「英雄よ……どういう神経してんだよ……」
「ふっ、我が全力投球を受け止める事が出来る男を認めただけだ!光栄に思え」
英雄がキャッチャーになるために必要なセット一式とバッドを送ってきた。
ホントにいきなり過ぎる、うちのクラスの濃い奴があんまり目立たない地味めな奴に絡んでると奇異の目で見られている。
「俺、まだチームに所属する云々すら言ってないんだけど」
「ああ、安心しろ!チームの費用等は我が持ってやる!なに、我が将来野球選手として貰える契約金と比較すれば端金と呼ぶことすら烏滸がましいぐらいの端金だ、気にするな」
「……葵」
「いいじゃありませんか……それともなにか藤太くん習い事を?揚羽さんが鍛えていると見抜いていましたが、川神男児らしく武道を嗜む者ですか?」
「いや……俺はアレだよ……武術は殺す技術云々であまり好きじゃないからな……活かす武術もあるけど俺は殺す方の派閥に居るタイプだから」
「じゃあ、やってやったらどうだ?」
「う〜ん、でもさぁ……多分期待を裏切ると思うよ?葵みたいにホントの意味で賢いタイプの人間じゃないし、井上みたいになんだかんだで勉強出来てるエリートじゃないから……エース腐らせたら九鬼のお姉さんに怒られそうだよ」
やることがないならやったらどうだと言う井上。
キャッチャーは投げるボールを決める人だ、1番活躍してるのはピッチャー、ピッチャーがいないと試合そのものが成立しないのは理解している。でもそのピッチャーを影で支えてるのはキャッチャーで、色々と考えないといけない。財閥の跡取りと医者の息子達と比べて根本的な学がな……九鬼のお姉さんがキレて殴りに来るタイプじゃないのは分かるけども怒られそうだ
「でもまぁ、やるだけやるよ……」
「では、休み時間に我の全力投球を受け止めるがいい!」
英雄はそう言うと自分の席に戻った。
「いやぁ、よかったですね……自分の本気を受け止めれる人が居ないのをそれなりに気にしてて……全力でやって負けたなら負けを認めれますが全力すら出せないのは友人として見ていて心を痛めてましたよ」
「そうだな……俺もそこそこ頑張ってみたんだがあいつにとっての軽めの投球もキャッチするのが精一杯だったからな……」
「お前等、俺に英雄を押し付けるとかそういうの考えてねえだろうな?」
「いえいえ……運動方面に関しては自信は無いですが
「怪我したら最高の病院と医者を紹介してやるよ」
色々とキャラが濃い英雄を押し付けるとかそういう事は企んでいない。
葵も井上も九鬼英雄を九鬼としてではなく英雄として見ておりなんだかんだで受け入れている。器として大きいな。
そんなこんなで授業が始まりあっという間に休み時間になった。英雄から貰ったキャッチャーミットを手にして構える
「藤太、せめてキャッチャーマスクを」
「大丈夫だ……俺は英雄の全力を受け止めないといけない。英雄の全力は今の段階で小学生としては破格だろうが中学生基準では高校生基準では普通になる。だったらそれを当たり前の如く受け止める事が出来るぐらいにはならないと」
「よく言った!では、我の本気を受け止めるがいい!!」
キャッチャーマスクを被ったほうがいいんじゃないのかと井上は言ってくるが、英雄のボールぐらいならば無しでも簡単に掴める。
今の段階で時速130kmを出すとかいうとんでもない奴だが中学やプロの世界では時速130km以上は当たり前の世界だ、だったら今の段階の英雄のボールをマスク無しでキャッチする事が出来るぐらいにはならないといけない。
英雄は嬉しそうにボールを投げている。心なしか試合をしていた時よりも生き生きとしている。九鬼のお姉さんが物凄く痛い拳骨を叩き落としてきた、九鬼のお姉さんは武道を嗜んでいるとかいうレベルじゃないぐらいの人だろう。そんな弟の英雄も鍛えれば凄いことになるだろうが当人は野球選手を目指している。体格が既に小学生の枠を外れていないのに時速130kmのボールを投げてくるから英雄が規格外なのはよく分かる。
「しっかし、驚いたな……お前、かなり出来る奴だったのを……体育の授業とかで活躍してるの九鬼だし女の子にワーキャー言われてるの若だし、どっちかと言うと目立たないタイプでそれぐらいの能力とかと思ってたんだが……」
そんなこんなで放課後、英雄はお迎えが来たので帰った。
財閥の跡取りで長男と言う立ち位置にあり将来の夢は野球選手な彼は野球選手引退後は九鬼を引き継げ云々があるらしく帝王学とかを学んでるとか学んでないとか。お坊ちゃんは大変なんだなと思っていると帰り道で井上が俺が凄かった事に関して意外そうにしている。
「う〜ん、まぁ、俺は別に腕自慢とかそういうことには興味無い、俺の友達もそういうのにあんまり興味無いタイプだ……けど、鍛えておかないといけないなって……」
「川神院の人を真似するのはあまりいいことではありませんよ」
「葵……隣の小学校にその川神院の偉い人の孫娘が通ってて一般人相手に喧嘩したって話聞いてねえのか?」
「ああ、その話なら聞いたことはありますね……鉄心さん、川神院の総代が一般人に下手に手を上げちゃいけないと怒っていたのも小耳に挟みました」
「この街、川神市は世界のKAWAKAMIとか言われてて色々とおかしなことになってる。親不孝通りなんて厄介な名前の場所があったりとか物騒な一面もあるわけで…………鍛えておかなきゃ厄介だろう……」
いや、ホントにね……色々と物騒だったり厄介だったりするんだよこの街は。
葵や井上はエリートな血筋でエリート街道行くし口も上手いけども、俺はあんまり……いや、すごい血筋だけども。
最後に頼りになるのは己の肉体のみ……おかしいよな、平成でそんな物騒な世の中になってるとかホントにおかしいよな。
「藤太くん……実は揚羽さんの拳、なんとか出来たのでは?」
「葵……ああいうのは1回やらかした側の住人になれば大人しくなるだろ?」
「……お前、何気に黒いな」
「井上、あんな凶器同然の拳骨を使ってくる人を相手にバトルしたいか?」
「ゲーム的な意味だったら挑戦したいけど、リアルじゃ一方的に蹂躙されるから嫌だわ」
九鬼のお姉さんの拳を回避したり受け止めたりは出来なくもないのだが、それをすれば余計に目をつけられる。
強い相手だ、面白い!とかそういう感じの展開は嫌だよ……いや、別に戦うことになったらそれはそれで仕方無いと受け入れるけどもあのノリな人はあんまり相手にしたくないんだ。
秘密にしといてくれよと言えば分かったとすんなりと受け入れてくれる。九鬼のお姉さんが強すぎてそれを相手にするのは大変なのは傍から見ても分かることだからだろう。
家に帰れば母さんと父さんに野球チームに入れられた事を伝えた、その事に関しては特にああだこうだ言ってこない……
「トレーニングは欠かさない、頼まれた以上は野球をやる」
父さんと母さんはああだこうだ言ってこない。しかし……転生特典の1つである黄金のマスクはなにかを言ってくるかもしれない。
手から波ァ!が出来るのが当たり前にいる世界なので鍛えておかなきゃならないが野球をやろうと思っていることを伝えたが特になにかを言ってくることは無かった。取り敢えずは黄金のマスクの横にコロッケをお供え物として置いておき米俵を担ぐ。
「いーーち……にーーーい……さーーーん……」
河川敷をグルリと一周し終えたので米俵を担いでスクワットをする。
ゆっくりとしたスクワット……なんか……スクワットをやれと頭の中にスクワットのやり方が流れ込んできた。
黄金のマスクが気を利かせてくれているんだろうと米俵を担いでスクワットをしている……絵面が酷いが仕方がない。
まだ小学生の肉体なので無理は出来ないとノルマのメニューを終えれば……瞑想をする……気を感じるとか言うアレをしている。
既に誤魔化さない限りは相手の内包している気を感じる事が出来るようになっている……川神院から感じ取れる気は年々増加しているから恐ろしい。その内に気の探知とかやってきそうだから気を誤魔化す技術を使っとかないといけない……ん?割と近くに衰弱してる気があるな。
「ねぇ、ましゅまろたべる?」
「……」
可愛らしい声と可愛らしい見た目の女の子がそこにはいた。
マシュマロを食べるのかと差し出してくる。マシュマロは食べたいなと貰うがしょっぱかった。こう、マシュマロの楕円形の形のイメージがあるが潰れている。
「…………大丈夫、か?」
「え?」
よく分からんが衰弱している女の子を心配してみる。
衰弱している、病弱とかそういう感じじゃないのだが空元気を見せている。
「ねぇねぇ、遊ぼうよ」
「構わないぞ」
「…………え?」
から元気を見せている女の子が遊びに誘ってくれた。
遊ぼうと言われたので遊ぶ、断る理由は特には無いので遊ぼうと言ってくる女の子の誘いに乗れば女の子は固まった。
断られるとでも思っていた、断られて当然だと思っていた……そんな感じなのか?
「なに驚いてるんだ、遊ぶんだろ……っと、遊び道具が無いな……しりとりでもするか?」
「うん……マシュマロ」
「ロールスロイス」
「スイカ」
「カマキリ」
「リール」
「ルール」
「ルビー」
「ビール」
「ルービックキューブ」
「VTR」
「留守番電話」
「ワニ」
「ニワ」
「輪!」
「ワット」
「トマト!」
「トンネル」
「むーっ!」
「どうした?」
「さっきからるばっか!」
「そうしてるからな……違う遊びにするか?」
「うん……えっと……えっとね……」
「ゆっくりで構わないぞ」
女の子相手にるで攻めているとむくれてしまった。違う遊びにするかといえばすると決めたのでなににするのかを考える。
いっぱい遊びたいという思いは通じるがゆっくりとしてくれて構わないんだよとゆっくりと考えさせた結果、鬼ごっこをすることに。
2人だけでの鬼ごっこは楽しいのかと思ったがまぁ、楽しそうならそれはそれで構わないことかと思ったが……女の子、めっちゃ速い……いや、九鬼のお姉さんの拳骨の速度じゃないがそれでもホントに衰弱してるのか?そう思えるぐらいには早かった。
一応は鍛えているから手加減しておくがそれでもタッチする事が出来ている……この子もアレか、武士娘とか言うのになれる素質があるのか。
「えへへ……ねぇ、明日も遊んでくれる?」
「構わないが……………………なにを無理している?」
「………………え?」
「だからさっきからなにを無理してるんだ?」
女の子は元気になっているが気は衰弱している。
元気にしている、嬉しいという感情は伝わってきているが無理をしているという感情も伝わってきている。
「…………何でもないよ……」
「……助けてって言わないのか?」
「……言ったら助けてくれるの?」
「俺に出来るのは悪い奴をぶん殴るのとお腹を満たす事ぐらいだ」
「……………そっか……」
俺が出来るのは悪い奴をぶん殴る、それとお腹を満たす。
女の子は助けてほしいという目をしている、それと同時に何かを思っている。なにを思っているのか?
色々と歪んでいるせいで分からない、でも歪である事は確かだろう。
「じゃあ、また明日遊ぼうね」
「…………明日は俺の友達を連れてきていいか?」
「うん」
女の子とまた遊ぶ約束をした。
天帝vs童子切を連載化したいんだが
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連載見てみたい
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短編集にだけしとけ