トキワの森で野宿をした。
はじめての野宿はドキドキだったがその反面、ワクワクでもいっぱいだった。
俺、ポケットモンスターの世界に転生したんだと生を実感する事が出来る。ヒトカゲに火を起こしてもらい朝食であるおむすびを頂く。塩加減が程良く我ながら中々の出来だと思う。
「やっぱおむすびは美味え……」
日本人ならばおむすびが1番である。旅をした際に色々と料理が出来るようにと学んだが、なんだかんだでおむすびが1番である。
おかかと塩むすびだけなのが少々残念ではあるが、それでも美味い事には変わりはない。
「さて……どうするか」
おむすびを食べ終えて飯盒を洗い終えると今後の予定をどうするのか考える。
ニビシティへ続く道はちゃんと分かっている。ニビシティに向かえばニビジム戦なのだが、生憎な事にこっちにはニドラン♀しか頼りになる戦力が居ない。タケシを相手にニドラン♀だけでは心許ない。かと言ってヒトカゲでニビジムに挑むわけにはいかない。昨日『メタルクロー』を覚えかけたが未完成な技をぶっつけ本番でやるほど俺はギャンブラーじゃないんだ。
「新しくポケモンを捕まえる……は無いな」
トキワの森にいるポケモンは大体見ることが出来た。
ポッポ、キャタピー、ピジョン、ビードルとカントーじゃ割と見かけるポケモン達だ。ピカチュウはまだ見ていないがピカチュウは別にゲットしたいとは思わない。なにせピカチュウよりも強いポケモンはかなり居るのだから。
「よしっ、ポケモントレーナーを探すか」
ポケモンのレベルを上げるのはポケモンバトルが1番なのだが、野生のポケモンとバトルが出来ないのでポケモントレーナーを探す事にする。
「領域展開……なんつって」
この日の為にグレイトシゲルは色々と鍛えているのである。
波動を探知するという中々に厄介な特訓を積んだ……辛かった。何処に何があるのかを探知しないといけないので気的なのを探らないといけない。波動を認識するのに半年も掛かったのだがこの技能は割とバカには出来ない。近くに危険なポケモンの巣があるとかそういうのもある。流石に藪蛇をわざと突くほど俺はバカじゃない。
「むっ!発見!」
俺の波動に探知範囲内にポケモントレーナーかどうかは分からないがポケモンを持った奴が居ると引っかかった。
トキワの森は無駄に広いからもしかしたら会う事が出来ないと思っていたのだがコレは好都合である。早速最初のポケモントレーナーに会いに行ってみるとそこには鎧を着た短パン小僧がいた。
「トランセル『かたくなる』でござる!」
『……ラン!』
鎧を着ている短パン小僧はポケモンもといトランセルを鍛えていた……鍛えていたよな?
トランセルに『かたくなる』を指示して硬質化させているけれども、それだと経験値にもならないぞ
「……っ、何奴!!」
「っふ、気付かれてしまった様だな。水を差さない為に見守っていたが仕方がない」
トランセルに対して色々と思うところはあれども、取り敢えずは見守っておこうとすると鎧武者は俺の存在に気付く。
気配を消したりしていないけれども視界に入らない様にしていたのだがまさか存在を気付かれるとは思いもしなかったが、見つかった以上は仕方がないのである。
「俺はポケモントレーナーのシゲル……見たところ君もポケモントレーナー。ならばやる事は決まっているだろ?」
「お主、もしやマサラタウンのトレーナーでござるか!!」
「ん?ああ、そうだけど?」
「昨日、マサラタウンのトレーナーに破れた恨みここで晴らさせてもらうでござる!」
おいおいおい、俺関係ねえだろう。てか、マサラタウンのトレーナーって事はサトシ……は、今からトキワの森に入ってくる。
フシギダネとゼニガメを持っていった奴等とこの鎧武者とポケモンバトルをした。俺は寄り道していたとはいえ、残り二人早すぎないか?大丈夫か?ポケモン、ゲットしたり育成出来てたりするか?
「さぁ、尋常に勝負するでござる!」
「使用ポケモンは何体の何バトルで交代は?」
「交代ありの使用ポケモン2体のシングルバトルでござる!ゆけ、カイロス!!」
『カィカィ!』
おぉ……トキワの森で見かけることは無い虫ポケモンが出て来た。
カイロス……メガシンカを持っているポケモンでなにかと優遇されたりしているポケモンだ。
「ならばお前の出番だ!ゆけ、トランセル!」
『……イヤン』
初のポケモンバトル戦にテンションを上げつつもトランセルを出すのだがトランセルのテンションは低い。
怒ってるのか?いや、怒っている素振りは見せていない。進化して性格が変わったのだろうか……う〜ん、謎である。取り敢えずはこのポケモンバトルに集中しよう。
「トランセル『いとをはく』カイロスの腕をグルグル巻きにしてやれ!」
『セルゥ!』
テンションが低いトランセルだが言うことはちゃんと聞いてくれる。
白い粘着性の強い糸を先端部分からトランセルは放出してカイロスの腕をグルグル巻きにする。
「カイロス!!」
ぐるぐる巻きにされたカイロスは力技で糸を引き千切ろうとする。
しかし俺のトランセルの『いとをはく』はそんなもんじゃないとカイロスは糸を引き千切る事が出来ずに転倒する。
「今だトランセル『たいあたり』だ!」
狙うならば今しかないのだとトランセルに『たいあたり』を指示して突撃してもらう。
倒れているカイロスは起き上がるのに必死な為に避けることは出来ずにトランセルは激突してカイロスを突き飛ばした。
「カイロス!」
『カィカィ』
「連続で『たいあたり』だ!」
身動きが取れない今が絶好のチャンスだ。
カイロスに向かって連続で『たいあたり』を指示してカイロスを突き飛ばすのだがこれがいけなかったのだろう。徐々に徐々にカイロスを縛る糸がプチプチと切れていき、最終的にはカイロスは自力で、力技で糸を引き千切った。
「よくやったでござる!流石は拙者のカイロス!今までやられた分のお返しだ『はさむ』攻撃!」
『ロス!』
「トランセル『かたくなる』連続で使用しろ!!」
今までの分をやり返すかの様にカイロスは突撃してくる。
素早さがそんなに無いトランセルでは回避する事は不可能だと判断して『かたくなる』の連発を指示し、トランセルはその身を硬くするがその頃にはカイロスはハサミでトランセルを掴む事に成功し持ち上げていた……が、カイロスの表情は乏しい。
さっきトランセルが散々『たいあたり』でダメージを与えたというのもあるだろうが『かたくなる』で硬くなっている為にトランセルに対してそんなにダメージを与える事が出来ない。
『カカッ……』
「そこだ!トランセル脱出しろ!」
『イヤン!!』
挟む力を強めてみるものの大したダメージになっておらず、カイロスは挟む力を緩めた。
狙うならば今しか無いのだとトランセルはカイロスのハサミから脱出した。
「今度はカイロスのハサミに向かって『いとをはく』だ!」
『セルゥ!』
真っ白な糸をカイロスに向けて発射する。さっきは胴体を狙っていたが今度は違う。
カイロスの武器であるハサミを封じるんだとカイロスのハサミをグルグル巻きにする。
「トドメだ!トランセル『たいあたり』」
グルグル巻きにしたハサミを動かそうとするカイロス。
大きな隙が生まれたのでここで終わりだとトランセルに『たいあたり』で突撃していってもらうとカイロスは突き飛ばされて……戦闘不能になった。
「カイロス!……っく、まさかカイロスがやられるとは。ならばお主の出番でござる、ゆけぃトランセル!」
『セルゥ』
「戻れ、トランセル」
「っむ、逃げるのでござるか!」
「確実に勝つ為の布石を打っていると言ってくれ……ゆけぇ、ヒトカゲ!」
『カゲェ!』
トランセルをボールに戻し、次に出したのは我が最初のポケモンことヒトカゲだ。
ヒトカゲを見ればサムライは表情を変える。
「相手が『ほのお』タイプのポケモンだからといって臆する拙者達ではござらん!」
「ヒトカゲ『ひっかく』攻撃だ!」
「なんの『かたくなる』でござる!」
『カゲ!』
爪を光らせてトランセルを引っ掻くヒトカゲだが、トランセルには大してダメージは入っていない。
予想通りと言うべきか『かたくなる』しか使って来ない。ヒトカゲが至近距離で『ひっかく』を連発している。攻めるチャンスは幾らでもあるのにトランセルは攻めてこない……ということは『かたくなる』しか覚えていないクソ雑魚個体か?
「ヒトカゲ、一旦距離を取れ」
「今でござる!トランセル『いとをはく』」
連続での『ひっかく』が大してダメージになっていないのでヒトカゲに一旦距離を開くように言う。
するとそれを待っていたと言わんばかりに短パン小僧はトランセルに『いとをはく』で糸を吐いてきた……成る程な。
「それはもう学習済みだ。ヒトカゲ、尻尾の炎を向けろ」
昨日の自主トレでやった様にヒトカゲの腕をグルグル巻きにするのが目的なのだろう。
そうすればヒトカゲは身動きを取ることが出来ない……だが、その手はどうすればいいのかもう知っている。ヒトカゲは尻尾の炎を飛んでくる糸に向かって向けると糸は引火してヒトカゲに巻き付くことはなかった。
「ヒトカゲ『ひのこ』だ」
「っ!」
トランセルは『かたくなる』の連発で防御は上がっているが特防は一切上がっていない。
『たいあたり』の1つでも使って来るかと思ったが、使って来る素振りは特に無いのでこのまま終わらせるとヒトカゲに【ひのこ】を吐いてもらう。トランセルは避ける事も出来ずにヒトカゲの『ひのこ』が命中し……倒れた。
「トランセル!!」
『ヤキ、ヤキンセル……』
「トランセルは戦闘不能になった。カイロス、トランセル2体やられた。この勝負は俺の勝ちだ」
「っ……見事!拙者の完敗でござる……いやはや、マサラタウンのトレーナーには次こそは負けないと思ったが完敗でござるよ」
「ふっ、当たり前じゃないか。君が戦ったのはマサラタウンで1番強いと言われているシゲルだぜ」
伊達にアニポケの世界に転生してないんだぜ。
このシゲル、いや、グレイトシゲルをナメてもらっては困る。ポケモンマスターがなんなのかは分からないから、最強のポケモンチャンピオンを目指している俺はそんじょそこらのトレーナーとは違うんだ。
「なんと、そうでござったのか!」
「ああ、そうとも……後1人マサラタウンから来たトレーナーが居るけれども、そいつはまぁ……トレーナーとしては未熟だけど面白い奴だ」
俺がマサラタウンで1番のトレーナーである事を信じてくれる鎧武者の短パン小僧。
ついでだからとサトシの事も言っておく。サートシくんはポケモンに対する知識が不足しているという致命的な弱点を抱えてはいるが土壇場での火事場の馬鹿力や機転、発想の転換はトレーナーとしてはトップクラスの実力を持っている。まぁ、知識が無いという致命的な弱点を抱えている限りはこのグレイトシゲル様には勝てないんだけど。
「中々に刺激的なポケモンバトルだった。機会があればまたバトルをしようじゃないか」
「その時は拙者が勝つでござる!!」
「その頃には俺のポケモン達はさらなるパワーアップをしているだろう」
またケチョンケチョンにぶっ倒してやるぜ。
初のポケモンバトルは中々に良い結果で終わった。ニビシティまでまだまだ遠く、ポケモン達もまだまだレベルが低いのだが旅は順調に進んでいく。
天帝vs童子切を連載化したいんだが
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連載見てみたい
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短編集にだけしとけ