「お〜……ん?」
「どうしたんだ?」
「いや、アイツは確か同じ学年の奴だった筈だ」
女の子との約束通りまた遊ぶことになった。
今度は葵と井上を連れてきて女の子を見たのだが井上が学校の奴だと気付く。
うちの学年、主に英雄のキャラが濃いので濃いキャラの面々しか印象的に無いからな。
「藤太くんも隅に置けませんね、こんな愛くるしい娘と遊ぶだなんて」
「葵、その歳で色香を楽しむのはどうかと思うぞ」
「えっと……」
「俺は井上準、こっちは若……じゃなくて葵冬馬だ」
「よろしくお願いしますね……」
「僕は小雪だよ」
「さて、なにをして遊びますか?」
「シンプルに的あてはどうだろうか?空き缶を拾ったからピンポン玉で投げる」
「お、面白そうだな」
昨日と違って遊び道具と何時もの米俵を持って来ている。
葵は一応は体育は華麗に熟しているが英雄みたいに物凄く運動神経抜群とかではない、運動能力で優劣が決まる物は無しにしようとその辺に落ちていた空き缶やペッドボトルを的にしてピンポン玉で当てる的当ての遊びをする。
「いっくよ〜、えい!!」
「ふむ…………こうだな」
「っておい、一球投擲で跳弾で全部落とすとか反則だろう!」
「なにを言うか!その気になれば弓矢で跳弾も出来るぞ!」
「弓矢…………藤太くん、弓道をなさってるのですか?」
「ん、まぁ、自衛の手段の為にな……ほら、今回はこんな風に弓も持ってきているぞ」
「お〜スゴいスゴい!引っ張ってみてもいい?」
「構わんぞ」
「ふんんんん!!………か、硬いよぉ」
「5人張りの弓だからな!」
「藤太、弓だけ持ってても意味なくねぇか?」
「いやいや、弓だけあっても問題は無いさ」
楽しく4人で遊びながらも持ってきた弓を見せる。小雪が弓を構えて弦を引こうとするがうんともすんとも言わない。
井上が肝心の矢が何処にもない事に気付き弓だけでは意味が無いんじゃないのかと言うが俺にとっては弓があればそれで構わん。
まぁ、矢があるのならばそれはそれで構わんがな。
「しかし藤太くん、常に米俵を持っているのですね」
「なに、コイツは出所は言えないが由緒正しい米俵でな……米俵に見えてバナナが入っている」
「いや、米じゃないのかよ!?」
「スゴく大きくて……立派です」
「若、そういう事言わないでくれる!?……にしてもバナナが入ってるのか」
「ねぇねぇ、食べてもいい?」
「好きなだけ食べればいい」
米俵からバナナを取り出せば下ネタを言う葵。
思春期が物凄く早くにやってきていることに井上が困り果ててれば小雪がバナナを食べたいと言うので食べさせる。
それと同時にピロリロリンと音が鳴った。なんの音かと思えば携帯の音であり葵が携帯を取り出して耳を傾けた
「もしもし……え?……ああ、はい、分かりました……準、帰らなければならなくなりました」
「……そうか……このバナナ美味いな……今までで1番のバナナ、何処産だ?完熟バナナか?」
「準」
「はいはいっと……藤太、お前そろそろバットの素振りしとけよ。キャッチャーとしてスゴくても打つことが出来なきゃ意味がねえんだからさ」
「ああ、それもそうだな……小雪、またな」
「あ……うん……」
バナナを食べ終えていた井上と葵は帰る。井上は俺にバットの素振りしとけよというので俺も帰る……フリをした。
一旦解散したフリをして3人でまた集まった。
理由は小雪がなんなのか確かめる為だ、生憎な事に俺は知恵に長けているわけではないので葵と井上に助けを求めた。
「悪い奴が居るのならば腹が減っているのならばどうにかすることが出来るんだが……すまないな」
「いえ、気にしないでください」
「そうそう……しかし…………ありゃ厄介だな」
「ええ、厄介ですね」
「む……具体的にはどの辺が厄介なんだ?いや、何かを隠しているのは理解しているんだが」
「彼女、虐待されてますよ」
葵と井上が厄介な事だと頷いているのでどの辺が厄介なことなのかと聞けば葵は言っていいのかと悩みながらも虐待されている事を言った。
「ユキの服の裏にかなりの痣が出来ている……子どもじゃつけられねえ傷だよありゃ」
「いじめじゃなくて虐待なのか」
「あの娘が同じ学校の同じ学年なら誰かにいじめられているという情報ならば僕の耳に入ってますからね、そういうことだったら藤太くんの言うようにいじめっ子を倒せばいいだけです。ですがコレは非常に厄介な事なのです」
「……虐待ならば児童相談所とか言うのに相談すればいいだろう?」
「それで上手く行くなら若が頭を悩まさねえって……最近の親は児童相談所に虐待がバレねえ様に上手く虐待する……コイツはあくまでも医者の息子としての勘だが一番最悪なケースだ」
「虐待に最悪もなにもあるのか?」
「あるんですよ、それが」
虐待をしている時点でどう足掻いてもクソ野郎にしか見えないのだが最悪なケースかも知れないと2人の顔が曇っている。
井上の言うように親が虐待をしているのを上手に隠しているパターンなのかと思ったのだが、それならばどれだけ良かったかと深刻な顔をしている。
「ユキの奴が親の事を大好きだと思っているパターンだ」
「……そんなケースがあるのか?」
「子どもにとって親は絶対の存在です、僕や準にとっても親は偉大で絶対の存在です。親だからを理由に様々な壁を作ってしまっている、例え虐待されてても機嫌が良ければ優しくなりこの人はホントは優しい人なのだと錯覚してしまう、特に物事の善悪を理解しようとしている段階の今ぐらいの年頃ならば見た目が悪いけど実は中身が良い人等を理解したりする……虐待を上手く隠し更には親だからと思わせる、この手の問題は児童相談所に相談するよりも警察に相談した方が良いかもしれません」
「……警察か……この手の事は民事不介入とか現行犯で捕まえないといけないとかややこしそうなイメージがあるんだがな……」
親だから逆らってはいけない、親だからと色々と壁を作っている。
そういう考えを持っているのは極々自然な事でコレから親から独立した思春期や反抗期を迎える感じになっている。それになる前に親は絶対だと意識を植え付けている……だから親に逆らうに逆らえない……一種の洗脳教育だな。
「ええ、上手いこと言ってなんだかんだで誤魔化される可能性は高いです」
「そういうのが原因で大怪我を負わされた奴はかなりいるからな……」
「でもさ…………あいつ、助けてってホントは言いたいんだと思ってるよ……親だからと言う思いが邪魔して助けてって言えない……はぁ……助けてって言ってくれたらそれで助けるんだがな」
「って、助けてって言わなくちゃ助けねえのか!?」
「いや、助けたいとは思っているぞ。だが、俺は葵の様に頭を使っての行動は出来ない。殴って解決することしか出来ないんだ……いや、すまん」
助けようと思えば助けることが出来るがそれはシンプルに暴力を振るっての解決だ。
別にそれで暴力を振るう事に関してはなんとも思わない、しかし暴力で解決するのは基本的には最終手段、最後の手だ。
「……藤太くん、君ならあの子を助けれると?」
「力技を用いていいのならば救える……だが、それはあくまでも虐待をしている馬鹿をボコボコにすることが出来るという意味合いだ。その後にしないといけないアフターケアは精々腹いっぱいにご飯を食べさせてやるぐらいだ。小雪を実の子供の様に愛してくれる里親探しとかそういうのは出来ない……ホントに大事なのはその辺だと俺は思うんだ、いや、大好きな親をボコボコにして嫌われる覚悟ぐらいは出来ているが、生憎な事にその後のアフターケアは出来ないんだ……悪人をぶっ飛ばすぐらいならば出来るんだが」
「……分かりました、藤太くん。彼女を助けましょう……アフターケアの方は僕と準がなんとかします……ですがその為の最初の一歩、それが僕達にはどうにも出来ません」
「そこを暴力で解決か……いや、そうしても人は変わらないか」
本当ならば最初の一歩は、助けてという言葉は自分自身で言わないといけない。
その言葉だけは嘘偽りなく自分がハッキリと言わなければならないのだがそこの部分を暴力で解決しようとしている。
アフターケアをしっかりするのならばそこも上手く出来ないといけないんじゃないのかと思うが残念ながら俺達は神様じゃないんだ。
「じゃあ、先ずはユキが何処に住んでるか探し出すところだな」
「ああ、それならば小雪の気を最初から探知しているから尾行すればどうにかなるはずだろう」
「……気を探知って、お前そんな事も出来たのか?」
「目をつけられると厄介だから九鬼のお姉さんには内緒にしといてくれよ……っと、ホントにすまないが一旦家に帰らせてもらうぞ。人を救う為に人を傷つけるのだからそれ相応の覚悟はいる。ましては親から子を奪う、文字だけにすれば外道の行いだ」
こっちも色々と覚悟を決めなければならない……いや、ホントにな。
今直ぐにサッと行ってサッと解決する事が出来ないのが少しだけ残念だが家に帰れば供え物と一緒に添えてある黄金のマスクを手にする。
「いや、なんかすみません。ちょっとゴタゴタに巻き込んで……上手く解決する事が出来ないのでこうしようと思いましてね」
黄金のマスクを手にして米俵と弓と一緒に担いで井上達のもとに向かう。
小雪をコッソリと尾行する事に成功しており小雪の家を、アパートを割り当てることが出来ていた
「う〜ん……こりゃいかんな」
「虐待は家の中で行われる事だから証拠は掴めないからな」
「いや、小雪の気が衰弱していてその直ぐ隣で邪気を感じる」
「藤太くん、それは大変な事ではないのですか!?」
「ちょっと待っていろ……アルティメットアイ!」
こんな時を想定して俺は黄金のマスクを持ってきたんだ。
黄金のマスクを被ってアルティメットアイと叫べばアパートの中を透視する。
邪気を感じるやつが小雪を殴っていた。コレは……嫌悪感を剥き出しにしている。嫌悪感を剥き出しにし憎悪を剥き出しにしている。
育児ノイローゼとかいう感じの精神的な病とかじゃない、純粋に憎んでいる。
「仕方がない……この街でこういうのをすれば後々厄介だが言ってる場合じゃないな」
「何をする気だ?」
「なに言っただろう、悪人退治ならばどうにか出来ると」
持ってきておいて正解だったと弓を構える。
矢を一切持っていないのに弓なんて持ってどうする気なんだと井上は疑問を抱くのだが俺は気にせずに5人張りの弓の弦を引いて……手を離した瞬間小雪が住んでいる部屋の玄関のドアが破壊された。
「嘘だろ!?」
「いくぞ!」
なにをやったのか分からないと驚いているのだが気にしている場合じゃない。
急いで乗り込むのだと乗り込みに行けば小雪が思いっきりお腹を蹴られていた。
「とう、た…………」
「…………酷い怪我だな」
「………」
「なんだお前達は?家の玄関のドアを壊したのはお前達か……そうか……小雪、お前が引き込んだんだな?……お前のせいで!!お前さえいなければ!!お前なんか生まれなければ!!」
「まずい!包丁を手にしやがった!!」
「俵がドーン!!」
小雪の母親らしき人物が怒りに身を任せて包丁を握った。
コレはまずいと井上が叫ぶのだが俺は迷いなく俵を投げた。母親は俵に命中して意識を失う
「やぁーっ!!やめて!!藤太、やめて!!」
「…………ホントにそう思ってんのか?」
腹に蹴りを入れてやろうと思ったら小雪が前に出てきた。
母親を庇う真似をしているのだが震えている、俺が怖いからではない、母親が傷付いてるのが嫌だからでもない。
じゃあなにに対して震えているのか、それは分からない方がいいことだったりするのだが小雪にホントにそう思ってるのか聞けば……小雪はポロポロと涙を流した。
「…………うわぁあああああん!!!」
「……藤太、今うちの病院の人達を呼びました……先ずは怪我を治療しましょう」
「…………葵、コレは治せる怪我なのか?」
「なにを言い出すのかと思えば……僕と準は医者の息子ですよ……だったら、時間がかかってもユキを治します」
自分の中のなにかが壊れて涙をポロポロと流しては意識を失った小雪
葵は自分のところの医者に頼んだのが治せる怪我なのかを聞いてみたが医者の息子の名に誓って治してみると断言した。
その後はまぁ、警察が来たりした。虐待している怪我の跡と診断書があればどうにかなるからその辺のアフターケアは任せておけと葵がとても頼りになったとだけ言える。
天帝vs童子切を連載化したいんだが
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連載見てみたい
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短編集にだけしとけ