無人島の猫百合姫 ~ハードコア孤島サバイバルが百合ハーレムになるまで~ 作:Kkmn
『メインシステム、戦闘モード 起動します』
「あにゃた、にゃに....いって....」
アンはいつのまにか、ヤリの柄を伝い先端の爪先までたどり着ついた。
どろりと形を崩すと、私のスクール水着に溶け込むように、その爪の中に染み込んでいく。
『実装、寄生形態』『メルトオプション、ロードします』
「ア、アン?どうした...にゃぅっ!!!」
「キャッ...!!」
「...ギュ"ォ"ォ"オ"ォ"ォ"オ"!?!?!」
次の瞬間、辺りが紫色の閃光に包まれ、飛びかかろうとしていた蛇は大きく仰け反った。
「にっ、えっ...にゃに.....コレ.....」
恐る恐る目を開くと、ヤリの先端、そこに括り付けられた巨大な爪.....。
それが淡く輝く紫色の煙を溢れさせていた。
何が起こったのかよくわからないが、きっとアンが槍に何か特別なことをしてくれたに違いない....!!
「......ふんっ....!!!」
思い切り身体をしならせ、手足の力を全て使って大きな蛇の上へと跳躍する。
妖しく発光する紫の煙がその軌跡に沿って綺麗なアーチを描いた。
「鱗とかは硬そうだし....さっきの所をもう一度....!!」
できれば樹の上から高さを利用した突きをしたかったが、注意が私からそれるのはマズイ。
蛇も鎌首をもたげ頭上の私に口を大きく開くが、その動きはどこか鈍かった。
「すぅっ.......るニャぁぁぁあああぁぁぁあっ!!!!!」
グジュゥァッ.....!!
喉から怒号を張り上げて、紫に輝く爪のヤリをその脳天に突き刺した。
全然感触がさっきと違う...!
さっきまではカチカチのあずきバーだったのが、今はケーキのような軽い手応えだ。
「ジャ"ア"ア""ア"ア"ア"ァ”ァ"ァ"....ッ!!?」
ぐりぐりと抉るようにヤリを体重をかけて傾けると、蛇の動きが鈍くなりついには静止した。
死んだ....のか?
「はぁっ....はぁっ....これ...毒だったのかにゃ...?」
見れば突き刺した穴を中心に肉がドロドロと溶けており、異様な匂いを醸している。
メルト....って言ってた気がするけど....なるほど、そういう意味なのか...。
「......ノウンッ!!!」
「来にゃいで!!まだ...動くかも.....!!」
完全にトドメを刺すため、数回ほど頭部にヤリをずぶずぶと突き穿つ。
そしてさらに、首の辺りを切れ目を入れるように何回も刺し、胴体と分離させた。
「これでもまだ毒はあるし....神経の痙攣だけで動くかも....そうだっ」
近くの樹木からある程度の太さのある枝をもぎ、槍の先端で十字に切れ込みを入れる。
その間に渇いている枝葉を詰め込み、即席の松明の完成だ。
「エルゥ!!枯れた枝!薪!集めて!」
「エッ....アッ....ワカッタ!!」
そしてそれを急いですぐそこの寝床の火に焚べ、火を付ける。
すぐさま蛇の元へ帰り、エルゥが集めてくれた薪を頭の穴に突っ込み......松明で点火した。
パチパチパチ....グジュッ...
「すごいにゃ....まだ....ピクピクして....舌も動いてる.....!!」
「.....ッ」
エルゥがその光景に身をすくめ、小動物のように腕に抱きついてくる。
「はぁっ.....無事で、よかった....」
それを安心させるように無意識のうちに抱き返すと、彼女はまた涙を零し嗚咽を漏らし始めた。
あの後、エルゥを先に寝床で再び休ませ、火が蛇の頭を燃やし尽くすまで見守った。
その間に槍から光が消えアンも戻ってきたが、先程の不思議な声は聞こえなかった。
あれは一体....機械音声みたいだったけど....
ただ何故か.....
「ねぇアン。にゃんで猫耳生えてるの...?」
「??...!!!」
「まぁ、かわいいからいいか」
「♪♪♪」
結局、巨大な蛇の頭は一晩中燃え続けた。
日が昇った頃、正直かなりくたびれていたが、必要な作業を始めることにした。
まず火を見守っている間に作った、石をできるだけ鋭く削ったもの。
これと槍を使いながら、巨大なヘビの腹を切り裂いていく。
「うっわ、切れ味鈍いにゃぁ....にゃあ、もう一回さっきのできにゃいか?」
「...??」
「わからにゃいか....しょうがにゃい」
返り血まみれになりながら、なんとか腹の一部を切り開くがまだ終わりではない。
次は、その皮の下にある肉を抱えられる程度の大きさに切っていくのだ。
「ヘビの肉ってこんにゃに硬いのか.....
ニャイフでもあれば...もっと楽にゃんだけど...はぁっ」
巨大な化物と命のやり取りをするなんて言う体験に加え、一睡もしてないのでかなり疲れている。
動くと汗と返り血が水着の布地の裏側でぬめり、落ち着かない潤みを伝えてくる。
「はぁっ....胸の下蒸れる....いっそ脱いじゃおうかにゃ.....」
10個ほど肉塊を切り分けると、今度はそれを寝床へと数回に分けて運んでいった。
そして焚き火の横に、45度に傾けた杭を何本も刺していく。
どの肉も日光と空気にまんべんなく晒されるように、蛇肉をツルで吊り下げた。
そう、この巨大蛇を....食料に、それも保存の効く燻製にしているのだ。
「イモムシ、スライムに比べればよっぽどまともだにゃ....」
燻製とはまた別に、すぐ食べれるように2個だけ焼いておき、また解体作業に戻る。
途中、起きてきたエルゥに返り血まみれの姿を見られ泣きそうな顔をされた。
しばらく作業の様子を眺めていたが、手伝いたいと言うので燻製に使う樹皮を集めてもらうことにした。
「さすがにコレを手伝わさせるわけにはいかにゃいからにゃぁ.....」
作業を始めてから多分5時間くらい、まだ胴体の5分の1すら解体できていない。
「ちょっと休憩しよ....喉もかわいたし...」
ここから水の場所まで....いや待てよ。
ちら、と自らの血まみれのスクール水着に目をやる。
確かヘビの生き血を飲んでる軍隊があるって、自衛隊の友達が言ってた気がする.....。
よしやってみるか。さすがに生き血は怖いから煮沸させるけど...。
早速大きめの貝の皿に血を入れ、焚き火まで持っていく。
沸騰するまでの間に、こんがりと焼き上がったヘビのステーキをいただくことにした。
「うわぁ.....本当にお肉だ.....!!」
付いた灰を手で払うと、本当に焼き肉屋で出てくるステ―キとそっくりだった。
「ふーっ....あむっ.....っっ!!!」
あっ、これは...鶏ササミじゃないか!!?脂肪が少なくて硬いけど、心なしかジューシーで....。
「おっ....美味しい!!!こっちで食べたものの中にゃかで一番美味しい!!!」
夢中になって両手でガツガツとくわえ込む。
とても硬いが、生えている2本の牙のおかげでとても噛みちぎりやすい。
「♪♪♪」
新生アンも、切れ端を咀嚼しながら触覚に加え猫耳もぴょこぴょこと跳ねている。
「どれどれ、血は.....うーん、にっが...まぁそうだよね....」
沸騰した血の方も期待してみたが、こっちはあまり飲みたくない味だった。
それでも貴重な水分なので我慢して飲み干す。うぅ...。
それにしても....。
ヘビの肉を手づかみで食べ、血を啜り、血まみれのスクール水着を来た猫耳少女。
「どんにゃ特殊にゃシチュエーションにゃんだ....」
美味しいものでお腹が満たされ、渇きが収まり、少しだけ横になっていた。
良かった、これでしばらくは食料事情もマシになりそうだ。
ただ後は水だ、湧き水は少ないし、ココナッツも無限にあるわけじゃない。
ヘビの血だってもうしばらくすると腐ってしまうだろうし。
一応湧き水をもっと確保する方法は考えているが、それでも足りないだろう。
「そうにゃると、やっぱり、川とか....みずぅ..み....うぅん.....」
あぁ...でも、早く...まずはかいた...いしないと....。
「.....ノウン....?アッ....」
集めた樹皮を抱えて持って帰ると、獣人の少女はすやすやと寝息を立てていました。
身体を丸め、耳をぺたんと伏せて尻尾を揺らしている姿は本当の猫のようです。
ただ...血まみれの衣服と口元を除けばですが。
「.....アリガトウ...」
まだ幼さを濃く残した可愛らしい寝顔の口元を、ハンカチでそっと拭いました。
自分と対して変わらない年齢の少女が、さっきまでボアサーペントに勇敢にも一人で立ち向かっていたのです。
わたしを....守るために.....。
優しく、起こさないように蒼い髪を撫で付けると、その寝顔に笑みが浮かびました。
ねだるように頭を手に押し付けられ、しばらくの間そうしていました。
あぁ...やっぱり...そうなんだ。
彼女はきっと、本当に知らないのでしょう。
マトーヤ商団が、私の家が、獣人を滅ぼしたことを。