無人島の猫百合姫 ~ハードコア孤島サバイバルが百合ハーレムになるまで~   作:Kkmn

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57.【朗報】がち妊娠

「オイ!!よかった、こんな所にいやがったのかよ!お嬢さまは……!?あ?」

 

「ママ!…と、お、ねえ、ちゃ…ん……?」

 

「…二人とも、良かった。大丈夫だった?」

 

 

洞窟があった小さな山…山だった周りより高い地形。

そこで力なく眠るエルゥを支える私を見つけたカミューとレイシアちゃん。良かった。どうやら二人も無事みたい。

でも二人ともどうやら彼女の今の姿を見て、少なからず驚いてしまっているみたいで。

 

「ごめん、驚かないであげて。この子はちゃんと自分たちの知ってるエルゥだよ。」

 

「あ、あぁ…だけどなんだって…って違う!!津波がくんだよ!アンタもさっきの地震感じただろ!!

 それだけじゃねぇ、それから逃げようと島中の生き物がーーーーー!!」

 

「ポチッ!!後ろっ!!」

 

 

ウサギを抱え、振り返ったレイシアちゃんの悲鳴に近い声。

その方を自分も見てみると…そこにあったのは絶景というか。圧巻さえ言えるような異様な光景だった。

 

 

 

「ギャォォォォ…!!」

「…ぐるるるる」

「ぴー、ぴー!」

「…キュルルルル…」

「じゅるっるr…」

 

 

何と言うことだろうか。

鳥も、獣も、それ以外の生き物…モンスター?も。それらが一つの巨大な集団となって大挙していたのだ。

本来は捕食する側される側の動物でさえもゴチャゴチャになっている様子から、なおさらその異様さが見て取れた。

 

津波…そうか。さっき自分がした、アレのせいで?

 

「…多分、ココがこの島で一番高いトコロだろうな。だからコイツらも…。

 だけどここまで津波が来ないとも限らねぇ…どうする?」

 

そう隣でつぶやくカミューの声はいつになく緊迫した様子で。

 

 

「……そうだね。」

 

カミューの言う通り、あそこまでの大地震ならどれだけ津波の巨大になるか分からない。

それにこの高台だって、海がそれなりに近く見える程の距離しか海から離れてないのだ。

何かに掴まっておく程度ではきっと耐えうることは出来ないだろうし。

 

 

ーーーーでも、皆を助ける方法なら、一つだけある。

 

 

『あるじ、はやくやすんで』『もう、しんじゃう』

 

 

その時、自分の頭の中でアンが悲痛な叫びをあげる。

こんな時にまでまだ心配してくれるなんて、本当にこの子は優しくて良い子だ。

 

「ママ…だいじょうぶ?」

 

レイシアちゃんも一緒みたい。

自分に巨大な危険が迫っていると言うのに、疲れた様子を察してか不安げな顔を見せてくれる。

 

「…心配すんな。いざとなったら津波だろうがアタシのツメでぶった切って、アンタ達だけでも逃がしてやるからさ。」

 

力強く、優しい笑みを浮かべ牙を覗かせるカミュー。

 

「………ノゥ…ン…。」

 

そして自分の腕の中で、エルゥが、わたしの大切な人が名前を呼んでくれた。

 

 

 

 

 

「アン、元気でね。皆をよろしく。」

 

 

 

私は彼女達のその声に決心を固め、相棒(アン)が宿る槍をカミューに預けた。

 

「えぇっ!?はぁ?アンタ何いって…」

 

 

戸惑う声が聞こえるが関係ない。今は急がないと。

 

さっきの感覚を思い出せ。確か地面に触れた指先に意識を集中させて、あのクソ蛇が作ってた変な魔法陣みたいなのをイメージするんだ。

そしたら———ー出来た。そう、確かこんな感じの模様だったハズ。

 

 

「じぶ…わたし、この島にすっごい感謝してるんだ。そもそもこの島が無(にゃ)かったら、わたし溺れ死んでるはずだし」

「ママ!?なにしてるの!?ダメ、やめて!!」

 

そして青色に浮かんだその魔法陣の中に、両手をずぶずぶと突っ込む。

アンの声は聞こえない。…きっとさっきエルゥの身体に流し込んだ時に、私の中にいたアンの一部はほとんど移してしまったんだろう。

 

 

「今日まで生きてこれたのもこの島のおかげだし、皆(みんにゃ)に出会えたのもそう…だから、この島は守ってあげたいの」

 

 

ーーーーーパチッ、バチンッ!!

 

陣から閃光のような火花が散る。まるでショートした電気のようだ。

それと同時に、ただでさえ疲労感に襲われていた身体が、酷いめまいや頭痛、虚脱感などに見舞われる。

わたしの中の何かが吸われてる。コレが魔力というモノなんだろうか?

 

 

「…こんにゃに辛かったんだね…。アンごめんね、ムリさせちゃって。」

『—ー——ーー』

 

 

アタマの中に直接響くはずのアンの声が、ノイズ混じりでよく聞き取れない。

でもきっとこの子のことだ。心配してくれてる声に違いない。

 

 

「…天地…にゃんだっけ。まぁ、にゃんでもいいや……。」

 

 

そしてその地面の文様が一際蒼く輝き。

その瞬間、巨大な地ならしを響かせながら、この島を覆うように巨大な大地の壁が隆起した。

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

「………んん?」

 

そこは不思議な空間で…でも来るのは初めてじゃない。

あぁそうだ、確か一度発情期の時に夢の中で、女の子の自分と…。

え?夢?あれ、自分は確か津波から島を守ろうと…。

 

 

『あるじ』『きこえる?』

 

「ん…アン?」

 

 

しかし今回現れたのは女の子としてのわたしではなく…相棒の姿だった。

いつも通りのぷにょぷにょの透き通った、紫の猫耳スライムだ。

 

 

『つなみ、ふせげた』『みんな、たすかった』

 

「…そっか。よかった。安心したよ。」

 

 

そっかぁ…まぁそもそもわたしの巻いた種だもの。わたしが何とかするのは当然だよね。

 

『でも、あるじ』『しんじゃう』

 

「……。」

 

 

知ってる。って言うかそもそもあれだけ死にそうになるくらい酷い有様だったもの。

疲労感も傷もケガも限界だった。

でも、頼みの綱のアンもわたしに分けれる程余裕も残っていなかったし。仕方のないことだったんだよ。

 

 

『でも、だいじょうぶ』『わたしが、かわりになる』

 

「…ふへ?」

 

 

今この子は何て言った?代わりになる?じぶんが?

 

 

『のこった、わたし』『ぜんぶ、そっちにうつした』

 

「はっ…はぁぁぁぁぁっっ!!?ちょっと!?にゃにしてんの!?そんにゃことしたら…」

 

『いいの。』『あるじのいちぶになって、いきれるから』

 

「違うでしょ!!そんにゃの!にゃんでっ、いいって言ったのに…!!」

 

 

怒りをあらわにして目の前の猫耳スライムにぶつける。

でもアンは何でもないという風に、いつものような調子でこう続けた。

 

 

『わたし、あるじのことだいすき』『ずっと、いっしょにいたいの』

 

 

いつも通りの、少し無機質な感じの幼い口調でそう言われれば。

それ以上、わたしも言葉を続けることができなくなって。

 

「…わたしも、あにゃたのこと、好きだよ。」

 

『そっか。』『うれしい。』

 

「………」

 

『………』

 

 

しばらくの間。そうしてわたしとアンの間には見つめあった沈黙の時間が流れた。

 

『わたし、ずっとれんしゅうしてた』『あるじたちみたいに、ひとになりたくて』

 

「…そんにゃことしにゃくても、アンはわたし達と一緒だよ……」

 

『うん』『でも』

 

 

 

このまま、アンを手放してしまって良いワケがない。

わたしの、いいや、わたしたちのかけがえのない大切な仲間なのだから。

 

 

「ねぇアン。わたしの中に、ほんの少しでも身体、残ってるんだよね?」

 

『…うん』『でも、もう、あとはきえるだけ。』

 

「…あのクソ蛇が最期にやったこと、覚えてる?」

 

『……!!?』『もしかして』

 

 

するはずがないけど、僅かに息をのむ気配がアンから感じられた。

 

 

『…できるかも、だけど』『あるじ、いいの?』

 

「にゃにが…?」

 

『だってそうすれば、きっと』『あるじ、もうおんなのこから…』

 

「いいの。それでアンが助かるなら。」

 

 

そうやって優しく微笑みかけると、アンは僅かにその身体をぷるぷると震わせた。

 

わたしの愛おしい愛おしい、カワイイ大事な相棒。

それをわたしの身体の中に受け入れるように、両手で広げ抱きしめた。

 

この小さな体でどれだけ悩んだのだろうか。

この小さな体をどれだけ苦しませてしまったのだろうか。

 

それに比べれば、この程度のことなんて…ううん、寧ろコレはわたしにとっても嬉しいことだから。

 

 

 

「………おいで、アン。」

 

『……うん』

 

 

わたしはその小さな身体を、自分のナカに迎え入れた。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

「んにゃっ…ううん……」

 

「ノウンッ…ノウン!!ヨカッタッ……オキテ…!!」

 

「わぁ…ふふ、だいじょうぶだいじょうぶ。生きてるよ。」

 

 

起きたそうそうエルゥの暑い抱擁が迎えてくれた。

見ればカミューやレイシアちゃんも泣きそうな顔で覗き込んでくれていて…あはは、ごめんね…。

 

「大丈夫なのか?あんなバカげた魔術なんかアンタどこで……ってああ…!?」

 

「えっ…マ…マ…それ……って?」

 

 

……そういえば、身体がいつになく重い。

なんだろうか、まるでそう、お腹に重りを抱えているかのような…。

 

 

「あぁ…そっか…。」

 

 

自分の身体を見下ろす。

そこには乳房のその下に…命を宿した大きなお腹が、丸みを帯びて大きく膨らんでいた。

 

 

「あぁ……。」

 

 

胸から湧き上がる、どうしようもなく愛おしく感じる気持ち。これが母性なのだろうか。

気づけばその大きく膨らんだお腹を優しくなで、感極まるようにうっとりと目を閉じていた。

 

 

「ノウン……コノコ…ッテ……」

 

 

エルゥは薄々と気づいてるようで、僅かな微笑みを讃えながらわたしに問いかけてきた。

それに頷き、わたしもお腹のその子に向けて優しく微笑みを浮かべた。

 

 

「……アン。元気に産まれてね…♪」

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