無人島の猫百合姫 ~ハードコア孤島サバイバルが百合ハーレムになるまで~ 作:Kkmn
「…マジで木の実もなんもねーじゃねぇかこの島。」
とぼとぼと砂浜を歩く一匹の狼少女。
食料を探してるはずの彼女だが、その両手はカラッポだった。
「さっきのヤシの実もすっげぇ酸っぱくて喰えたモンじゃなかったしなぁ。」
クン、と鼻を鳴らし鋭敏な嗅覚を活かし周囲のニオイを探る。
しかし強い潮風のせいでニオイが流され、余り役には立ってくれそうになかった。
「ア、ポチ。タベモノ、アッタ?」
『ポチだ』『おて』
「だれがポチだてめぇぇぇえええ!!?カミューっつってんだろテメェを食ってやろうか!!?」
すると岩場でアンと共に湧き水をココナッツの殻で汲んでいたエルゥと出くわしてしまう。
「ったく、何も食えそうなモンねーな。何かこの辺りでっけぇ動物とかモンスターとかいねーのかよ」
「マエニ、ボアサーペント、イタケド、ノウンガタオシタ。」
『でかかった』『おいしかった』
「あーなるほどね…ソイツの縄張りだったんなら、他にあんま生き物は居なさそうだな…。」
結局カミューは陸をあきらめ、目の前に広がる広大な海に探索場所をシフトした。
ボロ切れになり果てかろうじて胸と腰を隠すのみとなった服を放り投げると、ノウンには及ばないものの十分にたわわな果実がぷるんっと跳ねた。
「……オッキイ…」
「あ?なんか言ったか?」
「ウウン、ヒヤケ、キヲツケテネ。」
「はっ!!日焼け程度で泣き言ほざくなんてニンゲンくらいだっての!!」
こうして彼女は海へと身を投じ、海鮮物の食料を探索に向かったのだった…素手で。
◇◇◇◇◇
「あー胸の中にゃかで虫がもぞもぞしてる…変にゃかんじするぅ…」
で、自分は現在エルゥやアンのために虫以外のまともな食材を探していた。
理想はいちど前に見たバナナのような果実だが、あれ以来みてないため望み薄だろうなぁ。
だから狙いはある生き物。ここ数週間で非常になじみ深い食べ物になってしまったヘビだ。
この間殺したようなデカイのじゃなくて、普通のサイズのね。
「だから冷たくて涼しい、陰ににゃってる所を探さにゃきゃ」
ヘビは変温動物、こんな暑い環境なら涼しい暗がりを好むはず。
だからこうやって長い木の枝で、つんつんと倒れた木の陰や岩の下を歩いていれば…。
「ん……?このぶにょっとした手ごたえは?」
「…ゲコッ、ゲコッ!!」
おぉ!?これは初めて見る生物!!
このヌメっとしたツヤツヤの肌!ぶにょぶにょのお肉!ジメッとした感じ!!
逃げられる前に、思い切り岩の下に手を突っ込んでわし掴む!!
「ふんっ……おぉぉぉおおおお!!?にゃんかカエルにハネはえてるぅぅ!!!しかもデカイ!」
なんか天使みたいな白い羽根、ちょっと黒っぽい濃い緑だけど、丸々と太ってて食べる所はいっぱいありそう…!
相変わらず異世界ってすごいなぁ...。
ヘビを食べてる中国だとカエルのスープとかだってあるらしいし、これは比較的まともな食材じゃない?
それにどうせ生き物なんだし、頭と内臓を取れば食べれるでしょ。
「よっしゃ!気持ち悪いけどコレも胸に入れて……あ、ヌメヌメして…んっ///ふにゃっ…///」
あ、やばいコレ、ぬめったカエルが…水着の中で…捕まえられまいと、大暴れしてぇ…ひゃんっ!!?///
あっくそっ!!変なところ入り込んで…ひぃっ!?お尻の間に入るにゃああぁぁぁぁ!!!?
「ああああああこら!!出てこい!!シめてからしまえば良かった!!」
くぅぅ、スクール水着の裏側が、汗とカエルのヌメヌメで混ざり合ってぇ…///うぅ…///
や、やばい、歩くと、胸の先端とかが…その、裏地にこすれて…ちょっとキモチイイ…///
「あーーーーー!!!ダメ!!ダメだって!!エルゥとあんにゃことしてから自分ちょっとおかしいってぇぇーーーーッッ!!」
「はぁっ…はぁっ…。あ、あぶにゃい…またおんにゃの子の身体に呑まれるトコだった…。」
くぅ、まだカラダが、ぽわぽわして…うぅ…///
だ、ダメだしっかりしないと。今はそんなこと考えてる場合じゃない。
あれから1時間ほど藪の中や岩の下を探し回っているが、結局ヘビどころか普通のカエルすら見つけられなくなった。
…カエル一匹と虫数匹だけでは少し心元ない。
エルゥがカエルを食べれるとは限らないし、他にも何か探さないと…。
「…ん、そういえば……確か。」
――――同じようなニオイだから、魔獣だと思ってたぜ。
思い出されるのは、先日のカミューさんの言葉。
あの言葉から察するに、彼女はきっとニオイで周囲の生き物の気配、そして種類までもを探っているんだろうか。
だとしたら、同じような獣っぽい人間である自分にも同じことができるんじゃないか…?
確かにこの身体になってから、ニオイには敏感になった気がする。
…主にそれを感じるのは、エルゥとか女の子に抱き着かれた時だけど…。
「すぅっ………くん、くん…」
全神経を鼻に集中させ、嗅覚を最大まで研ぎ澄ます――――――。
ここまで嗅覚に集中したのは、人生初めての経験だった。上手くいくだろうか。
「……っっ……!!…わかる…!?どっちから潮のニオイがするかとか…エルゥのニオイも、アンのニオイまでわかるっ!!」
すごい、人間だった時からは考えられないような不思議な感覚…!!
いや、思えばそういえば、今までもとっさの時とかはエルゥのニオイとかを感じてたかもしれない。
でも、これが意識的に使えるようになったら、もっと色々なサバイバルに応用できるかも…!!
「くんくんっ…っ!!にゃんか、こっちから…うっすらとだけど、香ばしいニオイがするッ!!」
なんだろうこれ!?香辛料…いや、なんだろうとにかくスパイシーな香り。
木の実でもないし、たぶん生き物でもない。…とにかく行ってみよう!
「距離も…ううん、きっとそんにゃに遠くにゃいっ!!わかる!すごいっすごいっ!!自分の鼻、すごいっ!!」
思わぬ大発見のあまりうれしくなってしまって、自分は水着の下の不快感も忘れ駆けていた。
あぁ、力ない上に涙腺緩いし体力もないけど…結構いい所あるじゃん、この身体!!
………これで女の子じゃなかったらなぁ…。
◇◇◇◇◇
「ア、オカエリ!!ノウンッ!!」
『あるじさま』『おかえり』
「ただいm……ちょっ、エルゥ、よごれてるし汚いから抱き着いちゃ…」
砂浜の焚火に帰るなり両手を広げてハグしようとしてきたエルゥを拒否…できないんですよねー。
「ナニイッテルノ!?ノウンガキタナイワケ、ナイ!!!」
あぁ、腕力にモノを言わせて抱きしめられて…すりすりされて…恥ずかしいけどキモチイイ…///
元の世界でもこんなお嫁さんほしかったなぁ…。
「おぉ…戻ったんだな…アンタ……。」
「ってうわぁ!?カミューさん…どうしたの?」
「ハハ、笑いなよ…そんなちゃちぃ魚一匹とるだけでこのザマさ。
海に一日中潜っててわかったけど…やっぱつれぇわ…。」
みるといつの間にかエルゥの為に作ったハンモックにぐったりとしたカミューさんが寝転がってるではないか。
それにしても凄い疲れようで…ってあれからずっと海で素潜り!?そりゃつれぇでしょ…。言えたじゃねぇか。
「あー、ここら辺でサカニャ探したの?
…こっち側より反対側の海の方がサンゴあるからサカニャいっぱいいるよ?」
「はぁぁぁぁああ!!?…あーアホくさ。アタシバカみてぇじゃんか…」
ごろんと不貞腐れるように寝転がる姿からは先日の雄々しい迫力はまるで見る影もない。
どうやら随分お疲れのようだ。
『みてみて』『さかな』
アンのはしゃぐ声に振り向くと、そこにはヤシの葉の上に置かれた30cmほどの中々のサイズの魚が一匹転がっていた。
「んお?おー!!…大きくはにゃいけど、良い大きさだよ!!すごいよカミューさん!」
「…へへ、そうかよ。アタシはいーからアンタらで食べな。
んなモンだけ喰っても大した腹の足しにもなんねーからな」
え?いいの…?
いや、いじけてる訳ではないんだろうけど…もしかして自分とエルゥに気を使ってくれてるのかな?
「…別にふてくされてるんじゃねー。アンタら貧弱なニンゲンや獣人と違ってアタシは丈夫だからな。
ちょっと喰わなかったくらいなんともないさ。」
そう言うと…まるで照れ隠しのように、自分たちとは逆の方に寝転んでしまった。
……この人、きっと根は良い人なんだろうなぁ。
「…よし、エルゥ!今日は凄いごちそう作るからね!!手伝って!」
「エッ?ウ、ウン。ワカッタケド…ゴチソウ?」
ほっぺたをパンと叩き、気合を入れなおす。
そうだ、折角新しい仲間?が出来たんだし、今日くらいは美味しいモノ食べたっていいよね?
「まかせて!!蛇肉にゃんか忘れちゃうくらい、美味しいゴハンを作るから!!」
そういって胸を強く叩く!!……と、自分の胸に、邪魔な柔らかい脂肪の塊があるのを忘れてて………。
「ひぃっ……い、いたっ…せ、せんたんがぁ…」
「アァッ!!?ノウン!?ダイジョウブ!?ケガシテナイ!?ナメタホウガイイ!?」
エルゥ…自分のおっぱいなめようとしないでぇ……。
◇◇◇◇◇
「………………?」
ここは、どこだろう。
思い出す自身の過去。僅かな記憶の糸を手繰りよせ、思い浮かべるのは、ベッドで寝る自らを看取る大人たちの顔。
わたし、しんだのかな?
それじゃあ、ここはてんごく?
でも、絵本やママからきいた天使さんはどこにもいないし。
いっぱいの木の中をどれだけ歩いても、雲の上には出てこない。
「…みんな、どこ…?」
ママも、せんせいのみんなも、かしんのみんなも、どこにもいない。
わたし、ひとりぼっち?
あぁ、でも…。
彼女の目の前に広がるのは、見たこともない、手入れされていない手つかずの大自然。
狭苦しい王宮という監獄に閉じ込められていた彼女にとってそこは、とてつもなく輝いて見えた。
「…っすっごーーーーいっっっ!!!!」
亡国の小さな姫は、子供の好奇心をむき出しにした、満天の輝かしい笑みをその幼い顔に浮かべた。