「……ん?……ここ、何処?」
「お、目を覚ましたか」
僕はお母さんに叩かれて蹴られて……それで……なんだっけ?
途中からなんにも覚えてない……何時もの事だけど、なんだか何時もじゃない気がする。
だってなんか将来ハゲになりそうな人が目を覚ましたって聞いてくる。僕が起きると何時も誰も居なかったのに、誰かが居る。それだけでおかしい。
「…………誰?」
「誰って一緒に遊んだ……ああ、そうか……壊れちまったんだな……」
誰かは分からないから聞いてみる。聞いてみたら驚かれたけど、誰かわかんないから仕方ないもん。
なにかのボタンを押せば僕と同じぐらいの年頃の男の子と
「トータ……」
藤太が居た。2人は誰だか分からないけど、トータだけは分かる。
トータの名前を呼べば無言になっている、トータはなんか辛そうな顔をしている。
なにを言えばいいんだろう、何時ものマシュマロはなんでか無い……どうしようと思っているとお腹が鳴った。
「ハッハッハ、寝て起きては腹が減ったか」
「うん……トータ、マシュマロ無い?」
「こらこら、栄養失調な奴が変な物を食うんじゃない」
「変じゃないもん!マシュマロは美味しいもん!」
「ならば、それよりも極上の物を味合わせようじゃないか!」
お腹が空いたからマシュマロがないのか聞いたけど無いみたい。
僕はマシュマロが大好き、それだけはハッキリと言えるんだからと言うけれどもトータは笑いながら米俵を担いだ。
「葵、いきなり豪勢な飯よりも素朴な飯の方がいいよな?」
「ええ、まぁ、曲がりなりにも病人ですからね……バナナですか?」
「バナナも良いが日本人ならばコレしかないだろう!美味しいお米がちょこっとちょこっと!」
「その見た目でそんだけ!?」
「いや、この部屋を米のみで満たす事が出来なくもないが食べ物を粗末にするのはあまりな……如何に無尽蔵とはいえ罪悪感はあるさ」
将来ハゲてそうな人がトータが米俵から出したボクで一掴み出来そうなぐらいのお米を見て驚いた。
とってもおっきい米俵だからお米が沢山入っていると思ってたけどほんの少ししか入ってない。でもトータが言うにはいっぱいあるみたい。
「このお米でお粥を作る…………俺はどちらかと言えばおにぎり派なのだがな」
「おにぎりを嫌いな日本人は聞いたことないですね」
「そうだな……結局大事なのはふるさとの味……」
「準、僕達川神市民ですよ」
「おっと、そうだった……じゃあ、ナースに頼んで時間かけて作ってもらうか」
「……ねぇ……ここ、何処?」
ボクの事を心配してくれるトータ達。
こんなに優しくしてくれて嬉しいけど…………ここが何処なのか分からない。それを聞けば3人は黙った。
ここが何処なのか答えることなんて3人にとって簡単な事なのに、それなのに答えてくれない。どうして?
「…………ユキ」
「葵、やったのは俺だ、憎まれるのも俺なのが道理だ」
「ですが」
「小雪、俺達は悪者退治をした。その悪者は自分の娘をいたぶっていた。その娘は助けてという言葉を言い出すことが出来なかった。故に身勝手な正義を実行させてもらった」
「あ………………あ、ぁああああああああ!?!!???」
思い出した。トータ達が家に乗り込んできた。お母さんを傷つけた。
ボクのお母さんを傷つけた。トータが自慢の米俵を投げつけてきた。お母さんに殴られる……ううん
「お母さんをよくも……よくも……」
「それがお前の本心ならば幾らでも拳は受けてやる……お前の本心ならばだ」
お母さんを傷つけた。許さない許せない、許すわけにはかない。
トータなんて大嫌いだと言いたくなったけどもトータがホントにそう思っているのならばと言えば……ポロポロと涙が出てきた。
ボクはお母さんが大好きだった。お母さんに殴られても生まれるなと言われてもボクはお母さんが大好きだった……それなのにそれなのにトータが憎めなかった。
「……あ、あああ……ぁあああああ!!!」
「っ、まずい!発狂した!」
「大丈夫だ、こんな事もあろうかと鐘を持ってきた!清い音色がドーンドーン!!」
どうして?なんで?トータは、トータ達はお母さんを傷つけた。
ここには居ないけどきっと酷いことをしたに違いない。だからトータを思いっきり殴ってやらないと気が済まない……そんな筈なのにボクは叫ぶしかなかった。準が叫んでいるボクを見て慌てているけどトータが鐘を取り出して鳴らせば気持ちが落ち着いた
「トータ…………」
「もう一度聞く、お前はなにを思っている?」
「………………………助けて…………………」
「その言葉を待っていた……しかし……俺に出来る事はもう無いな……日頃から鍛えているが残りは葵と井上に任せなければならない、情けない」
「構いませんよ、僕達だって力になりたいんですよ」
「そうだ……ホントにどうしようもねえ、その言葉を聞き出すことが出来たのはお前のおかげだぞ藤太」
やっとの思いで言えた……トータ達もその言葉をずっと待ってくれていた。
ボクが助けてって言うその時を……ボクはお母さんが大好き……ううん、大好きだった……
「トータ」
「なんだ?」
「えいっ!!」
「おっと……どうした?腹が空いて限界を迎えたか?」
「ボクからお母さんを奪ったことはボクは許さないよ……でも、それ以上に……ありがとう……」
「そうか」
多分、ううん、ボクは絶対にトータを許さない。ボクからお母さんを奪ったことを。
でも、それ以上に感謝している。トータはボクを助けてくれた。助けてって言葉をやっと言えた、言うことが出来たらスゴく楽になった。更にお腹が空いた……病院の人が持ってきてくれたお粥はボクが今まで食べたものの中で一番暖かかった。
※
「…………親子の泥沼は大変だな……」
「ええ、そうですね」
小雪が目を覚ませば予想通り小雪に恨まれた。
そうなって仕方がない事をしたのだから当然だと思っているが小雪は一発俺を殴っただけで終わらせてくれた。
ずっと言う事が出来なかった助けての一言を言うことが出来て胸の中が更に軽くなった……しかしまぁ、こっちは余計に気分が落ち込んだ。小雪が虐待されていた理由を葵から聞かされた。小雪は世に言うアルビノと呼ばれるやつで親と全く似ていない、そのせいで母親が色々言われたり自分の娘じゃないと思い込んで暴力を振るっていたらしい。
「ホントによかったよ……その一言が聞き出せてさ、コレも藤太のおかげだ」
「なにを言い出すのかと思えば俺はその場しのぎの事をしただけだ……ここから小雪が立ち上って歩いていくことが出来るかどうか、そこが重要なんじゃないのか?」
「それなら大丈夫ですよ、ユキを引き取りたいという榊原と言ううちの病院に勤めている夫婦が……」
「アフターケア早いなぁ……」
小雪の親は刑務所に行った。葵が徹底的にやってくれた。
医者の息子だから診断書の偽造の1つや2つ簡単なこと、もっとも今回はホントに虐待をされていたから偽造ではない。
徹底的にやってくれたが今度は小雪が立ち上がれるかどうかを心配していたのだが早速小雪を養子にしたいという人を見つけたという、物凄くアフターケアが早いなと思った。
「そういや、アパートのドアを撃ち抜いたのなにか言われねえかな……俺達警察でもなんでもないのに」
「…………弁償しろとか大家に言われたら怖いな………………見に行ってみるか」
「そうですね……噂が広まるのも色々と厄介になりますしね」
井上がアパートのドアをぶち抜いた事を思い出す。
勝手な事をしてしまった事に関して今更ながら色々とヤバいんじゃないのかと思い小雪が住んでいたアパートに向かう。
子供の虐待は如何にKAWAKAMIと言えども事件の1つ、テレビで報道されたりしたら色々と大変だなと向かえば……1人の女の子が居た。
「………………だ、大丈夫か?なんかさらなる問題に発展してないか!?」
警察のテープとか色々とあるかと思ったがその辺のゴタゴタは全て終わらせてくれたみたいだ。
葵がスゴい優秀だなと思うがなんか女の子が立っている……なにしてんだ?と思っていると振り向いた。
「なんだ、お前達?」
「なんだと言われても……事件現場見に来たとしか……」
「っ、知っているのか!ここでなにがあったのか!」
「……お前には関係無い話だ」
1人の女の子がなにがあったのかを教えろと言ってきたがこの件に関しては教えてはいけない事だ。
虐待されている子が居たので助けたと美談に聞こえるが虐待されている子が居た云々はサラッと流してはいけないことだ。
関係無い話だと冷たく突き放せば女の子がイラッとしたが怒りを抑えた後にビシッと指を指した。
「コレをやったのは何処のどいつだ!!」
「…………コレって……ドアを破壊したって事か?」
「ああ、そうだ」
「残念ですが僕達も知りませんよ」
女の子がドアを破壊した事に関して聞いてくるが葵が知らないと言ってくる。
俺が壊したことを内緒にしてくれよと頼んでいるのだから知らぬ存ぜぬで通してくれるのだが怪しいと女の子が疑いの視線を向けてきて……俺達3人を吟味した後に俺に対して拳を振るってきた。またこのパターンなのかと思えば俺は拳を受けた。
「へゔぁ!?」
「藤太!おい、藤太!?」
「藤太くん、大丈夫ですか!?」
「……なんだ、お前じゃないのか……」
痛い……ホントに痛いよ。九鬼のお姉さんの拳骨よりはまだマシいや、同じぐらいに痛い。
俺を殴ってきたのになんの悪びれもしない、なんなの?九鬼のお姉さんもそうだけども好戦的過ぎないか!?
「百代、お前ついにやりおったな」
「っげ!?」
「貴方は……川神院の……」
「藤太、大丈夫か?」
「痛い……………」
「っむ?…………百代よ、来月の小遣いは抜きじゃ!」
「なっ……」
「それと罰として1人で寺院を掃除せい!」
「そ、そんな」
「いいからとっとろ川神院に帰れ!」
女の子の祖父……お爺さんが出てきたと思えば女の子は驚いた顔をしている。
小遣い抜きと罰当番として掃除しろと言われてこっちを恨んだかの様な目線を向けながらもこの場を去っていった。
「すまんな、うちの孫娘が……」
「えっと……川神院の偉い人だよな?」
「うむ、その認識で間違いないぞ」
「…………最初から見てたな?」
「むっ…………気付いておったか」
「藤太くん、どういうことですか?」
「どういう事もなにも、あの女の事をコッソリと監視してた」
川神院の偉い人ことお爺さんはコッソリと孫娘を監視していた。
孫娘が俺を殴り飛ばした瞬間に都合良く出てきた、そんなわけがあるかと試しに聞いてみれば予想通り最初から見ていたみたいだ。
コッソリと孫娘を監視していた……
「数日前に感じた気の動き、ここに強い奴が居るのだと感じて来たんじゃ……百代がの」
「……じゃあなんでコッソリと監視してんだよ?」
孫娘の事を監視していたので何をしていたのかと聞けば数日前の一矢について気付いたみたいでコッソリと監視していた。
なんでコッソリと監視していたのかと聞いてみる。
「いや、なに少し前に百代がの……小学校のガキ大将をボコボコにしたりしたんじゃよ」
「……ああ、それならば噂に聞きましたね」
「なんかのグループに所属しているとか聞いたな」
葵と井上が川神院の孫娘の噂について聞いていると頷いた。
「最近メキメキと頭角を現しており既に一般人、特に小学生のガキ大将なんかは簡単にボコボコに出来てしまう。そんな中で不思議な気を感じた…………お前さんじゃろ?」
「……なんのことだ?」
「隠さなくてもよい、百代は気を探知することが出来るようになって間もないせいで気付いておらんがワシは気の種類ぐらいは読める。あの時に僅かに感じ取った強い気と同質の気をお前さんは秘めているな……ホントは百代の拳をどうにかすることが出来たんじゃろ?」
「ノーコメント……で、なにをしにきたの?」
「何者なのかを確認しに来ただけじゃ、取って食わんわ……」
「先に言っとくが俺は武術を暴力を効率良く突き詰めた殺す技術だと認識してる、この街がこんな街であんたの孫娘みたいな物騒なのが居るから鍛えてるだけで分かり合うための戦いとか己を高めるための戦いとかそういうのはしないぞ……ライバル的なのにもならないからな。暴力極めるぐらいなら美味い飯を食わせる方法の1つや2つを考えるからな」
最近孫娘がお転婆で困っているだなんだの言っている。
俺で孫娘を制御しようとかそういうのを考えていると言うのならば俺は協力は一切しない。
「むっ…………そうか……」
「爺さん、少しは否定しろよ……」
「ハッハッハ……出来れば百代と良いライバルになってくれればいいがの……」
川神院の偉い人こと川神鉄心が恐ろしいことを言ってきたが俺はガン無視する。
天帝vs童子切を連載化したいんだが
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連載見てみたい
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短編集にだけしとけ