無人島の猫百合姫 ~ハードコア孤島サバイバルが百合ハーレムになるまで~ 作:Kkmn
「…ここら辺にしよっか。エルゥ、荷物下ろしていいよ。」
「ココ?モウスコシ、ジックリ、シラベナクテイイノ?」
日も登り切っていない頃、朝露が色めく森の中をエルゥと二人きりで散策している。
今日は食料探しではない、これからは新しい拠点を作るためにいろいろと作業が必要だから。
だから今日はこうして二人っきりで森の中にいるのだ。
「うん、ここなら川の近くだし、増水しても影響ないくらいの場所だしちょうどいいと思う。
…それにまず仮の拠点から作るから、気にいらにゃかったにゃら移動すればいいし。」
「ソッカ、ワカッタ。ノウンノ、イウコトナラ、ツイテイク!」
そう、いきなり本格的な拠点づくりは始められない。
目標としている拠点は雨、そして台風が来ても耐えれる程度のしっかりしたモノなのだ。
それほどのモノを作るとなれば、やっぱり色々な前準備が必要になってくる。
…あたりを見渡す。
鬱屈、とまではいかないものの、それなりに木々や茂みが密集している森の中で、比較的開けているところだ。
幸いにも木や枝や石、そしてツル植物といった自然のリソースは豊富にある。
これらをしっかり上手く活用すれば、必ずわたし達の理想の拠点は作れるはずだ。
「…まず、仮拠点から作るんだけど。その前にまず道具を作ろうと思うんだ。ナイフとか斧とか。」
「エ?ナイフッテ、ワタシノコレジャ、ダメナノ?ソレニ、カミューチャンナラ、ナクテモ…」
「それはそうにゃんだけどね。わたしやエルゥ、それにレイシアちゃんもそういう作業できるように道具はあった方がいいし…。
それに、エルゥのそのニャイフはとっても貴重だから、できるだけ大切にしたいの。」
…そうだ、多分エルゥが持っているナイフは、今自分たちが持っている物の中で間違いなく一番役に立つ。
鉄なんて自作しようものならとんでもない手間になるし、漂流してきた鉄らしきものを見かけたこともあったが朽ち果てていた。
だからあまり大したことではない作業や、ナイフに負担をかける作業はそれでやって欲しくない。
欠けてしまったり、折れてしまったりすればとんでもない損失なのだから。
「そ、だからまずは、ニャイフとかを手作りして、にゃるべくそっちを使うようにしたいの。」
「ウウン…デモ、ナイフナンカ、ツクレルノ?」
「別にそこまでしっかりしたのじゃにゃくていいの、簡単にゃやつで十分だから。」
…さて、ナイフと言ってもまずは素材を決めないといけない。
一番手っ取り早いというか簡単なのは…貝だ。
これは最初この島に来たばかりの時に、よく刃物代わりとして使っていたこともある。
そのままでもそれなりに鋭いし、すぐに見つけられる。
…しかし、当然と言えば当然なのだが、いくら何でも脆すぎる。せいぜい仕えてカエルや魚をさばく時の包丁代わり程度…。
「…だから貝はダメ、拠点の材料の木を伐り出すなんて絶対に出来にゃい。」
・第二候補、骨。
かなり前の事に思えるが、海岸で見つけたあの竜のような巨大生物の骨。
あれの尖った部分はわたしの愛用のヤリの先端としてずっと活躍してくれているし、強度も素晴らしい。
実は道具作りを考えた時に一番最初に思い浮かんだ素材がアレだったりする。
ただ…問題はその加工の難しさ。
無論、強度は素晴らしい、最高なんだけど…余りにも硬すぎるんだよね…。
一か月ヤリとして使った尖った骨が、未だその鋭さを一切鈍らせてないほどなのだから。
ココナッツのように岩の間に挟んで石を叩きつけたりしたが、まったくビクともしない。
だから残念だけどコレは無理。…たまたまナイフの形状になってるような所なんてのもなかったし。
「…ソレデ、ヤッパリ、コレデ、ツクルコトニシタノ?」
「うん、ここ…川にゃらいくらでも見つけられるしね。」
――――ーさらさら。ざぷん。
はい、そういう訳で道具の素材には、この川にたくさんある石を使っていこうかな。
色んな形…まぁ流されて丸みを帯びているのが多いけど、色んな種類の石がここにはある。
きっと石を探すことに関しては間違いなくこの島で最高のロケーションに違いない。
「えっと、それじゃあねぇ…。エルゥには丸っこくて平べったい石を探してほしいの。
大きくても小さくても大丈夫。どっちも必要だから。」
「マルクテ、ヒラベッタイ、イシ…ウン、ワカッタ!!」
「あ、あとカエルとか、魚が居たら教えてね!!」
もちろん素材も大事だが、それ以上に食料も見つけれたら最高だよね。
さて、その間自分も別の道具に使う石をちゃんと探さないと。
…わたしのお目当ての石は、軽く見渡すだけでも何個か見つけられた。
手ごろで少し大きめの石、見つけたそれらを拾い集めて川辺にどんどん積んでいく。
そしてあっという間にそこには大きめの石が積まれた山が出来上がった。
種類もバラバラで、大きさ以外は形状までもがバラバラだ。
「よし、じゃあ後はこの石たちを………ふんに”ゃ”ぁ”ぁ”ぁ”っ!!!」
――――――ゴキャァァッ!!パラッ・・・ゴリッ…。
そしてそれらの上から、一抱えはあるもっと大きな石を落として砕いていく。
川で流され角が取られ丸っこくなった石たち、それらが砕けたことで、尖りや角が再び生まれてくる。
中には硬くて割れないモノや、粉々になってしまうモノ、割れても丸みが残るモノがあったが、それらを同種類のモノは取り除いていく。
うんうん、良い感じ良い感じ。
そして更に大きな石を落とし、手ごろで鋭利な石の破片ができるまでそれを永遠に繰り返す――――。
「んん…。よしっ♪結構簡単に作れたにゃぁ。」
そしてそれを30分ほど繰り返しただろうか。
最終的に無地っぽい灰黒色の石が鋭く割れやすいことを発見し、似たような見た目の石を集め砕け続けると、目当てのモノは完成した。
25cmから30cm程度だろうか、それくらいの鋭く細長く、それでいて薄すぎてない感じの石が4つほど出来た。
これでアンを除く皆のナイフの材料が手に入った、ただこれはこのままでは危ないし使えない。
「ノウンッ!!チョウドイイノ、アッタッ!!ミテミテッ!!」
「…わぁ、はっやい!おぉ!それにこの形最高だよ!大きな煎餅みたいで平べったくて…しかも何個も!!さすがエルゥ!」
「エヘヘ…///モット、ホメテ?」
そして何とタイミングが良いのだろうか、ちょうどよくエルゥもお目当てのモノを探し終わったらしい。
更に見つけてきてくれたモノは完璧だった、かなり平らで…なんならこれをそのまま括りつければそれなりの道具になるくらい。
…よし、これだけあれば石集めはもういいかな。
「ありがとう、エルゥと一緒にきてよかったぁ!!じゃあ後は仮拠点でこれを加工しよっか」
「ウン!ワカッタ!ワタシ、ナンデモテツダウ!」
…さて、そんな感じで良い具合の素材の石を見つけれたわたしたちだけど、当然このままじゃ使えない。
まずはわたしのナイフの石、これは持ち手の所まで鋭利になってしまっているせいで、このままだと持てないんだよね。
だから持ち手…柄を作らないといけない。
実はこれも結構悩んだよね。主に何を使って作るかで。
最初は柔らかい木の皮を使って、それを巻き付けて持ち手にしようかと思っていた。
でも案外木の皮の表面がちょっと滑りやすくて…それに思ったより強度が無くて。
力強く握ることも多いだろうし、間違っても使用中に破れるなんてあってほしくない。
どうしたものかと思ってた所…かなり身近に最高の答えが用意されていた。
「ノウン、ハイ!モッテキタノ、コレデゼンブダヨ。」
「ありがとう。…あ、もう小分けにして切ってくれてるんだ…助かるよ!」
そう言ってエルゥが手渡してくれたのは、しなやかで丈夫で…そして何よりいっぱいあるあの巨大ヘビの革!
木々の間から降り注ぐ日光が、表面のウロコに反射されて虹色に輝いてる…すごくキレイだ。
強度も、量も何も問題ない、素晴らしい素材…なんでコレを最初に思いつかなかったんだろう。
本当に作ってくれたエルゥには感謝しかないよ…いてくれてよかったぁ。
「さ…て…じゃあ後はこれを巻き付けるだけにゃんだけど…これツルだとちょっとしっかり巻き付けれるか不安にゃんだ。」
「タシカニ…チョット、カタイモンネ。」
そう、わたしたちが良く使う紐の代用品であるツル植物。
これはかなり丈夫だし頼りになるんだけど、いかんせん分厚くて硬すぎるんだよね。
本当にしっかりと、頑丈に括ることができるのは、きっとカミューくらいで…。
エルゥやわたしの非力な細腕じゃあ、流石にちょっと不安がある。
だから…。
「…いい加減、縄(にゃわ)、つくろっか。」
はぁ…拠点を作るための素材を採るための道具を作るための材料を作るための……。
結構気が遠くなりそうだけど…頑張ってサバイバルしよう…。