アルピ交通事務局のネタ倉庫   作:アルピ交通事務局

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真剣で恋しなさいとか言われても 12

 

「藤太よ、今度暇か?」

 

「暇があるのならばバットの素振りの1つでもした方がいいのだと俺は思うが暇と言えば暇だ」

 

「では、姉上と勝負をしてくれ」

 

「だからそれは嫌だと」

 

「流鏑馬ならば構わないとお前の口から姉上が言わせたと聞いている」

 

「む……そういえばそんな事は言ったな」

 

シニアチームで練習をしている。

現在はモグモグタイム、甲子園常連校にスポーツ推薦で行ける奴等を出したどころかプロも輩出しているチームなので飯を食って筋肉をつける、所謂食事トレーニングもしっかりしている。からあげの握り飯はホントに美味いなと堪能していれば英雄が九鬼のお姉さんと戦ってくれと頼んできたが九鬼のお姉さんと戦うのは嫌だとハッキリと断れば殴り合いでなく流鏑馬ならば構わないと自分で言っただろうと言われる。

 

「しかし九鬼のお姉さんは素手で戦うバリバリの武闘派で弓矢を使っているイメージはないのだが?」

 

「……正直な話、姉上と弓との相性は最悪である」

 

「なんでだ?弓矢と言えば武術の一種だろう」

 

「姉上は釣り等の辛抱強く待つのが苦手なのだ……相手が隙を生み出すその限界ギリギリまで力を溜め込む、その待つ暇があるのならば自らで突破口を切り開く、それが姉上なのだ」

 

相変わらずバーサーカーみたいな頭をしているな。

しかししっかりとしているところはしっかりとしている九鬼のお姉さんがそういうのが苦手なのは割と意外である。

だったらなんで挑んでくる?いや、それで勝負するならば構わないと言い出したのは俺だ。それに乗ってくるのならば構わないが。

 

「英雄よ、生憎な事に俺は馬を持っていない」

 

「安心しろ、馬ならばこちらが用意する……この流鏑馬は姉上の精神修行の一つなのだ、頼んだぞ」

 

「ああ、任せろ」

 

流鏑馬でならば戦っても構わないと言い出したのは俺なのだから断る理由は無い。

コレが純粋な殴り合い等の武術ならば断っていたのだが……いや、正直な話九鬼のキャラが色々と濃いから苦手なところがある。

後日使いの者を寄越すと言われたらナイスバディなメイドさんが送り迎えしてくれる。ナイスバディなメイドさんはいいものだなと思いながらも九鬼財閥の会社の庭に連れてこられた。

 

「何故にお前達も居るんだ?」

 

「藤太くんが弓をやると聞きまして」

 

「お前が本気で弓をやっているの見てみたいなってな……」

 

冬馬と準とユキの3人が居た。

結局のところは何時ものメンツなのかと思っていると弓道着姿の九鬼のお姉さんと何時もの金ピカな英雄と最近英雄の専属のメイドになった忍足さんと…………ヒュームが居た………

 

「おっさん、暇なのか?」

 

「誰にものを言っている……俺は揚羽様の武術の師だ。その揚羽様が戦うと言うのならば師として見守るのが道理だ」

 

最後に会ったのは何時ぐらいだったろうか?タケちゃんがキレて腕をパキッとやった時以来か?

タケちゃんの住所を割り出して復讐的なことをするのならば先ず確実に返り討ちに遭うのがオチだろう。

威圧感を出して何時でも食ってやろうかとこっちに意識を向けているが武術の前では平等だろう。そうじゃなきゃ困る。

 

「では藤太よ、流鏑馬で勝負だ」

 

「……弓は自前のものでいいか?」

 

「構わん……っむ……それは5人張りの弓か」

 

「コレがなんだかんだで一番しっくりと来るからな」

 

約束通り流鏑馬で勝負することになる。

神聖な儀式で勝負とは罰当たりかもしれないが、それを言い出せば神事と興行の2つの側面を持つ相撲とかもある。

本来であれば50mぐらいだが流石は九鬼の会社の庭だ、無駄に広い。馬は上質な馬を用意した……やはり金持ちならば馬は上物か?

九鬼のお姉さんは走る馬に乗って矢を構えては的を撃ち抜く、英雄が釣りとかジッと我慢しているのが苦手だと言っていたが問題は無さそうに見える。

 

「ところで互いに全弾命中ならばどうするのだ?」

 

「どれだけ真ん中に当たったかどうかの確認だな」

 

「そうか……では」

 

流石の九鬼のお姉さん、全弾命中させた。全弾命中させることが出来るのならばこちらも頑張らなければならない。

友人達が見ているのだからたまにはカッコイイところを見せたいというのが男の根性、全弾命中させた場合がどちらが真ん中に上手く当てる事が出来たのか云々の判定勝負で競うと言っているので真ん中を狙うのを心掛けるかと馬に乗っては弓矢を構えて撃ち抜いた。

流鏑馬的なのならば戦っても構わないと言い出したが実のところ流鏑馬はコレがはじめてである。しかしまぁ、なんとかなるだろうという思いでやっており、なんだかんだでなんとかなったのである。

 

「……やはり俄仕込みではどうにかならぬか…………藤太よ、言うだけの事はあるな!」

 

「なに、コレでも武士の末裔、武芸ぐらいは出来なくては先祖や神様に顔向けが出来ない」

 

「剣も出来ると英雄から聞いたぞ」

 

「剣に関してはなんとも言えないところ、弓矢の方が好ましい……しかし流鏑馬だけでは揚羽さんも退屈でしょう」

 

勝ったけども、俄仕込みでどうにかならないのだと揚羽さんも納得している。

言うだけのことはあると背中をバシバシと叩くのだが地味に痛かったりする。以前に余計な事を言ってしまったなと後悔しつつも第二の勝負を思い浮かべる。ユキに弓矢を使わせる。俺の5人張りの弓は無理なので普通の弓を使い一矢を放つ。

サスッと木に刺さった。木に刺さったのだが弓矢をしているものからすれば素人、プロ野球選手がアマチュアに上手だと言っているレベルだったりするわけである。

 

「今度の的はアレだ」

 

「…………当てる事が出来るのか?」

 

ユキが放った矢を当てる。

それの勝負と行こうじゃないのかと言えば揚羽さんは当てる事が出来るのか?と疑問を抱いている。

 

「なにを言っている?同じ弓と同じ矢で飛んでいった。今日は風向き等を気にしなくていい晴天、ならば出来ぬ方がおかしいだろう」

 

「いや…………藤太よ、そこまで言うのならばやってみせよ!お前の5人張りの弓でなくユキが射った弓矢で」

 

「勿論だとも……しかし揚羽さんは出来ないのか?」

 

「うむ!認めよう!弓矢においてはお前はこの場に居る者の中で一番だ!我の知る中でも一番の弓の使い手かもしれぬな!」

 

「……純粋な弓矢の技量で上な人間を知っているのだから、あまりいい顔は出来ないのだがな」

 

いや、ホントに俺は精々30kmぐらいの遠距離射撃が限界だったりするわけだ。

よっちゃんところのアーくんは準備運動感覚で数十km単位をズバズバと撃ち抜いてくるわけで最高の弓使いと言われても自信は持てない。取り敢えずはユキが使っていた弓と矢を受け取る。ユキの射った矢が刺さっているところに向かい……矢を構える。

 

「む……」

 

「コレは……」

 

「当たりますね」

 

「トータなら絶対に当てれるよ!」

 

まだ弓矢を構えただけだった。

ヒュームは察した。揚羽さんは察した。素人目の冬馬も察した。ユキは信じ抜いてくれる。

この矢は絶対に当たる、それは何故か分からないが武術家の本能かどうかも分からないのだがそう思わせるような一矢を報いた。

俺の射った矢は当たった、ユキが適当に射っただけの矢に向かって飛んでいき矢を粉砕してユキが射った矢が開けた穴の中にスッポリと嵌まった。

 

「小僧…………」

 

「なんだ?やるならやるぞ」

 

「ふん、貴様が1人目で構わないだろう」

 

「なにがだ……あ、アレか?四天王とかいう奴か?生憎な事にそんなもんには興味は無いからな」

 

「四天王の座には揚羽様が座る……貴様には天下五弓の称号を与えてやろう」

 

「準、そんなのあったっけ?」

 

「いや、聞いたことねえ」

 

「お前達が知らぬのも無理は無い、四天王とは異なり今から作ろうとしている称号なのだから!」

 

ヒュームが天下五弓にしてやると言ってくるがそんな称号は聞いたことが無い。

お笑い四天王と武道四天王ならば割と耳にするのだがそれを聞くのははじめてだと思っていると英雄が教えてくれる。

新しい称号か…………うん

 

「要らん……自分よりも上な存在が居るのを知っていて選ばれし者などただの恥の上塗りに過ぎぬ」

 

俺よりも弓兵として上な存在を俺は知っている。

それなのにも関わらず選ばれし5人の1人に選ばれたと言えばよっちゃんやタケちゃんに笑われてしまう。

慢心してるとか自惚れるなよとか調子に乗るなとか言われることはないのだが呆れられるのが見えている。

 

「お前よりも上だと…………あの男か女かよくわからない奴か?」

 

「タケちゃんの専門は剣だ……俺が言っているのはもっと厄介でややこしいのだ……」

 

自分の腕をパキッと折った事を思い出すヒューム。タケちゃんは剣が専門だ、タケちゃんでなくよっちゃんのところにアーくんだ。

アーくんは……なんか気付いたらよっちゃんのところに居てよっちゃんの言うことを聞こうとしてたりする……アーくんを否定したりしてないらしいからよっちゃんは相変わらずの大物だ。

 

「もっとややこしい?……小僧、そいつを連れてこい」

 

「断る……あの人の弓矢は研鑽の為だ、生かすも支配するも興味は無い……」

 

どんな奴なのか教えろと言ってくるが教えるつもりはこれっぽっちも無い!

ギロリと睨んできて威圧してくるが攻撃はしてこない。タケちゃんに腕を折られて少しは大人しくなったか?まぁ、いいか。

 

「では最後に弓矢の跳弾という面白い芸を見せて…………む?」

 

「どうかしましたか?」

 

「いや……なにやら邪気を感じる……良からぬ邪気だ」

 

「んー、なーんにも感じないよ?」

 

弓矢の跳弾という一発芸を見せてやろうと思ったのだが、なんか良からぬ邪気を感じる。

気を感じ取ることが出来る猛者がここにはいるしそういうのに敏感な人間達も居るがそれとは別の方向性、悪い感じの気だ。

英雄が過去に狙われた一件があるだけに警戒心を忍足さんは強めるのだが…………違うな……

 

「あっちか」

 

俺がそう言うと邪気を感じる方向に歩いてみる。

邪気を感じた方向に歩き邪気の発生源を見てみれば1人の女性が居た。

 

「お前は橘!」

 

「……誰だ?」

 

「我と同じ武道四天王の1人、スピードクイーンの名を手にしている……明日にどちらが上か競うのだが……邪気?」

 

「揚羽様、橘天衣と言えばスピードクイーンの異名だけでなく運に恵まれてないとも言われております」

 

「い、いきなり現れたと思えば人のことを不運だなんだ酷くないか!?」

 

女性の名は橘、武道四天王の1人らしい。

それはスゴい人なのだなと思うがどうやら不幸な人……むっ…………

 

「はぁ、いきなり不幸者扱いとは不幸だ」

 

「なにを言い出すのかと思えば不幸だと叫べることは幸福の味を知っているという証拠だぞ?」

 

「……………そういうものなのか?いや、確かにホントの不幸は幸福を一切感じない事だが……」

 

「まぁ、そういう西尾先生な話題は止めておこう……しかし……良くない運気をしているな……何時かは他人を巻き込みそうだ」

 

橘さんの運気を感じ取るのだがかなり良くない運気をしている。

幸運児ならば同じ中学の風間翔一という奴が居るのだがコレはそれとは真逆、何時かは他人を巻き込んだ悪いことが起きそうだ。

 

「良くない運気をしている?……私は運が無いと認識しているのだが」

 

「それは間違いな認識だ、運は1と0の関係性ではなく+と−の関係性だ。貴方は運が無いのではなく運が悪い方向に向かっている」

 

「藤太くん、それが世に言う運が無いと言うやつではないのですか?」

 

「それは違うな……そうだな、学問の神様として有名な菅原道真公が居るだろう?アレは学問に関して幸福を与える加護を持っているが、それの逆のような存在が居る。例えで分かるならば貧乏神や疫病神だ、アレは運の方向を悪い方向に向かわせる加護を持っている。キリスト教の聖人も病魔の加護を持っていたりするんだ……加護が悪い方向に向かっているな」

 

「幸運になれるお守りを有名な神社から貰って色々とあって燃やしてしまった……」

 

「お守り自体に神通力が足りないのだろう……一時的な物だろうが何もしないよりはマシだ」

 

橘さんは不幸な星のもとに生まれてきたのだろうが、そんな宿命は知ったことではない。

自前の5人張りの弓を構える。矢は必要は無い……弦を引いて橘さんに向かって一矢撃ち抜いた。

 

「うっ!?」

 

「藤太、あん時と同じことをしたのか!?」

 

「似たような事だ……悪い方向に引き寄せる運を少しな……とは言え俺の見立てに間違いがなければよっちゃんと同じで貧乏くじを引く運命にある。焼け石に水だが何もしないよりマシだ」

 

矢が無いにも関わらず弦を引いてまるで何かを撃ち抜くかの様に撃ち抜いた。

準が過去にユキを助けるためにやったことと同じことをやったのかと聞いてくるがそれと似たようなこと、邪気的なのを一時的に封じ込めただけに過ぎない。ユキが橘さんが無事かどうかの確認をすれば橘さんは何事もなく起き上がった。

 

「なんだ……こう、胸の中がスゥッとした感じだ……今までどんよりしてたのが無くなった感じだ」

 

「そうか……それは一時のものだからあまり調子に乗るなよ。確実に痛い目に遭うからな」

 

「あ、ああ……ありがとう」

 

「いやいや、この手のオカルトな存在との戦いは先祖同様得意なだけだ」

 

俺の射った矢が橘さんの運気を一時的に封じ込めた。

正確には悪い方向に向かおうとしたのを力技で封じ込めただけで何れはもとに戻る。

 

「では、さっきの続き、矢の跳弾を見せようではないか」

 

「うむ!見せてもらうぞ、藤太よ!」

 

ヒュームが天下五弓になれ云々を言ってくるがそんなものには興味が無い。

英雄達の前で矢の跳弾という名の弾道補正を見せれば驚かれた。

天帝vs童子切を連載化したいんだが

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