ニール・ディランディside
木々の生い茂る森の中、片手を木に置いて体が倒れないよう体に力を入れる。
「グッ!?、クソが……」
腹部、横腹に空いている手を当てて押さえる。未だにそこからは赤黒い血がドクドクと流れ、痛む。
イギリスの諜報機関からの命令で、俺は黒の組織に潜入していた。今回、とある外国にいる裏切り者を処分するよう、組織の名前持ちから命令され俺は一人で日本から離れ外国へと来ていた。
簡単に終わると思っていた、だが実際は違った。組織の裏切り者達は俺のことを待ち伏せしていた、ゆえに銃撃戦となり俺は拳銃とスナイパーライフルのみで戦う事になってしまった。
いつも刹那達とやるFPSは、時間が経てば回復するアイテムやシールドがあってこのような状況でも勝つことが出来る。
だが、現実はそうは行かない。あんなに早く傷が塞がる訳がない、故に俺は持っていたスモークグレネードを使うことで、その場から撤退しようとした。
その時だ、奴らがスモークへと当てずっぽうに撃った銃弾の内1発が、俺の横腹を射貫いた。
幸い、銃弾は貫通したが血が流れ続けている。このままセーフティハウスに戻るのは酷く難しい、服の上からでも出血しているのはわかる程に赤黒く染まったシャツ。
「ハハ、これは不味いな……」
そんな言葉が口から漏れる、早く治療をしなければ不味い。それに血を流しすぎている、このままじゃあ……。
最悪な結果が脳内に浮かび上がる、頭を振ってその未来を掻き消す。だが、このままでは間違いなく俺は奴らに見つけられる。出来るだけ、遠くに逃げないとな。
ふらつく体を鼓舞し、歩き続ける。
どうにか、生きて…帰るんだ。
ソランside
気付いたら、金属音と共に俺の携帯は床へと落ちていた。
『ロックオンが殺されてしまう』
ティエリアからの電話から聞こえてきた言葉に、聞き間違いだと、聞き間違いであってくれ、冗談であってくれと思いながら携帯を拾い上げる。
「どういう、事だ?」
『ロックオンが海外での仕事で待ち伏せされていた!このままではロックオンが奴らに殺される、運良く逃げられたとしても出血多量で──』
「エクシアで出る!!」
それを聞いた瞬間に俺は部屋の扉を開いて玄関へと走る。
『無茶だ!君はエクシアを操縦するのは無理だと───』
「ガンダムの性能を引き出すのが、俺たちガンダムマイスターだ」
携帯から聞こえるティエリアの動揺した様子の声を無視して携帯だけを手に持つ。
ロックオンとの出会い、それはほんの数ヶ月前の事だ。だが、ロックオンに……彼には生きていて欲しい。原作のように死んで弟やフェルトを悲しませたくない。
俺がエクシアにのれる事を、自分の想像通りに操縦する事が出来るシステムは誰にも言わないようにしていた。
もし俺がエクシアを自在に操れるのだと宣言したら、いくら友人とはいえ何かに利用されるのではないのか、そう考えていた。
俺の見てきたアニメやドラマ、映画で学んでいる。大きな力は、その力とは比較にならない程の大きな責任が伴う事を。
エクシアを操縦した時、俺は一度エクシアの操縦桿から手を離した。自身の想像通りに操縦するには両手で操縦桿を握らなければならない。
故にエクシアは操縦が止まり、機体は地面へと落下した。
今でも思い出せる、もしエクシアの操縦桿を離したまま地面へと落ちていたら、どうなっていたか。
まず自身の怪我、そしてこのガンダムと言う名の兵器が世間へと露見し、落ちたエクシアの先が民家やビル街だったら莫大な規模の被害となっていた。機体は押収され、軍事利用され新たな戦争を生み出す。そう考えたからこそ、俺はエクシアの操縦をしない。操縦が可能なことを公言しない事を誓った。
だけど、こうして友人が死にかけているのを聞いて、手を伸ばさないような人にはなりたくない。
きっと俺が転生者ではなくとも、刹那ならロックオンへの加勢へと向かうだろうから。
「ロックオンの救援に向かう、ティエリア。ロックオンの現在地を教えてくれ」
『今ヴェーダで探している、少しまってくれ』
一度通話を切り、時間的にも9時となる時刻、帰ってきた親に出かける。おそらく朝帰ると伝え、俺は家を出た。
早く、速く、駆けていく。胸にあるのはロックオンを助けると言う思いだけに、エクシアを隠した森へとひたすら必死に走る。
「ハッ!ハッ!」
「あの──」
走るなか、少し先に数人の人物がいるのか見えた。俺はその人たちの横を駆け抜けようとして、話しかけられ仕方なく足を止めた。
見ると、そこには江戸川コナンや毛利小五郎、蘭、安室透の姿があった。
「何の、ようだ?」
肩で息をしながらどうにかそう答える。
「どうかしましたか?こんな夜に出歩くなんて」
「危険だから速く帰った方が良いぞ」
そう言う安室透と毛利小五郎の声を聞きつつ、ひたすら息を吸って吐き少しでももう一度走り出せるよう体力を回復させる。
「問題ない、急ぎの用事なだけだ。心配をかけたようですまないが、俺は急がなければならない」
そう返し、再び走り出そうとして
「ねぇ、それってどんな用事なのー?」
俺を見上げる小さな少年の言葉に足が止まった。
どんな用事か、友人を助けにいく。そんな事は言えるはずがない。大学生が夜中に必死に走るほどの用事、そんな物は思い浮かばない。
「それは……」
思わず言葉に詰まる。
だが、恐らくその行動は目の前の少年に追撃する隙を与えてしまっている。
「えー?教えられない用事なの?ボク気になるなぁー」
どうすればこの場を切り抜けられる、速く行かなければロックオンは………。
その時だ、携帯の着信音がなり失礼と一言告げてから画面を見ると、そこにはティエリアの文字。通話の状態にして耳に当てる。
「ティエリアか」
『刹那!ロックオンの居場所が分かった、今恐らくこのポイントを付けた付近にいるはずだ!』
その声と共にメールに地図のようや物にピンが指されている画像が送られてきた。
「了解した!刹那・F・セイエイ、救援に向かう。」
そう言って通話を切りすまない、そう一言だけ告げて再び走り出す。後ろから声が聞こえたが無視して森に入り、エクシアを隠している場所へ向かい、ハッチを開けてコックピットに入りパイロットスーツを上から着用しヘルメットを被り両手を操縦桿に置く。
「GNシステム、リポーズ解除。プライオリティを刹那・F・セイエイへ!」
俺はエクシアが動いている状態を想像する、GN粒子等結膜が消え、機体本来の姿を表し、ツインアイに光が灯る。
「エクシア、飛翔する!」
機体を立ち上がらせ飛翔する、ある程度の高度へたどり着いた瞬間にティエリアの指定したポイントへと最大速度で飛行する。
早く、いかなければ……ならあれしかない。少しでも早くロックオンの元へ向かわなければならない。
俺はそう思い即座にそのシステムを使うための口上を話すため口を開いた。
「トランザム、始動!!」
その発言と共にモニターに『TRANSーAM』と表示され、先程より早くエクシアが飛行する。
トランザムシステム、機体内部に蓄積された高濃度の圧縮粒子を全面開放する事により、機体スペックを3倍にまで上げる事ができるシステム。
発動した瞬間にGN粒子が赤くなり、それに伴ってエクシア自身も赤く発光する。
これなら早くポイントへ着けるはずだ、待っていてくれロックオン。
そんな思いを胸に止め、エクシアで加速してティエリアの指定したポイントへと向かう。だが、助けた後はどうなる?俺が出来るのはせいぜい止血ぐらいだ。
そう考えながら操縦していると、ティエリアの言っていたポイントへと到達した。即座にエクシアのメインカメラで周囲を飛びながら捜索する。
すると、エクシアのカメラが血を流し木に寄りかかって座り込む何者かを捉えた。映像を拡大する、普段とは違い戦いに向くであろう黒い服装をしたロックオン・ストラトス、ニール・ディランディの姿がそこにあった。
そしてその周辺に銃を持って武装した集団も確認した。一瞬、恐怖が体を襲い。
次に体を、脳を襲ったのは憎しみと怒り。
アイツらがロックオンを………
一瞬の怒りに任せてGNソードのライフルを向けそうになるが即座に止めた。
こんなこと、ロックオンは望まない。
そう考えを改めながら機体を木にロックオンの近くに片膝を付いておろし即座にヘルメットを被り直し相手から見えないよう設定してから機体から降り、ロックオンの元へと駆け寄る。
「ロックオン!しっかりしろ、意識はあるか!?」
肩を軽く揺すってみる、出血が酷い。早く、早く病院へ向かわなければ。
「ぁ……あ、せつ、な。か?」
掠れた様子の声が聞こえ、俺は安堵の息を吐いた。意識がある、なら早く病院へ向かえばきっと助かる、そのはずだ。
「あぁ、肩を貸せ。安全な場所へ運ぶ」
「悪い、な。」
肩を貸してロックオンを立ち上がらせ、機体へと運ぶ。あれからエクシアのコックピットを確認したところ、車のシートのように操縦席を前に詰める事が出来る事が分かった。
シートの後ろ、人一人分が入れそうなぐらいのスペースが作り出せる。そこへロックオンを座らせる。
「せつ、な……」
「これ以上は喋るなロックオン、傷口が……」
「お前、は……満足してる、か?こん、な……世界で」
コックピットの壁にその身を預けるようにして、深く呼吸をしながら話すロックオンの目蓋が下がって行く。
「何を言って、しっかりしろ!ロックオン!」
「俺は…………嫌だね」
完全に目蓋が閉じる、急ぎ手を口許へ当てる。息はしっかりとしている、眠っているのか?
どちらにしろ、早く帰らなければならない。
そう思いながらロックオンの持っていたスナイパーライフルも回収してコックピット内に置き、エクシアを動かし、俺のいた日本へと飛行する。
エクシアを操縦しながらヘルメットを脱ぎ、携帯を開く。すると圏外ではない、なら。
即座にティエリアへと連絡を送ると、ワンコールもせずに電話に出た。
「ティエリア、ロックオンの保護を完了した。」
『本当か!?ロックオンの容態は?』
「出血が酷い、腹部を撃たれたように見える。見たところ、銃弾は貫通しているようだ。ティエリア、俺はこれからどうすれば良い?病院へ運ぶのは」
『あぁ、ロックオンはまだ海外に居る事になっている。病院へ運ぶのは危険だ』
「なら、どうすれば……」
この出血はさすがに自分達でどうにかするのは危険だ。最悪の場合はロックオンが死んでしまう。く、この機体がクアンタならワープして即座に日本へと戻れるのに。
そう思っていると、通話に誰かが入ってきた。
『もしもし、二人とも通話していた様ですが、どうかしましたか?』
マリー・パーファシーの声だ。時間帯的にも夜中に近い時間帯になったが通話している俺たちを見て心配になって通話に入ってきてくれたらしい。
『大変なんだ、このままではロックオンが!』
ティエリアが現状を説明すると、マリーさんは驚愕した様子で口を開いた。
『っ!?分かりました、私の知人に一人、個人で病院を経営している方がいます。その人に連絡を取ればきっと!』
「住所を送ってくれ、エクシアで向かう!」
『刹那!それではエクシアが世間に露見して──』
「そんな事よりロックオンの命だ。それに、今は夜中だ。見たとしても、都市伝説や噂程度で留まるだろう。」
『刹那……』
『分かりました、住所は────』
マリーさんの指定した場所へと高速でエクシアを向かわせながらヘルメットを被り直す。
「エクシア、目標へ高速で飛行する」
『マリー・パーファシー、私も今から合流する。電話の件を頼んだ』
『はい!』
通話を切り、携帯で調べた場所へと向かうと少し広い空き地が近くにあった。そしてその近くにティエリアとマリー・パーファシー、そして金髪で白衣を着た何者かが共に立っていた。
恐らく白衣を来ている彼がマリーさんの行っていた知人なのだろう。
空き地に下降して行くと、三人はエクシアが見えたのか驚愕の表情を浮かべている。
俺はエクシアを片膝つかせた状態で地面に座らせ、GNソードを装備していない方の手をエクシアのコックピットの前に掌を配置する。
そしてコックピットのハッチを開け瞳を閉じて眠ったロックオンを引きずり掌に乗せ、エクシアを操作し掌をゆっくり地面に付ける。
そしてハッチのロープを使ったエレベーターのような物を使って下へ降りる。
見ると白衣を来てサングラスを着けた男性がロックオンの体に聴診器を当てていた。
「まさか、この世界に貴方が居るとは思わなかった。JB・モレノ」
「まさか、彼女と私のように同じような存在がいるのではと考えていたが、まさか君達で、更にはガンダムまでお目にかかれるとはね。」
ガンダム00では医務を担当し、イアンの親友である人物であり、ファーストシーズンの最終戦で死んでしまったキャラクター。
「ロックオンは?」
「今は眠ってるだけだ、取り敢えず私の病院に連れていく。」
「なら、俺が背負って──」
「いや、ロックオンを運ぶ手伝いはボクがしよう。刹那は早くエクシアを隠した方が良い」
「ティエリア……了解した。機体を隠しすぐに合流する」
そう言って俺は機体を隠すため再びエクシアに乗り森へと向かった。
プチキャラ紹介
『JB・モレノ』
米花街に個人病院を経営している医者。
転生特典はガンダム00の『再生治療』を頼んだ所、容姿がJB・モレノとなった。噂ではどんな怪我や傷も直す医者として噂がたっている。
以前、マリー・パーファシーと出会い知り合いとなった。
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