無人島の猫百合姫 ~ハードコア孤島サバイバルが百合ハーレムになるまで~   作:Kkmn

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15. これもう実質パジャマパーティだよね。

満天の星が輝く美しい夜空の下、私は誰一人いない孤島で獣人の少女と寝床を同じくしていました。

 

 

 

「だめ…だめだって、いっしょにねるにゃんて…」

 

 

 

眠気に負けかけてるノウンが、私の腕の中で小さくぐずりながら身をよじります。

 

でも、私はそれを決して離すつもりはありませんでした。

 

 

 

「ドウシテ?」

 

「だって、エルゥはおんにゃの子にゃんだから…」

 

「ノウンモ、オンナノコダヨ?ナニモダメジャ、ナイ」

 

「うみゃ…」

 

 

 

うとうとと半開きで眠気まなこの碧瞳を覗き込みそう答えると、ノウンはどこか言葉に困ったようにうつむいてしまいました。

 

それだけではありません、どこかその顔は紅く染まって、まるで羞恥に悶えているような感じさえします。

 

 

 

もじもじと彼女が身を揺らすたびに、ふくよかなその胸が私のそれと押し付けあって温もりを伝えてくれるのが心地いい…。

 

 

 

「あの、ええと、その。わたし…汗まみれだし、よごれてるし、くさくて、きたにゃいから…」

 

「ソンナコト、ナイ。」

 

 

 

食い入るように、私はその言葉を否定します。

 

 

 

それと同時に、彼女が私の寝床を作るために赤く擦り切れた小さな両手を手に取り、それを胸に抱きしめました。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーこんなにいたいけで純粋で、まっすぐで美しいアナタの手が、どうして汚れてなどいましょうか?

 

 

 

 

 

 

 

見ず知らずの漂着していた私の命を救い、余裕もない筈なのに食べ物を分け与え、あまつさえ命をかけてまでこの身を守ってくれた。

 

そんなどこまでも心優しくて、清らかな獣人の少女。

 

 

 

ここまで私に尽くしてくれる人が、家や商団の中にもいたでしょうか?

 

 

 

「…ノウン。」

 

 

 

考えれば考えるだけ、彼女がどこまでも尊く、愛おしい存在に思えてきます。

 

 

 

気が付けば私の手は無意識の内に、その艶やかで綺麗な蒼い髪へと伸びていました。

 

 

 

 

 

 

 

「…にゃぁに……?…んにゃぁっ…ごろごろ♪」

 

 

 

そっと、その猫耳がぴこぴこと動くを頭を撫でであげます。

 

 

 

そうするとやはり気持ちが良いのでしょうか、川で見せてくれたように喉を鳴らし、じゃれつくように手に甘えてきてくれたのです。

 

それも眠気でうとうとしているからなのか、その甘えようはとても素直でした。

 

 

 

飼い猫のように甘え切った声を漏らし、すりすりと髪の毛を擦りつけてくる様はなんと愛らしいのでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

「ドウシテ、ワタシニ、ココマデシテクレルノ?」

 

 

 

少しの逡巡の後、私は意を決し彼女に問いかけます。

 

 

 

するとどうでしょうか、彼女はその可愛らしい顔に疑問符を浮かべ、何のことかと言わんばかりに首を傾げました。

 

 

 

「???…にゃにが?」

 

「ワタシタチ、アッタバッカリ。ソレニ、アナタニ、ナニモシテアゲレテナイ。」

 

 

 

そうです。私が何か一つでも、この子の助けになれたことがあったでしょうか?

 

食べ物も、自分の身を守ることも、寝床を用意することさえ、全てノウンがしてくれている有様なのに。

 

 

 

それなのに、どうしてこの子は。

 

 

 

「タスケテ、モラッテバカリ。ソレナノニ、ドウシテ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうしてって、それは…。」

 

 

 

うぅん…どうしよう…?

 

ただでさえ女の子にベッドに連れ込まれるなんてとんでもない事が起きてて、その上眠くて…。

 

さらに、エルゥのなでなでが気持ちよくてふわふわしてるのに…頭がまわらない…。

 

 

 

あぁ、でもエルゥの目、本気の目だ…、もう。思ったことを正直に答えないと…。

 

 

 

 

 

「あのね…前にも言ったかもだけど、自分はほんとに、この島に一人でにゃげ出されて心細くて、すっごく怖かったんだ…」

 

 

 

 

 

ぽつり、ぽつりと、思い浮かんだ正直な心のキモチを口にしていく。

 

エルゥはそれを一言一句逃さないようにと、しっかりと頷きながら聞いてくれてる。

 

 

 

 

 

「アンのおかげで助かったけど、本当に死にかけたりもして…。」

 

 

 

「辛くて、怖くて、どうすればいいかわからにゃくにゃったりして。」

 

 

 

 

 

彼女を不安にさせてしまうかもと、隠すように心がけていた弱音がぽろぽろと零れてしまう。

 

 

 

あぁ、言っちゃった、大丈夫かな。でも、エルゥは動じずに頷いてくれて。

 

 

 

それがちょっと安心したというか。嬉しくて。自分はまた言葉を続けられた。

 

 

 

 

 

「でも、そんにゃ時に出会ったのが、エルゥ。あにゃただったんだ。」

 

 

 

 

 

食料も衣服も道具も、知識もない何もなかった自分の隣に、こうして今いてくれる人がいる。

 

 

 

その幸せがふととても尊く素晴らしいモノに感じられて、思わず彼女の両手を握り返してた。

 

 

 

暖かい、柔らかい、ここちいい…しあわせ…。

 

 

 

 

 

「初めて人に出会えたんだ。初めて…」

 

 

 

 

 

ふいに、ふと自分の頬を何か暖かい水が滴っていく感触に、はっと顔をあげた。

 

それを軽く拭うと、それは自分の瞳から溢れたモノだと気づくのに数秒かかってしまった。

 

 

 

あぁ、やっぱりこの身体、涙腺すごく緩いのかも…。

 

 

 

 

 

『……!!…!?』

 

 

 

 

 

するとどうした事だろうか、まるでそれを心配するかのようにオロオロとした様子でアンが自分の上に飛び乗ってきたのだ。

 

その様子にくすりと笑いながら、大丈夫だよと軽く撫でてやれば、たちまちいつもの元気なアンに戻ってくれた。

 

 

 

 

 

「…アンと出会った時も、とっても嬉しかった。にぎやかで可愛くて、寂しくにゃくにゃったから。」

 

 

 

 

 

そのアンとの些細なやり取りを微笑ましく見つめていたエルゥに視線を戻す。

 

 

 

「でも。こうして、あったかくて、話はにゃしてくれる友達が傍にいてくれるのって…それはとっても幸せ、だにゃって…。」

 

「…トモダチ。ワタシガ、ノウンノ?」

 

 

 

僅かに首を傾げ、戸惑うような仕草を見せたエルゥに、少し自分はショックを受けてしまった。

 

 

 

「え…えぇ…。ごめん、じぶん、勝手に…」

 

「ウ、ウウン!!チガウノ!ウレシクテ、ツイ…!!」

 

「そ、そっかぁ…よかった…ふぁぁ……」

 

 

 

あせあせと必死に首を振るエルゥに安心する自分。

 

すると同時に、ほっと気が抜けてしまって恥ずかしいくらい大きなあくびを漏らしてしまった。

 

 

 

あぁ。よかった。疲れと眠気のせいで変なこと言わないか心配だったけど、何とかちゃんと返事できて…。

 

 

 

 

 

「それに…」

 

 

 

「ソレニ?」

 

 

 

聞き返した彼女から少し視線を逸らして、満天の星が輝く夜空を眺め、ポツリと呟いた。

 

 

 

 

 

「自分は、この世界では、あにゃた以外誰も知らにゃいから…。」

 

 

 

 

 

そう。エルゥ・マトーヤ。自分は…あなたしか、だれも…しらな……うにゃ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ノウン?」

 

 

 

すぅすぅと小さく愛らしい寝息を立て始めた彼女に呼びかけても、返事は帰ってきません。

 

初めて私に深い胸の内を吐露してくれた獣人の少女の寝顔からは、先ほど垣間見せたもの悲しさは微塵も感じれませんでした。

 

 

 

ーーーあなた以外、誰も知らないから。

 

 

 

そう呟いた少女の横顔は、どこか遠く。そしてどこか寂しく、悲しくて。

 

それがあまりにもいたたまれなく、私は堪えられずに彼女の身体をぎゅぅっと抱きしめます。

 

 

 

暖かく、陽に干した毛布を思わせる優し気でさわやかな彼女の香り。

 

きっと普段ならこの香りに包まれながら眠りにつけば、とても安らかに眠れたことでしょう。

 

でも今は違います。…彼女の抱える寂しさを知ってしまったから。

 

 

 

 

 

「…♪♪♪」

 

 

 

 

 

猫耳を生やしたスライムが、眠りに落ちた主の胸元に潜り込みます。

 

昨日までは寝ている彼女の胸の谷間に潜り込む度に、尻尾と猫耳を逆立てて起きてたモノですが。

 

今日はよほど疲れ果てているのか、軽く身をよじらせ頬を赤らめるだけに留まりました。

 

 

 

 

 

「フフ、オコサナイデアゲテネ?アン。」

 

 

 

 

 

ぴこぴこと触覚だけで器用に私の声に反応すると、やがて擬態している彼女の衣服に完全に溶け込み、やがて動きを止めました。

 

おそらくは彼…彼女?もおやすみの時間が着たのでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

「ともだち…私が、あなたの……」

 

 

 

 

 

答える人が誰もいない夜空の下で、馴染みのある言語で思わずつぶやいてしまいます。

 

 

 

「友達…獣人の、女の子の…。」

 

 

 

ノウンの言葉に、うん、そうだね。と返せていれば、どれだけ心が楽だったでしょうか。

 

目の前にある、彼女の幼げな寝顔に手をそっと添えます。

 

 

 

「このわたしに…そんな資格……。」

 

 

 

 

 

脳裏をよぎる、捕らわれた幼い獣人の笑顔。自分と友達だと言ってくれた彼女を、私は助けられずに―――――。

 

 

 

 

 

「ウウン…モウ、ネナキャ…」

 

 

 

 

 

無意味な思考に終止符を打ち、私は目を閉じました。

 

 

 

「……エルゥ…」

 

 

 

抱きしめたノウンから漏れた私を呼ぶ小さな寝言がとても嬉しく、また同時に、とても心苦しくて仕方がありませんでした。

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