アルピ交通事務局のネタ倉庫   作:アルピ交通事務局

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息抜き息抜き


漫画家にすゝめ 8 

 

「う〜ん」

 

 手塚賞に準入選した僕は新しい漫画に悩んでいた。

 マジカルサーヴァンツと同等かそれを越える漫画を作らないといけない。赤マルでも普通のジャンプでもいいから読切的なのを載せないと家族の目が怖い。

 

「コレ、面白いんだけどな……出すつもりは無いのか?」

 

「ちょっと面白いけども出せる作品じゃなくてさ」

 

 手塚賞に準入選した際に閃いた新しいネタ。

 宇宙人が宇宙で最も価値のあるお宝を探しに地球にやってきて地球の文化や歴史を知り古代に眠っているお宝を集めるという話。宇宙で最も価値のあるお宝はアカシックレコードを書き換える力とか色々と描いてみたけど何処となくゴーカイジャー感が溢れている。

 コレを少しだけを手直ししてみたら現代の技術では再現不可能な神秘的な力の宿った古代のお宝を集めたり使用して戦ったりする話は……書いていて面白かった。高兄にネームの段階で読んでもらうとかなりどころか結構面白いとの評価をくれた。

 

「それさ……こう、轟轟戦隊ボウケンジャーと似てるんだよ」

 

 神秘的な古代のお宝を集める話、スーパー戦隊30作目の轟轟戦隊ボウケンジャーはそんな感じのお話だ。

 元々ゴーカイジャーに似ている話を弄ってボウケンジャーに似た感じの話になってしまっている。丸パクリにはなっていないけども似ている感じの話になっている……一応は物書きやってるんだから似ている話は描きたくない。

 

「俺、特撮とかあんま見ないからピンと来ないんだけど……古代のお宝を集める組織とそれを利用して世界征服を企む悪の組織、それを利用してのバトルとかめっちゃ熱くて燃える王道的なバトル漫画。しかも扱う古代のお宝の種類によってはコミカルなギャグ回も出来る」

 

「高兄、いっそのこと描いてみる?いい練習になるよ」

 

 僕の漫画を高兄は褒めてくれる。けど、コレは描くつもりは無いからいっそのこと高兄の練習の道具に利用する。使えるものはなんでも使わないと。まぁ、この世界は放置しておいても勝手にハッピーエンドを迎える感じの世界観だから別に僕がフォローしなくてもいいけど。

 

「いや、いいよ……そろそろ秋人(シュージン)がネームを作ってくれるから」

 

 僕が手塚賞に準入選した為に兄達は色々と焦っている。

 色々な漫画を描いてみればいいとアドバイスを送ってはみたが逆にそれが枷になっている。高木さんは色々なジャンルに手を出してみようとするのだけど、その為にいいネームが浮かんでいない。担当の人こと服部さんに邪道なネームを描いてきてくれとも言われているらしく、一度に色々と言われた為にどんなネームを描けばいいのか悩んでいる。

 そろそろ面白いのが出来てもいい感じ、赤マルジャンプの掲載を狙っているのだからなるべく良いのを作らないといけない。ノートを片手に色々と浮かんでくるネタを纏めていく。

 

「最高、面白いのが出来たぞ!」

 

 黙々とネタを描き纏めているとおじさんの仕事場に高木さんが乗り込んでくる。面白い作品が出来たと自慢気にノートを見せに来た。

 

「コレは……面白いな」

 

「……うわぁ……」

 

 高兄にネタが書かれたノートを見せる。高兄はその内容に魅せられる。

 どんな内容なのかと僕も見てみると……面白かった。文句無しに、こういう感じの漫画もあるんだと見せつけられる。この世は金と知恵……面白い。王道的な漫画とは程遠い、それが高木さんの持ち味だ。

 

「よし、コレを俺がネームにするよ」

 

 高木さんはネームを書いてくるけど、絵は描いてきていない。文字だけで面白い物は面白い物だと気付いたのと絵がそこまで上手じゃないから文章だけで、文章から高兄は絵を想像する。PCP描き始めた頃と同じ感じの描き方になってる。

 文章だけでも面白いのが伝わってきた高兄はやる気を出し、ネーム用の容姿に早速描き始める。

 漫画家の道を1歩リードしているとかそういうのは関係無い。面白い漫画を描かないといけないけど……ネタが浮かばない。本棚にある漫画は大体読んだことがある……この中には無い新しい作品を作り上げないといけない。

 

「ちょっとコンビニに行ってくる」

 

 おじさんの仕事場に居てもこのままでは進展が無い。

 気持ちを切り替える為におじさんの仕事場から出て、最寄りのコンビニに行ってアイスコーヒーを購入する。缶コーヒーでなくアイスコーヒー……その内、コーヒーメーカーを購入してみたいな。

 

「……」

 

 コーヒーを飲みながら考える。お宝を探す漫画はボツにした以上はそれよりも面白い漫画を描かないといけない……意外とプレッシャーになる。

 それはさておきどうするか。赤マルとかで恋愛物を描いても上を狙うのは難しい。今パッと浮かんだ恋愛物の漫画はタイムスリップ恋愛物の漫画が浮かんでる。ラブコメってどのキャラが人気になるのか分からないし、自分の推し面を並べたら性癖がバレてしまう。アイマスに転生した人がスカウトしたアイドルで性癖がバレるって昔聞いた話。

 

「あ、内田さんからだ……も、もしもし」

 

『もしもし、最良くん?赤マルに向けての漫画は順調ですか?』

 

「それがお恥ずかしい……1つ出来てるんですけど、似た内容のお話があったのでボツにして1から作り直しで」

 

『そうですか……一応どんな作品なのか気になるので、良かったらその漫画のネームを送ってください』

 

「はい、分かりました」

 

 ああホントに悔しいな。アイスコーヒーを飲み干すとコンビニを後にしておじさんの仕事場に戻る。

 おじさんの仕事場のFAXを使ってコピーしたネームを送ってみると直ぐに内田さんから連絡が来た

 

『充分に面白いです。今までに見ない感じの作品で、これなら赤マルで上位を取ることが出来ますよ』

 

「上位ですか……」

 

 1位を取ることが出来ると言ってもらえない……いや、今の自分の漫画家としての実力じゃコレが限界か。

 古代のお宝を集める漫画で赤マルを狙わないかと言われるけども僕はコレを描く気にはなれない。仮に描いたとしてもpixivに上げたりするタイプの話……だったら、それよりも面白い話を描ければいいんだけど……

 

「僕の漫画の面白さってなにか分かりますか?こう、此処が僕らしい漫画っていうのがあるか」

 

『そうですね……少し捻くれた王道を行く様に見えて王道の道から逸れていく感じが最良くんらしいです』

 

「王道から逸れた作品ですか……ありがとうございます。なんだか面白い作品が出来そうな気がします」

 

 内田さんにとっては些細なアドバイスだけど僕にとっては重要なアドバイスだ。

 王道から逸れた王道……仮に考えてみよう。プリキュア的な話を僕は……描くのは難しい。負けないとか絆とか諦めないとかの王道的な主人公は無理だけど…………ルパパト……あぁ、なんか浮かんでくる。

 

「プリキュアみたいな異世界から侵略者的な存在がやって来た設定で、主人公はそれに巻き込まれた一般人を主人公にして……ヒロインは1000年前の戦士にしよう」

 

 ニチアサ的な世界観でそれに巻き込まれた一般人が正義の味方的な奴等と協力はせずに戦う。

 第三の勢力的な立ち位置に立つ感じのポジションで……主人公は悲しい過去は背負っていないけども一般人だったが故に巻き込まれて酷い目に遭ったとかそういう感じの設定……ヤバい、ペンが一気に進んできた。新しいネタが浮かんできた僕はペンを片手にスラスラとネームを描いていく。

 

 タイトルは浮かばないけども内容は決まった。

 プリキュア的な事が起こっており、それに主人公である一般人が巻き込まれた。巻き込まれた主人公はニチアサでよくある敵を倒したらなんだかんだで街も元に戻って戦うプリキュア的なのの記憶が無くなるよくある展開が巻き起こるけども、主人公には精神操作的なのが効かない体質で主人公は全てを覚えていた。非日常が割と直ぐ側で巻き起こっているので怯えていると1000年前の戦士的な闇に堕ちていたヒロインと遭遇し、そのヒロインを撃退して元の姿に戻してそのヒロインから色々と聞いたりする……イケる!

 思ったよりもネームが早く描くことが出来たので早速内田さんに出来たネームを持って集英社で打ち合わせをする

 

「う〜ん……」

 

「ど、何処かダメな点がありましたか?」

 

 内田さんと面と向かい合ってるので緊張してしまう。

 新しく書いた新作の漫画のネームを内田さんは見てくれるけど頭を悩ませていた。僕らしさが出ていない漫画とか似たような話を見た事があるとかそれとも少年誌らしさが無いとか言われるかな……他の雑誌にも載っていると言われればその通りかもしれない

 

「これ、読み切りで納まりますか?」

 

「……あ……」

 

 赤マルジャンプに載るのは読み切りで連載漫画じゃない。

 僕が新しく描いてきた漫画は数話かけて面白くなってくる作品で1話から面白い作品じゃなく、読み切り向けの作品とは言い難い。

 

「何話もかけて徐々に徐々に面白くなってくる感じの漫画ですけど、赤マルは読み切りの一発勝負です。だったら先に送ってきた古代のお宝を集める作品の方が……1話完結で読み切り向けです」

 

「そうですか……う〜ん……」

 

 内田さんは先に送った方を指示してくれる。

 

「轟轟戦隊ボウケンジャーに設定とか似てたりしてるんですけど、その辺りはどう思いますか?」

 

「今、世界中に娯楽メディアはありふれています。多少被っていてもそれを上回るオリジナル要素を持っていればいいです」

 

「そう、ですか…………」

 

 オリジナル要素か……う〜ん……主人公は国宝の草薙の剣持ってたりするとかかな。内田さんは先に送った作品の方を推してくれるのでここは最後まで描ききってみようと思う。後に送ったプリキュア的なのは連載会議に何れは出したりする用にしよう。

 

「世界観は地球が舞台にしようと思ってます。政府の1つの部署がお宝を集めたり管理してるで、主人公は……」

 

「いいですね」

 

 内田さんとの打ち合わせは盛り上がる。

 描きたくない作品だけど面白くなる可能性を秘めている作品でもあり、設定とか世界観を纏める。内田さんは特にそれはダメあれはダメと言ってくる事は無い。僕の漫画を信頼してくれるから言ってくれてるんだと思うけど……出来ればアドバイスとか欲しかったかな。内田さんハズレではないけども当たりでもない……これは頑張らないといけないな。

 内田さんと漫画の大まかな設定を纏めていき、その日は終わった。後は僕の腕の見せ所、おじさんの仕事場でなく家に帰って文字に纏めたネタをパソコンを使ってネームにする。

 

『赤マルに掲載が決まりました』

 

 そのネームは割とあっさりと通った。落ちるかどうか心配だったけども、割とあっさりと通った。

 

『真城くん、よく聞いて……この赤マルには新妻エイジの作品も掲載されます……頑張ってください』

 

「……ええ、やるからには1番になりたいです」

 

 原作とかそう言うのは関係無しに1番になりたい。

 掲載が決まった漫画家は担当編集が自腹を切って奢る事になっており、僕は焼肉を奢ってもらった。食べ放題じゃない注文する形式の焼肉屋に来たのって何時ぶりだろう……注文形式の焼肉屋に通えるぐらいの漫画家に大成したいな。

 焼肉を頂いたら軽く打ち合わせをする……原作だと兄と高木さんは服部さんと1コマずつ打ち合わせしたけども内田さんは打ち合わせしてこなかった。新妻エイジよりも劣っていると思われてるのか、それとも……いや、漫画は結果が全てだ。面白い漫画を描けば読者は振り向いてくれる

 

「さて、問題は……タイトルですね」

 

 色々と話し合い、ここで1つの問題が浮上する。この漫画にタイトルが決まっていない……実は僕、名前を考えるセンスが無い。

 面白い話を考える事は出来るし台詞もいいけども、タイトルとかが中々に浮かばない。ある意味僕の弱点と言ってもいい。マジカルサーヴァンツがいい一例だ。もっと他にもいい感じのタイトルがある筈なのにそれが浮かばない。

 

「ゴールデン・ジパングじゃダメですよね」

 

 一応のタイトルはあるにはあるのだけど、この作品と微妙にマッチしていない。

 主人公の名前は平凡ではないけどタイトルにするものじゃない。こち亀みたいに場所を名前にするわけにはいかないし……う〜ん……轟轟戦隊ボウケンジャーに似ている感じの話だから……

 

「プレシャス……は、流石にまずいから……エルドリッチでどうでしょうか?」

 

「エルドリッチ?」

 

「黄金郷のエルドラドと裕福で贅沢を意味するリッチを合わせてみました……ダメでしょうか?」

 

「エルドリッチ……うん、いい名前です。この漫画のタイトルはエルドリッチに決まりだ!」

 

 こうして僕の読み切りのタイトルが決まった。

 微妙に作品とマッチしていないタイトルがなんとも言えないけども、その分内容で勝負すればいい。今回載せるのは赤マルジャンプ、競争相手はベテラン勢の漫画家達じゃなくて全員が新人だ。

 内田さんにもう原稿に入っていいと言われたので早速、家に帰り部屋に引き籠り漫画を描く。高兄達もおじさんの仕事場に泊まったりしてこの世は金と知恵を完成させた。気付けば1年ぐらい経過している。ホントにあっという間だ

 

「真城くん、速報3位だ」

 

「っ……3位ですか」

 

 高兄と高木さんが裏で色々とやっているけどもそれは2人の、亜城木夢叶の問題なので関わらない。

 1位を取れると思ってて、1位を取れたら連載を目指してもらおうとこの世は金と知恵の連載版を作っている。僕はそんな事はしない。自分の作品に自信はあるけど今回のライバルは全ての漫画、1位を取れても即座に連載に持っていく事は出来ない。僕が次に狙うのは本誌掲載だ。

 新しい漫画を考えないといけないけど、赤マルジャンプの順位が気になってしまっていて新しい作品に手が付かない。

 

「1位はこの世は金と知恵、2位はCROW、この2つの順位は数票だけ差があるから何時逆転してもおかしくはない」

 

「僕のエルドリッチは3位との間はどうなっているんですか!?」

 

「残念だけど20票以上の差がついている」

 

「っ……」

 

 分かっていた、分かっていた事だ。

 亜城木夢叶と新妻エイジは毛色は違えども天才と呼ぶに相応しい漫画家だ……凡人に分類される僕が横に並び立つには早々に出来ない。流石は原作キャラと言うべきか……20票以上の差が付いている。これが今の僕と原作キャラとの実力差……悔しいな。

 

「そう落ち込む事はないです、新人が速報で3位なんてとても良い事なんですから」

 

「そう、なんですかね……これから本気でジャンプの連載を目指すなら2人、いや、3人を追い越すぐらいの気持ちじゃないと……」

 

 特に亜城木夢叶、兄だからといって負けていい理由にはならない。

 この二人に勝てる漫画……邪道であり王道でもあるそんな感じの漫画を描かないといけない。2人に勝つ為に、今までに誰も見たことが無くて尚且王道的な漫画……あるのかわからないけど考えないと。おじさんに1位を取ったことを伝えないと。

 

「え?2位ですか」

 

 速報を聞いてやる気を出してから少し時間が経過し本ちゃんが伝えられる。

 順位が下がる事を覚悟していたけどまさかの逆、順位が上がっている……漫画は水物、蓋を開けるまで結果は分からない。

 3位は兄達のこの世は金と知恵で亜城木夢叶の上を行くことが結果的には出来たけど……微妙に納得はいかない。まだ亜城木夢叶の本領は発揮されていない。亜城木夢叶らしい作品とバチバチとやりあいたい。

天帝vs童子切を連載化したいんだが

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