無人島の猫百合姫 ~ハードコア孤島サバイバルが百合ハーレムになるまで~   作:Kkmn

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46. ハードコア石斧づくり / 猫耳スライムの憂鬱

「…それじゃあ、エルゥはロープ作っといてくれる?

 わたしは木材を斬るための道具作りにはいるから。」

「ン、ワカッタ。デモ…ニャイフジャ、ダメナノ?」

「ニャイフって…。

 ニャイフでもやろうと思えばできるんだけど、やっぱり木を大量に斬るにゃらもうちょっと別の道具がいいと思うんだ。

 …オノみたいにゃ。」

 

「………オノニャ?」

「…怒るよ!?」

 

 

まったくもう、わたしだって好きでにゃんにゃん言ってる訳じゃないのにぃ…。

ホントこの身体になってから全然上手く「な」が発音できないし…叫び声に「にゃあ!」とか出ちゃうし…。

 

まあいいや、とにもかくにも今日は斧作りだ。

エルゥとも話したとおり、ナイフは工作などやちょっとしたコトには便利だけど、大がかりな作業にはちょっと頼りない。

一応木に刃を当てて、ノミのように背を大きな石や木の棒で思い切り何度も叩けば斬れないこともないけど。

 

やっぱりそれは時間も労力もかなりかかる。

拠点の形はまだはっきりとイメージ出来てないけど、きっと少なくない量の木がたくさん必要になるだろう。

そのためにもやっぱり、伐採を容易に行うためのオノはどうにかして手に入れたい。

 

 

 

…まぁ、とは言っても素材集めは昨日エルゥが見つけてくれたちょうどいい平らな石があるから、これで十分なんだけどね。

 

丸っこくて平べったい、三角形っぽい形のそこそこの大きさの石。

かなり理想に近い形だ、ナイフの時みたいに砕いて鋭利にしても良いけど…間違って砕けでもしたら大変。

だから今回は別の形で刃物に近づけいこうかな。

 

 

 

「はー…でも、砥ぐのって結構時間かかるだろうなぁ…」

 

 

はい。目の前にあるのは大きくて平らな石。そしてココナッツの空き殻に入れた水。

ここから始まるのはおそらくロープを編み込むのよりもっと虚無で長い長い時間。

この平べったい石を研いで、斧の刃の部分を作っていくのだ…はぁ…。

 

…ぜっっっっっっったい、めんどくさい。まちがいにゃい。溜息もでちゃう。

まぁでも、ナイフほど鋭利さが求められる道具でもないし…ある程度の所で妥協してもいいかな…。

 

 

「はぁ…がんばろぉ…」

 

 

―――――ぴちゃぴちゃ…ガジャコォガジャコォ…!!

 

 

まずは石と砥ぎ台を水で濡らして、石がひび割れたり欠けたりしないようにする。

そうしてガコガコと石同士を必死に擦り合わせながら、地道に形を削っていくのだ。

 

あぁ…やばい…これ、思ってたより虚無だわ…。

 

何回も、何回も、ただひたすらに同じ部分を削っていく。

…ロープなら良かった。減っていく材料の草。そして伸びていくロープがはっきりと見えるのだから。

でも何だコレ…やばい、何一つ変化が感じ取れない…。

 

あぁ…でも…多分コレ作っとかないと、絶対後々大変だし…あ”ぁ”…。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「ふにゃぁっ♡えるぅっ♡そこぉっ!そこいいのぉぉっ!!もっとつよくふんでぇぇぇぇええええ…♡」

「……キモチイイノハ、ウレシイケド…ワタシト、アイシアッタ、トキヨリ、ヨロコンデナイ?」

「ちっ、ちぎゃうのぉぉぉ♡え、エルゥのあしぃっ♡ツボをしげきしてきもちいいのぉぉぉ♡にゃぉぉぉ………♪」

 

 

あれから多分3時間くらい休憩なしでゴリゴリし続けた結果…肩が死にました^p^

 

そらそうなるわな、って感じで倒れていた所を通りすがりのエルゥに介抱してもらって。

ゴリゴリに凝り固まった肩を足でマッサージしてもらってる所です…。

 

最初指でやってもらったけど硬すぎて、肘でもまったくビクともしなくて結局足になりました…ふにゃ…キモチイイ…♪

 

 

「ドウグヅクリ、ドウ?イキヅマッテナイ?」

「んにゃぁ…だいじょうぶ。無理した甲斐はあったはずぅ…それにゃりに形ににゃったよ。」

 

 

うむ…一応、ナイフよりかは全然劣るけど、それなりに鋭利っぽい形にはなった。

でも多分そのままじゃ枝も斬れるかすら怪しいくらいだから、やっぱり長い大きな持ち手が必要だ。

 

 

 

「うん、でもここまで来ればもう大丈b……いや、やっぱり手伝ってくれる?」

「っ♪モチロンッ♡」

 

――――ニッコリ♡

 

その言葉が聞きたかった。その満面の笑顔からはそんな声が聞こえてきそうだった。

…後は確かにそこまで難しくないけど…無理せず手伝ってもらう方が、きっと楽で早いだろう。

 

それに…みんなと約束したしね、遠慮なくもっとみんなを頼るって。

 

 

「…じゃあ早速頼んでいい?そこの持ってきたカミューが斬った細い丸太あるでしょ?そこに穴(あにゃ)を開けたいんだ。」

「アァ、コレ。ドウシヨウ、ナイフデ、アケレルカナ?」

「じb…わたしの槍先の尖った骨でやろう、これ一旦解いて……はい。」

「ナルホド…ワカッタ!!マカセテ!!」

 

 

わたしの槍として様々なモノを貫いてきた骨…というかあの謎の巨大生物のツメ。

それをノミのよう使って斧の刃部分をセットする穴を作りたいんだ。

もちろん幾ら尖ってて硬いって言っても、それだけじゃ太い木に穴なんかあけられない。

いくらエルゥがわたしより力が強いと言っても流石に無理だ。

 

 

「ンショ…ヨシッ!!」

 

――――ゴツッ、ゴツッ!!

 

 

でもそこはもう、かなりサバイバルにも慣れてきたエルゥ。

わたしが何を言う訳でもなく、自ら手ごろな大きさの石を見つけ、それをハンマー代わりにして爪の背を叩き始めてくれた。

 

…そしてあっという間に木の皮が抉れ、どんどん穴が大きく、深く広がっていく。

 

ちなみにわたしは体重をかけて木を抑えてるだけ。

 

…『女の子に力仕事させるなんて…』って心の何処かで聞こえてくるけど。きっとそれは彼女にとって悲しい言葉だと思う。

それに、今はわたしも女の子なんだから…ちゃんと二人で一緒に頑張らないと。

 

 

「コレクライデ…ドウカナ?」

「……。うん!これくらいでちょうどイイや。じゃあ後の仕上げだけちゃちゃっとやっちゃうから…後は任せて。」

「ン、オネガイ!ジャアワタシ、ヨコデ、オウエンシテル!」

 

 

…うん、良い感じの大きさの穴だ。ちょっと小さいけど、多分使っていく内にちょうど良くなるはず。

 

後はじゃあ簡単に仕上げをしよう。

 

使うのは昨日作ったばかりの石のナイフ。これで持ち手の部分を削って握りやすい大きさと形に整えていかなくちゃ。

…力いっぱい握りしめる所だから、すっぽ抜けたりしないようにかなり丁寧にしとかないと…。

 

でも石を削る作業よりかはよっぽど気が楽だわ…。

 

で、バットの持ちてくらいの大きさに整えられたら次、焚火で少しあぶる。

燃えるんじゃないかと思うかも知れないけど大丈夫。少し火を通す程度ならむしろ引き締まって硬くなってくれるんだよね。

それに温めた直後なら少しだけ柔らかく、その間に刃状の石を穴の中に押し込んでしまうのだ。

 

 

―――――ゴンッ!!ゴンッ!!

 

 

「…オオ…!スゴイ、ホントニ、オノミタイ…!!」

 

 

「………はぁっ、もうっ!!やっとできたぁ…♪」

 

 

 

そして最後にわたしの手の中に握られてたのは……僅かに鈍いが、重たい石刃のヘッドが取り付けられた原始的な両手斧―――!!

 

 

キラーン☆なんて擬音が頭の中で聞こえてきそうなくらいの達成感。

…うん、握りやすさも上々、重さもいい具合だし、ヘッド部分もちゃんと固定されてるみたい。上手くいった!

 

 

「スゴイ!スゴイ!!ネェ、ワタシ、チョットタメシテミタイ!!!」

「あははっ、いいよ。はい♪」

「オォ…ホントノホントニ、チャントシタオノダ…エイッ」

 

 

――――カンッ!!パンッ!!ドッ!!

 

 

…思ったよりも斧の音は高く破裂するような感じの音で中々良いカンジ。

切れ味も良さそう。たった2、3発振っただけでもう樹皮が完全にめくれおち、中の白い部分まで切れ込みが入っている!

石の部分も外れる気配もなさそうだし、これなら十分実用に耐えうる性能だよ…!!

 

 

「アハハ!!コレ、タノシイ!!」

 

「…エルゥ、それにしてもすっごいフォーム綺麗だね…。」

 

 

マッサージが得意なのはわかるけど…斧の振り方までプロっぽいってどういうことなの…。

左手はしっかり握って、右手は流麗に滑るようにスライドさせて最小限の力で最大の威力を出してるよ…。

…良いとこのお嬢様って…ほんと色んなコトできないといけないんだね…。

 

 

「ワタシ、コレヤッテイイ!!?ノウンハ、チョットヤスンデテ!!」

 

 

うわぁ…エルゥの眼、ちょうキラキラしてる…。

 

わたし、彼女の何かを目覚めさせてしまったのかも…。

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

『……ここなら』『だれもいない。だいじょうぶ。』

 

 

少しい海岸から入りくんだ茂みの奥。そこに一匹の猫耳スライムがぷるぷると震えていた。

ここには「犬のあるじ」も、新しい「ゾンビのあるじ」もいない。

最近こっそりと練習しているアレをやるにはうってつけの場所なのだ。

 

 

―――――ぐにぃっ。もご…ぷにゅん……。

 

 

あの「猫のあるじ」は色々なモノをスライムよりも遥かに長い年月見てきたし、知識も知能もある。

だからこそ彼女がイメージするモノの形はあまり知能がお世辞にも高くない彼(彼女?)にもはっきりと理解できたのだ。

 

 

―――――じゅぷ…ぐ、ちゃぁ…。

 

 

 

だが。自分で考えたイメージとなれば話は別だった。

 

 

楽しく、仲良く、笑顔でたわむれ、触れ合う4人の主たち。

 

 

 

――――いつもイメージするのは、そこに混ざって一緒に遊ぶ、人のカタチをした自分の姿―――――。

 

 

 

『………やっぱり。』『うまく、いかない。』

 

 

「ゃっあい…うまぅ…いああい……。」

 

 

 

…ヒトのシルエットを僅かに感じさせる程度の形状に変化したそのスライム。

 

その未成熟な声帯機構が発した声は、どこか寂し気で…悲しさが漂っていた。

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