無人島の猫百合姫 ~ハードコア孤島サバイバルが百合ハーレムになるまで~ 作:Kkmn
1. 猫耳少女、遭難する
それは、自分が生まれ育った故郷の島に、育ててくれた祖母のお墓参りに行った帰りだった。
島から戻るフェリーが突如凄まじい嵐に巻き込まれ…自分は一人海に投げだされてしまったのだ。
……あぁ、おばあちゃんの所に行くのかな。
「…えぇ・・・早すぎやろ。アンタ、まだお嫁さんすらお墓に見せてくれてへんやんけ」
あれ?なんで死んだおばあちゃんの声が・・・。
「あーもうしゃーないなぁ~。まったく死んでからも手のかかる孫やでホンマ!こっちおいで!」
……えっちょっ、なんで死人の声が…。
薄れゆく意識の中聞こえてきた声、それが最後の記憶だった。
そして、今ーーーーーー。
「.....わぁ....」
ざぶーん...ざぶーん.....
清々しい波の音。照りつける熱い日差し。生ぬるい風が頬を撫でていく。爽やかな潮の香り。
横たわる地面は石ひとつないサラサラの砂のクッション。
あれ?なんで寝てるんだ?
見たことのない程に大きく眩しい太陽が、頭上でさんさんと輝いている。
なんなんだろう、なんでこんなところに....。
―――『こっちおいで!』。
え、なに?じゃあここは冥界?お祖母ちゃんなにしてくれてんの?
顔を横に向けるとそこには美しい静かな海が、テレビの自然紹介番組みたいだ。
美しい白い砂浜と青緑色の綺麗な対比はまさしく南国の島って感じだなぁ。
どうもあの世ではなさそうだけど、じゃあここは一体。
「ふんっ.......んっ?」
立ち上がろうと上半身を起こした時、それは不意に感じられた。
何か凄い上半身が軽い、と思ったら上半身の何かが重い。は?と思われるかもしれないけど実際そう感じたんだから仕方ない。
それに加えて、なんか自分の声が違う。こんなに細く甲高くないし綺麗じゃない。
なんだろ、と思って自分の身体を見下ろすと―――――。
「.....は、れ.....?」
体つき、ここまで華奢じゃなかったよね?全身の肌もこんなに白くきめ細やかでもちもちしてないし...
腕も足も細くしなやかになってて、太腿なんかむっちりしてすごい弾力ありそうだし...
あ、あれ?腰もなんかすごい細くて括れてるし、丸っこくて....お尻も...すごい張り出して...あれ、なんか尻尾ついてる....
そしてなにより、肉感たっぷりの二つの大きな膨らみが胸にくっついてて――――。
「なっ、にゃああああああああアアアアアアアアアアアアアアッッッッ!!!!!?!?!?」
~~~
オチツイタ。
てんぱった、生涯で一番テンパった。もう死んでるのかもしれないけど。
あの後、なんとか落ち着いて自分の身体を確認してみたけど、紛うことなき女の子の身体だった。尻尾と....あとなんか猫?っぽい耳までついてたけど....。
「にゃんだこれ...どうにゃってるんだ....」
「な」が上手く発音できないと言うことはやっぱりこの耳は猫のモノなのだろうか。
「と、とりあえず、周りをちょっと歩くか....」
うわぁ可愛い、自分の喉から出てることさえ除けば本当に可愛い声。しゃべるだけでなんかもう嬉しくなってくる。
すっと立ち上がると、それだけでおp....ゲフンゲフン....乳房がゆさゆさと揺れて本当に落ち着かない。
しかも自分は文字通り生まれたままの姿で、靴も衣服も一切なにも身に着けていないのだ。
歩き始めると一歩歩くだけでたぷったぷっと揺れて....もういい加減にしてください。
頬がかっと紅くなるのを感じながら、仕方なく左腕で抑えながら歩きだす。
うっわ....手も、胸も...どっちもやわらか....ゲッフゲッフ。
とりあえず倒れていた砂浜沿いを歩くことにした。
海の反対側には深そうな密林が広がっており、枝や草木が生い茂っていて靴のない裸足ではとても入れないからだ。
「あっつ....」
それでも太陽に熱せられた砂は熱く、そんなに長い時間は歩けないだろう。照りつける日差しも真夏のようだ。
ふぅっと温かい風が頬を撫でると、潮の香りが周囲にただよった。
長くなった髪が風に揺れ、首筋や肩を撫でられるという初めて味わう感触がくすぐったかった。
「でも、綺麗だにゃぁ.....」
ここが南の島かどこかの大陸の海岸かは知らないが、こんな綺麗な大自然を間近で見るのは初めてだった。
船も人影も見当たらない、本当に秘境のような場所なんだろうか。
そんな呑気な、でもどこか幸せそうな気持ちでしばらくの間美しい砂浜を歩き続けた。
結局、大した発見もないまま20分程歩いたところで少しくたびれてしまった。
今は日光で火照った身体を海水で冷ましていた。染みるぅ。
人影も、船の影も、なんにも見つかりやしない。ただただ砂浜だけが続いていた。
漂流物もないし、変わった植物もなくファンタジー要素を感じられそうなモノもどこにもなかった。
あ、でも、途中でみつけた岩礁に溜まっていた水を覗き込んだら、とても整った可愛らしい顔の少女が猫耳を付けていたのは確認できた。
「......これ、まさか....」
やばい、ちょっと嫌な予感がする....。
人が居ない。どこまでも続く海岸。キレイすぎる自然。船の影すらない海。
ここから導き出される結論は一つ.....!
「ここ、無人島....?」
最悪の予想に、つーっと、冷や汗が白い額から一筋流れ落ちた。
もしここが無人島だったらどうすればいいんだ?どうやって祖母に会えば良いんだ?
っていうかそもそも人に会えなければ死んでしまうんじゃないか?今の自分には食料も何もないんだぞ?
その時ふと、きゅるる、と可愛らしくお腹が空腹を主張した。
さらに、ゴクリと唾を飲み込むと、たっぷりと汗をかいたせいで喉が乾いたことに気づいた。
「お腹、すいた.....水、のみたい....」
ご飯....?水....?
食べ物?果実とかそんな都合よくなってるんだろうか?
それと水だけど、海水って確か飲むと余計喉が乾くってどこかで聞いた気がする。
えっじゃあどうすれば、いいの......?どこにあるの....?
海面を見ると、緑色のキラキラした瞳を持つ猫耳の美少女が、絶望した顔で呆然としているのが見えた。
...あなたに会う前に、無人島で餓死しちゃいそうです....。