無人島の猫百合姫 ~ハードコア孤島サバイバルが百合ハーレムになるまで~ 作:Kkmn
「いっ....いたっ!!」
今、自分は密林の中を水と食料を探すために探索していた。
あちこちから飛び出てる枝葉、落ち葉の中に隠れた硬い枯れ木、生い茂る草、草。
それらが今の自分の雪のように白い肌に赤い傷をいくつも作っていく、もう体中キズだらけ。
裸で身を守るものがないからなおさらだ。
「はぁ、はぁっ.....もう、いやににゃる...けほっ」
暑さで汗をかき過ぎたせいか、喉がもう乾ききって仕方がない。
結局森の中を探し回っても川や湖といった都合のいいものは見つけられなかった....。
さっき、たまらず血迷って大きな緑の葉っぱをかじって水分を摂ろうとした。
でも、かじって数秒すると途端に口の中がまるで燃え盛るかのように痛くなって、急いで吐き出した。
数分たった今でも痛い.....。きっと食べてはいけないものだったんだ....。
「はぁっ...やっぱり、スタミニャすっごく落ちてる....これくらい歩いただけにゃのに....もうしんどい....」
長時間歩いてはっきりと気づいた。この猫耳の少女の身体は元の自分の身体より全然体力がない。
鍛えた差か性別の差かわからないけど、とりあえず現状マイナスなことであることには変わりがなかった。
それに歩幅も小さいし、揺れる胸もすごく邪魔。肌が弱くてすぐキズになるし、背も低くて視線が低いから見通し悪いし.....。
「ダメだっ、ネガティブににゃっちゃだめだ....海岸に戻ろう....」
結局何の収穫もないまま、すり傷と疲労を重ねただけの探索を終え、とぼとぼと来た道を帰った....。
次は海岸で食べれるものがないか、さっき歩いた方と反対側に進んでみることにした。
疲れが限界に近いって言うか、もう限界を超えてる.....。
けど最低でも水を見つけないと本当に死ぬ、水だけでもいいからどこかに....!!
さっきまであんなに楽観的に景色を楽しんでた自分を殴りたくなる。
熱された砂が足裏の傷口に入り込んできて激痛が走り、吹き出た汗が全身の擦り傷に染みる。
そんな苦痛に耐えながら必死に足を動かしていると、何か丸い茶色のものが転がってるのを見つけた。
「あっ....!!あっ....!!これって!!まさかっ....!!!」
疲労や痛みがどこかに吹き飛び、飛び込むようにその物体を傷だらけの両手で掴んだ。
バレーボールよりちょっと小さいくらいの大きさ、南国の海岸、筋張った表面....。
「これ!!ココにゃッツだ!!やった!!やったぁぁぁぁぁ!!!!!」
まるで優勝トロフィーを手にした選手のように大はしゃぎし、ぴょんぴょんと飛び跳ねる。
ココナッツって確か中にジュースがあってそれをストローで飲んだりできるって聞いたことがある!
あと何かココナッツって食べれるところもあるんだっけ?
よくわかんないけどココナッツ〇〇みたいな食べ物はよく見かけるし....。
「....ううん!!どうでもいいや!!早くにゃかみが飲みたい!!えーっと.....あれ....?」
これ、どうやって中身飲めばいいんだ....?
試しにコンコンと拳で叩いてみるが、とても素手では壊せそうにない硬さだ。
それならばと近くに落ちていた貝をナイフ代わりに突き立ててみるが、まったく手応えがない。
「あ、あれ....?」
普通の汗に混じり、冷や汗が一筋つーっと垂れた。
「い、いや、それにゃら....あっそうだ!!石だ!!!石で叩けば...!!」
焦る気持ちを抑えて、近くにあった岩礁までココナッツを大事そうに抱えて歩く。
そこで手頃で小さな石を見つけ、思い切り茶色い外皮に叩きつける。が....。
「え....うそ....硬すぎ....」
茶色い果実はまるでビクともしなかった。
わずかに表面に傷がついただけで、とてもじゃないが割れる気配なんて微塵もない。
心臓の鼓動がドクドクと早くなり、ココナッツを持った両手が震える。
もし、もし、これを割れずに中身を飲めななかったら....?
もう体力も気力もとっくに底を尽きかけてるし、もう日だって傾いてきている。
「だ、だったらっ....岩ににゃげつければ....!!」
もしかしたら中身が飛び散り減ってしまうかもしれないが、もうこれしかない。
さっそくドッジボールを投げつけるように大きく振りかぶり、背の高い大きな岩に投げつけた。
でも....。
「うそ....うそ....そんにゃ.....」
割れない。いっこうに割れる気配がない。硬すぎる。
いやそれだけじゃない、大きく振りかぶったのに全然イメージ通りに飛ばなかった。
傷だらけで真っ白で摩耗のない手のひらを絶望的な表情で見つめる。
この身体...やっぱり全然力がない....元の体より全然踏ん張れない....。
人もいない、道具もない。
そんな中で唯一頼れるのは自分の身体だけなのに....なのに....。
「.....!!!ダメだ!ダメだ!ネガティブににゃるにゃ!!一回でダメにゃら、にゃん回もやれば...!!」
ぶんぶんと頭を振ると、ふわぁっと甘酸っぱい香りが広がり、それが自分の髪からのモノだと気づくまで数分かかった。
その後、何時間...きっと1,2時間はゆうに超えてるだろう、ずっと石でココナッツを叩き続けている。赤い日はもう今にも沈みそうだった。
赤道近くでは日は傾いたらすぐに沈んでしまう、もしこの世界でもその理屈が通じるなら急がないといけない。
しかし、手袋もせず石を強く握り続けた手は擦り切れて血が滲んでいる。
それに加えて、弱い握力が災いし、すっぽ抜けた石がココナッツを抑えていた左手に直撃し怪我をしてしまっていた。
血が溢れているがどうしようもない、消毒液も絆創膏もここにはないし....。
「はーっ....はーっ....ぜぇっぜぇっ....」
頭が重くてぼんやりする、全身がだるくて力がまったく入らない、口の中が渇いて仕方ない。
どう考えても脱水症の症状だろう。
それも当然だ、目覚めてから一滴も水分を採ってないのに、何時間もの探索と肉体作業で大量に汗をかいている。
「ふーっ...で、も、だいぶ....へこんできた....もう少し、もう少しで...!!!」
前髪が張り付いた汗まみれの額を拭い、眼の前の最後の希望にもう一度石を突き立てる。
そしてついに、その時はやってきた。
ぐちゃッ
本当にココナッツからそんな音が聞こえた気がした。
「や.....やった......!!!やっと...われた...!!」
数時間に及ぶ作業のすえ、ついに硬いココナッツは砕け、その内側を露出させた。
涙が出るくらい嬉しい....!!元気だったら飛び跳ねておおはしゃぎしてたけど....もう無理....。
大事に両手で抱え、まるで酒坏を飲むように割れた箇所からぐいっとココナッツジュースを――――
ジュースを――――。
ジュ―――。
........。
出ない。
「え.....?」
思わず口から漏れた少女の声は、それはもう弱々しく掠れきっていた。