇ……それにしてもなかなかアタクシの思う通りの展開にはならないものですわ」

 

「姫様…?」

 

「こほん…何でもありませんわ。もうしばらくすれば現世へと調査に向かった隊長さんたちも戻ってくる事になっておりますの。ならば貴方たちの為すべき事は1つだけ……己の役割を果たす事だけですわよ」

 

 

滅却師の方たちが何を思って瀞霊廷に現れたのかはわかりませんけれど……いえ、何を思ってなんて考えるまでもありませんでしたわね。かつて死神によって滅ぼされたとされていた存在ですし、生き残っていて襲いかかってくるなんて復讐以外にはありませんもの。

 

藍染さんも霊王宮へと向かわれたでしょうし、アタクシの舞台も終わりが近づいている以上ここでの割り込みはあまり歓迎できる状況ではありませんわねぇ。こうなってしまうと現世に戦力の大半を追いやったのはアタクシの失策と思わざるを得ませんわ。

 

本来ならば現世へと赴いた隊長さんたちが戻ってきた頃には、藍染さんは新たな王として君臨し尸魂界も虚圏も支配下に収めている予定でしたのに……わざわざ悪霊さんたちが瀞霊廷(こちら)に来ているのは時間稼ぎなどもございますけれど、本当の目的は尸魂界も虚圏も等しく治められる事になる証明でしたのよ。そして最後にアタクシがその上にいる事を示せば良かっただけでしたのに…それが……滅却師の方たちのせいでアタクシの脚本が滅茶苦茶になってしまいましたわ。

 

このまま死神や虚が死に絶える事はアタクシの本望ではありませんし……それならば既に滅んでいたと思われていた滅却師が今度こそ本当に滅んでも何も問題などありませんわよね。

 

良い事を思いつきましたわ!滅却師の皆様には、復讐の炎に焼かれた哀れな敗北者としてその名を刻んで頂きましょう……そしてどうせ滅ぶのですから、せめてもの手向けとして強大な相手だったという事にして差し上げますわ。ふふっ、きっと滅却師の方たちも世界の敵として滅んで逝けるのですから本望でしょう。楽しくなって参りましたわねぇ……

 

 

 

……

………

 

 

 

「銀城……なぜこんな事に……」

 

「月島さん、銀城さんを殺害した者がわかりましたわ。どうやら()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のようですの」

 

「滅却師……そいつらが銀城を……」

 

「ええ、どうやらその者たちは瀞霊廷を襲撃するため闇に潜み続けていたようですわ。そして銀城さんたちも邪魔だと判断されたのでしょうねぇ」

 

 

銀城さんを救い出そうとしていた月島さんを留め置いていたのは功を奏したようですわね。アタクシが時機を見て堂々と出して差し上げるという言葉を信じて大人しくしておられたというのに、やっと対面できたと思った時には頭と胴が離れた姿の銀城さんとの再会なのですから哀しいものですわねぇ。

 

でも銀城さんの復讐の炎はちゃんと月島さんに受け継がれておりますので安心して眠りなさいな。復讐の方向もアタクシが指し示して差し上げますわ。下手人が滅却師だと聞いて月島さんも明確に恨む相手を定められたようですし、アタクシにも月島さんの殺意と怨恨が伝わっておりますわよ?

 

ふふっ、誰も止めは致しませんわ。そろそろ現世に赴いていた隊長さんたちも戻ってくる頃合いですし、瀞霊廷にいる悪霊さんたちには虚圏にお帰り頂くようにして差し上げますわ。月島さんは月島さんの思うままに滅却師に復讐なさいな。

 

 

 

……

………

 

 

 

「そんな……瀞霊廷が……それに霊王宮への扉まで……我々がいない間に何があったというのだ……」

 

「あれはまさか……滅却師だと!?現世での虚の襲撃も全て仕組まれていたとでも言うのか……」

 

「落ち着け。まずは仲間たちを助ける。そして虚と滅却師の撃退が最優先だ」

 

「山じい、卯ノ花さん…もう今は死神だとか隊長だとか言ってられない事態だ。瀞霊廷の力を結集して滅却師を、そして虚たちを撃退する!……山じい?」

 

 

 

 

「よくもまぁ……随分と派手に瀞霊廷を荒らしてくれたものよ……もはや一片の炭も残るとは思わぬ事じゃな……」

 

 

 

 

「やべぇ……山じいが……キレちまった……」

 

 

……

………

 

 

うふふ…瀞霊廷で守護していた死神・予定通りいらっしゃった虚・勝手に押しかけて来られた滅却師の三つ巴の戦況でしたけれど、どうやら現世に行かれておられた隊長さんたちも戻ってらっしゃったようですわ。とは言っても瀞霊廷におられた死神さんたちはもはや壊滅状態、現世より戻ってきた隊長格たちが頼みの綱といったところかしらねぇ。戻って来られたらお仲間たちが無惨な姿になっているのですから、それはそれは激しい怒りを抱いていらっしゃるようで何よりですわぁ。

 

ところで見た事のない死神さんが2人ほどこちらにいらっしゃいましたけれど、瀞霊廷のために戦わなくてもよろしいのかしら?

 

 

 

「よう…お前さんにゃあ、随分とうちの息子と仲間たちが世話になったそうじゃねぇか」

 

「息子さんですの?どなたの事を仰っておられるのか皆目見当もつきませんけれど……アタクシはそれほど大した事はしておりませんわぁ」

 

「惚けた事を言ってくれるじゃねぇか…こちとら家族を奪われて大人しくしてるほど優しい性格はしてねぇぞ…だがその前に、一護はどこにいる?」

 

「一護……あぁ、黒崎さんの事でしたのね。そう言えば息子さんは災難でしたわねぇ。ご自身が逃げたせいでお仲間は処刑され、唯一取り残されていた方についても戻ってきて自分で殺すなんてアタクシも驚きましたわぁ」

 

「テメェ……」「落ち着くッス。あの人の言葉に乗せられたら思うツボッスよ」

 

「わかってる!さっさと答えろ…一護はどこだ?」

 

どなたかと思っておれば黒崎さんのお父様でいらっしゃったのですわね。わざわざ迎えにいらっしゃったところ申し訳ないのですけれど、黒崎さんならもういらっしゃらないのですわ。もうお一方の帽子を召された方は存じませんけれども、一緒に来られたということは現世におられるどなたかなのでしょうね。

 

うふふ…せっかく現世から遥々尸魂界までいらっしゃったのに、ただ処刑されたという結果では申し訳ありませんわよね。息子の仇を父親が取るというのも感動的な絵になるかもしれませんし、アタクシが一肌脱いで差し上げますわ。

 

 

「その黒崎さんなんですけれど……黒崎さんは……黒崎さんは……実は()()()()()()()殺されてしまいましたの……」

 

「なっ……!?なん……だと……」

 

「今、この瀞霊廷で起きている事態をご存知かしら?既に滅んだと思われていた滅却師が蘇ったかの如く現れ、そして死神たちを手当たり次第に襲っておりますのよ。黒崎さんはそんな死神たちを守ろうとなさっておられたんですけれど……状況を覆す事はできず、滅却師たちに嬲られ力尽きてしまわれましたわ」

 

「……その話を信じろって言うのか」

 

「アタクシの言葉を信じるかどうかは貴方にお任せ致しますわ。今も死神さんたちがこの尸魂界を守ろうと滅却師と戦い、そして殺されている状況を見て『それでも信じられない』と仰るのならば現世に帰るのも1つですわねぇ…無論、仇を討って差し上げたいというのならばこれほど頼もしい事はありませんわぁ」

 

「ちっ……この話は後だ。まずは瀞霊廷を守るほうが先決だな。浦原、お前はどうする?」

 

「ここで討論しても仕方ないっていうのは同感ッス。とはいえ、なぜ()()()()()()()()()()()()()()だと断定されているのか…今瀞霊廷には虚もいるっていうのに、まるでその場にいて見ていたかのようッスねぇ…先程の言葉をすんなりと信じられるほど……アタシたちは甘くはないッスよ?」

 

あら、もう一方は浦原喜助さんでいらしたのねぇ。藍染さんからもお話は伺っておりましたけれど、見た通り一癖も二癖もありそうなお方ですこと……流石に今この場で黒崎さんの下手人について言い合っても仕方がないというのは確かな事ですものね。まずは目先にいる滅却師という明確な敵を倒していらっしゃいな。

 

 

 

うふふ、それではアタクシもそろそろ参りましょうか……

 

 

 

……

………

 

 

 

織田真姫の計略により、山本元柳斎重國との戦いや虚の襲撃によって尸魂界に釘付けにされていた死神たちは現世にある重霊地の異変に気付くのが遅れてしまった。そしてその間に崩玉の制御に成功した藍染惣右介は重霊地である空座町の魂を使い王鍵を創り出してしまう。その後重霊地の消滅を知った護廷十三隊の主力たちの大半を率いて現世の調査に当たるも、虚がいたという以外決定的な確証を得ることはできなかった。

 

そして再度尸魂界各地に虚が現れ、死神だけでなく流魂街に住む住人たちまで次々と襲われていく……山本元柳斎重國や卯ノ花烈といった隊長を降りた者たちも含めた護廷十三隊の主力が現世の調査をすべく出向いており、また残って守護を任されていたはずの五番隊と九番隊の隊長が藍染側に付くという事態によって指揮系統の乱れた尸魂界は混乱に陥っていた。そんな中藍染の野望を知り奮闘する日番谷冬獅郎だったが、既に霊王宮への扉は開かれており藍染惣右介は雛森桃と東仙要に後を任せ霊王の元へと向かっていた。

 

混乱の最中にある瀞霊廷の事態は収まる気配を見せず、更に状況は悪化し今度は滅ぼされたと伝えられていた滅却師の一団が突如として瀞霊廷に現れた。滅却師たちは虚も死神も関係なく襲いかかり、3つの大きな勢力が尸魂界でまさに一堂に会するといった状況になっていた。

 

現世から急ぎ瀞霊廷へと戻ってきた瀞霊廷の主力である隊長格たちと生き残っている隊士たち、銀城空吾が滅却師に殺されたと教えられ復讐に燃える月島秀九郎、そして時を同じくして瀞霊廷へと現れ滅却師によって黒崎一護が殺されたと聞かされた黒崎一心と浦原喜助……それぞれ思惑は違いながらも己の敵を定め動き出していた。

 

対するはかつて死神に敗北したものの影へと潜む事で滅亡を逃れ、復讐のために千年の時間をかけ牙を研いできた滅却師たち。星十字騎士団の名を持ち滅却師の頂点たるユーハバッハより聖文字を与えられた精鋭たちが今度は死神を滅ぼさんとしていた。

 

そして…藍染惣右介によって1つの大きな勢力として纏め上げられた虚圏の虚たち。完成された崩玉によって力を与えられ、破面として虚の仮面を脱ぎ捨てる事に成功した者たちもまた己が本能に従って戦いの地へと向かっていた。

 

戦力は拮抗しているとは言えなかったが、それでも死神たちは隊長たちが戻ってきた事で士気を上げ抵抗していた。虚と滅却師もまた反目しあっているため、お互いを戦わせる事で少しでも戦力を削らせようという狙いも功を奏していた。だがここで死神にとって天秤が大きく不利な方向へと傾く状況となってしまう。相対した滅却師の星章化(メダライズ)という手段によって死神の卍解が奪われるという事態へと陥ってしまったからだ。

 

死神の卍解はその能力もあるが、何よりも戦闘力が単純に10倍ほどにまで上がる事が大きい。そのためその卍解を封じられるということは、死神として全力を出せないという事と同義であった。始解の能力と制限された霊圧で戦うという事は今の状況において有利に働くものは何もなく、隊長であったとしてもそこに例外はない。そして自身の卍解を奪われ他者に使われるというのもまた、死神にとっては屈辱でしかなかった。

 

次々に窮地に陥り、卍解を奪われていく隊長格たち……その仕組みをなんとか解析し打ち破ろうとする十二番隊、次々と増え続ける怪我人を治療し再び戦場へ送り返す四番隊。皆ができる事を行い、それが瀞霊廷の明日に繋がると信じ仲間の勝利を祈っていた。

 

そんな中、瀞霊廷にいる破面たちが突如として霊王宮の扉のある方向へと向かい始めたのだ。当然死守せねばと死神たちも破面たちを追いかける事になり、死神や破面たちと戦っていた滅却師もそれを追う事となる。それによって各地で行われていた局地戦が一転し、死神・破面・滅却師の全戦力が霊王宮の扉の前に勢揃いする事となった。

 

破面たちはそのまま霊王宮へと向かうのものかと思われていた……が、なぜか破面は全員が霊王宮の扉に背を向け、まるで扉を守護するかのように立ちはだかっている。そしてその後ろから……1人の女が処刑されたはずの三番隊隊長を引き連れ姿を現した。

 

 

 

「うふふ…皆様、ようこそお越しくださいましたの。束の間ではありますけれど、アタクシの用意した催しを楽しんで逝ってくださいな」

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。