アルピ交通事務局のネタ倉庫   作:アルピ交通事務局

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HIRETU クローバー 3

「どうしたものか」

 

 ここはブラッククローバーの物語の舞台であるクローバー王国だろう。

 地獄の転生者運営サイドが原作と上手く関われるようにするだしないだ、調整をしているらしい。恐らくだがあの巻物はクローバー王国から色々とあって流れ着いた空間魔法の一種……巻物があれば瞬時に解析して日ノ国へと帰還できるが……ミスをしてしまったか。

 

『まずいな、完全に言葉が通じねえ……ジェスチャーでここがどんな国なのか調べても言葉が通じねえんじゃ話にならねえ』

 

 飛雷神の術でマーキングしているところに飛ぼうにも上手く飛べない。

 恐らく日ノ国とクローバー王国の距離が途方もないのと途中でなにかが邪魔をしていて上手く飛べない。強魔地帯と呼ばれるところが邪魔をしていて上手く飛雷神の術が使えない……そんなところが原因だろう。

 

「ならば、拠点を作るぞ」

 

『お前、未開の地に辿り着いたってのに全然動じてねえな』

 

「なにを言っている、これでもかなり焦っている方だ」

 

 何時かはブラッククローバーの原作に関わる事は分かっていた事だが、それが今だとは思ってもみなかった。

 もっとこう、予兆の様なものがあれば色々と準備をする事が出来たのに……今の俺は戦闘装束に飛雷神の術の術式のクナイが複数で金は無い。頼れる人も一切いない、更に言えば言葉も筆談も出来ない異国の地……詰んでいるとしか言いようがない。

 

『オレが泳いで日ノ国に返すってのはどうだ?』

 

「肝心の日ノ国が何処にあるのかが分からん以上それは出来ん」

 

 日ノ国が何処にあるのかさえ分かればぶっ通しで走るか飛ぶか、泳ぐかやって帰る。しかしそれが出来ない現状だ。

 拠点を作るのを優先して……その後はどうする?同じく日ノ国出身のヤミ・スケヒロを探し出して救援を求めるか……義理と人情はあるであろう。話が通じない相手ではない。

 

「先ずはこの国の言語を覚えなければならないが……この歳で新しく言語を覚えなければならないか」

 

 学校の勉強の様に教科書の様な物が一切存在しない。

 過去の偉人達はそんなものを気にせずに外国語を会得したある種の天才だ。ある程度成熟した人間が新しい1からものを覚えるというのは非常に難しい。ただでさえ日ノ国の文字や暗号等を覚えるのに頭を使うというのに……仕方ない

 

「牛鬼、魔力を俺に回せ……別天神を自分に掛ける」

 

『なにするつもりだ?』

 

「自分自身の学習能力を上げる……すぅ〜」

 

 息を大きく吸いながら目を閉じる。

 呼吸を整え、目に力を込めると目の模様が変わる。具体的に言えばうちはシスイとうちはオビトの万華鏡写輪眼が合わさった万華鏡写輪眼に変わる。俺は近くの澄んだ海に写る自分に幻術を掛ける

 

別天神(ことあまつかみ)

 

 別天神、それは幻術の一種だ。

 どんな幻術かといえば幻術に仕掛けられる事すら気付かない高度な幻術であり、NARUTOでは尋常でない程にチャクラを使うので十数年に1回ぐらいしか使えない。かくいう俺も年に1回ぐらいしか使えない。それも他から力を借りてやっとだ。

 

「これで問題はないはず」

 

 自分自身に幻術を掛け、強化をするなんて事は今までやったことはない。

 自分が今仕掛けた幻術に掛かっているかどうかすらも怪しい……明らかに別天神の間違った使い方だろう。しかし、これしか道はない。並大抵の事では新しい言語や文化を受け入れれない。別天神を掛け終えた筈なので俺は海岸から離れていく。

 

「木遁の術があれば」

 

『そう無い物強請りするなよ』

 

 俺はNARUTOに出てくる忍術を魔法として扱うことが出来る。

 火、風、雷、土、水の5つの性質変化に爆遁や沸遁等の血継限界、塵遁の血継淘汰に更には永遠の万華鏡写輪眼に尾獣まで持っているのだが唯一1つだけ使えない属性がある。俺が千手扉間なせいか木遁だけがどうしても使うことが出来ない。

 木遁の術があれば適当な地に住居を建てる事が出来る……しかしそれが出来ない。

 

『にしてもハッキリとした国だな。力を持った奴が上に住んでいて、そうでない人間が下に住んでいる……日ノ国とは大違いだ』

 

「……そうだな」

 

 市街を詮索していると俺の中に居る牛鬼がこの国について感じたことを言ってくる。

 クローバー王国はナーロッパに出てくるような世界観であり、上層部というか国の上役達が平民を見下している。平民より更に下、恵外界と呼ばれるエリアに住んでいる下民達は何故生きている等とんでもない思考をしている。

 国王は魔力絶対主義みたいなところがあり、自分は偉いだなんだと思っている典型的なカスでハッキリと言って関わり合いを持ちたくない。まだ日ノ国の大名の方が話し合いが通じる。

 

「大分、出てきたな」

 

 歩くこと数時間、恐らくは恵外界と呼ばれるところにやってきたと思う。

 村々も少なく持っている魔力の量も圧倒的に低い者が多い……

 

「近くの村は……ふむ……」

 

 拠点を作るのは簡単だ、忍術を使えばあっという間に出来上がる。

 だが、場所を選ばなければならない。人目のつかないところだが小さな村の近くにあった方がいい。魔力探知の範囲を広げて、人が住んでいる集落を探していき、丁度いい場所を見つける。

 

「土遁・四柱家の術」

 

 印を結び、地面に両手をつける。

 すると地面からニョキニョキと西洋風の岩の民家が一件建った……木遁・四柱家の術ならば耐風性の家を作り上げる事が出来るが、これが限界か。

 

「寝床としては充分……休む前に腹ごしらえでもするか」

 

 近くに魚が泳いでいる川がある。

 家を建て終えたので次は食事を取ろうと今度は川に移動し、水の上に立って印を結ぶ。すると川の水が動き出して、直ぐそこの川岸に向かって飛んでいき、その中に居た魚がピチピチと跳ねる。

 

「……見たことのない魚だが……食える筈だ」

 

 未知の国だけあって、魚も見たことのない物だった。

 とりあえず腹は空いているので、クナイを用いて腹を開いて腸などを取り除き川の水で綺麗に洗った木の枝を突き刺して火遁の術で火を付けて炙る。魚は好物だが、塩を振ってないとなると些か物足りない気もするが贅沢は言ってられない。

 

「……香辛料が無くても、ある程度は食えるな」

 

 魚を齧り付く。

 味は塩を振っていないので満足出来る物ではないが、決して悪い味ではない。普通に食える味だ。

 毒の様な物は今の所なく、泥臭さの様な物も殆どない……しかし物足りない。よくよく考えれば起きてから最初の食事なので塩的な物を身体が欲している。今まで色々とあったが、ここまで味気のない食事をしたのははじめてである……早いところ、塩や胡椒などの香辛料を買わなければ身が持たない。なにかの本で読んだが現代人は舌が肥えすぎていて飢餓に耐えられないだどうとか。

 

「……どうすべきか」

 

 大理石の床に寝転びながら今後について考える。

 隠密御庭番衆として圧倒的な力を持っていながらも自分の家に帰ることすら出来ない自分に少しだけ情けなさを感じる。部下達は非常に優秀なので俺が居なくなっても問題無く忍としての業務を遂行することが出来る。後腐れなく後を任せる事が出来るので今後について悩む。

 ここがブラッククローバーの世界でここがクローバー王国ならばそれでいい。原作に関してだがあまり介入するのも良くないことだ。

 原作に介入していい原作とそうでない主人公を成長させておかなければ後々痛い目に遭うタイプの世界が存在しており、ブラッククローバーの世界は後者、転生者が主人公の成長を妨げさせてはならない世界だ。妨げさせては物語の終盤で酷い目に遭う。

 そもそもで俺は日ノ国の忍で……日ノ国に帰りたいのだろうか?ブラッククローバーの原作に関わりたいのだろうか?それすら曖昧、何年も日ノ国で忍をして感情を殺し続けてきた結果、自分の思いがよくわからなくなっていた。

 

『なに色々と悩んでんだよ?』

 

「今まで忍として日々鍛錬を積んでいて、いざ解放されればなにをすればいいのかが分からん」

 

『お前らしくもねえ……いや、お前は働き過ぎなんだよ。仕事中毒(ワーカーホリック)とか言う病気だよ』

 

「そうか、仕事中毒か」

 

 別に彼女もおらず、責任のある立場で趣味らしい趣味も作っていない。

 休む時は休むようにしているが、それも仕事の一種だと捉えていた俺は牛鬼から見れば仕事中毒の人間……ならば仕事が無くなった今は……生きるのに時間を有する。

 

『こう言っちゃなんだが、こいつぁ良い薬になった。日ノ国に帰る前にゆっくりと休んでおけよ』

 

「休む前に生活基盤をしっかりしておかなければ、家は有れどもそれしかない。忍具を調理器具の代わりに使い続けるわけにもいかん」

 

 今日はまだいいが、明日からは生活基盤をしっかりと作り上げなければならない。

 その為にはどうするかが当面の問題だろう。

 

『何処の国にも侍みたいな存在はいるはずだ。扉間、お前の腕なら簡単に採用してくれる筈だ』

 

「それは最終手段だ」

 

『最初の手段じゃねえのか?』

 

 この国には武士に成り代わる存在が、魔法騎士団が存在している。

 それに入団すれば金や生活などの問題は全て解決するのだがあまりそれは乗り気ではない。下手に原作に介入すれば主人公であるアスタが成長しなくなるとかそうではなく、こんなナーロッパの様な国に仕える価値は無いと思っているからだ。

 

「国の内情もよく分からないのに仕えて此方側が悪政をしていたら笑い話にもならん」

 

 原作知識を置いておいても、クローバー王国の内情はあまり良くない。

 魔法帝であるユリウスが意識改革に必死になっているが……正直な話、大して意味はない。下民出の優秀な魔法騎士は実は悪魔の力を使っていたのと、他国の王子だったというオチが待ち構えている。

 意識を改革するならば1人で全てを背負おうとしている時点でもう既にダメであろう。西川きよしも言っていたが、小さいことからコツコツとやっていかなければならない。

 

『まぁ、お前がそうするって言うのなら文句は言わねえよ』

 

「なによりお前の事を知られれば鬱陶しい連中が出てくる。また1からやり直すのはめんどうだ」

 

『っへ、悪かったな』

 

「別にお前の事を責めてはおらん」

 

 牛鬼とは転生した頃の仲であり、邪魔者だとは一度も思っていない。

 むしろこうして俺の中に封印されていたお陰で話し相手にも困る事は無い。時には相棒として戦う至れり尽くせりな仲間だ。

 

「それに何時かは日ノ国に戻らなければならない。国の要の様な存在になってしまっては、仕事をやめるにやめられない」

 

『お前……自分だったら成り上がれるって自身があるんだな』

 

「逆に聞くが、お前の相棒は平凡な人間か?」

 

『おっと、そうだったな』

 

 俺が魔法騎士団に入団すれば確実に上の地位へと上り詰める事が出来る。俺にはその絶対の自信がある。

 牛鬼もなんだかんだ言って俺の強さに関しては疑いを持っておらず、俺の考えを慢心とは受け取らなかった。

 

『つってもお前、ずっと忍者やってたのに急に別の職種に切り替わる事なんて出来るのかよ』

 

「人間という生き物は良くも悪くも変わることは出来る……やってみせる」

 

 その為にはまず、生活基盤を作り上げなければならない。

 土遁の術で家を作ったので雨風を凌ぐことはこれでどうにかなる。食料も近くにいる川から魚を捕まえればどうにかなる。

 問題は金だ……どうやって金を集めるか、魔法が当たり前の国で曲芸を見せたところで金にはならない……ふむ……

 

「少し、見聞を広めるか」

 

 クローバー王国の内情はナーロッパに近いものだが全てが全て、そうではない。

 国の細かな事情等は一切知らないし、どういった仕組みの税等も知らない。クローバー王国の歪な社会構造をこの目で見ておかなければならない。飛雷神の術の術式が刻まれたクナイを家の前に刺して、家を後にする。

 

「銭湯はないのだろうか」

 

 飯も食って家も作ったとなれば残すところは風呂だ。

 土遁の術と火遁の術と水遁の術を応用すれば即席の風呂は作れる。

 しかし、それは即席のなんちゃっての風呂であり風呂とは呼びづらいものだ。市街地に出れば銭湯の1つでもないものかとついつい探してしまうが……どうやら公衆浴場は無さそうだ。となれば、原作に出てきた火山から湧き出る温泉に入るしかない。そこが何処にあるのか探し出すところからスタートになるから、暫くは即席風呂での生活か。

 

「……読め……なくはない……」

 

 市街地に足を運ぶと様々な店が立ち並んでいた。

 コレが日ノ国での出来事ならば銭湯にでも向かっているのだが、生憎とここはクローバー王国。勝手が違う。

 置いている商品にチラリと目を向けてから、どんな店なのか看板を見る。普通は逆じゃないかと思うがこの国の文字を詳しく知らないのでコレが正しい。書店の様で看板に書かれている文字が少し崩した筆記体でBOOKと書かれている。どうやらクローバー王国で使われている文字はアルファベットの筆記体の様な文字……俺は英語の成績は中の上程度で、転生してから英語なんぞまともに喋っていない……筆談での会話は難しいか。いや、ローマ字読みの店もチラホラとある。

 

「金が無いのが厳しいな……」

 

 なにか商売を起こそうにも一文無しの状態ではなにも出来ない。

 面白そうな物やこの国で出版されている本等には色々と興味が引かれるが残念な事に買う金が一文も無い……日ノ国で貯金している金はかなりあるというのに。

 

「今の俺が出来ることと言えば……狩猟ぐらいか」

 

 文字も書けない、言葉も通じない。

 圧倒的な戦闘力はあるが仕えるべき価値があるかどうかも分からない国に仕える気はない。となれば残すところは狩り、狩猟だ。

 食肉の文化はあり、更には食用に家畜を飼っている国で猟師の価値は低いだろうがそれでもここで生きていくには狩猟で生計を立てるしかない。流石に山賊達から金品を巻き上げるといった真似はしたくはない。当面の目標は生活基盤の立ち上げ及び安定だ。

 そして出来れば魔法騎士団に入団しないでおきたい。別に魔法騎士団が嫌いというわけではないが、ここは日ノ国と勝手が違う。穢土転生の術や俺の中に宿る牛鬼を知られれば危険だ異端だなんだとくだらない因縁をつけられる。

 

「全く、仏というものも意地悪な存在だな」

 

 今日こうしてクローバー王国に居るのも全ては仏の導きであろう。

 こんな手の混んだ事をするぐらいならば最初からクローバー王国の住人として転生させてほしかった。そうすれば色々と楽だったものだ。こうして言葉や文字、文化の違いに頭を悩ませる必要は一切無かった。まぁ、その場合だとなにをしているのか俺自身もよく分からないが、その時はその時で俺はなにか別のことをしているだろう。

 

『他所の国ってもっとぶっ飛んだ感じの国かと思ったが、普通なところは普通なんだな』

 

「異国に対してどんなイメージを持っておる……まぁ、いい。市民情勢についてはなんとなく知れた」

 

 クローバー王国は異国だから何処かぶっ飛んだところがあると想像していた牛鬼だが、そんなものである。

 平民が暮らす街がどの様な感じなのかは大体分かったのでとりあえずは良しとする。一先ずはクローバー王国の海を目指す。海の水を蒸発させてあれこれすれば塩が取れる。これから生きていく上で塩分は大事な物だ。土鍋は土遁や溶遁の術で作り上げればどうにでもなる。

 こうしてみると歴史上の人物達はこんな事を1から自力でやっていたのだと素直に尊敬する。言葉や文字が通じない場所でもなんとか通じねえ様にした努力は俺の想像がつかない程の努力があったのだろう。

天帝vs童子切を連載化したいんだが

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