「いや〜助かった。マジで助かったわ」
「いやいや、礼を言われるほどではないです」
九鬼家のニューヨークの別荘に居る。いや、別荘か?別荘なのか?
九鬼家が滞在しているホテル……じゃないし九鬼個人の所有物でガッチガチの警戒態勢に入っている。
そんな中で現れたのは九鬼帝、写真で見たことがあるが九鬼財閥で一番偉い人で英雄の親父さんだ。息子がテロの現場に居合わせたどころかテロの標的にされたと聞いて駆け付けてきた。
「敵の標的、英雄だったけどもあそこには色んな業界の重鎮が居たりしたからな……誰か1人でも仕留める事が出来たら儲け物な世界で敵さんも敵さんで結構ガチだったわ」
「ガチだった?……いや、英雄とか重役を狙うからガチなのは分かるけども」
「まぁ、分かりやすく言えば川神院みたいなバリバリ武闘派な武術団体が裏で手引きしてた的な……英雄の護衛役に充分なの雇ってるのにも関わらず、いや、英雄だけじゃない。他の連中もなんだかんだで腕利きの傭兵を雇っているにも関わらず五分五分の戦いだった、防衛戦で誰か1人でも怪我させた時点で色々とこっちが詰むから五分五分と言うなの七三ぐらいだな」
「そ、そんなに危なかったのか?…………やはり外国は怖いな」
外国は怖いところだというのはなんとなくで理解しているが、外国がここまで怖いとは思いもしなかった。
日本に来た外国人に対して通訳の仕事をしたいと通訳家の仕事に就きたいよっちゃんには申し訳無いが俺は外国が更に苦手になった。
「英雄の方は大丈夫なのか?……家柄的に狙われる立ち位置にあるとはいえ実際に狙われて事件が起きた。その現場で英雄はなにも出来なくて悔しそうにしていた……護衛役の傭兵達が血みどろになっているのを見ては気分が悪かろう」
「なに、それぐらい乗り越えてこそ俺の息子だ……お前が戦える奴で心底良かったと思ってる。ただ単純に野球が上手いだけの奴だったら真っ先に死んでる、そうなりゃ英雄は一生立ち直れない」
「良かったと安堵してくれることは構わんが俺は事件に巻き込まれた人間なのだが……」
いや、ホントにこんな世界だから備えておいて良かったと今日ほど思ったことはないぞ。
川神も物騒だが外国はもっと物騒だ。もし誰かと結婚したら国内旅行の美味しいものを、よっちゃんなら東京のホントに美味い店や求めている味を知ってるからな。
「でよ……聞きたいんだが……お前何者なの?」
「英雄から色々と聞いてないのか?」
「自分の球を受け止める事が出来る優秀な相棒だって聞いてるよ……同年代で英雄の球を受けれりゃ優秀で将来有望なキャッチャー程度の認識だが、めっちゃ戦えるってのは聞いてないぞ……しかもお前、気付いてたんだろ?傭兵達が緊張の糸を走らせている中でテロられるの……なんでだ?」
「何故か…………まぁ、世に言う気配探知だが」
「うちが雇ったのガッチガチの忍者なんだが?」
「いや、俺のはそういうのではなく……人の意識を読み取る感じだ」
あの時に誰よりも早くにテロられることに気付いていた事に関して聞いてくる。
気配探知で分かったと言えば雇ってた傭兵が忍者で気配探知で気付けない筈が無いのだと言いたいが人の意識を読み取る感じの気配探知だ。
「この技術、会得して極めれば他人の頭の中を読み取ることが出来るが故に気持ち悪くて中途半端にしているがな……俺は人の悪意とかを探知できる……俺の先祖が武士だが悪人よりも妖怪退治を色々としていて、そのせいかは知らないが邪気的なのを読みやすくてな……あの場は外面を良くしまくったり自慢話をしまくり内心ボロクソに言い合っている場所だったから正直な話、あまりいい思いはしなかった」
「人の悪意どころか心を読み取るね……じゃ、なに考えてる?」
「……護衛役の傭兵が正式に雇ってくれと言ったけどもどうしようか?」
「うわ、気持ち悪い」
うずまきナルトみたいにエネルギーでなく悪意とかの探知が出来ると言えば九鬼の親父さんが自分の意識を読んでみろという。
自分の意識を読んでみろというので読んでみれば護衛役の傭兵が正式に九鬼の人間として雇ってくれと言われててどうしようかと悩んでいる。それを言えば当たっていたみたいなので九鬼の親父さんが気持ち悪いと堂々と言ってくる。
「そんな便利なもんがあれば人の悪意には敏感だな」
「九鬼で一番強いおっさんが、赤子かどうか確かめてやる的な感じで襲いかかってきた事の方が悪意を感じ取れるんだがな」
「若い世代がしっかりしてるかどうか知りたいのが爺さん連中だ……逆にボコボコにしたと聞いた時は驚いたぞ。ヒュームはあんな感じだが川神鉄心の嘗てのライバルで世界最強の座を競っていたのに、お前の友達も腕をパキッとやったと聞いたがどういう交友関係なんだ?」
「純粋な友達だ……やましい関係性は無い」
自分のところのヒュームを倒すなんて早々に無い、目の前にいる自分が倒したと言われてもあんまりピンと来ていない。
上には上が居るのを、世界が物凄く広いのを九鬼の親父さんが知っているが割と身近、息子の友達とその友達の友達が最強をボコったと言われてもピンと来ていない。疑っていないがピンと来ていない。
「タケちゃんとよっちゃんは最強とかそういうのにあんまり興味無いし、家を大きくする!とかそういうタイプでもない……俺もだけど」
「男ならデカい夢を持てよ、英雄なんて
「…………英雄、長男なのにプロ野球選手になっても問題無いのか?」
「テメエの息子がやりたいって本気で思ってることを応援しねえ親が何処の世界にいる?やるからには頂点目指さなきゃ許さねえとだけは言っている。もしみっともない真似を見せたら九鬼家の長男、いや、跡取りとしてビシバシとな」
優しいけども厳しいところは結構厳しいな九鬼の親父さん。
まぁ、言っていることは理解できるにはできるしなんか文句も不満もないから構わないんだけど。
そう考えればうちの親は……自由だな……稼ぎはちゃんとしっかりしているし親子のコミュニケーションもしっかりしてるから不満は無いが。
「さて……楽しい談笑はここで終わりだ……九鬼財閥の頂点である九鬼帝として、そして九鬼英雄の父として改めてお礼を言わせてくれ。息子を守ってくれて助かった……それ相応の礼をさせてくれ」
「ハッハッハ……九鬼から恩赦か……偉い存在からの恩赦は先祖が貰ったもので充分だがな……む…………あ、そうだ!井上と葵について調べてくれないか?」
「井上と葵っつーと英雄の友達か」
「なんか知らんが無理をしている、頭の良いあの2人なのだから自力で解決する事が出来るならば解決出来るし助けて欲しいのならば助けての一言をハッキリと言える……それなのに何故か無理をしているところがある。今回みたいに暴力で解決出来そうな事じゃなさそうだからな、もし2人が重いのを抱えていたのならばそれをどうにかしてほしい」
「いいのか?もっと贅沢を言っても構わないんだぞ?大抵の事ならどうにかなるぞ?お前の母親、担当編集と揉めてフリーランスの漫画家なんだろ?ホントに描きたいものを描ける環境とか作っても良いんだぞ?」
「既にその環境は整っている。俺も大抵の事なら自力でどうにかする、それが出来ないからこうして頼んでいるんだ」
「そうか……クラウディオ、2人の身辺調査と問題の解決を頼むわ」
「かしこまりました、帝様」
如何にもザ執事な人が九鬼の親父さんの頼みを聞いた。
2人が何を抱えているのかは知らないが……九鬼に頼めばなんとかなるかもしれない。
親族が不治の病とかそういう感じならば諦めるしかないが、それ以外ならば大抵はどうにかなるだろう。
「ところで俺は何時ぐらいに帰国していいんだ?……もともと本場の野球少年と戦う為に来たんだが」
「今回は事が事だけに辞退してくれ……帰りはファーストクラス以上の九鬼のプライベートジェットに乗せてやるよ」
「あんまり豪勢すぎると俺の中の小市民な心がおかしくなるから国際便のビジネスクラスで」
「そこでエコノミーって言わないのはちゃっかりしてるな」
家の経済事情ならばエコノミークラスならば余裕で乗れる。
しかしビジネスクラスとなると若干だが頭を悩ませるのでちょっとした贅沢としてエコノミークラスでなくビジネスクラスを要求する。
英雄は九鬼のガッチガチの護衛体制のプライベートジェットで、俺は普通の国際便のビジネスクラスの座席で日本に帰った。
テロに巻き込まれた云々なので両親は心配してくれるが逆にボコった事を言えば何やってんだよと呆れられていた。
「結局のところ、武術は良くない事に使われてます……難儀なものです」
そして家に帰れば黄金のマスクにテロに巻き込まれた事に関して報告をする。
裏で手引きしてたのが過激なテロ団体でなく過激な武術団体、武術はやっぱり殺す技術だと思わせた。
九鬼はどうするんだろう?実の息子を殺されかけたのだからその武術団体を……いや、ああいうのは逆に活かして利用した方が効率が良いとか思ってそうだな……世の中、時には悪人が居るから経済や情勢なんかが回る。
「以上が井上準と葵冬馬が抱えていた悩み及び解決した方法でございます」
「……マジですか?」
「ホントでございます」
そんなこんなで一ヶ月が経過し、ザ執事なクラウディオさんが2人が抱えていた悩みを教えてくれた。
ユートピアだかなんだか知らないが、法律に触れたり触れなかったりするドラックを裏で捌いていた。川神市にそれが流されていた。
葵と井上の親がそれをやってはいけないことだと分かっているにも関わらずやっていて葵達はそれの裏帳簿とか計画とか見てはいけない物を沢山見てしまった。葵と井上にとって親は尊敬をしている。小雪の時にその辺の事を言っていた。
小雪も愛している親だから助けてと言えなかった。葵と井上も大好きで尊敬している親だからなにも言えなかった。
葵ならば警察沙汰にして証拠を揃えてビシッと決めることも出来る……でも、親だからを理由に壁を作った、出来てしまった。
「しかし……いや……解決方法はそっち任せにしたが……」
「葵紋病院は綺麗な病院になった、我々はコネクションを手に入れた、藤太殿はお二方の悩みを解決することが出来た……全て丸く収まりました」
「…………………」
「思うところがあると、ご安心を……井上準と葵冬馬を連れてきました」
それを九鬼が調べ上げた。
その結果、警察沙汰にして騒ぎを大きくして裁くとかでなく極秘裏にボコって黙ってほしければ薬売るの止めるのと弁護士とか上流階級の人間とのコネクション寄越せと言う事をした……解決してくれと言ったから解決方法は任せたも同然だがそれはそれでどうなんだ?と思っているとクラウディオさんはそれをお見通しで井上と葵を連れてきていた。
「藤太……」
「藤太くん……」
2人はどういう顔をしているのか、見る勇気があるにはあるが気まずいな。
実の両親が警察に捕まって犯罪者の息子だ!とか言われるのと比べればマシかもしれないが……悪人を裁いたとは言えないしな。
「その…………まぁ…………ありがとうございます……」
「……俺達は、いや、俺達だからなんも出来なかった…………ありがとよ」
2人から出た言葉はお礼だった。
実の親をぶん殴って止めたりしていないのだが……解決したのも調べ上げたのも九鬼なんだがな。
「そうか……お前達はそれでも医者を目指すか?」
「!……ええ、勿論です」
「ああ……そりゃあな」
「なら間違うな……俺はお前達が間違ったら間違ってると思えても間違っているからやめろと止める力は持っていないからな……お前達は今から立ち上がって歩くんだ」
「……ジジ臭いですよ、藤太くん」
「新しい芽を摘み取らない、開花していくのならば見守れと戦いの神様に言われているからそうしてるだけだ」
井上と葵はそれでも医者を目指すと言った。
医者の息子だからの義務感かどうかは分からないが、少なくとも2人は今から立ち上がって歩いていく。ならそれでいいだろう。
開花していって歩いていくのならば見守るのが道理、変わらない秩序や過去に囚われ続けるのはあまりよくないことだ。
天帝vs童子切を連載化したいんだが
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連載見てみたい
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短編集にだけしとけ