アルピ交通事務局のネタ倉庫   作:アルピ交通事務局

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宿命の対決 天帝vs童子切 4

 

──ヴィィイイン

 

「ホントにいいのね、リンドウ」

 

「ああ、ずっと前から決めとった事やからな。思いっきりやってや!」

 

【ハイドロポンプ】を覚えたコイキングと遭遇して少しの時間が経過して、いよいよ明日がポケモンを貰える日になった。

 ワクワクが止まらんけれども俺にゃやらなあかんことがある。それは……

 

「俺が成長した証やと刻み込む為に大事な事、遠慮なく丸坊主にしてな」

 

 髪の毛を切ること。

 今の俺は天王寺獅童と同じ髪型をしとる。この髪型も割と気に入っとるけれどもこれからポケモントレーナーになるという意味合いを込めて丸坊主にする……色々な世界で力士をやる際にも丸坊主にしとるパターンが多い。学生横綱の称号から1人の力士になる意味合いを込めて丸坊主にし、そして髷を結う前に十両に昇進してスゴい相撲取りだと世間に思わせる……相撲はデブが抱き合ってると認識されがち、昔の俺もそう思っとった時期もあったけれどもやってみれば半端ない競技や。

 

「イケメンなのに勿体無いわね」

 

「新米トレーナーにゃ坊主頭が充分や……けど、丁髷を結える様になる頃には一人前のトレーナーになっとる。そして何らかの異名が付けば丁髷を大銀杏にする」

 

 オカンが俺が丸坊主になるのが勿体無いと言う。

 けど、コレは俺にとっては大事な儀式や。丸坊主から丁髷を結える間になるまでに一人前のトレーナーになる。なることが出来ひんかったらまた丸坊主になる。一人前でもなんでもないのに髷を結うなんて事は出来ひんわ。

 

「せやから俺は丸坊主やないとアカンねん……さぁ、頼むわ!」

 

「えい!」

 

 オカンはバリカンを手にして一気に髪を切ってくれる。

 床屋で丸坊主にするという手もあったけれども、やっぱりオカンに頼んで丸坊主にしてもらった方が意味がある。自分の髪が切り落とされているなと感じていると白髪が何本か混じってる事に少しだけショックを受ける。この歳で白髪って勘弁してくれや。

 

 アカシの奴は……どうしとるんやろ?

 アカシが丸坊主とか絶対にない。あいつは自分は自分であると主張するタイプで髪型を変えるという事を生まれてからまともにやったことが無い。赤司征十郎の容姿が気に入っとるところもあるから基本的には赤司征十郎の容姿のまんまや……そう考えれば転生する度に容姿が変わる諏訪部も羨ましいもんやな。

 

「ふぅ……スッキリしたわ」

 

 オカンがガッとバリカンで丸坊主にしてくれた。

 やっぱり丸坊主になると気持ちがスッキリとする……力士やっとる時が多いから髪の毛を洗うって事があんまり出来ひんからな、この髪の毛の感覚は悪くはない…………けどまぁ、やっぱり髷の方がええな。

 

 髪の毛を切り終えればオカンは箒で髪の毛を集める。俺に風呂に入って来いと言うので風呂に入れば短い毛が散乱する。

 髪の毛を短くしたことでシャンプーが物凄く楽になった。泡立ちはイマイチやけども、直ぐに髪の毛を洗う事が出来る……オシャレにあんまり気を使わなくてもいいなら丸坊主とかスポーツ狩りがええわ。

 

「ふぁあ……しょうもない所でミスだけはしたらアカンからな」

 

 夕飯を頂き、荷物確認をした。

 スキットルタイプの水筒、簡易的な調理器具、寝袋、ポケモンフーズにポケモンフーズを入れる容器などなどを1つのショルダーバッグに入れた。普通に物理法則とか質量保存の法則を無視しとる、肩にかけるタイプのショルダーバッグの中に全部入るとか……まぁ、そういうところがリアルやったら荷物の量が洒落にならへんからコレでええんや。

 

 目覚まし時計がジリリと鳴り響く。

 今日はポケモンを貰う日で寝坊だけは絶対にしたらアカン。ポケモンを貰うのは早い者勝ち、本音を言えばオーキド博士の研究所で寝袋を構えてスタンバイしたかったけどオーキド博士はそれはズルだからアカンらしい。人に心を開いていない初心者向けやないピカチュウを新米トレーナーに渡すクソジジイがなに言うとるねんと言いたかったけども強制的にピカチュウになる事だけはあってはならん事や。

 

「おはよう、リンドウ……今日は何時もより早いわね」

 

「そら今日がなんの日かぐらいは分かっとるやん」

 

 何時もならば8時に目覚めるところを7時に目覚める。

 オカンは早く目を覚ました事を感心するけれども俺は滅茶苦茶ワクワクする。

 

「リンドウ、先ずは気持ちを落ち着ける為に…………朝ごはんの用意をしなさい」

 

「オカンが楽したいだけやろ……まぁ、ええけども」

 

 オカンが朝ごはんを作れと言ってくる。

 伊達に関取を、力士をやっとらんから料理の腕前はそこそこや…………真面目に料理を覚えとるんやけども、アキの奴が料理が物凄く上手い。アキの作る揚げ物が絶品過ぎて何度か真似たけども料理の腕では勝つことが出来ひんかったわ……けど、あいつは何時までNo.2に満足しとるんやろ?俺やアカシとバチバチにやりあえる筈で俺がおらん世界で横綱やっとるって聞いたこともあるのに…………大包平の異名はマジやってのにな。誰かが殻を破る様に言ってくれへんかな……。

 

「ふぅ……美味しいわね」

 

「メシマズはアカンからな…………寂しなるな…………」

 

「なに言ってるのよ、ポケモン達が居るじゃない」

 

 コーヒーを啜り、卵焼きなタマゴサンドを口にするオカン。転生して数年、俺を暖かく見守ってくれてるオカンと離れて旅立たんとあかん。

 妹が生まれるとか一時期期待しとった時もあったけども今生では妹は生まれへん。オカンと親父だけの寂しい家になると言えばポケモン達が居るという。

 

「確かにリンドウが居なくなれば寂しくなるわ……けど、これからはリンドウが育てたポケモンと触れ合える。貴方が頑張ってるってのを間近で見ることが出来るわ」

 

「……そっか……」

 

 頑張らんとあかん理由が増えた……重さが増えるけれども、この重圧に耐えられないなんて事はないわ。

 朝ごはんを食べ終えれば食器洗いはオカンがするからオーキド博士の研究所に行ってポケモンを貰ってこいと言われた。

 

「オーキド博士、ポケモンを貰いに来たで」

 

「リンドウ?また随分と派手なイメチェンをしたの」

 

 ショルダーバッグを背にしてオーキド博士の研究所にやって来た。

 昨日までは極々普通の髪型だったけれども丸坊主になった俺を見て少しだけオーキド博士は困惑している。

 

「いやいや、俺の覚悟と決意ですよ……髪の毛で髷が結える様になる頃には一人前のトレーナーになっとるという俺の決意、それが無理やったらまた丸坊主にするという覚悟」

 

「ふむ、中々に出来ないことじゃの……お前さんホントにサトシやシゲルと同じ10歳か?それぐらいの年頃ならばもっと夢を見たり天狗になったりするもんじゃ。自分自身を追い込むのは早々に出来ぬぞ」

 

「慢心と言われても構わない、それぐらいの自信を得るためには死ぬ気で頑張るしかない……1の才能は100の努力に負けるかもしれへんけども1000の努力ならば勝る。しかし1000の努力をするのは並大抵の事やないとダメ……てっぺん目指したりてっぺんに近いところに至った人は皆、スゴいんやからコレぐらいの覚悟を決めないとダメですわ」

 

 夢や覚悟と現実を照らし合わせた結果、こうなっとる。その事に関して俺は微塵も後悔はしとらん。

 丸坊主も全ては1番になる為の行いで苦しかったり辛かったりするけれども嫌とは思わへん。楽しく成長出来るのが1番、好きでもない楽しくもない事で1番になることは難しいわ。

 

「さて、リンドウ……知っての通りワシは10歳になった子供に初心者向けのポケモンを渡して旅立たせておる」

 

 俺の覚悟と決意を知ったオーキド博士は本題に入りながら移動する。

 三角形になるように並んでいるモンスターボール、モンスターボールには【フシギダネ】【ヒトカゲ】【ゼニガメ】と刻まれとる。オーキド博士は3つのモンスターボールを手に取りポケモンを出した。

 

『ダネ!』

 

「【くさ】タイプのフシギダネ」

 

『カゲ!』

 

「【ほのお】タイプのヒトカゲ」

 

『ゼニ!』

 

「【みず】タイプのゼニガメ」

 

「ほぉ〜……生で見るのははじめて……」

 

 御三家は生息地が不明なポケモンで珍しいポケモンで生で見るのははじめて。

 初心者向けのポケモンは初心者向けに育てる業者が存在しとって、ある程度は育てたらポケモンを渡すポケモン研究者とかに渡しとる。ホウエン地方のオダマキ博士はタマゴから入手して自力で育て上げとるらしいけど、オーキド博士は業者から受け取って最後の調整をしとるみたいや。

 

「さて、どのポケモンにする?」

 

「オーキド博士、その前にポケモン図鑑を貰えますか?初心者向けの最初の3匹は珍しいポケモンなんで図鑑登録をしておきたいんですよ」

 

「なるほど……ほれ、ポケモン図鑑じゃ」

 

 オーキド博士から初代のポケモン図鑑を貰う。

 最新機種であるスマホロトムは大分先の話や……コレがポケモン図鑑、なんや最初の一歩を踏み出した感じがして嬉しいわ。

 

『フシギダネ、たねポケモン。生まれた時から背中に植物のタネがあって少しずつ大きく育つ』

 

 先ずはフシギダネ、次にヒトカゲ、最後にゼニガメを図鑑登録する。

 

 フシギダネ ♂

 

 とくせい【しんりょく】

 

【たいあたり】【なきごえ】【つるのむち】

 

 ヒトカゲ ♂

 

 とくせい【もうか】

 

【ひっかく】【にらみつける】【ひのこ】

 

 ゼニガメ ♂

 

 とくせい【げきりゅう】

 

【たいあたり】【しっぽをふる】【あわ】

 

「……オーキド博士、ポケモン図鑑ってポケモンの性格とか表示されへんのですね」

 

「なにを言っておる。ポケモン1体1体に個性が存在しておる。いじっぱりな性格でも甘いものが好きだ苦手だと異なるんじゃから、この性格だと判断する事は出来んじゃろ?」

 

「まぁ……そうですね」

 

 オーキド博士の言っている事は間違いやない。

 人間かて個性が色々とあって1つの枠に入れるのは難しいというもんや…………ということはアレか、性格補正的なのは無いか。まぁ、現実と違って性格補正的なのが無いんやったらそれはそれで好都合や。

 

「さて……俺は最強のポケモントレーナーを目指しとるんやけども、その為には絶対的な敵を倒さんとアカン……生半可な覚悟では倒す事が出来ひん相手や。やるからにはとことんやらなアカン……せやから確認しとく事がある。お前はポケモンバトルをしてくれるのか、そして進化をしてくれるのか」

 

 ポケモンにも個性がある。

 ポケモンバトルを好む個体も居ればポケモンコンテストを好む個体もおる。進化を望む個体もおれば進化を拒む個体もおる。

 仮にこの世界にアカシが居らんかったら遊んでたけども、この世界にはアカシはおる。アカシとはバチバチにやりあう関係性で進化を拒む個体とはポケモンバトルを本気でやろうとせえへん個体にゃ興味は無い。

 

「だから聞くわ、俺のポケモンとして一緒に戦ってくれるか…………ヒトカゲ」

 

 俺が欲しいポケモンはヒトカゲや。

 俺がサトシとシゲルの同期でフシギダネかヒトカゲのどっちかを選んだ子供やからヒトカゲが欲しいんやなくて純粋にリザードンが好きやからや。カントー地方の御三家の中で最も優秀なのはフシギバナかリザードンか……少なくともカメックスは無いわ。

 ゲームやったらメガシンカが無くなっとるけれども、この世界やとメガシンカもダイマックスもZワザもテラスタルも出来る。だったら第8世代で失ったリザードンのメガシンカが出来る筈や。

 

『…………カゲ!』

 

 少しだけヒトカゲに威圧感を放つ。

 ヒトカゲは一瞬だけたじろぐけど、直ぐに首を振って覚悟を決めたのだと差し伸べた手に触れる。

 

「よろしく頼むわ、ヒトカゲ。オーキド博士、俺はヒトカゲをもらいます」

 

「うむ!お前ならばきっと上手く育てる事ができる……ちょっと待っておれ」

 

 オーキド博士はモンスターボールを取り出してヒトカゲが入ったモンスターボールを置いてなにか機械を操作する。

 なにをしとるんやろ?

 

「モンスターボールの移し替えが終わったぞ」

 

「モンスターボールの移し替え?」

 

「ヒトカゲが入っておったモンスターボールはヒトカゲの名前が刻まれておる、じゃから名前が刻まれていないモンスターボールに移し替えたんじゃよ……この名前が刻まれているモンスターボール、使いまわししておるんじゃ」

 

「ほ〜そうなんすね……」

 

 まぁ、このヒトカゲがの名前が刻まれているボールを貰うのもなんかアカン気がするしそれでええか。

 オーキド博士はヒトカゲのモンスターボールを移し替えたので俺は移し替えたモンスターボールを手にする。本物のモンスターボール、夢にまで見たモンスターボール、そして最初のポケモンはヒトカゲ……か〜男のロマンやな。

 

「戻れ、ヒトカゲ…………おぉ〜……おぉ〜……」

 

 モンスターボールから光線が出ればヒトカゲがボールに戻った。

 ヒトカゲをボールに戻すことが出来たのでポケモンの世界に来た感じがしまくると高揚感が出てくる……ええな、ええな、この感じは。

 

「では、餞別のモンスターボール5個…………っと、お前さんにはコレを渡さなければならんかったの」

 

「誤作動とか起こらへんやんな?」

 

「大丈夫じゃ、ちゃんとシルフカンパニーが修理をしてくれた」

 

 オーキド博士は修理されたマスターボールを渡してくれる。

 誤作動とか起きたら割と大変なボール、メイドインシルフカンパニーやから一応の信頼は出来る。7個目のボールであるマスターボールを貰いコレでポケモントレーナーに必要不可欠な物は揃った。

 

「リンドウ」

 

「オカン…………」

 

 オーキド博士の研究所を出ればマサラタウンの人達とオカンが待ち構えていた。

 8名ぐらいであんまり親しくない人達やけれど俺がポケモントレーナーになってくれる事を喜んでくれとる。

 

「頑張って世界最強を目指しなさい!」

 

「……おう!」

 

「皆はシゲルくんを期待してるけども一泡吹かせるのよ!」

 

「あ〜やっぱそういうことか」

 

 マサラタウンは田舎やけどもクソ田舎やない。

 それなりには人がおるんやけども、俺の出発を見送ってくれる人は10人にも満たない。やっぱりオーキド博士の孫というネームバリューが強いんやろう。思い返してもシゲルの奴がマサラタウンの住民にアホほど囲まれて出発を見送られとったわ。

 

「……俺を応援してくれる皆、ちゃんと俺の事を見といてや!俺があっと驚かせたるわ!!」

 

 ほんの僅かな人達やけども俺の事を期待しとる……これでええ、これでええんや。

 大相撲を始めた頃の感覚を思い出す。学生横綱やけどもそもそもで相撲自体が人気が無くなっとる、やから俺を期待してくれる人はほんの僅かやけども、それでええ。期待されるのも悪くないけども、皆は最初からそないに期待してへん…………金星を手に入れる奴はスターの価値があるんや。

 

 だからこの少ない応援は呆れへん。

 むしろここから一気に応援してくれるファンを多く作る、先ずは俺の事を期待してくれとる人の期待に答える。そうして徐々に徐々にファンを作り上げる…………大相撲の横綱をやっとったから分かる、この最初の1歩は頂点へ近付く為の最初の1歩である事を。西川清史の言う通り、小さな事からコツコツとや。

 

「お〜い、コイキング出て来いや」

 

『コココココ!!』

 

 オーキド博士の研究所を後にすればマサラタウンの川に向かう。

 俺の声にコイキングは反応して川から顔を出すので俺はモンスターボールを投げるとコイキングは大きく【とびはねる】で跳び跳ねてモンスターボールに触れた……モンスターボールは反応してコイキングをボールに入れた。

 

「先ずは1体目のポケモンゲットや…………っと、一応は確認しとかなアカンな」

 

 遂にポケモンをゲットする事が出来たことを喜ぶけども、まだ自惚れるには早い。

 オーキド博士から貰ったばかりのポケモン図鑑を取り出す。アニメのポケモン図鑑はポケモンのデータを見ることが出来る便利な道具や。

 

 コイキング ♀

 

 とくせい【すいすい】

 

【はねる】【とびはねる】【たいあたり】【ハイドロポンプ】

 

「♀やったんか!?……………さてと……………早速、マスターボールには活躍して貰わなアカンな」

 

 マジで勝ちに行く。

 その為には色々とやらなあかんねんけども…………この機会を逃したら、マスターボールの使い所に困るわ。

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