無人島の猫百合姫 ~ハードコア孤島サバイバルが百合ハーレムになるまで~   作:Kkmn

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30. 【悲報】猫耳少女、食べられる。

「は、はぁっ!?にゃに言ってるの!?ふざけにゃいでっ!!」

 

 

 

「ふざけてなんかねーよ。アンタこそなんだ?こんな今日初めて会った奴にまでお人よししてんのか?」

 

 

 

 

 

カミューさんが、余りにも突然に、余りにも意味の分からないことを言い出す。

 

そんな彼女からかばうように、未だ胸の中に目覚める気配のない少女を抱きしめた。

 

 

 

「あぁそうか…ゾンビも知らねーんだな。ゾンビってのはな、魔力マナがある内は不死身だろうが、死んでる事には変わりねーんだ。

 

 動いてるだけで魔力マナを消耗していって、しまいにゃ枯渇して腐り果てるんだよ。」

 

 

 

「……っ!!だったら、この子は…いつかは、腐っていっちゃうってこと?」

 

 

 

「そうさ、それにもうそんな先の事じゃねぇ。もう今取れた足が全然再生してねーしな。」

 

 

 

…!!見ると、確かにさっきみたいに外れた足が、くっついてない…!?

 

エルゥが支えてくれてるけど…手をどかすと今にもまた外れてしまいそう。

 

 

 

「酷いもんだよ?理性も無くして腐ってドロドロになった肉をまき散らしながら彷徨う死体ってのは。

 

 さすがにそんなモン学者サマたちも欲しがらねーだろうしな。」

 

 

 

「だ、だからって…だからって、殺す、にゃんて…!!他に、何にゃにかこの子を助ける方法があるって!!ねぇエルゥ!?」

 

 

 

 

 

そうだ。いくらゾンビだろうが何だか知らないけど、こんな小さな子を手にかけるなんて…!!

 

そう思って隣にいるエルゥに問いかけてみるけど…その顔は険しくて。

 

 

 

 

 

「……魔力マナ、キョウキュウ、シテアゲレレバ……モシカスルト…」

 

 

 

「!!!そうだよ!それ、マニャ?だっけ?それってにゃんか分けてあげたりできにゃいの!?」

 

 

 

 

 

必死になって未だに殺意を放っているカミューさんに訴える。

 

でも、横にいたエルゥは、私のその言葉に力なく首を横に振るばかりだった。

 

 

 

 

 

「ソウイウコトハ、デキナイノ…ザンネン、ダケド…」

 

 

 

 

 

…絶望的な返事だった。

 

 

 

だったら…この子を、死なせるしかないの?

 

せ、せっかく何前年もの間眠っていた所から、起きてきたばかりだって言うのに?

 

 

 

『……~~……(おろおろ』

 

 

 

ふとその時だった。

 

自分たちの話を理解しているのかは怪しいが、さっきまで一緒に遊んでいた眠る少女によりそうスライム…アンが視界に入った。

 

 

 

 

 

―――――!!!!

 

 

 

 

 

そしてその時、自分の脳裏に初めてこの島で摂取した食べ物のことが浮かんできた。

 

 

 

 

 

「そ、そうだっ!!アンだよ!!この子の仲間にゃかまを食べた時、傷とかが癒えて、スゴク元気になったの!!

 

 この子の身体の一部を食べさせてあげれば、きっとその、マニャ?だって…!」

 

 

 

 

 

そうだ、そうすればきっと、この子だって…。

 

アンに一部を食べられ続けてもらうのは可哀そうかもしれないけど、命が救えるなら!!

 

 

 

 

 

「ふぅん…。ありえねぇ話じゃねーけどよ。…足りる訳ねーだろ」

 

 

 

 

 

でも帰ってきた答えは…冷たかった。

 

 

 

「…え?」

 

「まぁこのスライムの7割も飲めばまた元通りだろうが…その次はどうする?

 

 長く見積もっても3、4日でまた魔力切れさ。」

 

 

 

「だ、だから。その時はまた、アンを!!!」

 

「…このスライムがここまでの大きさになるまでどれだけかかったんだ?」

 

 

 

 

 

あ、あぁっ…そっか…。

 

たしかに、最初の瓶の中にいたのを見つけてから2倍くらいには大きくなったけど。

 

それは大量の蛇の肉とか、数週間という時間があってこそのモノだし…。

 

 

 

 

 

でも、でも、あきらめるわけにはいかない。あきらめたくない。

 

こんな幼い頃に死んで、数千年も独りぼっちで。

 

その果ての結末がこんな孤島で一人死ぬことなんて悲しすぎる…。

 

 

 

「…ノウン。」

 

「エ、エルゥ…にゃにか、にゃにかこの子、助けてあげられにゃいの…?」

 

 

 

「…………」

 

 

 

 

 

…初めてのことだったかも知れない。

 

 

 

エルゥが、私の声に返事も返してくれずに黙り込んでしまったのは――――。

 

 

 

 

 

「…もういいだろ。しつけえよ、アンタ。」

 

 

 

 

 

ブォォンッ…!!

 

 

 

 

 

――――風を切る音!?

 

 

 

 

 

まずい、と思った時には既に猫の本能がとっさに身を跳躍させていて――――!!!

 

 

 

 

 

「…眠り姫には綺麗なままでいてほしいだろ?」

 

 

 

「なんで…?どうして、そこまで…」

 

 

 

 

 

間に合った。間に合ったのはいいけど。

 

自分はその幼い身体を抱いたまま、シェルターから飛び出して砂浜に思い切り身体を叩きつけられて。

 

 

 

 

 

「…アタシはな、どうしてもソイツを連れ帰って、名声が欲しいんだよ。

 

 そのためには眠り姫には綺麗なままでいてもらわなくっちゃあな!!」

 

 

 

 

 

そう私に告げるカミューさんの姿からは…ここ数日で僅かに覗かせていた優しさが微塵も感じられない。

 

 

 

 

 

「…そんにゃ、こんな酷い人だって、おもわにゃかった!!!」

 

 

 

 

 

そう彼女にむかってありったけを叫びつつ、思いっきり地面を踏んで、砂浜の砂を巻き上げた。

 

 

 

砂煙の向こう側から、舌打ちの音と、自分の名前を叫ぶ声――――でもそれに応えている場合じゃなかった。

 

 

 

ここに居たら、この子は今すぐにでも殺されてしまう…!。

 

 

 

 

 

 

 

…自分は幼い肢体を抱えたまま、森の奥へと駆けだすことしかできなかった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

「……………」

 

 

 

 

 

くぼんだ大穴、そこに覆いかぶさるように倒れた木。

 

偶然見つけたそこは、深い密林の中で一時的に身を休めるには最適な場所だった。

 

 

 

「……にゃに、やってんだろ。」

 

 

 

…よく考えればカミューさんの言ってた事の方が正しい気もする。

 

 

 

やがて身体が腐って、酷い結末を迎えてしまうなら、今楽にしてあげた方がいいんじゃないだろうか?

 

 

 

そうだ、今からでも遅くない。きっとその方が…このこの…ため…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう思って胸に抱いた少女を見る。

 

 

 

 

 

「すぅ……んみゃ…えへへ、ままぁ……♪」

 

 

 

 

 

あどけなく、幼い、純粋でいたいけな少女の寝顔。

 

 

 

 

 

自分に身体を預けきったその姿を見た途端――――胸が張り裂ける程いたくなった。

 

 

 

 

 

「………っっ!!!」

 

 

 

 

 

守ってあげたい、守ってあげないといけない。

 

そんな思いが自分でも信じられない程胸の奥底から湧き上がり、どうしてもそれを無視できない。

 

 

 

…さっき自分は僅かに冗談めかして母性だと言っていたけど、もうそれでも構わない気さえしてくる。

 

 

 

 

 

「うっ…うぅっ…ひぐっ…」

 

 

 

 

 

この小さく哀れな子供に何もしてあげれない無力さに、気づけば涙が溢れていた。

 

どうすればいい…?この子をいったいどうしてあげれば…。

 

 

 

「…ママ?」

 

 

 

「あ…ご、ごめんね?おこしちゃって……。」

 

 

 

「うにゃ?…どうしてないてるの?」

 

 

 

 

 

その寝顔に滴った涙のせいだろうか、ぐっすりと眠っていた彼女は目覚め、くしくしと目を擦り始めた。

 

 

 

ぼんやりとしつつも、その幼い顔にはやっぱり無邪気な笑顔が浮かんでいて。

 

 

 

 

 

「ママこのまえいってたのに。『ひとが泣いていいのは、おやがしんだときだけ』って!!」

 

 

 

…ふふ、なにそれ?

 

その人、昔おばあちゃんが言ってたのと同じこといってるよ…。

 

 

 

でも今はこの子にとって、自分がそのママって人と同じだから、ちゃんと演じないと…。

 

 

 

 

 

「…ふふ、そうだね。そうだったね。」

 

 

 

 

 

そっと、その頭に手を添えて撫ででやると、気持ちよさそうにうっとりと目を細めてくれる。

 

 

 

 

 

「ねぇママ、ここってどこなの?…てんごく?」

 

 

 

「うーん…そうだね。…それとおにゃじようにゃ、ところかにゃ…。」

 

 

 

 

 

ぼんやりと、ぼやかして答える。

 

 

 

この子にとっては死後の世界も変わらないだろう。いや、まだ死後の世界だった方が良かったかもしれない。

 

きっと本当のママや、彼女を知ってる人達が暖かく迎えてくれただろうから…。

 

 

 

 

 

―――――くきゅるるる…。

 

 

 

 

 

その時、ふと、お腹がなる音が二人の話を遮った。

 

 

 

 

 

「あれ~……なんだか、おなかすいちゃったなぁ…」

 

「ん、そっか…そうだよね…。待ってね、にゃにか、たべれるもの。」

 

 

 

 

 

あぁどうしよう。

 

食べ物か…森の中だからココナッツもなさそうだし、かといって虫やカエルを食べようにも火もないし…。

 

 

 

 

 

「でもへんなの。今までずっとおなかすかなかったのに…。なんだかきゅうに…」

 

 

 

「……っっ。」

 

 

 

急に、おなかがすいてきた?

 

 

 

ふと怪しく感じ、そう呟いた彼女の顔を…み……ると…。

 

 

 

……心なしか…どこか、うつろな感じがして…そして何より、今まで一切絶えなかったはずの笑顔が、消えていて。

 

 

 

 

 

 

 

「…………まま…」

 

 

 

「え?にゃに?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――がしっ。

 

 

 

自分の首をつかむ、小さな手。

 

 

 

 

 

 

 

「わたし…おにく、たべたくなってきた…。」

 

 

 

 

 

…まって。もしかして…。

 

 

 

 

 

脳裏に思い出されるのは、ありふれたゾンビのイメージ。

 

空腹感のままにさ迷い歩き、人間の死体を貪る姿。

 

 

 

 

 

 

 

「……まま、いいにおい、する。」

 

 

 

 

 

ふと。猫の鋭敏な嗅覚が不意に、異臭を感じとった。

 

 

 

それは一度、どこかで嗅いだことのある…そうだ、思い出した。

 

 

 

蛇肉を解体してるとき、ハエやウジが湧いてきた、腐り始めた肉のあのニオイ――――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………あー、ん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――がぷっ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女が何かに噛みついた音が、森の静寂に響きわたった。

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