異世界転生をした。
異世界と言ってもただの異世界ではない、現実世界で創作物として作られた世界に転生した。
この場合は異世界転生したといえばいいのか二次元の世界に行ったと言えばいいのか……実際のところは上位世界だ下位世界だ細かな違いがあるらしいが、まぁ、いいことだ。
閻魔大王が現代の幼児遺棄や虐待問題等を見て慈悲深い心でやり直しの機会を与えた。創作物の世界に転生させた。
ラブライブだFateだ色々と有名な世界に転生させたが、心身共に未熟な子供を転生させた為に色々と厄介な事が起きた。結果、転生者になるには一度、心身共に鍛え上げられる。転生者養成所である一定のラインまで鍛え上げると異世界転生が出来る。かくいう俺もそのラインに達して異世界転生を果たした口だ。
「……分身の術!……上手くいかんか」
転生したからと言って浮かれてはいけない。
絶望だらけの世界に転生させられることもあれば平穏しかない世界に転生させられることもある。
俺の転生した世界はバトル物の世界だ。魔法が当たり前の世界、ファンタジー要素満載の世界である。転生特典と呼ぶに相応しい力を有してはいるものの、バトル物の世界のインフレは舐めてはいけない。1年あれば地球が滅びるというのも大いに有り得るのだから。
故に俺は気を抜かない。転生特典で色々と貰っている、事前に訓練をしているが、それでも新たな肉体を鍛え上げておかねばならない。
「……分身の術……っち」
手で印を結び、身体から魔力を放出する。
すると自分に見た目がそっくりだが何処か色が薄くプシューと煙を上げているなにかか出現する。
分身の術、それは残像の分身を生み出す術なのだがこれが上手く成功しない。魔力を練り上げているのだが、残像を生み出すのに必要な量の魔力以上の魔力を使ってしまっている。
「影分身の術!!」
別の印を結び、今度は残像でなく実体を作り出す影分身の術を使う。
ボンッと白い煙を上げるとそこには複数の自分が立っており、術は成功する……しかし素直に喜ぶことは出来ない。
この影分身の術は有名漫画であるNARUTOの影分身の術と大体同じ原理で出来ており、チャクラの代わりに魔力を分散して分身を作り出す。
転生特典等で魔力量が多く増えている俺にはそこまでの負荷が掛からないものの、いざ実戦を想定して考えれば意のままに動く残像を作り出す分身の術を覚えておかなければならない。
「变化の術……ふむ……」
今度は変化の術で变化をする。
と言っても幼い姿から大人の姿に変わるだけで、特にこれといった違和感の様なものはない。
变化が出来るが分身は出来ない……魔力が多すぎるのが原因だが上手くコントロールさえすれば分身の術は可能といったところか。
「俺はこのまま分身の術の訓練をする。他は別々の術を」
「「「「了解」」」」
俺の出した影分身の術は魔法ではあるがNARUTOの影分身と同様に経験値が本体に入る仕組みになっている。
引き続き本体の俺は分身の術を会得する為の修行をし、残った分身達は水風船を右手と左手、両方の手で1つ持つ。
「「「「はぁああああ」」」」
ジャブジャブと水風船の水が動く。なにをやっているかと聞かれれば螺旋丸の修行である。
螺旋丸は形態変化を極めた技であり、HUNTER×HUNTERの念能力やFateの魔力等をチャクラの代用品として扱っても覚える事の出来る技だ。必殺技と呼ぶに相応しい力を秘めており、戦闘タイプの転生者は基本的には覚えていたりする。
「「「「っく……」」」」
4人の分身の俺は螺旋丸の第1段階である回転に苦戦している。
水風船を破裂させなければならないこの段階だが、水を乱回転させるのが思ったよりも難しい。
原作でも主人公であるうずまきナルトは片手だけでは水を回転させられないと分かったのかもう片方のを用いて水を乱回転させていた。
恐らくだがうずまきナルトがやっていたやり方で第1段階をクリアをしようと思えば出来る。しかし、それでは意味がない。影分身で放出と形態変化係を分けての螺旋丸や両手での螺旋丸は螺旋丸の発動までの溜めのタイミングや隙が大きすぎる。
片手で螺旋丸を撃てる様にならなければならない。それも自分の利き手ではない手での螺旋丸を会得する……しかし、コレがかなり難しいのだ。
絶対に無理だとは言わないがかなりの時間を有する。
「影分身の術」
故に影分身の術を頼る。オリジナルである俺に経験値が還元されるので、買ってきた水風船の数だけ分身をする。
そして螺旋丸の第1段階である修行をする……今のところは1つの箇所に右回りに強く回す事が出来ているだけだ。コツの様な物を何処かで掴まなければならないが如何せんなにもきっかけが無い。
最終的にどんな技が完成するのか、そこに至るまでどのような修行をすればいいのかが分かっているだけまだマシ……そう捉えていた方がいいのかもしれん。
「ふぅ……■■■■」
前世の記憶がある等の事は誰にも話せない。そもそもで地獄の仏が言えないように施している。
時折自分の本名を呟いてみることもあるが、転生者になるには自分の名前を売らなければならず呟いた自分の名は音として響かない。なにを言っているか分かるのに、なにを言っているか聞こえない。
転生者になった事について色々と思うことはあれども後悔は無い。停滞している世界で弱者として、搾取されるものとして生きて死ぬだけ。下手をすればそれすらままならない人生などゴメンだ。
「コレが孤独で充実している、というものだろうか」
影分身の術で数を増やしているが事実上、1人だ。
誰かの手を借りずに1人で修行をしている。バカが見ればボッチだなんだと言うが、1人というのは案外気が楽だ。どちらかといえば頭が固いであろう俺も修行に集中することが出来て余計な事を考えずにすむ
『おい、なに一人言をぶつぶつ呟いてんだよ』
「自問自答だ、気にするな」
目の前には分身しかいないが、頭の中で自分以外の声が響く。
声の主が誰なのか知っているので俺は一人言だと適当に流しながら胡座をかく。心に波紋を一滴も出さない。意識をトランス状態にさせる。
余計な物は全て削ぎ落とす……集中とはまた違うかけ離れた違う領域に意識を持っていき、魔力を研ぎ澄ませる。
『毎日毎日、修行で飽きてこねえか?』
「なにを言っておる。世には危険が蔓延る……コレだけやっても油断は出来ん」
『あれか、冥府とかいうところにいる悪魔に対抗する為か……言っとくがオレの力を使えばその辺の悪魔なんぞぶっ飛ばせるからな』
「その辺りの雑魚ならばお前の力を借りなくてもどうにかなる…………」
トランス状態の意識を保ちつつ、頭の中で語りかけてくる声に返事をする。
気分は悪くはない……今ならば色々と感知することが出来る。この世界には魔力探知以外にも人間が発する呼吸や視線、筋肉の微弱な動き等から生み出す氣を探知することが出来る。
『そのまま自然のエネルギーを吸収してみな。魔法が仙法に切り替わるぜ』
「その修行はまだ早い……外気功等はゆっくりと時間をかけて会得せねば」
トランス状態をオフにして今度は神経を研ぎ澄ませる。
ゾーンと呼ばれる領域の手前にまで意識を落とす。黒子のバスケ等でゾーンの演出があったが、アレは本当にいい例だ。ゾーンに入る為の扉は深く固く閉ざされている。俺が自力で開けようとするが中々に開かない。
転生者の中ではまだ見たことはないらしいが、世の中には自分の意志で自在にゾーンに入ることが出来る天才が居るらしく一部の歴史上の人物がそれだったりすると習った。
「……ふっ!!」
現段階での極限の意識の状態で魔力を開放する。
目に見えるレベルの青色のオーラを身に纏い、足元に亀裂が入る……文字通りの全力でやれば足元が完全消滅していた可能性があるな。
「そろそろ仕事の時間だ、消えろ」
パッと指を鳴らすと影分身体は消える。
それと同時に疲労感に襲われるがもう一度指を鳴らすとそれが少しだけ軽減される。
こことは違う、自宅に置いてある睡眠用の影分身体を消して披露を軽減させておいた。
「……せやっ!」
影分身の術での経験を一纏めにしたので水風船を割るのに挑戦する。
やはり1つの方向に右回りでグルグルと周りはするが別の方向に右回りで回すとなると回転がどうしても弱まってしまう。だが、それが出来ないというわけではない。特訓をすれば更に素早く回転させることが出来ると確信がある。
両手を使えば簡単に破裂させることが出来るがそれでは意味がないと割れなかった水風船を袋の中に入れて仕事に向かう。
「第1隠密部隊、辿り着きました」
「賊の逃亡者を見つけ次第、仕留めろ」
「了解」
今更だが俺は忍者だ、日ノ国の隠密御庭番衆の第一部隊の部隊長を務めている。
今日は大名に仕えている武士達と共に村々を荒らし回っている山賊の退治に出掛けている。刀を持った武士達が主に賊の退治をする。
俺達忍者は賊の住処から逃げた逃亡者を殺す、もしくは逃げた先にいる別の盗賊のアジトを見つける等が仕事だ……NARUTOの世界は忍者が主流だが、この世界は武士が主流だ。
「事前の情報では狢山賊団は大きな組織ではない。生かしたところで何処か別の組織と鉢合わせする事は無い……だが、念には念を入れておけ。逃亡者の内の何名か捕縛で、ある程度の数が取れたのなら始末しておけ」
部下達にどう動くかの指示をする。
日ノ国の大名お抱えの武士達は非常に訓練されていて、心身共に強い。
正直なところこの程度の賊ならば俺達忍者が居なくても問題無い……取りこぼしがあってはいけないから、忍者を呼んだのだろう。
「ゆけぇ!!狢山賊団を退治しにいけ!」
「未開拓の地の労役の刑で終わるのに降伏しなかった奴等に目に物見せてくれるわ!」
「日ノ国の武士を舐めるなぁ!!」
「襲撃作戦だというのに堂々と声を上げて……阿呆が」
突入する武士達は刀を持って大声を上げる。
襲撃するならばもう少し静かにしろと思うが、そんな事をするのは忍者ぐらいだろう。いや、そんな事が出来るから忍者なのだろう。
「全員、準備はいいか……そろそろ抜け人が出てくる」
山賊のアジトはてんやわんや。
しかし氣を感知してみるとその中でもヒッソリと抜け出そうとしている者が何名かいる。
「右から2人、左からも来る……土遁が得意な物を、山土で囲う」
「はっ!直ちに準備をします」
部下に指示を出すと巻物を取り出した。
手に魔力を纏わせ印を結んでいると如何にもガラの悪そうな見た目の男達が出てきた
「土遁・山土の術」
部下が印を結んだ後に地面に両手をつくと土が迫り上がり山賊達を挟む。
ボキリと音が聞こえたが、殺しはしていない……まぁ、どちらにせよ死刑である事には変わりはないが
「さて、俺は比較的に穏便な人間だ。故に問おう、貴様等のアジトは他に何処かあるか?それとも助けを求めて助けてくれる当てでもあったか?」
「っ、お、御庭番衆……ま、まさかお前は──せん」
「俺の事などどうだっていい。それよりも答えろ……でなければ、力づくでも吐かせるだけだ」
「ひぃっ!?命だけは」
「残念だが交渉の段階は既に終わっておる」
俺の事を見て怯える山賊達。
命乞いをしてきてもその段階は既に終わっており、俺は命乞いをした奴の首をクナイで貫いた。山賊の男はあっさりと死んだ。
転生先の多くはバトル物の世界であり、他者を傷つける、場合によっては人を殺さなければならない。転生者になるための訓練として色々とやらされているので今更眉一つ動かさない。
「た、助け……」
「安心しろ、痛みは一瞬だ」
最初の男から充分にDNAを採取する事が出来た。
何処かに助けを求める山賊の額を鷲掴みし、片手で寅→巳→戌→辰と印を結ぶと地面に術式の様な物が構築される。
「穢土転生の術」
山賊の男を中心にパラリパラリと塵がくっつく。
男は苦しみ藻掻くが、どうすることも出来ずあっという間にさっき俺が殺した男の姿へとなった。
「お、俺は……さっき殺されたんじゃ」
「ああ、殺した……情報を吐いてもらおうか。他のアジトは、この山賊を操っているお上のバカは何処のどいつだ」
「こしまえ……」
NARUTOに出てきた穢土転生の術は本来、敵から情報を聞き出す為にある。
確かに不死身のゾンビとして戦わせるのはいいが、穢土転生の精度を上げすぎると自我を持ち場合によっては契約を解除されたり、制御が出来ない……この術は卑劣なのかもしれぬが、コレこそが正しい使い方だ。
「こしまえ……やれやれ闇が根深いの」
山賊等の賊の中には幕府と繋がっている可能性もある。
あまり良くない噂がある上官のコシマエが出てくるとは……悪事の証拠を突き付けねばならんし、それでも足掻いて逃げようものならば密かに暗殺しなければならない。世の中、上に行けば行くほど綺麗事では済まん……コレが現実か。
「越前と密接に繋がっておるのは何処だ」
「──」
「はぁ……デモクラシーの制度を上に提案してみるか」
幕府の司法の大御所が裏で山賊達と繋がっている。
日ノ国も汚点と呼ぶべきところの多い国なのが嫌でも分かってしまい、大きなため息をつく。
「扉間様、他の連中はどういたしますか?」
「穢土転生の一体がいれば他は問題無い。
「はっ!!」
残っている捕縛した山賊達の処罰を伝える。
既に死刑が確定している身なので容赦はしない……念の為にこいつ等の過去を調べてみたが普通に悪人だった。
俺はよく知っている。悪い人間が少しでも良いことをしたからって今までの行いが清算されるわけではない。むしろより罪深くなったことを。俺はよく知っている。悪い事をやっている奴等の本当に悪い事はそれを悪い事と自覚していない、罪の重さを一切感じていないカスだということを。
世の中が腐っていてグレてしまった等の過去が一切無いゴミ屑に慈悲なんてものは無い。
「火遁・業火滅失の術」
穢土転生した山賊を解除して昇天させた後、山賊達は武士を前に全滅した。
流石はと言えるが忍者の仕事はここからであり火遁の術を用いて遺体を灰燼となるまで燃やしつくす。普通の火を使えと言いたくなるが数十人の人間を灰になるまで燃やすのはかなりの火力がいる。火遁の術が使える忍一人で一気に燃やし尽くす事が出来るのを考えればコスパ的にコチラの方がいいのかもしれない。表立って堂々と戦うのが武士で裏で後始末をするのが忍……現実と対して変わらないか。
「では、コチラが報酬となっております」
「ああ……」
国抱えの忍だが、任務を熟したので報酬はいただく。
昔ながらの日本みたいな世界観の癖に硬貨でなく紙幣が存在しているのがなんともファンタジー
「扉間様、この後拉麺でもどうですか?」
「いや、いい。俺が来るとお前達も息抜きが出来んだろう……これで美味いチャーシューでもトッピングしとけ」
まだ未成年なので酒は飲めないが俺より年上の部下達は飯に誘ってくれる。
しかし歳下上司なんて厄介な爆弾を抱えては美味い飯も美味くは無いと任務報酬の内の少しを託す。
「扉間様、付き合い悪いっすよ」
「人とコミュニケーションを取るのはあまり好まん……それより羽目を外しすぎるな、明日も仕事がある」
「はい!!」
部下達は嬉々とした声で返事をする。
武士と違ってあまりパッとしない花形でもなんでもないむしろ裏方である忍を進んでするとは……バトル物の世界はどうしてもイカれてる者が多いな。俺も何れはそんな人間になるのか……それは少し嫌だな。
「さてと……夕飯は秋刀魚の塩焼きでもするか」
体について土を振り払い、目指すは市場…………
「ブラッククローバー、か……」
俺が……千樹扉間として生まれ変わり転生した世界はブラッククローバーの世界。
だが、ダイヤモンドでもスペードでもハートでも魔女の国でもクローバー王国でもない……日ノ国に転生した。
俺達転生者を転生させている運営サイドは原作に関わらせる事が出来るようにはするらしいが……今更、原作と関わってもな……まぁ、こればかりは時に身を委ねるしかあるまい。
作者の作品でちょくちょく出てくるHIRETU様です。
天帝vs童子切を連載化したいんだが
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連載見てみたい
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短編集にだけしとけ