無人島の猫百合姫 ~ハードコア孤島サバイバルが百合ハーレムになるまで~ 作:Kkmn
TS百合はいいぞ
16. 【朗報】お嬢さまと猫耳少女、おっぱいを押し付けあう。
薄暗く雑多な荷物が天井に届くほどに高く積まれた薄暗いテントの中。
そこに人目をはばかりトテトテと両手いっぱいのパンを抱えた幼い少女が駆けていた。
どこだろう。あのコがいるのはどっちだっけ。
ここはまるで迷路のようだ。お父様の売り物やお商売の道具がたくさん積まれたこのテントは、危ないから決して入るなと彼女は言いつけられていた。
しかし彼女は毎晩毎晩、人目を盗んではこっそりと忍び込むのが日課となっていた。
それもすべては、「大切なおともだち」に会うために。
「あっ…いたっ!!〇〇〇!!」
やっとのことで荷物の山の中から見つけた、彼女の大切な友達――――厳重に、檻の中に囚われたその人影に、彼女は大喜びで駆け寄る。
「…………。」
彼女の存在に気づいたのか、その檻の主はのそり、と緩慢な動きで寝ていた身を起き上がらせた。
僅かな月光に照らされたその人影は小さく、体躯だけで言えば少女とまったく同じほどだろう。
――――ただ一つ明らかに違うのは、その頭上と腰から覗くケモノの耳と尻尾。
「また、きたの?」
幼い子供には余りにも不釣り合いな大きさの鎖をジャラリと鳴らしながら、その捕らわれた獣人は首を傾げる。
「ウンッ!!マタ、キタノ!!」
ともすれば不機嫌とも見えるその表情と仕草に、パンを抱えた少女は満面の笑みで頷き返した。
生来身体が弱く病気がちだった彼女――――国を代表する商団の長の一人娘、エルゥは幼いころ外出を禁じられていた。
それは好奇心旺盛な年ごろの少女にはとても辛く、同じ年代の子供とも出会うことが出来なかったのだ。
だが、ふとした出来心から忍び込んだ父の商品倉庫。
そこで出会った檻に囚われた獣人の少女は、そんな隔絶されていた彼女にとっては喉から手が出るほど欲しかった、同年代の友達なのだ。
「ドウ?パン、オイシイ?」
「ん……」
もきゅ、もきゅ、と無表情でもくもくと差し出されたパンを口いっぱいに頬張る友達を眺めながら、ニコニコとほほ笑む少女。
「ア、クズ、ツイテル。ウゴカナイデ。」
「ん~……あひがほ…」
「タベナガラ、シャベッチャ、ダメ!!」
「ううはいなぁ…んぐっ」
不愛想で無口で、変化の乏しい表情だが、その下には自分を気遣ってくれる優しい心があることを数か月の触れ合いで気づいていた。
「…エルゥ、私たちの言葉、上手になったね。」
「エッ…ソウ、カナ?エヘヘ…♪イッパイ、ベンキョウ、シタカラ!!」
「…そっか。」
満腹になり、心なしか満ち足りた表情で横たわる獣人の少女を、檻越しの膝枕で人間の少女が受け止める。
いつものパターンだ。いつも少女がこうして持ってきたご飯を食べた後、この姿勢で二人仲良くおしゃべりを始めるのだ。
「ソレデネ!!オトウサマガ、カッテキタ、キラキラナ……」
「…へぇ……」
おしゃべりと言っても、いつも喋るのはほとんどエルゥの側だった。
同年代の少女にしか通じないような、どきどきした体験、嬉しかった体験。驚いた体験。
両親や世話人や、教育係の先生には話せないような、子供同士の無邪気な会話。
それを楽しみたいがために、彼女は獣人の言葉まで覚えて見せた。
話したい話題はいくらでもあり、それを息もつかずに話し続ける彼女に獣人の友達は相槌を打ち続ける。
「ソレデ、エットネ………〇〇〇?」
「…んぐぅ……Zzz……」
少女達がおしゃべりを初めてどれだけ経っただろうか。
やがて幼い獣人はすやすやと寝息を立て始め、いつの間にか人間の友達の膝の上で眠りの世界へと堕ちていた。
「フフッ……オヤスミ。マタアシタ…♪」
その安らかな寝顔をそっと撫でつけ、横たわる頭に隠し持ってきたクッションを添える。
そう、また明日おしゃべりしようね、私の大切なともだち―――。
楽しくて仕方ない、少女たちの秘密のお喋り会は幕を閉じ、僅かな月光が差し込むテントには静寂が戻ったのだった。
そして少女はまた明日訪れる、友達との楽しいお喋りに思いを馳せ、こっそりと帰った寝床についた。
だが、その次のお喋りの機会は、永遠に訪れることは無かった。
「…おとうさま、これ、なんなの?」
「おぉエルゥ、ちょうど良かった、お前も見ておきなさい。」
その日は朝から館中が騒がしかった。特に父の商団の人たちがせわしなく出入りし、幼い子供にはひどく落ち着かない。
「昔はもっと居たモノだが、最近はめっきり数を減らしてしまったからな…。
だからたかが出荷するだけで、ここまで大ごとになってしまうんだよ。」
「???…へらす?しゅっか?」
小さな子供には、その父親の話す言葉のほとんどが理解できない。
きょとんと首を傾げ、せわしなく行きかう見知らぬ大人たちを眺めることしかできなかった。
「そうだよ。我らがマトーヤ商団…いや、ひいてはこの小国を大陸有数の交易国家へと栄えさせた。
それはとても素晴らしい商品なんだ!!」
「…!!なにそれ!!しらない!すごいの!!?」
「はっはっは!!凄いとも、肉は霊薬の材料に、皮は錬金術の素材に、髪は魔道具の原料に、骨は武器の素材に、毛皮は最高級の衣類として取引される。
まさに捨てるところのない最高の動物なんだ!!」
「すごい!!すごい!!おとうさま、わたしもみてみたい!!」
父の口から語られた言葉は好奇心旺盛な子供の心をくすぐり、無邪気にはしゃぐ少女は父にその頭を撫でられる。
「すぐ見れるとも!…おっ、出てきたぞ、ほら、あれがそうだ!!見てごらん!」
「どれど………れ……?……え…?」
幼くはしゃぐ少女の翠色の瞳に移り込んだのは、商品が保管されたテントから数人がかりで搬出された『檻』だった。
それも、彼女にとってとても馴染みのある、何度も、毎晩見ていた『ソレ』で。
「………」
改めて中身を確認するまでもなかった。その中にいたのは、小さな、彼女と同じくらいの背丈の獣人の少女―――――。
「…まって!!!まって!!!なんで!!?どうして!!?いかないで!!!!」
「こら、どうしたんだエルゥ。落ち着きなさいはしたない。」
少女は声を張り上げ、幼い顔に不釣り合いなほどの鬼気迫る表情で、運ぶ大人の足にすがりつく。
だがその歩みは一向に止まらない。止められない。
どれだけ叫ぼうが、どれだけ泣きわめこうが、彼女を連れ去る大人たちを止めることは彼女には出来ない。
「いや…おねがい…まって……」
やがて…彼女の必死の静止もむなしく、館を囲む高い壁の向こうへと、彼女の友達は連れ去られていった。
最後に辛うじて見えた檻の中の少女の表情は、いつもとまったく変わらない無表情で。
「えっぐ…ひぐ、どぉしてぇ……。」
幼い少女はただ突然の絶望に打ちのめされ、呆然と泣き崩れるしかできなかった。
「おい、今日はもう一匹いるんだって?」
「そうそう、何でも何処かの孤島に逃げ延びてた獣人なんだってよ。」
もう一匹?孤島?
その言葉に疑問符を浮かべながら、涙を拭い振り返ると――――――。
「…………エルゥ…?」
そこにいたのは、檻に囚われ幾多のも拘束を施された…蒼い髪が美しい、猫耳の獣人。
あぁ、そうだ、私はこの子を知っている。知らないわけが無い。だって、私の命を救ってくれた――――。
「エルゥ……じぶんを、捕まえる為に、あの島に来たの?」
「えっ……?」
伸ばそうとした手は空を切り、海のように深く澄んだ碧い双眸がまっすぐにこちらを見据える。
「あなたが来なければ…じぶんは捕まらなかったのに。」
あぁ、いやだ、やめて、まって。
「あなたのせいで、あなたがあの島に来たせいで、私は殺されるの?」
いやだ、違うの。そうじゃないの。私は、私はそんなーーー。
心を突き刺されるような、冷たい言葉と眼差し。それが恐ろしくて、わたしはただただ否定の言葉を必死に繰り返し――――――。
「イヤ…ヤダ…!!イカナイデ、ノウン…!!!」
「GINYAAAAA!!!!いかにゃい!!!いかにゃいから!!!おっぱいあたってるからああああああああ!!!おきてえええええ!!!!!」
おっぱいが!!!おっぱいが!!!わたしのおっぱいに押し付けられておっぱいとおっぱいがうわああああああああ!!!!
エルゥを起こしに来たら急ににゅって腕が伸びてきて抱きしめられて、そんでもって思い切りぎゅーってされて!!
「あぁ…でも、おんにゃの子の良い香りに包まれて…ってやってる場合かっ!!!」
『???』『なにしてるの?』とアホなモノを見る目で…目ねぇわで自分を見るアンにも手伝ってもらい、何とかエルゥを起こそうと試みるが。
「ノウン、ノウン」と寝言でうなるばかりでまったくその気配がない…どうすればいいの。
あぁ…胸が…ぐにぐにっって…あ、あぁ…水着に浮き上がった…その、先端が、エルゥの胸に押し付けられて…はわわ…///
あぁっもう!!なんで男なのに女の子と胸押し付けあってるの!!?意味がわからないんだけど!!?
「しかも!!にゃんでエルゥより、おんにゃのこより大きいの!!?邪魔ーーーっ!!!」
「ゴメン…ゴメン…マッテ…」
『やわらかいからすきだよ』?あぁもううるさい!!自分は男だからいらにゃい…じゃなくていらないの!!
…しっちゃかめっちゃかな賑やかな無人島の朝は、少し前に感じていた孤独感などとは遠く無縁のモノに感じられた。
....さんさんと照りつける太陽が忌々しい、この砂も足をとられるし邪魔くせぇ。
「はぁ....なんだよマジで....折角お宝を手に入れて舞い上がってたのによぉ。
どこの無人島だよここ....」
溜め息をついて海面を見る。
そこには大きな棺を引っさげ、不運にも遭難した赤髪の魔獣の少女がこっちを睨み返してた。