アルピ交通事務局のネタ倉庫   作:アルピ交通事務局

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HIRETU クローバー 6 

 

「炎は当てなくてもいい、雷と同じで触れるだけでアウトなものだ。炎系の攻撃は熱を、炎をぶつけるのが大前提だ」

 

 1人の少年を弟子にしたので、炎系の魔法についてレクチャーする。

 炎系の術は基本的には相手を焼く、それしか使い道が無い……というわけではない。

 

「こういう炎の使い方もある」

 

 火を出現させ、ドーム状に包む。火は徐々に徐々に弱まっていき最終的には消えてなくなる。

 普通は火がもっと燃えるものではないのかと疑問を抱くだろう。だから、次は空気に色を与える。無色透明の空気を見えるようにして火を灯す。空気は火を燃やす上で必要不可欠な物、その空気を奪う。ドーム状に火を包むことで中にある空気を全て無くす。

 熱い拳で殴る、熱い炎をぶつける、それ以外にも使い道はある。この技は別に難しい技ではない。者は試しにと置いてある石を燃やすのでなく炎で包む。試しにやってみせろと写輪眼で言えば男は試しにとやってみせる。

 火を起こす程度ならば微弱な魔素(マナ)があるだけで充分、一気に最高火力で燃やす戦いは魔力が豊富な人間ならば可能だがそれが出来ない。だが、火を起こし続けるだけならば微弱な魔力を持つ人間でも可能な事だ。

 

「っ……」

 

 とはいえ、普段からずっと少量の魔力を出し続けるという行いをしておらんせいか苦戦しておる。

 今は先ずは集中の段階、本音を言えば集中をしない集中、無想の段階でやらなければならない。集中は体力の消耗も激しければ、長くは保たない。集中しない集中を会得しなければならないな。

 

「先ずは指から火を起こせ……それを1時間やれ」

 

 ポォッと微弱だが人差し指に火を起こす。

 それを見た男は真似をして人差し指に火を起こすのだが今度は火を起こす事に対して意識を集中させていない。純粋に火を起こすのならばコレぐらいは余裕どころか息を吐いて吸うのと同じなのだろう。ならば今日はそれに訓練を移すかと印を結んで砂が全て落ちきるまで2時間かかる砂時計を土遁の術と晶遁の術で作り上げる。1時間やれと言っているが、その実態は2時間だ。砂が落ちれば終了な事に関して伝えれば男は集中して火を灯し続ける。1時間という嘘をついたのも意味はあるが、まぁ、2時間チョロ火を灯さなければ話にならないな。

 

「手本として俺もやっておく」

 

 ポワァと俺も火を出す。

 向こうの心を折らない為に火力は同じにする……と言っても向こうは俺の方が何段階も格上なのは自覚している。考え方によってはバカにしている様にも見えなくはない。しかしこういう基礎の積み重ねはバカには出来ない。基礎を行い続ける能力は凄まじい。

 2時間に設定してあるが30分のところで火が消える。魔力感知すれば魔力は残っている……が、精神力が限界を迎えたのだろう。足を動かすかの様に強い意志でなく当たり前の動作として動く、それが出来るか出来ないかの問題だ。

 

「影分身の術」

 

 30分を良いのか悪いのか、それは俺には分からない。

 周りにいる面々は世に言うエリートと呼ばれる者達、鍛錬を積むのは当たり前でそこから才能や血筋が物を言う。クローバー王国の下民はどれぐらいか?……魔力による身分差、全くと言って情けない。下を見ている奴はまだしも天狗になっている連中は呆れるしかない。

 

「かかってこい」

 

 影分身の術で分身を作り上げ、男に組手を申し込む。

 男は先程まで火を灯し続けていて精神的にも魔力的にも疲れている。だから休ませてくれと言いたげなので写輪眼を使い、疲れているからこそ意味があるのだと脳に直接訴えかける。

 下民は魔力によるゴリ押しの火力勝負が出来ない、心技体の内の体は大きく劣る。それ故に技を磨く。魔導書を使わなくても火や水は操れる。それと同時に自分自身の魔力が低くても爆弾の様な物を使えば戦える。故に体術を、体を鍛える事は重点的にしておかなければならない。

 無論、戦い方は人それぞれだ。詰将棋の様に闘うのもよし、なにをしてくるのか分からない不気味さを出すのもよし、兎にも角にも手数が多い、器用貧乏とも思える程の技で攻めるのもいいことだ。

 

『ぐるぐるパンチって今どきあるのか?』

 

『言うな……そもそもで筋トレしていないのが分かるな……己を磨ける時間があったにも関わらず』

 

『……お前ほど合理的に動ける人間はいねえよ……つーか、俺と会話しつつ写輪眼無しで攻撃を全回避って』

 

『この程度、他愛もない』

 

 ぐるぐるパンチで攻撃してきた事に俺の中の牛鬼が呆れている。

 戦闘らしい戦闘をしていない証拠、正拳突きの1つでも覚えていると思ったがここまで酷いとはな。

 コレはいかんなと足払いをしてこかすと影分身の俺は印を結び、人間の頭と同じぐらいのサイズの壺を4つ作り上げる。

 

「基礎からやらなければならんが……逆にそちらの方がいいのかもしれんな」

 

 壺を2つ渡して手を横に水平に伸ばす様に暗示を入れる。

 なにをすればいいのか分かったのか直ぐに両手を水平に伸ばして壺の先端部分を握る。俺は残っている壺に水を入れて力士がよくやるヤンキー座りに近いあの構えの状態で水が入った瓶を手に取り、更には分身している俺が頭の上に石を乗せてきた。

 ここからなにか特別な事をするのかと疑問を抱いているようだがここからなにもしない、この状態を常に維持する、ただそれだけだ。しかしコレが意外に肉体に響く。

 

「っ……っ……」

 

「どうした?まだ10分も経過しておらんぞ?」

 

 水が入っていない壺を握り続けて水平に立っているだけなのに震えが止まらない。

 ただ腕を水平に伸ばしている……それだけでも相当な負荷がかかるがそこに加えて壺を握らなければならないという厄介なのが待ち構えている。壺の重さも加わっている。

 

「──!──!」

 

「まぁ、そうなるな……仕方があるまい」

 

 12分で男は限界を迎えた。さっきからやっている事に意味があるのか等の抗議を言っているのだろう。

 派手な技のパフォーマンスは薬にもなれば毒にもなる。使い方を誤ってしまえば毒になってしまうからしたくはないが使うしかあるまい。

 俺は太ももほどの大きさの石を用意する。俺の土遁の術で作ったものでなく自然界に存在している極々普通の石で特別な鉱石ではない極々普通の岩だ。

 

「ふっ!」

 

「……!!」

 

 石に向かって掌底を入れる。すると岩は真っ二つに割れた。それを見て嘘だろうと驚き岩を見るのだが石は綺麗に割れている。

 原理を説明したとしても意味は無い、お前もやってみせろと石を差し出せば魔力を流し込んで身体能力を上げようとするので待ったをかける。

 コレは魔力による身体能力底上げの技ではない、純粋な体術の一種。力を一点にぶつける特別な能力でなく技術の技に過ぎず、魔力で身体能力を底上げしても意味は無い。

 

『どうせなら二重の極みでも教えてみるか?』

 

『二重の極みは早々に教えられんし会得出来ん。俺でさえ2週間は掛かったのだぞ』

 

『お前基準で2週間がスゲえのかそうじゃねえのか……謎だな』

 

 牛鬼が二重の極みを教えることを提案する。

 しかし、あの技は早々に覚える事は出来ん……氣による点穴を見抜く爆砕点穴の方がまだいい。とは言っても爆砕点穴は土木工事用の技で人には使えん技だがな。

 

「もうそろそろ日が暮れてきた……そろそろ家に帰っておけ」

 

 ありがとうございますと頭を下げ、男は箒に乗って飛んでいった。

 世界観的に箒に乗るのは極々普通な事だが、いざこういう風に見せられればなんとも言えんな。

 

『お前も箒に乗ってみるか?』

 

「自分で空を飛べるのに、補助道具に頼ってどうする?」

 

『ま、それもそうか…………しかしよ、どうすんだ?このまま惰性に過ごすつもりか?』

 

「ふむ…………」

 

 牛鬼に今後の事について聞かれる。

 ただ惰性に生きても意味は無い、しかしコレから起きうる事を考慮すれば余計な事はしてはいけないだろう。転生先によっては主人公を成長させておかなければ何処かの段階で詰んでしまう世界もあるブラッククローバーの世界はその世界、アスタの反魔法の力を使いこなせる云々は実戦経験で会得させなければならない……悩みどころだがなにもしないよりはマシか。

 色々と考えた翌日、俺は行動に出る

 

「牛鬼、力を少し貸してくれ……探知に使う」

 

『日ノ国は無理だぞ?』

 

「そこまでは無理なのは理解している……ふむ……」

 

『デケえのがあるな』

 

 牛鬼に力を借りて探知能力を最大限に広める。デカい魔力が1つだけある。その魔力の周りに微弱な魔力が多数ある。

 コレが目当ての物の1つだなと空を飛べば村が見える。アレが主人公の居るハージ村……のどかなところで悪くはないな。

 

『あいつだけ異様に強い力を感じるが……豪族の末裔かなにかか?』

 

『だろうな……なにかの拍子で先祖返りかもしくは血を絶やす事なく受け継いでいる事を自覚していないかのどちらかだろうが……』

 

『どうした?』

 

 アスタとユノを発見した。原作よりも幼い見た目であることからまだ原作が開始していないのが分かる。

 よく回想で出てくる幼少期の頃よりも大きな見た目ということは後2,3年ぐらいで原作が開始される……別にそれ自体はなにも問題は無いのだが……

 

「蓋を開ければ、そのザマか」

 

 下民の期待の星とされているユノとアスタ。

 ユノの正体はスペード王国の王子、アスタは反魔法という誰にも真似をする事が出来ない能力で悪魔の力を用いている。

 下民に見えた人間は特異な存在だった……文字通り下民で成り上がる事が出来た、そんな者が居るのかと思えば見当たらない。才能以前に環境が荒れ果てているな。

 

「うぉおおおお!!」

 

「む…………」

 

 アスタが山に向かって全力ダッシュをしている。

 魔力が無いから筋肉を鍛え上げる、実にいい考えだ。無いものを強請り続けるよりも、あるものを駆使する……その姿に呆れている者達が多いが、ああいうバカは物事を変えるキッカケに必要なものだ。

 

「99,100…………そこに隠れてるのは誰だ!!」

 

「ふむ、気付くまでに時間がかかり過ぎだな」

 

 片手腕立て伏せをしているアスタは俺の気配に気付く。

 もっとも俺自身が気配を出している。意図的に出しているもので、気付くのは何時ぐらいかと思ったが思った以上に遅かった。

 まだ完全になるまでは時間がかかる、氣を読み取るのが難しい……まぁ、問題は無い。

 

「……誰だ?」

 

「む……」

 

 誰かが隠れているのは分かっていたが、誰が隠れているのは分かっていなかった。

 俺が姿を現せばキョトンとするので土遁の術で軽く岩を作り……二重の極みで粉砕した。

 

「おぉ!スゲえ!!」

 

 二重の極みで粉砕すれば目を輝かせるアスタ。

 もう一度土遁の術で岩を作りだしてアスタの前に差し出せばアスタはゴクリと息を飲み込む。

 

「オレにやれって言うのか……うぉりゃああ!!……いってえ!?」

 

「……ふん!」

 

「うぉ!?真っ二つになった!?」

 

「撫子」

 

「ナデシコ?……」

 

 岩を真っ二つにする技の名前を教えれば首を傾げる。もう一度やってみるかとアスタは挑戦しようとするので待ったをかける。

 ただ力任せに岩を真っ二つにするのはそれこそ怪力と呼ばれる者や術による力の増加だろうが、それではアスタに教えることが出来ない。

 岩を真っ二つにするのは掌底、拳では無いことをジェスチャーで教えて先ずはとクナイで岩に傷をつける。石ならばともかく岩ならば先ずはと切れ目から割るところで行う。狙うべきところはここだと教える。

 

「……ふん!……おぉ!やった!やったぞ!岩を真っ二つにする事が出来た!!」

 

 コツとキッカケを教えればアスタは岩を割った。

 掌底を叩き込むことで岩を割ることに成功したのだが、及第点を与えるわけにはいかないのだと俺は☓印を腕で作ればアスタは「え?」となる。

 確かにアスタは岩を割ることに成功した事は喜ばしい事だが、岩を割ることに成功しただけであって岩を真っ二つに割ることに成功していない。アスタが割った岩は真っ二つでなく複数に分かれている。

 俺はアスタの割った岩を横に置いて隣で岩を真っ二つにする。それを見てアスタは割った岩を比較する。真っ二つにするのであって割ることが目当てではない。

 

「も、も゙う1回いいですか?」

 

 人差し指を立てるアスタ、おそらくだがもう一度を要求している。

 岩を作ればアスタにクナイを渡すべきかと思ったが、アスタはクナイを渡してくれとは言ってこない。どうやってこの岩を考えるのか、岩に対してどういう力を加えればいいのかを考える。そう、考えるんだ。考えることだけは平等に与えられた権利、考えて想定して実戦する事が出来るのが持っていない奴の戦いだ。

 

「明鏡止水」

 

「めーきょう?なんだそれ?」

 

「コォオオオ……ホォオオオ……」

 

 どうすれば良いのか考えていて頭を悩ませている。答えは出かけているので心を落ち着かせる事を言う。

 意味が分かっていなさそうなので呼吸をする。アスタも真似をして呼吸をして目を閉じて意識を一点に集中させ……岩に掌底を叩き込んで岩を真っ二つにした。

 

「やった!今度はちゃんと真っ二つになった!」

 

「む……」

 

 流石は主人公と言ったところか、キッカケを与えれば一発で化ける。魔力が無いというだけで戦うことに関しては才能があるのだろう。

 一先ずは撫子の会得を拍手をして称える。

 

『撫子を一発で成功するとは、コイツ、才能あるな……力を一切感じねえが……』

 

『生まれつきの突然変異種だろう……しかし、力を用いなくても戦う術は幾らでもある。どうもこの国の人間はそれを学ぶ意欲が薄いようだ』

 

『無いからこそってやつか』

 

『そんなところだろう』

 

「影分身の術」

 

「うぉ!?3人に化けた!?」

 

 撫子の会得が出来たのならば、防御系の技術の会得もしておかなければならない。

 影分身の術で3人に分身し1人は撫子で割った岩を砕きもう1人は直径1mの円を描く。俺は直径1mの円の内側に入り、分身している俺に石を投げさせるので俺はそれを回避したりクナイで弾いたりする。

 

「オレも……」

 

 アスタにも石を渡す。

 自分にも投げろと言っているのだろうと理解してくれたのかアスタは石を投げてくるので軽々と回避する。

 

「スゲえ……全部は回避出来ねえから危ないやつをあのナイフみたいなので弾いてる……魔法は使ってない。コレならオレにも…………」

 

 氣を読み流れを読み取る、そしてその流れにそって呼吸をする。

 ジョジョの奇妙な冒険の序盤に出てくる波紋の呼吸と同じ原理でエネルギーを生み出す。魔力とはまた違う、氣を生み出す。

 肉体を鍛え上げているアスタに呼吸法はまだ教えなくてもいい、今は先ずは氣を読みとるところから教えればいいのだと今度は目を閉じて石を軽々と回避する。

 

「オレにもお願いしまぁあああす!!」

 

「元気があってなによりだ……ふ!」

 

「あ、いた!?」

 

「いきなり目を閉じるか……馬鹿者が」

 

 俺のやっていることを真似てみようとアスタは目を閉じようとした。

 目を閉じている状態で石の回避はまだ早すぎる、今は石を回避して呼吸を読み取りそこから氣を読み取らなければならない。

 目を閉じることを禁止だといい、クナイを貸せばクナイで全てを捌こうとする……回避できる物は回避し、回避不可能だと判断した物はクナイで弾く、それがこの防御系の技術の初歩だ。

天帝vs童子切を連載化したいんだが

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